989.企業改革に向けて



企業改革の向けてどうしたらいいのであろうか? Fより

日本企業の内部改革がないと、企業の再生がないように感じる。
判断の速さや、需要のニーズのありかを見つめることは、今のよう
な日本企業でできるのであろうか??

大会社の人と話したり商売をして感じるのは、消費者のウオント、
ほしいものが全員わからないため、議論に終始して、実際の事業に
手を出さないことと、過去のしがらみを重要視して、新しい技術の
視点を拒否している姿勢を感じる。こちらの言うことを、全て否定
形で聞いている。肯定形で対応してもらえない。

この点、中国でも米国でも、最初は肯定形で、かついいかどうかを
積極的に議論してもらえる。しかし、日本では門前払いである。
最初の関門が開かない。このため、こちらのアイデアを使うのは、
日本ではなく、中国や欧米になってしまう。何かがおかしい。
今の時代は早い者勝ちの時代であるが、決断が遅いため、日本には
チャンスがない感じがする。

T君と話しても、LINUXでシステムを組めば、200万円程度
で済むシステムをHP・SUNのUNIXサーバで組むと20億円
程度になる。勿論、IBMなどのメインフレームで15年前だと
200億円以上はした。ネットワーク費用がないため、こうなるの
ですが、昔と様変わりしている。しかし、このような話を、取引先
の人に言っても、信用してもらえない。

しかし、私の友人はUSENの光ファイバーサービスを利用して、
IDCセンタを行っているが、置くだけなら1ラック月5万円で商
売になるようだ。もし、そうであれば100万円も有れば、システ
ムのハードはできてしまうので、ASPの商売も成り立つ。勿論
LINUXのようであるが、HP利用とは2桁違うので信用されれ
ば、雪崩を打ってシフトするだろうと、この友人は目論んでいる。

もう1つが、ある企業にメーカ系SI会社が2億円のシステムを提
案したのを横取りしたが、2000万円で受注した。原価は100
万円以下と自分の数日の稼動だけ。LINUX、APACHEと日
本語検索ソフト「なまず」やその他、無料ソフトとPCサーバで構
成されているようです。大もうけ。勿論、ネットワークはすでにあ
るので、そこに設置しただけ。セキュリティもないため、簡単であ
ったと言う。SI会社の人は、相手企業の人に無理であると言って
いたそうであるが、信用を無くして、その会社のシステムにはすべ
て、この人がコンサルタントとして参加することになったそうです。

今後、この企業のシステムは2桁以上安くなると豪語している。
しかし、どうして、SI会社の人はLINUXを玩具と言って、
拒否するのであろうかと、この人は言っている。この状態が続くと
、個人企業は大もうけできるので、LINUXが強力になっている
ことを気が付いてほしくないとも言っているが。

このような話をT君にしたら、どうも本当のことのようですね。

LINUXほど汎用的なものになると、大企業では利益が出ない。
個人企業の出番のようですね。このため、大企業はニッチや高度な
技術力が必要な分野に、その活路を見つける必要があるのですが、
まだ活路が見つからないようですね。皆で渡れば怖くないという
感覚があり、業界で世界標準を見ないとか、次の社会とは相容れな
いことを始めるようです。

このため、特徴のない製品が出てくるが、この製品は中国製の製品
に淘汰されるような感じがする。日本企業の没落がまだ続くのは
確実でしょうね。

これが起こるのは、大会社の意思決定機構がおかしいように感じる
。高度技術会社と思っている会社が実は決定機関のトップ陣は一度
も技術的なことをしていない労務系の人であった昔の日立製作所の
ような感じになっている。

今の日立は、構造改革でこのような体制を変更し、かつ分社化した
ため、ディスクに特化するという意思決定ができたようです。
集中と特化、それとユーザの立場に立った大胆な構想が必要な気が
する。

今はどうもユーザの需要がわからないため、次の社会を大胆に提案
して、それに賛同する人たちが、コンソーシアムを組み、世界的に
仕事をする時代になったような感じがする。LINUXもこの10
年で、様変わりしている。これもコンソーシアムでやった仕事であ
る。このため、WINDOWSを仰臥したのは、当たり前であるが
、UNIXの中位機種までも越したようである。

