962.米国外交の影響について



昨日は米国のイラク攻撃について、検討した。今日は諸外国の影響
とその背景を考察しよう。   Fより

1.英国
一番、米国の行動に影響されるのが英国である。ブレアー首相は、
英国の新聞でも「米国の忠実な犬」と表現されているが、米国の
イラク攻撃には参加する意向のようである。このためもあり、労働
党政権なのに、労働組合からも支持取り消しが相次いでいる。労働
党内部からも、非難されている状況です。この米国追従の軍事行動
が増えているため、ここも軍事費の増額をしている。しかし、ブレ
アー政権のストロー外相は中国や欧州とも関係を良好にする行動を
している。
ストロー外相はインド・パキスタンの紛争解決にも米国が動く前に
行動して、米国が追従するという外交上の得点を上げている。

このように、ブレアー政権も米国一本やりというわけではない。
ここがうまい。英国人の食えないところでもあるが、日本や米国ほ
ど単純ではない。それと英国のガーディアンなどの報道機関も、
どちらかと言うと反米的、親欧州的な論調にある。

2.中国
中国は、米国から仮想敵国の扱いを受けている。これは議会での中
国からの技術拡散や貿易関係での監視を強めるという報告書が、出
ることでも分かるが、中国経済は絶好調にあり、日本経済の新しい
輸出先としての市場に育つ可能性がある。現在、米国の半分。

21世紀は中国という英国エコノミストの記事は当たりそうである
。もちろん、不良債権問題など中国には、今後その対応が必要なこ
とがあるが、2004年北京オリンピックまでは持つし、国営企業
問題がその北京オリンピックまでにどうなるかがこの問題の焦点で
しょうね。しかし、近々に中国人民軍が米国と対抗はできないこと
は明白。米国も当面、イラク対応で中国との問題を起こせない。
このため、両者の軍交流をするしかないようです。

中国も米国から仮想敵国にされていることを知っているし、反米イ
スラム国家との関係を見直し、欧州や中央アジアの諸国との関係を
強化していくようだ。中国としては米国との戦いにならない範囲で
今後も米国から距離を置いていくのでしょうね。
特にロシアとの関係を重要視している。当面、軍事的な技術はロシ
アの方が上であるため、武器調達のためでもある。

中国の労働力は、アジアの労働力より断然いい。納期は守るし、
労働者間の競争をさせると、本気でその競争をする。このため、
生産性が他のアジア諸国より断然いいし、今の日本の若者より、そ
の能力は上なような感じがする。日本人が単純労働ではダメになっ
たが、その分、知的な労働をする方向にあると思いたいですね??
中国製は品質がよく、かつ安いという、昔の日本製のような製品が
出来てきている。これは脅威ですよ。

その前提で中国を日本の学者は考えない。昔の中国で考えているよ
うな感じがする。ずれている。昔の体制が今でもあるが、それでも
私的な中国企業の努力を無視はできない。昔ながらの国営企業は、
このため、どんどん敗退するでしょうね。敗退するため、銀行から
借りた借金を踏み倒すことになる。このため、不良債権が多くなる
と恐れているのです。しかし、年率7%程度の経済成長をしている
と中国政府は公表している。これは欧米諸国の学者から疑問との声
が出ている。

3.ロシア
ロシアは対米国の対応を大きく変えた。米国協調である。少なくと
も欧州レベルでの米国協調まで、国家の方針を変更させた。このた
めNATOの準会員になっている。サミットの参加もOKとなった
のは、西側陣営であると、認知されたためでしょうね。このため、
東欧。中欧諸国が雪崩を打って、NATO加盟、EU加盟を希望し
ている。それを、ロシアは止めることができなくなった。ワルシャ
ワ機構の完全崩壊になっている。

その代わり、欧州や米国との本格的な経済的な面での交流を行うこ
とにして、石油・天然ガスの輸出をドライブしている。このため、
OPECが対抗策を練る必要があると思わせるほどだ。

しかし、ロシアは一方でイランに原子力発電所を建て、中国軍の軍
備近代化に必要な兵器をどんどん輸出している。中国の軍事費は
年率10%以上増額しているのも、このロシア製の兵器を購入する
ためであり、ロシアの大得意先の1つである。もう1つがインドで
、ここも軍近代化でロシア製の兵器を買っている。

カスピ海石油や中央アジアの石油が今後、米国との利権争いになる
が、ロシアは見を捨て、実を取る作戦でくるような気がする。結局
、アフガンもロシアサイドが優位になる。米国軍はイラク攻撃でい
なくなり、代わりにトルコ軍では国内治安が持たないような気がす
る。すると、ロシア軍が出てくる可能性がある。

