961.イラク攻撃に向けて



米国国防次官ウォルフォウイッツの動きが面白い。この解析から、
イラク攻撃を検討しよう。   Fより

中東和平会談と親米アラブ諸国との会議、ウォルフォウイッツの
アフガニスタン、トルコ訪問とそこでの演説、それに伴ったトルコ
とクウェートの対応、米国株価とチェイニー副大統領の不正経理問
題と米国は今、話題豊富であり、この解析する評論家も大忙しのよ
うです。欧米のマスコミも話題豊富であり、この株価暴落ではある
が大忙しの様子である。

今回注目するのが、ウォルフォウイッツのアフガン・バクラム基地
での演説で、トルコ訪問前の演説では、イラク攻撃の具体的な計画
案はないと言っていたのに、トルコ訪問後はイラク攻撃の準備がで
きて、かつ今年の11月には攻撃すると、激変している。

この激変のキーはウォルフォウイッツとエジェビット・トルコ首相
の会談であろう。この会談で発表には出てこない脅しをウォルフォ
ウイッツは、言っているはず。このため、病気のエジェビットさん
はしどろもどろであったらしい。それはそうだ。トルコ国内のイス
ラム主義者が反対することは確実で、かつ、エジェビット政権自体
が風前の灯火にあるので、エジェビットさんが困惑するのも分かる
。しかし、最終的には、イラク攻撃の基地を貸すことになったので
しょうね。そうしないと、その後のウォルフォウイッツや国防省の
動きは理解できない。
脅しの内容は、容易に想像できる。それはここのコラムで何度も言
っていたクルド民族国家をトルコでもこのままでは実現するがいい
かでしょうね。

そして、もう1つ分かったのが、今までのイラク攻撃案は、ほとん
ど実現性のない計画であったということである。クルド族やイラク
反体制分子を支援してイラクを攻撃するということは実現性がない
。
これも何度も、このコラムでは主張していたが、やはりと言う感じ
ですね。この意味では今まではブラフ的な要素があったということ
でしょうね。

この合意を受けて、クウェートも国連の合意があれば、基地を貸す
と言い始めた。米国はイスラム国家を信用していない。これもウォ
ルフォウイッツのトルコでの演説で、イスラム主義を脱したアタチ
ェクを賞賛する言葉に出てくる。戦略情報BBSに、その英文はあ
るので、確認ください。私はこのごろ、国防省のニューズサイトを
愛読しているが、国務省のニューズに比べて見ると面白い。
最初から国務省はイラク攻撃の計画はないと言っていた。こちらが
今までは正しかったのです。

中東アラブ諸国の対応もイラクに味方されないように、アメを配っ
ている。3年以内のパレスチナ国家設立、アラファットの排除はし
ないなどでサウジ、エジプト、ヨルダンなどの親米国家であるが、
寝返りの心配がある国家を手なずけている。

もう1つ、このイラク攻撃に国防省制服組は反対なのでしょうね。
どんどん計画がリークされて、欧州や米国保守派・リベラル派・グ
ローバル派が反対する材料を提供している。これには国防省幹部も
てを焼いているようです。

もう1つ、チェイニーがいつまで、副大統領でいられるかが心配に
なっている状態です。ハリバートン社の不正経理が確定すると、
ブッシュとしても、チェイニーを手放すしかない。このときは、
パウエルしかない。このため、ウォルフォウイッツはイラク攻撃を
急いでいる。パウエル・ドクトリンでは戦争ができないとタカ派は
考えている。

このため、世界各地の米国および英国軍は、撤退している。それで
影響するのが、ボスニアでしょうね。50名しかいない米国軍撤退
で大騒ぎしている。アフガンも英国軍は撤退した。米国も徐々に
トルコ軍に支配権を渡していくようだ。トルコ訪問の表向きの理由
がこのアフガン作戦の検討ですから、しかし、ウォルフォウイッツ
は、最初に述べたような意図でトルコを訪問している。

トルコが合意されれば、大規模攻撃になるでしょうね。総員20万
人の英米軍がトルコとクウェートからイラクを攻撃するでしょうね。
これに対して、イラクは生物化学兵器を使う。それもイスラエルと
侵略軍に対して、同時に行うでしょうね。そして、米国の戦術核兵
器使用。それもICBMに戦術核兵器を入れて使う可能性もある。

