荒むアメリカ 秋好です。 01年の9月にニューヨークを直撃されて、「これは新型の戦争だ」 と、ブッシュが叫んでから、米国は「煮え切らない臨戦体制」に 入った、と見える。煮え切らないのは、敵の姿が見えないからだ。 言い換えれば、「ふやけた戦時」になったのだ。 ふやけていても戦時だから、自由や人権の一部が棚上げされるの は仕方がない。前の大戦では日系人が収容されたが、今回イスラム 系を収容しないのは、米国の進歩といえるかも---。 ただ、6.13コラムで、山岡氏がサービス精神の低下を嘆いておら れたが、やはり「戦時」下のせいだろうか?それとも、拳銃野放し の暴力社会の末期的な症状だろうか?あるいは、戦争経済体制の 慢性化によるモラルダウンなのか? 京都議定書の拒否など、米国の道徳低下は明らかだが---。 好敵手ソビエトが自壊して一人勝ちとなれば、油断が生まれて 9.15をFBIもCIAも防げなかった。しかも、アラブ世界への 武器輸出で最大の「死の商人国家」だった米国は、その武器でテロ や紛争を助長する結果を招いて---自業自得な一面もある。 イラクや北鮮を「ならず者」と呼ぶ粗野なブッシュを指導者に仰 いでいては米国社会が荒むのも,無理はない。今はケネデイの理想 もカーターの人権もなく、あるのはブッシュの雄叫びばかりで、 さすが「世界の指導部」といえる動きが見られない米国ではある--。 それに引き換え,わが国はW杯を見ても、興奮しても暴力沙汰は なく、政治改革は遅ればせながら、進んでいる。不況と言っても、 暴動もテロも起こりようも無い平和を堅持いている日本社会である。 山岡氏が「今のところ、改革できる政治家は小泉しか見当らない 」と、純チャンを認めてくれたので、嬉しい思いである。 6.15 ============================== イラクよりも中国を! 秋好です。 W杯で沸いている日韓の隣---北鮮、中国では難民が続々と決死 の逃避行である。 「偉大な首領さま」などと称して、時代遅れの個人崇拝を続け、 人民が飢えているのに、誕生祝いやらアリラン祭りやらで、虚しい 国事にかまけている北鮮。 この国は同じ共産独裁の中国が付いている限り、自壊はしないだ ろう。というより、中国は北鮮を唯一の衛星国として温存したいの だ。従って、問題は中国ということになる。 北京五輪が決まったところで、五輪はただのスポーツ大会--- ナチス下のドイツでも、ベルリン五輪があった。 西方では、北のウイグル、南のチベットで解放、独立の運動が進 んでいる。また、東海では台湾が「独立」防衛の武装強化を進めて いる。 10年前には北京で、民主化運動が燃え上がり、いまは運動家たち は米国などの亡命して松明の火を消すまい、と頑張っている。 冷戦時代にレーガンは東の雄:ソビエトを「悪の帝国」とまで呼 んで、対決姿勢を強めた。 10年前の天安門の人民虐殺を持ち出しまでも無く、中国はソビエ トに代わって「悪の帝国」となっている。 米国の顔色を見ながら、悪さをしている小国のイラクや北鮮を構 ってばかりいないで、ブッシュは中国と対決してこそ、世界史に その名を刻めるだろうに。 当然、日本も軍拡に悪用されている対中ODAをやめて、在日 中国人留学生を全面的に援助するべきだ。また、民主化運動家を 援助すべきだ---かつて亡命してきた孫文たちを援助したように。 また、チベットやウイグルの独立は米国が主に援助すべきなのだ ---彼らはかつての自分らの父祖と同じ思いをしているのだから。 これらの國際援助を進めれば、中共は怒って貿易禁止などの対抗 措置をとるだろうが、「世界の米国」は一時期、中国市場を失う ことなど我慢できない筈も無い。また、日本も同じことだ。 年間数千億のODAをやめれば、対中貿易をうしなう損失も補填 されるだろう。経済のために、独裁を見て見ぬふりをして居る限り 、米日は「世界民主化のリーダー」とは言えないのだ。 日米との友交を失うのは、中国側も大きな痛手となり、中共の 権力を弱めて、潜在する民主勢力を励ますことにもなろう。 日中友好30年などは、日本の資本とテクノロジーを取り込まれた だけのこと。