4.フランス・ドイツ
フランス・ドイツは虎視眈々と米国の経済覇権崩壊を見ている。
米国の不正経理で企業不信が続けば、ドルからユーロに資金は流れ
るし、米国企業の多くが欧州資本の物になる。それもユーロの価値
が上がり、米国企業を安く買えることになる。それと、ユーロに参
加しないという英国などのEU諸国の参加をしやすくなる。世界の
多くの国も米国のユニタリズムに付いていけないと思っている。
この米国の政治的・経済的な衰退は、世界の枠組みを変化させるこ
とになり、欧州復権に繋がるし、米国の世界覇権を引き継ぐことが
できる。

欧州をEUという国家と見ると中欧、東欧、西欧までの広い範囲が
その領土になり、ローマ帝国の領土以上の広がりをもつことになる。
それと、日本の日産、三菱など欧州資本が日本でも増えている。
中国も欧州企業が市場を抑えている。アジア諸国に意外と欧州企業
は参入している。

アフリカはもともと欧州のものであるが、米国が参入しようと、南
アフリカ共和国を黒人国家として独立させたが、最終的には英国は
利権を守ったようだ。引き続き欧米の利権争いは続いているが、
欧州優勢は崩れない。欧州は南米にも利権を拡大している。特にス
ペイン語圏であるため、米国よりスペインは優位な立場にいる。
このため、欧州はスペイン経由で影響力行使を目論んだが、IMF
と米国が釣るんで、スペインの影響力が強いアルゼンチンを見せし
めのために潰したのです。

米国の経済的な影響がなくなると、欧州の出番になる。それと待っ
ているような感じがする。それまでは、高みの見物でしょうね。
==============================
対中輸出急増、今年は対米の5割に(nikkei)

 【香港=鈴置高史】日本の輸出の中国依存度が高まっている。
今年の対中輸出額(香港含む)は初めて対米輸出の5割に達する見通
しで、2010年にも並ぶ勢いだ。中国の世界貿易機関(WTO)加盟
や内需拡大を背景に、部品や素材など中間財に加え、自動車など消
費財輸出も伸びている。今後、対中輸出動向が日本の景気を左右す
る要因になりそうだ。 

 今年1―5月の対中輸出は前年同期比12.8%増の3兆573億円。香港
を除いた中国向けが18.4%増の1兆8189億円と急伸した。2001年通年
(6.2%増)より伸びが加速、対米輸出(2.1%減の6兆1821億円)の
49%の水準まで膨らんでいる。 

 UFJ総合研究所の高橋克秀・主任研究員は「今年通年で対中輸
出は対米の5割に達する」と予測。対中輸出(香港除く)が年15%、
頭打ち傾向の対米輸出が同1%の伸びと仮定した上で「2010年には対
中が対米と肩を並べる」と分析する。他にも「対中輸出は年率10%
で伸びる」(富士総合研究所の桑田良望・理事)など高い伸びを見
込むエコノミストが多い。 
==============================
ストロー英国外相の来日について
平成14年7月11日
1. ジャック・ストロー英国外相は、7月16日(火)から7月18日
(木)まで来日する。 

2. ストロー外相は、17日に飯倉公館において、川口順子外務大臣と
の間で外相会談を行い、地域情勢など、国際的な諸課題及び日英協力
につき意見交換を行う予定である。また、外相会談後、両外相は飯倉
公館において共同記者会見を行う予定である。 

ジャック・ストロー英国外務英連邦大臣略歴
(The Rt. Hon. Jack Straw, MP
Secretary of State for Foreign and Commonwealth Affairs) 

