975.さらば吉田茂



「日本永久占領」を書いたスタンフォード大学フーバー研究所の
片岡先生が日本に帰ってきている。そして、講演会を行った。その
講演会の要約を述べよう。   Fより

今の日本は、失われた10年と言われ、問題点も明確なのに転換で
きない。ドイツは湾岸戦争で基本法を変えて、海外出兵できるよう
になり、アフガン戦争にも、ドイツ兵を出している。
ロシアのプーチンも今度の米国テロ戦争で米国と同盟関係に変化さ
せた。そして市場経済と民主主義にロシア経済を変化させた。
中国はケ小平時代に、社会主義でありながら、市場経済を導入して
いる。

なぜ日本は変化できないのか??それは日本国憲法ができた時の歴
史が関係している。
・一番大きな問題は、自民党が党利党略のみで、国家の利益を省み
ない構造にある。
 ムネオ国会で分かったと思うが、中国やロシアへのODAは自民
党(橋本派)の利権であることが明確になった。これと同じ事が、
道路公団の高速道路や関西空港・神戸空港、山の中のダムなど、す
べての公共工事が利権化している。しかし、これにもイデオロギー
がある。このイデオロギーを見るには日米開戦まで戻る。真珠湾攻
撃まで戻る必要がある。

1943年のカイロ宣言を終戦のとき、日本は受諾した。米国は朝
鮮・台湾を戦争前はルート高平協定で、日本領土としての正当性を
認めていたのだが、戦争中のカイロ宣言で違法に変化させた。日本
の正当性を認めないとした。これを戦争に負けた日本は、受け入れ
ざるを得なかった。
しかし、1950年朝鮮戦争になり、ダレスが日本の吉田首相の所
に来て、日本も再軍備して米国と朝鮮戦争に参戦してくれと言って
きたが、仁川上陸作戦に必要な機雷の掃海と水先案内はしたが、
戦争にはNOと吉田は答えた。

日本が朝鮮を領土としたのは、ロシアの脅威を防止するためで、
その日本の役割を戦争で崩壊させたのであるから、米国がその役割
をするのは当たり前でしょうと吉田は考えた。このNOが、戦後
50年のイデオロギーになったのです。戦争に参加しない。派兵し
ない。しかし、吉田は岸には、憲法の改正をしろと言っている。
ここで言えるのは、戦後直ぐの指導者たちにはカイロ宣言に対する
反発があったのです。

・もう1つが1972年のニクソン・ショックで、日本憲法の解釈
に変化が起きた。
60年代は日米摩擦で、繊維交渉が行われて、沖縄を返すなら繊維
は譲ると米国サイドは日本との交渉でそう考え、沖縄を返した。
しかし、佐藤首相は繊維で譲歩しなかった。この後、田中角栄は
経済的に譲歩した。繊維業者に補助金を出して、機織機械を解体さ
せた。外部との摩擦が起きると、内部対策をして補助金を出すシス
テムを構築した。税収が年20%以上増収であったためにできたこ
とである。これが定着した。

外交も米国や中国に金を払うことで解決するようになった。
米国には駐留経費を援助し、かつ、中国が日本を非難するとODA
を増額して、譲歩した。このため、中国は日本非難を意図的に行う
ようになっていったのです。

官僚は自分たちの権限に抵触すること、利権の抵触することには金
を出してでも防護したのです。このため、日本タタキをすると、
金が出ることを知って、米国だけではなく、北朝鮮まで日本を脅し
た。そうすると、野中さんは金や米を援助するのである。

・1987年米国のブラック・マンデーで株が大暴落して、流動性
の危機に米国経済は立ち、ベーカ財務長官から竹下大蔵大臣に日本
から資金を米国に回してほしいと依頼されて、竹下は日銀の金利を
2.5%に下げた。このため、日本は空前のバブルが発生するので
すが、米国はこの資金で助かるのです。この時から日本に依頼する
と、金が出るということになったのです。

言い換えると、戦争のために派兵はしないが、金を出す構造になっ
ていったのです。
それが湾岸戦争では130億ドルを出しても、日本は無視されるこ
とになるのです。これは米国として日本が金を出すのは当たり前と
いう感覚になっているためです。

自民党は何を間違えたのか、自分の票田を農村地域と米国と思って
いるようなのです。反対に米国は日本から金を搾り取ることしか考
えない。日本は独立国であるということを忘れている。ここから
腐敗が始まっている。

・宮沢さんの1980年の座談会で、日本は自主外交ができない。
日本外交はだた頭を叩かれたら、引っ込めるしかない。モラリティ
の外交はできないと明言している。日本は何もできない。日本が
戦争するのは平和への罪となるのであると考えている。日本の原罪
が影響している。これを変更しないと、日本は変われない。

しかし、米国知識人たちも、日本人が道義的な責任を太平洋戦争に
感じていないことを知っている。このため、いつか日本人が米国に
復讐するという心配していた。この裏返しとして、日本は何もでき
ない。日本は占領されているという感覚に日本の指導者がなってし
まったのは頷ける。

このため、これを野中さんは徹底的に利用している。改革潰しは、
国内改革と戦争をリンクして、靖国神社とか海外派兵の問題で、
改革派を潰すのです。小泉さんも気をつけてください。これは日本
国民も戦争が嫌いであるということをうまく利用して、自分たちの
利権を保護しようとしているのです。このため、自分たちを守るた
めにも中国や北朝鮮も利用価値があったのです。このイデオロギー
を崩壊しないといけないのでしょうね。

Q:日本は核武装するべきですか?
A:持つべきです。身分相応な仕組みを持たないと、付入る国が出
  て、危険である。北朝鮮のテボドンのように核ミサイルを持ち
  、それで脅してくる。

Q:米国のイラク攻撃に日本は参加するべきですか?
A:イラク攻撃は、ニューヨーク州のユダヤ票がほしいためで、
  NY州は、全米第2位の50票を持っている。イスラエルは、
  イラクの戦車や核武装とミサイルが怖い。このため、早期に潰
  してほしいのです。前に話と関係するのですが、日本の核武装
  に中国や韓国は反対するでしょうね。

  この時、日本の核武装を擁護してくれるのが米国で、米国が
  擁護すれば、中国・韓国は折れる。もし、米国も反対すると、
  どうしようもないことが起きる。日本無視。
  米国は日本のイージス艦の保護がほしいのですから、出すべき
  です。もし、出さないと韓国がイージス艦を持ち、日本は相手
  にしてもらえなくなる。イージス艦と補助軍を出すべきです。
  その代わり、お金はあまり出さない。

  米中仲が悪いから日本が存在できる。中国が民主化したときは
  日本はどうなるか??中国が共産主義であることは日本にとっ
  て感謝するべきことでしょうね。

  サウジアラビアはアルカイダの資金源で、その内、米国の敵に
  なるでしょうね。

Q:野中さん的なイデオロギーはどうなるのでしょうか?
A:自民党の今のままでは、汚職は続くでしょうね。インフレにな
  るしかない。経済的な破綻も来るでしょうね。日本の変化は
  日本国民が選挙で決めることです。
  日本人の多くは気が付いていると思うが、どうして変化させな
  いのでしょうかね。


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