イスラエルに戦術核兵器を米国が渡しているのも気になる。イスラ
エルが報復として、核を使用する可能性もある。これは、イラク戦
争は大変なことになるでしょうね。しかし、戦争としては短期で終
わる可能性が高い。双方の核応酬でイスラエルとイラクが徹底的な
破壊を受けるのでしょうね。

アルカイダが米国で核を使用したテロを行うということですから、
そちらの方が日本人としては注意する必要がありますね。
このコラムとしては、中東と米国東部は、戦争が近くなったら、行
かない方がいいと勧告します。
==============================
中東和平4者協議:アラファト排除拒否で親米アラブ諸国の苦悩
[毎日新聞7月17日] ( 2002-07-17-22:46 ) 

【カイロ小倉孝保】
16日の中東和平4者協議で、アラファト自治政府議長排除を目指
す米国のもくろみが実現しなかったことは、当面、親米アラブ諸国
には”追い風”だ。だが、18日、ワシントンではエジプト、ヨル
ダン、サウジアラビアのアラブ3カ国外相とブッシュ米大統領との
会談が予定されており、アラブ3カ国は、改めて議長排除への協力
を迫られる見通しだ。政治、経済面で米国の強い影響下にあるこれ
らアラブ諸国が、どこまで米国の圧力に抗し切れるかが議長の命運
を左右しかねない。
アラブ外交筋の話では、これら3カ国首脳は米国から「議長外し」
に協力するよう圧力をかけられている。このため、表面上は議長排
除に反対するものの、首脳らの間には「議長排除もやむ無し」との
認識が広がっていたことも事実だ。15日、ムバラク・エジプト大
統領と会談したベンエリエゼル・イスラエル国防相は「大統領は議
長とは交渉できないとするイスラエルの立場を理解してくれた」と
語ったほどだ。
アラブ民衆の間では、イスラエルの入植地政策を批判せず、パレス
チナのテロばかり非難するブッシュ政権への反発が圧倒的に強いの
も事実だ。
一方、今回の4者協議にアラブ諸国から親米3カ国だけが出席した
ことに、カタールの日刊紙「アルラヤハ」は「アラブ内の信頼の危
機」と報じた。
同紙などによると、アラブ連盟は4者協議を前に、カイロで12日
行われた外相級会議で対応を協議。この席上、シリア高官は「3カ
国は自国の立場を訴えてもよいが、アラブ総体としての立場を主張
すべきでない」とくぎを刺した。親米アラブ諸国の苦悩は続きそう
だ。 
==============================
イラク攻撃にトルコ同意か クルド国家回避が条件  外信87

 【カイロ17日共同】米国の計画する対イラク攻撃作戦に慎重な
姿勢を示しているトルコが、条件付きで攻撃に同意する可能性が出
てきた。                          
 アンカラからの報道によると、十七日付の同国紙ヒュリエトは、
フセイン政権の崩壊後、自国に隣接するイラク北部にクルド人国家
を樹立させないことを米国が公式に保証すれば、トルコ政府はイラ
ク攻撃に同意すると報じた。                 
 トルコ訪問中のウルフォウィッツ米国防副長官は十四日、クルド
人国家樹立について「トルコを不安定化させ、米国にとっても受け
入れ難い」などとトルコの主張に沿う発言をした。この問題につい
ての両国間の溝が狭まったといえ、トルコがイラク攻撃に同意する
可能性が強まった。                     
 米国はイラクに地上軍などを展開する際、トルコを出撃基地とし
て想定しており、同国の協力は不可欠となっている。      
 トルコは、イラクにクルド人国家ができれば、分離独立を目指す
トルコ国内のクルド人勢力が勢いづくことを懸念。さらに米国がイ
ラク攻撃の際にイラクのクルド人勢力を利用するとの報道もあった
ため、これまで、米国への協力に慎重な構えを取り続けてきた。 
(了)  020717 2332              
==============================
米大統領、副大統領が不正行為に関与していないと確信
  