平成14年4月現在
1.氏 名 ジャック・ストロー
(The Rt. Hon. Jack Straw)
2.生年月日 1946年8月3日生
3.出身地 エセックス州ブラックハースト・ヒル
4.学 歴 リーズ大学、インズ・オブ・コート・スクール・オブ・
     ロー卒
5.職 歴 
1972年 法廷弁護士
1974〜75年  バーバラ・カッスル社会保障大臣(当時)政務補佐官
1976〜77年  ピーター・ショア環境大臣(当時)政務補佐官
1971〜78年  イズリントン区(ロンドン)議員
1974年  下院議員選挙落選
1979年  ブラックバーン選挙区下院議員初当選
1980〜83年  影の大蔵・経済問題担当副大臣
1983〜87年  影の環境副大臣
1987〜92年  影の教育大臣
1992〜94年  影の環境大臣
1995〜97年  影の内務大臣
1997〜01年  内務大臣
2001年6月〜 外務大臣
6.家 族 アリス・パーキンス夫人(内閣府の行政改革担当の局長
     級のポストで活躍中。)と1男1女。
7.趣 味 ウォーキング、料理(特にスフレが得意)、音楽観賞(ク
     ラシック)、サッカー観戦(ブラックバーン・ローバー
     ズのファン)。
9.訪日歴 無し。 
10.横 顔 
(1) 労働者階級に育ち、幼いころから政治活動に携わり、15歳で
   労働党に入党した。学生時代にはリーズ大学学生組合議長、
   全国学生組合議長を務めた。当初は左派として名を馳せたが
   、スミス前労働党党首の時代からブレア時代を予見し、右よ
   りに姿勢を転換した。産業国有化条項を掲げた党綱領第4条の
   改正を最初に提案した。
(2) 第一期ブレア政権で、内務大臣として、犯罪に対し断固たる
   姿勢で取り組み、閣内での地位を向上させたが、党内左派か
   らは権威主義的として強い反発を受けたこともある。現職閣
   僚にも拘わらず、毎週末選挙区に戻り、町で選挙民との対話
   を行っている。 
(3) 内務大臣時代の1997年に、長男ウィリアムによる大麻販売が
   報道された際には、ストロー自ら長男を連れて警察に出頭し
   、親としての毅然とした態度が共感を集めた。

■2002/07/15−21:52 
国際問題で協調呼び掛け=江主席ら、英外相と会談−中国(時事)
【北京15日時事】中国を訪問中のストロー英外相は15日、江沢
民国家主席、銭副首相、唐外相と相次いで会談した。中国新聞社電
などによると、江主席は「中英両国が国連安保理の常任理事国とし
て対話と協力を強めることは、世界の平和と安定にとって極めて重
要だ」と述べ、国際・地域問題での協調を呼び掛けた。中国は米国
の「一極支配」を阻止するため、米国以外の大国との提携を重視し
ている。  

■更新時間:2002年07月16日11:10(北京時間) 
江沢民主席、ストロー英外相と会見
江沢民国家主席は15日午後、ストロー英外相と中南海で会見した。

この中で江沢民主席は「中英両国は、国連安保理常任理事国として
対話と協力をさらに進める必要がある。このことが世界と地域の平
和と安定にとって非常に重要であり、われわれ双方は高所に立って
、中英関係の長期発展の見地から、両国の全面的なパートナーシッ
プ発展にともに努力しなければならない」と強調した。 

これに対してストロー外相は、ブレア首相が中国再訪を期待してい
るとのメッセージを伝えた上で「英側は英中関係の継続的な前進を
望んでおり、英政府の各部門は協議、調整し、各分野での中国との
密接な協力をさらに進めているところだ」と答えた。 

「人民網日本語版」2002年7月16日 
==============================
<英国>軍の近代化計画を発表 同時多発テロの戦闘形態を想定

 【ロンドン岸本卓也】英国防省は18日、昨年9月の米同時多発
テロ以降の戦闘形態を想定した英軍の近代化計画を発表した。遠隔
地に俊敏に展開し、ゲリラ戦に対応できる機動部隊を増設する。最
新の情報通信技術を駆使し、偵察衛星や無人機などを積極的に活用
する方針だ。国防予算は向こう3年間に35億ポンド(約6500
億円)の増加が見込まれ、増加率は過去20年間で最高となる。

 国防省によると、今後の戦闘は大規模な軍隊を動員する大国間の
総力戦よりも、小国での紛争や国際テロ組織・アルカイダのような
武装集団とのゲリラ戦の多発が想定される。山岳部やジャングルで
も、偵察衛星などの情報を地上部隊が瞬時に把握し、敵を急襲する
作戦が主流となる。

 英軍はアフガニスタンのタリバン勢力やアルカイダとの戦闘で、
米軍の技術や装備の近代性に衝撃を受けたという。特に、米国が開
発した新型無人機はアルカイダのメンバーの発見、攻撃に威力を発
揮した。国防省は無人機の開発や米国からの輸入を検討する。また
、遠隔地に部隊を急送できる新鋭の輸送機も導入する。

 国防省は4年前に発表した国防白書で、情報技術の近代化で飛躍
的に向上した軍事革命時代の到来を指摘した。米同時多発テロとア
フガニスタンでの戦闘は軍事革命に合わせた装備や作戦の必要性を
証明し、フーン国防相は国会での演説で「最先端の軍事技術を誇る
米国とともに戦えるだけの技術が必要だ」と述べた。(毎日新聞)
==============================
2002/07/17 (産経新聞朝刊) 
「中国から拡散」警鐘 大量破壊兵器米議会の安保調査委報告書 
政府介入で抑制提案 ( 7/17)
【ワシントン16日=古森義久】米国議会両院が超党派で組織した
「米中安全保障調査委員会」が十五日に公表した報告書は、中国が
この二十年以上、米国からテロ支援国家として指定されたイラク、
北朝鮮などを含む多数の国に大量破壊兵器やその技術を輸出してき
たとして、米国政府が積極介入し、この拡散を抑えることを提案し
た。 

