968.中国生産と日本生産について



中国での製造と、日本での製造について、もう少し考察しよう。
                      Fより

シャープが亀山に工場を建てるとか、ソニーが上海工場から日本生
産にしたということであるが、この理由は簡単に説明できる。
人件費が日本と中国では10倍以上違う。
しかし、知的労働者確保の面、市場に近いため流通在庫の在庫量を
簡単に調整できることや、変更設計の簡易さなどは日本の方が上。

とすると、人件費率が少ない全自動化工場では労働力が少ししか必
要がないため、日本の方が中国より生産コストが安いか同じになる
場合がある。そして、生産初期の実験段階も同じで、日本の方が設
計面の手直しすることが簡単にできるため、中国より日本の方がい
いことが多い。要するに、市場が立ち上がらない中途半端な時期の
製品生産や市場が小さい製品の生産は中国がよくて、試作レベルと
か自動化ができる大量生産品では中国より日本の方が有利になる。

試作品の金型は韓国の方が早く安いので、日本から韓国に流れてい
るが、設計の品質や部品の試作では日本がまだ勝っているようだ。
日本にはまだアナログ回路の技術者がいるが、韓国にも中国にも、
アジアには、この手の技術者がいない。日本も昔に比べてすくなく
なった。この分野が再度、省エネルギーや電源ノイズ等のデジタル
化では解決できないため、注目され始めている。

東南アジアと中国を比較すると、中国の方が労働賃金は安く、かつ
労働力としての人間の質が中国の方が断然いい。中国の人たちは、
賃金の差やランクの差を気にするため、がんばる。このため、中国
では、個々人が工夫して改善するようだ。この差は大きい。アジア
の他諸国では、このような工夫が見られないし、あまり賃金の差で
ガンバルこともない。このため、改善提案もない。生産性向上が
中国の工場では可能である。

このため、生産性が中国の工場の方が断然高い。日本企業がアジア
工場を閉鎖しても中国に行くのはこのためなのです。しかし、中国
にも問題はあるが、日本企業を誘致している省政府は言われている
問題に機敏に対応し始めている。中国政府もWTO加盟で、法律面
での整備をしている。もちろん、日本側も中国企業との合弁会社で
かつ中国人を社長にするなどの対応が必要である。その社長になる
人は、日本人の考え方をよく知っている人で、ビジネス的にも日本
との関係が深い人であることが必要でしょうね。

しかし、日本の右翼の人たちは、中国憎しで、問題点だけを述べて
いる。しかし、その意見とは違って、なぜ日本の大企業や周辺の企
業がどんどん日本やアジアから中国に行くのかを説明できていない。
上手く行っている企業の方が多いのにですよ。そうしないと、企業
は、こんなに中国に進出しない。どうして、簡単なことが分からな
いのでしょうね。このごろは、雪崩を打って中国に工場を移転して
いる。事実を見よう。

新産業創出というが、最後は各企業がどう差別化された商品を世に
出すかの勝負であり、その基礎技術を国が援助することである。
しかし、ムダな公共事業を中止して、このような新産業創出は大賛
成ですね。国家予算の総費用は減額していくこととこのような産業
の支援を行うためには、ムダな地方の山の中のダム建設や国有林の
伐採や農協支援を止めて、費用を浮かせていくべきであると多くの
人が考えている。それが、長野県田中知事の支持率が60%もある
理由でしょうね。この問題は、再度検討する。
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新産業創出へ5年間1兆5千億円研究開発プロジェクト(ASAHI)

 政府の総合科学技術会議(議長・小泉首相)は24日、新産業の
創出につながる研究開発プロジェクトを来年度から集中的に立ち上
げることを決めた。30〜50件に着手し、来年度分として最大
5000億円、5年間で1兆5000億円規模。産官学連携方式の
ため、民間からの投入資金も含めると、総額3兆円ほどになるとい
う。

 バイオ、情報通信、環境、ナノテクノロジーの重点4分野を中心
に、短期間で実用化できるか、次世代の産業基盤構築につながると
期待されるプロジェクトを選ぶ。1件当たり5年間で50億〜300
億円規模。関係省庁から提案されているプロジェクトを再編する。

 この日の会議では、ナノテクノロジーを使った人工臓器(5年間
で300億円)、コンピューターを使ってコスト削減するものづく
り支援システム(同300億円)など21件が候補に上った。これ
らは、参加する民間企業や実現可能性などの検討をすませており、
「当選確実と思って間違いない」と尾身科学技術政策担当相。

 小泉首相は「いっそうの重点化を」と指示しており、さらに10
件以上のプロジェクトを選ぶ。(21:28) 


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