 [ワシントン 17日 ロイター] ブッシュ米大統領は、チェ
イニー副大統領がハリバートンの最高経営責任者(CEO)を務め
ていた時代に、不正を働いたことはないと確信していることを明ら
かにした。 
 大統領は記者会見で、副大統領が1995年から2000年にか
けてハリバートンのCEOを務めていた時期に、不正を働いていな
いと確信しているかとの質問に対し、「そのとおりだ」と答えた。
 そのうえで、証券取引委員会(SEC)の調査により、チェイニ
ー氏が不正行為に手を染めたことはなかったという事実が明らかに
なると確認していると述べた。 
 さらに、SECはハリバートンに対する調査を進めるとの方針を
明らかにしたうえで、「副大統領に多大な信頼を置いている。チェ
イニー氏を副大統領に選んだ際に、立派なビジネスリーダーで経験
豊かな人物だと認識していた」と述べた。 (ロイター)
==============================
<中東和平>米の現実的妥協策で一段落 アラブの主張に歩み寄り

 ニューヨークでの4者協議で始まった中東和平をめぐる一連の国
際対話はブッシュ米大統領、米国務長官とエジプト、ヨルダン、サ
ウジアラビア3国外相との18日の会談で一段落した。米、露、国
連、EUによる4者協議では米国孤立の構図が目立ったが、ブッシ
ュ政権としては前進に向けた足がかりを作った結果になっている。
(毎日新聞)
==============================
外国人労働者に代替進む 自治区封鎖でイスラエル  外信93

 【エルサレム18日共同】商業都市テルアビブで十七日に起きた
自爆テロで多数の外国人労働者が死傷したイスラエルでは、経済封
鎖でイスラエルへの出稼ぎが禁じられているパレスチナ人から、中
国などからの外国人へと労働力の代替が進んでいる。      
 これに伴いパレスチナ過激派のテロで外国人が犠牲になるケース
も出ており、昨年十二月にイスラエル北部のハイファでフィリピン
人が、今年四月にはエルサレムで中国人が自爆テロに巻き込まれて
死亡した。                         
 イスラエルにいる外国人労働者は現在、二十万―三十万人で、ル
ーマニア人や中国人らが多い。一昨年秋の武力衝突発生前まではパ
レスチナ人が従事していた農業や建設現場などで働いており、封鎖
が解除されてもパレスチナ人の復職は困難になりつつある。   
 しかし外国人の多くは不法就労で、十七日の事件では負傷したル
ーマニア人らの中には国外追放を恐れ、病院に搬送されるのを拒ん
だという。                         
 イスラエル政府は、武力衝突の泥沼化の影響で不況が深刻化、イ
スラエル人の失業者も増加したとして、外国人労働者の受け入れを
厳しく制限する措置を取り始めている。            
==============================
アラブに対米団結呼びかけ…イラク・フセイン大統領

 【カイロ16日=平野真一】イラクのフセイン大統領は、16日
付カタール紙アッシャルクなどアラブ数紙に掲載されたインタビュ
ーで、米国による同政権打倒政策を「標的にされているのはすべて
のアラブ国家だ」と述べ、アラブ世界に団結して抵抗するよう呼び
かけた。
 インタビューは今月初め、カタール大政治学教授で同国アッラヤ
紙元編集長のムハンマド・アル・ミスフィル氏によって行われた。
大統領が外国紙との会見に応じるのは極めて異例で、強い危機感を
反映したものと受け止められている。
 フセイン大統領はこの中で、「シオニスト(イスラエル)と米国
の侵略は、アラブ世界に対するもので、パレスチナとイラクに代表
されている」と強調。アラブが団結しないため弱体化している、と
団結を求めた。(読売新聞)
==============================
「中規模」攻撃を検討 イラク問題で米政府 
 【ワシントン15日共同】15日付の米ウォールストリート・ジ
ャーナル紙は、イラクのフセイン政権転覆を目指す米政府内で、
5万−7万5000人の地上軍と航空戦力を使った「中規模」のイ
ラク攻撃を実施する案が議論されていると報じた。 
 同紙によると、少なくとも2万5000人の部隊は航空機により
投入可能で、2週間程度で5万−7万5000人の地上部隊をイラ
クの隣国クウェートに配備できるとしている。 
 特殊部隊や米中央情報局(CIA)がイラクの反体制勢力の部隊
と連携、イラク兵士の離反を促すほか、ミサイル発射施設や生物化
学兵器の工場などの目標に爆撃を誘導する。 
 空爆にはトルコ、カタール、クウェート、バーレーン、オマーン
、アラブ首長国連邦の基地のほか空母5隻が使用され、無人偵察機
なども重要な役割を果たす。             (了) 


コラム目次に戻る
トップページに戻る