 この報告書は、「米中経済関係が米国の国家安全保障に持つ意味
」と題され、その第七章では「拡散と中国のテロ支援国家との関係
」というタイトルで、中国側の核、化学、生物各兵器と弾道ミサイ
ルという大量破壊兵器の他の諸国への拡散が、米国だけでなくアジ
ア・太平洋地区や中東諸国の安全保障に危険な影響を及ぼしている
と指摘している。 

 報告書によると中国は一九八〇年代から現在にいたるまで、まず
核兵器関連では北朝鮮、イラン、イラク、スーダンなど七カ国に技
術や部品を輸出したとし、その内容については(1)パキスタンに対
し核兵器のデザイン、重水炉、兵器用ウラニウム、ウラン濃縮支援
、プルトニウム生産センター、核燃料再処理施設の建設など機材と
技術(2)イランに対し実験用原子炉、ウラン生産施設(3)インドに
重水炉、ウラン濃縮施設−をそれぞれ輸出したことなどを記してい
る。 

 さらに弾道ミサイルに関連しては(1)イランに弾道ミサイルと巡
航ミサイル、ミサイルの燃料と誘導管理技術(2)イラクに巡航ミサ
イル、ミサイル燃料、ミサイルのエンジン試験施設(3)リビアにミ
サイル燃料(4)パキスタンに弾道ミサイルと発射装置、ミサイル誘
導装置、ミサイル燃料、ミサイル製造工場用の機材と技術(5)サウ
ジアラビアに弾道ミサイル(6)シリアに弾道ミサイル、ミサイル製
造工場用の機材と技術−を輸出したとしている。 

 報告書は中国政府はこの種の大量破壊兵器関連の拡散をしないこ
とを二国間あるいは多国間合意で約束したにもかかわらず、順守し
なかったと指摘。二〇〇二年二月の米中首脳会談でもブッシュ大統
領が江沢民主席に対して昨年十一月に中国が合意した拡散防止誓約
が守られていないことへの懸念を述べ、特にイランが核兵器開発計
画の再開で中国の協力を求めていることに応じないよう要請した、
と記している。 

 また、中国が拡散をあえてすることの理由について(1)米国への
圧力とする(2)自国の対外的な政治、軍事の影響力を強める(3)外
貨を稼ぐ(4)エネルギー確保に資する−ことなどを挙げている。 

 報告書は中国のこうした拡散の行動を止めるために、米国政府に
対して(1)拡散行為への制裁をより国際的かつ精密にする(2)制裁
を拡散関連物資を輸入した国にも適用する(3)中国側への制裁は米
国金融市場への参入の制限という新方式も実施する(4)国連安保理
と協議し大量破壊兵器の拡散防止の国際的な枠組みを作る−などを
勧告している。 
==============================
<連載・日本と世界の安全保障>
米中軍事交流再開と「中国包囲網」の形成

(財)霞山会主任研究員
阿部 純一(あべ・じゅんいち)

 米中軍事交流が再開に向けて動き出した。去る6月27日、ロド
マン米国防次官補は北京で遅浩田国防部長(国防相)ら中国軍部首
脳と会談し、昨年4月の米EP3偵察機と中国海軍戦闘機との海南
島沖合での衝突事件以来、事実上中断状態にあった軍事交流の再開
で基本合意したのである。しかし、中断していた1年余りの間に、
中国を取り巻く状況は一変していた。9・11テロ以来のアメリカに
よる「反テロ戦争」の発動は、アメリカの軍事的影響力の中央アジ
アへの拡大、南アジア、東南アジアでの強化をもたらし、中国から
見ればいつのまにか中国がアメリカの軍事配置に包囲される状況と
なっていた。
==============================
中国とロシア、合同軍事演習実施へ

 [北京 11日 ロイター] 中国とロシアは8月、国境付近で
小規模な合同軍事演習を行う。中国外務省の劉建超報道官が記者団
に語った。
 演習目的は通信連絡の試験。”危険な軍事活動” の防止に向け
て、1994年に両国が結んだ協定の一環と位置付けられている。
 この演習をめぐっては、外国メディアが、第三国を念頭に実施さ
れる可能性を報じた。ただ、劉報道官は、そのような見方を否定し
ている。(ロイター)


コラム目次に戻る
トップページに戻る