今後、HP・SUNの業績は急加速で、低下するはずです。このよ
うにコンソーシアムの力の前に個々の企業は、太刀打ちできないよ
うですね。このLINUXを強化したのは、皮肉にもIBM、富士
通、日立、NECの元メインフレーム会社の人たちですから、因果
は巡るですね。今後も、増強が続くでしょうから、先ほどの
LINUXを玩具と認識しているメーカ系SI会社は、どうなるの
でしょうね。
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件名:モノ作りに特化を  
稲盛 和夫氏 京セラ名誉会長 
 
 アジア諸国は外国から技術や資金を導入するとともに、手先が器
用で勤勉な労働力を生かし「世界の生産基地」として成長してきた
。日本を先頭に、アジア各国が雁行(がんこう)型に発展し「アジ
アの奇跡」と言われた。そのアジアでなぜ、経済危機が起こったの
か。

 アジアでは経済成長により国内賃金が上昇し、国民の生活水準も
向上したが、輸出に振り向けていた製品が国内消費に回り、輸出競
争力が減退してしまった。原材料の輸入が増える一方、輸出は減り
、国際収支が悪化した。このため、ヘッジファンドの攻撃を受け、
危機を招いてしまった。

 アジアの国や企業を再建するにはどうしたらよいか。まず、輸出
競争力を取り戻すことが必要になる。国内賃金が上昇する中、輸出
競争力を維持するには、労働生産性を高め続けなければならない。

 アジア企業は外国から資金を借りて発展してきたが、今回の短期
資金流出で打撃を受けた。企業の成長は自己資金で賄うべきだ。
そのために企業は高収益であり続けなければならない。

 京セラは自己資金による経営を貫き、連結売上高が7000億円強の
現在、現預金は2000億円以上に達した。自己資金経営で成長するこ
とは不可能ではない。アジア企業も借金経営から自己資金経営に転
換すべきだ。アジア企業の間ではリストラが相次いでいるが、リス
トラ後に大切なのは従業員のモラールを維持することだ。経営トッ
プが新たな目標を掲げ、従業員を鼓舞する必要がある。

 世界では情報通信関連のソフトが一大産業になりつつあるが、
アジア諸国は得意とするモノ作りに特化すべきだ。

 アジアで情報通信のハード、ソフト産業を興すのは難しい。だが
、通信事業については欧米企業が開発した機器やソフトを活用すれ
ば、特別な技術がなくても参入できる。資金が足りなければ外資と
組めば良い。通信事業で1社独占が続けば料金が下がらず、普及が
十分に進まない恐れがある。第2、第3の事業者が出てくることが
望ましい。

 日本企業にとっては、今がアジアに進出するチャンスと言える。
各国が日本企業に進出を促しているうえ、現地通貨の下落で従来よ
りもはるかに低いコストで進出できるからだ。
Kenzo Yamaoka
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件名: 大胆に事業選別  
チュンポン・ナラムリアン氏 サイアム・セメント社長(タイ) 

 97年7月2日、タイ中央銀行が発表したバーツの変動相場制移行が
危機のきっかけだった。当初は大混乱したが、次第に「この危機は
重大なもので、今食い止めなければさらに拡大する」というコンセ
ンサスができてきた。

 変革を迫られた企業の常として、まず対策の先延ばしを試みた。
しかし、すぐに「最悪のシナリオを念頭に置き、迅速に対策を講じ
て事業を変革すべきだ」と決断した。迅速な行動の間違いは修正で
きるが、後になって行動したのでは致命的になる。

 我々は(1)外国人投資家らが資金を引き揚げ、タイの資金不足が
深刻化(2)経済成長が鈍化し国内販売は大幅に減少(3)営業コストが
増大(4)通貨の弱含み基調への対応策が必要(5)バランスシートは顕
著に悪化し、為替差損の処理で自己資本が減少――という最悪のシ
ナリオを想定した。

そこで(1)回収問題を避けるため、販売減を恐れず顧客への信用供与
を制限する(2)外貨を確保するため輸出比率を全売上高の10%から
30%まで引き上げる(3)設備投資はすべて中断し在庫水準を削減して
現金を確保する(4)通貨安に伴う輸入原材料などのコスト上昇を補
うため、批判を恐れず国内価格を引き上げる(5)主要な債権者に財
政事情を説明し理解を求める――という対策を決断した。経済状況
の悪化につれ、計画は何度も修正した。

