940.世界大恐慌前夜



米国の株バブルは企業利益の水増しで起こったことが、明確化して
いる。この影響は甚大である。この検討をしよう。 Fより

米国株式市場のダウ平均が9000ドル割れになる。このきっかけ
は、エンロンの倒産で明らかになった企業利益の水増しの事実で、
それがエンロンだけではなく、ワールドコムやゼロックスまで同様
な水増しをしていた事実があり、株の信用を落下させた。

特にワールドコムが倒産すると、10兆円以上の株が紙切れかする
のであるから被害甚大である。この影響で米国株式市場に新規上場
や新株発行ができなくなると、米国企業の資金繰りも厳しくなる。

この影響は、個人消費に出てきている。個人消費がUPしていたの
が、とうとう減になったのです。この状況は1992年以降の日本
の状況に良く似ている。米国の景気は今後大幅に下落すると懸念し
て、市場は反応している。これは正しい。

日本が土地・株バブル崩壊したときは、米国景気は非常に良くて、
日本企業は米国の輸出や米国市場の利益で、凌いだが、米国がバブ
ル崩壊すると、世界景気の機関車はない。日本も欧州も低迷してい
るため、世界は大きく落ち込むことになる。大恐慌の到来になる
可能性もある。勿論、前回の恐慌とは様相は違う。日銀・政府は、
ある程度、前回の教訓を知っているので、その対応はするが、新し
い事態も起こる可能性が有る。

もう1つ、前回の恐慌時、日本は金本位制に復帰したために大被害
にあったが、今回もそのようなことになるのではないかと心配して
いる。嵐が迫っている。その嵐の前に、堤防を壊す行為はしない方
がいいのではないかと思うが???

今後、米国はビルダーバーグ会議で決定されている中東和平を行う。
アラファトを退陣させて、パレスチナ国家を作り、アラブ諸国に
石油の輸出制限をさせずに、イラク攻撃をして、この大不況を克服
したいと考えている。このための戦費も潤沢に用意した。

また、中東和平ができることにより、パウエルも辞任しなくて済む
し、黒人票を共和党は手放さないため、中間選挙を有利に戦えるこ
とになる。イラク攻撃は米国国民の圧倒的な支持を得ているため、
問題が無い。問題は本当の戦闘で米国兵を死なせないことであろう。
このための準備もクルド族を使う方向で終わっている。英国のグル
カ兵も使うであろう。このため、英国はアフガニスタンからは撤兵
して準備している。

イラク攻撃のため、米国軍事産業がフル回転して、弾薬やミサイル
の増産をしている。
これに伴い日本の電子部品業界も一部活況であるが、イラク攻撃用
であり、イラク崩壊後の世界景気先導役をどう作るかを考える必要
にあると思う。日本は勿論のこと中国も先導役にはなれない可能性
が高い。本当にどうするか、世界の指導者は考えるべきだと思うが。
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榊原前財務官:長期のドル安局面に突入、円も日本経済次第で再び
下落 (ブルームバーグ) 

東京 6月25日(ブルームバーグ):榊原英資前財務官は25日、ブルー
ムバーグ・ニュースとのインタビューで、為替相場の先行きについ
て「全体の大きな流れからすると、米国へのマネーの一極集中が終
わり、ドル安局面に入った。ドル円相場は当面は円高になるだろう
が、日本経済がにっちもさっちも行かなくなり、再び円安になる
可能性がある」との見方を示した。

  榊原前財務官は「東アジア危機を契機としたドル資金への回帰
、ユーロ発足に伴う悲観論と、欧州企業による米国企業の買収・合
併、それに米国の情報技術(IT)バブルなどにより、95年には
ほとんどゼロだった米国への資本流入額は2001年に4550億ドルに達
した。しかし、そうした米国一極支配は終わりを告げ、いよいよ
ユーロが第2の基軸通貨としての歩みを始めたという局面に入って
きている」と指摘する。

  そのうえで「95年と比べると、ドルは貿易ウエート加重平均で
50%も高くなったが、ここから20、30%下がっても不思議ではない。
ユーロは3カ月以内に1ユーロ=1ドルを超えて、1年くらいの間
に同1.1ドルを目指す展開になるだろう」と予想する。
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米著名投資家ソロス氏:ドル3割強の下落も、株価一段安か−WSJ

ロンドン 6月28日(ブルームバーグ):米有力投資家ジョージ・
ソロス 氏は28日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルとのイン
タビューで、ドル が向こう数年で3割余り下落する可能性もあると
の見方を示した。さらに、米 経済が再びリセッション(景気後退)に
陥れば、株式相場は一段と下落しようと も述べた。 

ロンドンで同紙の取材に応じたソロス氏は、他国通貨に対するドル
の長期 的上昇について、「この傾向が転換したようだ」と指摘。
為替市場のトレンドは 通常、数年間持続するものであり、ドルが
3割強下落したとしても「前例のないことではない」と語った。 

同氏はまた、米景気の回復は依然として個人消費の減退から影響を
受ける恐れがあり、「二番底」を形成して株式相場を「大きく下押
し」する恐れがあると予想。消費者による支出抑制や短期的な株価
反発の可能性については「何とも言えない」としながらも、米国は
「かつてのような世界経済の原動力ではなくなるだろう」と述べた。
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止まらぬ米国売り、ドル資産離れ開始か(ASAHI)

米国株とドル相場の下落が止まらない。企業会計への不信感やテロ
再発の懸念に加え、米国経済の先行き不安から長期的な「ドル資産
離れ」が始まった、との見方も出始めている。 

 年初来安値を更新した先週末のニューヨーク株式市場。米有力紙
が「製薬大手のメルク、帳簿操作で売上高を水増し」と報じると、
医薬銘柄が一斉に売り込まれた。 

 証券アナリストたちは「90年代後半に見過ごされてきた利益水
増し、株価操作などが、ここにきて一気に表面化している」と渋い
表情だ。 

 昨年末のエンロンの経営破綻(はたん)は、「不祥事劇場」のほ
んの幕開けだった。電力・ガス卸売り大手の売上高水増しが発覚し
、エネルギー関連株は軒並み値を下げた。 

 不正経理の疑いは、通信大手グローバル・クロッシング、小売り
大手Kマート、複合企業のゼネラル・エレクトリック(GE)、
タイコ・インターナショナルなどの有名企業に広がった。医薬開発
会社イムクローン・システムズの前経営者は、インサイダー取引の
疑いで逮捕された。 

 米証券大手メリルリンチは、楽観的な投資判断で株式購入を薦め
た疑いで、1億ドルの罰金支払いを決定した。 

 企業不祥事は多業種にまたがり、取締役会、アナリスト、監査法
人、金融機関と、米国資本主義そのものが不信の対象となりつつあ
る。 

 株安と同時進行するドル売りの背景は、膨らみ続ける経常収支の
赤字。オニール米財務長官が「ドル高政策」の維持を強調するのも
、資本の流入を確保してドル暴落を避けるためだ。 

 だが、ロンドンの市場関係者は「90年代に積み上がったドル、
米国株、ハイテク関連資産の調整が始まっている」と分析している
。米国株の下落は、目先の経済見通しに基づく短期的なものではな
く、米国への資産集中の「終わりの始まり」というわけだ。
(ニューヨーク=山本晴美、ワシントン=山脇岳志) 


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