「友好人士」などの名義を貰って喜んでいる場合では ないのだ。 外務省や朝日新聞に巣食うチャイナ・ロビーには困ったものだが 、最近では彼らの影響力も弱まってきている。ODA推進派の中国 大使の阿南も、近く更迭だろう。 かつて、われらの父祖はインドを英国から取り返さんとするボース を助け、シナを満州王朝:清から奪還せんとする孫文を助けた。 大日本帝国の国士はかれら「独立の志士」を無償援助した実績が ある。現在の平和日本でも、「やはり東アジアは日本をリーダーに 仰ぐしかない」と、いう静かな声があちこちで聞こえるようではな いか? 中国の徹底した反日教育と「日本侵略者キャンペーン」に拘わら ず、脱北者よりも多いシナ難民が日本をめざしてくる事実---。これ は中共の日本敵視政策の破綻を示している。 西アジアやアフリカなどにボランテァで出かける気力があるのな ら、それを独裁下で苦しんでいる近隣の人民に向けて欲しいものだ。 6.17 ============================== 定年制は拡大すべし! 秋好です。 米国で「年齢による差別」もだめ!ということで、定年制が実力 主義に反するもののように見られ始めた。 これに、敢えて異を唱えるものである。 まず何故定年制ができたか、を検討してみよう。これは、わが国 では明治期に海軍が始めた、とものの本にある。 1.定員制では、老人を追い出さないと、新人を受け入れられない からだ。 2.企業が採用したのは、定員制がないけれども、それに近い人事 政策であることと、年功序列賃金と労働力の老弱化との矛盾解 決のためだった。 さて、「実力があれば老人でも残し、無ければ若年でも首にする 」というのが、最近はやりの実力主義らしいが、企業ではこれは すでに実行されて来たことだ。実力ある老人は重役になって、無制 限にはたらいているし、どうしようもない若い者はいじめて辞めた くなるようにしてきた。この場合,組合はなんの役にも立たなかった --企業内労組であり、執行部は労働貴族だから。 だが、日本企業の長所は「企業社会主義」にあった。 まず、扶養家族手当てに象徴される生活の保障である。 生活が安定すれば、企業への帰属意識,愛社心も安定する。 教育水準が高いので、ほとんどの社員はかなり「使える」し、 いじめ倒さなければならない社員は例外的なのだ。 また、高齢化すれば、経験を積んだ分、優秀になったので、高給 に見合った。 問題は従業員の定年よりも重役や議員などに、定年制がないこと だ。よれよれになっても、杖をついて出社する「特別顧問」などを よく見かけたものだ。また、議会では居眠りが仕事という老議員も ざら。官界では、天下りや退職金転がしという老害。学生が聞いて いようがいまいが念仏授業の老教授。 ---各界、老人幹部の定年制のなさこそ、組織老化や制度疲労の 主因なのだ。 4期16年も知事や市長をしている者もいる。 「権力は腐敗しやすい。 長期権力は必ず腐敗する」と、解って いればこそ、米国では「大統領は2期をこえて、再選できない」と、 憲法で決めている。 「実力だ、年齢は関係ない」では、老害はもっと広がるだろう。 そうでなくとも、「まだまだ若い者には任せられん」と、居座り たい長老の多い国だ。「まだまだ働けるでしょうが、自由になって 老後を楽しんで下さい」という敬老の精神で、「取締役も60才, 代表は65才」「議員は65才、知事は2期まで」といった定年制を法 で決めることこそ緊要だろう。 NECでは「社長の定年は70才」と、今の社長が決めたようだが、 社長が代われば、どうでもなる---。会社法などで、決めておく必要 がある。 私は40前の中田さんが横浜市長選に立候補したとき、知友の有権 者市民にPRしまくったが、市民多数も老害に気づいたようで、当選 された。 8年市長をやっても、彼はまだ50前だが、その頃には辞めて貰う つもり。 さらに、老人が増えれば「年金の負担が大変だ」という、不敬老 な暴言について一言。「現役は老人の年金が負担できて、うれしい 」という、意識を持つべきである---「大変だ」と書く記者もやがて 、年金を貰うのだ。 年金負担は社会的親孝行である! ODAを減らし、防衛庁などの予算をへらしても年金の源資を確保す べきだ。