98年半ばに為替レート安定の兆しが見え始め、危機を切り抜ける自
信を持った。しかし、その後どのように競争力を維持し将来の成功
を担保できるかが、さらに困難な課題だった。

危機の後は、外資にとっての制約がなくなり国際競争の激化が予想
される。関税、非関税障壁など保護政策を失うが、一方で事業拡大
のチャンスも増える。内外投資家からの透明性と公開性への要求が
高まっていく。

新たな環境に適応するため、構造改革は避けられない。我が社が策
定した構造改革計画は、40以上あった事業から中核をわずか3事業
に絞り、残りを中核になり得るか検証する5事業と撤退候補の30事
業とに分類する大胆なものだった。成功に慣れた会社にとって撤退
を決めるのは大変なことだった。

 構造改革を成功させるため、従業員には計画プロセスに関与させ
て改革への支援を求め、合弁事業の相手には事業の引き継ぎを要請
した。振り返ってみると、当初は生き残りのための変革だったが、
結局は将来の危機回避のために構造改革が必要だったと考える。
Kenzo Yamaoka
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件名:社会性高い雇用が必要。  
三井物産戦略研究所 所長 寺島実郎氏の文章参考に転送します。

 先頃、父を失った。大正六年生まれだから八二歳だった。彼にと
って終戦の年が二七歳であった。つまり、二〇歳台前半の青春期は
陸軍の下士官として戦争の渦中にあった。
 戦後、石炭会社に戻った父は、戦後復興を「石炭の傾斜生産」の
現場で支え、高度成長期に入ると「石炭から石油へのエネルギー流
体革命」によって企業ぐるみ閉山に追い込まれた。労務担当役員と
して最後まで従業員の再就職に奔走していた姿を思い出す。
その後、友人の会社を手伝って、結局七〇歳までサラリーマンとし
て生真面目に勤め上げた。 

 死に至る病の床での混濁する意識のなかで、父が「会社にいかね
ば」とか「もう会社を辞めたいから手続きをしてくれ」と、何度と
なく「会社」を口にするのに驚かされた。
 既に一〇年以上も前に、会社員生活から離れた男が示した会社へ
のこだわりには、この国の勤め人が共有する会社主義の根深かさを
思い知らされた。色々あったのだろうが、父は最期まで会社の悪口
だけは言わなかった。

 今静かに、そしてものすごい勢いで崩壊しているのが、この会社
主義であり、戦後型秩序を形成していたものの中核である。このと
ころ相次ぐ企業不祥事や警察などの行政組織に関わる不祥事のこれ
までとの大きな違いは、その多くが「内部告発」だということであ
る。メディアの世界で仕事をする友人達は、帰属組織が抱える問題
や組織への怨みつらみをメディアに持ち込んでくる「たれこみ情報
」の増加に驚かされるという。

 もちろん、企業内犯罪を隠蔽することが愛社精神ではない。企業
活動を社会的評価に値するものにするため、企業活動の現場におい
て、決してたじろがず、粘り強く改善・改革を積み上げるのが「真
に会社を愛すること」である。それにしても、自らの責務を問うこ
とを放棄して、卑劣・卑怯な匿名の手段で帰属組織の問題を外部で
糾弾する風潮がかくも蔓延するということは、何かが崩れている査
証である。

 戦後の日本では、それまでの共同体意識の中心を占めた「国家へ
の忠誠」という価値が否定されたために、擬似共同体として「会社
」が占める重みが大きくなった。会社を一つの家族のように結束さ
せていく経営が常態化された。松下幸之助のPHP(繁栄を通じた
平和と幸福)の思想がその象徴であった。父の書斎にも定期購読誌
として安岡正篤の「師と友」とともに「PHP」が置かれていたこ
とを思い出す。会社での仕事を通じて自分が幸せになるという考え
が自然に定着し、従業員の帰属組織への忠誠心も高まっていった。
会社にとっても、右肩上がりの経済環境の中で、拡大均衡型の経営
が可能であり、賃上げによる配分や役職の準備において従業員を概
ね満足させることができた。

 低成長、業績低迷だからこの構図が崩れ始めているというだけで
はない。IT革命の浸透によって、雇用が変質しているのである。
現場への経営管理情報システムの導入は、現場と経営トップを直接
繋ぐことを意味し、「情報の結節点」として機能してきた中間管理
職を次第に不要としている。また、現場での仕事は、ITを使って
効率化され、マニュアル化・平準化される。かつては、「働くこと
を通 じ人間関係を磨き、人格を練磨する」という期待が必ずしも
荒唐無稽ではなかったが、キーボードやバーコードに向かうだけの
無機的で平準化された労働を通 じて人間性を深めることなど、期待
すべくもない。