老後が保証されている、と思えばこそ、現役時代に「女房 を質屋にいれても」働いてきたのだ。 マスコミが25年も先のことで「現役2人が老人1人を」などと、騒 ぎたてれば、若い者は老後が不安になって、その人生観は刹那主義 となる。 独身主義や子供を作らない若夫婦など、すでにその証拠なのだ。 少子化は心配いらない、と思う。 この小さな島国に1億3千万は多すぎる---英独仏などほぼ5千万で あり、自然減で、1億人ぐらいが手頃に思える。間違っても,政府は 出産手当など考えないように。インドや中国を見て解るように、 人口は国力、民力とは何の関係もないのだ。 ただ、寝たきり老人の激増を見れば、「寿命にも定年制が必要か な」と、深夜にふと思ったりもする---産児制限があるなら、寿命 制限もあっていいのかな、という妄想をもつのも、介護疲れのせい か---。 6.17 ============================== びびった北鮮 秋好です。 ニューズウイークJのインタビューに答えて、石原知事が「私が 総理だったら、戦争してでも日本人を取り返す」と、セオドア・ ルーズベルトが一女教師を拉致したモロッコの酋長に対し,米艦を 派遣した例を持ち出して、政府の国民に対する責任というものを 強調した。 この記事に対して、朝鮮通信は「我々に対する戦争警告信号だ」 と、早速、非難したとの朝日の記事(6.13)を読んだ。 中国経由の自国民の亡命騒ぎには知らんぷりなのに、なんと素早 い反応だろう。 これは、珍しく北鮮がびびった証拠だろう。 そうでなくとも、国民にどんどん逃げ出されて、民主化直前の 東独みたいになってきた北鮮である。 本当は第2次朝鮮戦争を始めて、人口を減らしたいところだろう が、ブッシュに「ならず者が!」と、睨まれ(来るなら来い!)と 、凄まれては手出しも出来ず---といった現状だろう。 これまで舐められっ放しだった日本に、この間はスパイ船を 撃沈され、今度はこんな勇敢な発言をされて、北鮮のスパイ部門は 黒星つづきで、金正日から「どうするんだ?」なんて、いじめられ ている頃だろう。 小泉首相も少しは石原知事を見習ってほしいものだ。 お二人はパイプがあるから、実は(裏で打ち合わせのうえ)だっ たら、素晴らしい対鮮外交だが---。 もし北鮮が今後とも姑息な(日本娘の拉致やら、スパイ船やら) のお粗末な工作しか出来ないようなら、38度線の崩壊も間近いよう な気がする。それには金大中の太陽政策はチェンバレンの宥和策に 似て、正日を延命させるだけのように思うが、どうだろうか? 6.16 「攻撃は最大の防御」か? ブッシュが米国の高校で演説をし、「国土を守る最良の道は攻め 続けること」と、先制攻撃を主張した。 これは、米国の流儀ではない。 この前の大戦では、チャーチルに頼み込まれたが、日本が真珠湾 に手を出すまで、開戦できなかったし、朝鮮戦争は南鮮の防衛戦 だった。 また、湾岸戦争はクエートを占領されてのクエート解放戦だった。 ---いずれも、「やられたから,やり返す!」の戦争だ。 先に手をだした、キューバやベトナムでは、無様に負けている。 「防衛は正義、侵攻は不正」という、20世紀の國際的正義観の通 りの結果だった。それは、駆り出される兵士の士気が違う、という ことだ。士気は「祖国を」あるいは「民主主義を」守るために、 「止むを得ず」たちあがってこそ、正義なのだ。 いま、米国民が星条旗を振り回しているのも、アルカイダが先に 手をだしたから、アフガン攻略も「防衛本能」としての愛国心なの だ。この点で、ブッシュは間違っている。 「核攻撃も辞さない」との声が彼の周辺にはあるらしいが、とん でもない大間違いだ。敗北直前の日本を核攻撃したことで、世界史 に大きな汚名を残した米国は、2度と過ちを犯してはならないのだ。 ついでに言えば、官房長官の福田が「核武装は法的には、問題が ない」と、言ったようだが、とんでもない暴言だ。 法学者なら、いざ知らず。「唯一の被爆国」であり「非核が国是 」である日本の政府首脳としては、許されない発言だ。小泉さんの 足を引っ張るのもいい加減にしろ! と、いいたい。 6.16