 ITを駆使して労働を定型化・平準化し、年功とか熟練を意味の
無いものにしていこうというのが「スピード経営」の本質であり、
その潮流の中で、現場を支えていた「余人をもって代え難い」燻し
銀のような中間管理職は消え去りつつある。若者達はこうした雇用
の質の変化を直感的に感じ取り、組織に長期に帰属することを忌避
してフリーター的仕事で最小限の生計を立て、「自分探し」の旅に
出ていく。また他方で、才気煥発な職能者、例えばMBA(経営管
理修士)取得者や情報システムのエンジニアなどは、高級フリータ
ーと化して専門職能を売りに企業を渡り歩いたり、ベンチャーの立
ち上げに走り回っている。私の回りをみても、組織を安定基盤とし
て支えた中間管理職層が流動化し、組織から距離をとるフリーター
と高級フリーターに分化していることが実感される。IT革命は「
人間と組織の関係の相対化」という意味で、社会総体にインパクト
を与え始めているのである。

 米国におけるIT革命の実体を注視しても、IT革命が雇用の質
、仕事の中味に重大な影響を与えていることに気付く。なるほど、
ITをテコにした成長によって失業率は下がっているが、労働分配
率は低落傾向にあり、現場の労働者がIT革命の恩恵を受けている
とはとても思えない。仕事の数は増えているが、創造的で働く喜び
を味わうことのできる安定的収入の仕事は増えていないということ
である。また、ITの潮流にのって極端な富を形成している人もい
るが、分配の格差は一段と拡大していることも間違いない。ただ、
米国の場合は、「労働の移動性」(転職の可能性)が高く、会社へ
の過剰期待がないだけに、IT化による雇用環境の変化が、雇用者
の精神的不安を醸成しているとはいえない。

 これまでの日本にあっては、例え虚偽意識であっても、会社社会
における階層型秩序のなかで「幸福感」が形成されてきた。中間管
理職への階段を昇り、給与が増え、部下が増えることがサラリーマ
ンの幸せの共同幻想であった。その幻想が持続できなくなった時、
何が起こるのかはまだ見えない。ただ、曲がりなりにも秩序を支え
てきた暗黙の価値軸ともいうべき「会社主義」が崩れつつあり、
社会総体が液状化しつつあることは確かである。新しい時代の価値
軸をどう再設計するのか。国家主義でも会社主義でもないもの。
おそらく、「公共」という価値を重視した社会的な雇用の創造、
つまり「社会性が高く働き甲斐のある仕事」を創り出す知恵が大切
になってくるであろう。それが社会工学であり、今我々が真剣に
直視すべき課題なのである。
Kenzo Yamaoka
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件名:ニーズ と ウォント  
「必要は発明の母である」 といったのは、エジソン。
何か必要があって発明あるいは創造が生まれるという意味だが、
問題はこの 「必要」 という言葉の解釈である。

「必要」 は、英語でおもに二通りの表現の仕方がある。
「ニーズ」 と 「ウォント」 である。

だが、同じように 「必要」 と訳されながら、この二つの言葉の意
味は、かなり違うのだ。

「ニーズ」という言葉は、空間的にいえば、外部の状況を判断して
割り出した必要性であり、時間的に見ると、過去から現在にかけて
人間が経験したこと、得たものを基準にして割り出した必要性とい
う意味に使われる。

これに対して、「ウォント」は、自分の内部から出てくる必要性で
あり、現在と未来に時間軸をとった上での必要性を意味している。
すなわち、欲望とか、欠乏を内包した 「必要」 がウォントの意味
なのだ。

よく企業のパンフレットなどに、「消費者のニーズをよく捉えて、
、、、」などと書かれているが、この表現はあまりよいとは思えな
い。ニーズというのは要するに、過去の知識から割り出されただけ
のものであるから、そんなことをやっていたら企業は立ち遅れてし
まう。
それを書くならば、「消費者のウォントを見抜いて、、、、、、、
、」 と書くべきだろう。如何?

以上、広中平祐著 「生きること 学ぶこと」 集英社文庫 よりーー
Kenzo Yamaoka


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