933.ブッシュ・ドクトリンについて



米国帝国主義という言葉が、蔓延している。これを検討しよう。
                    Fより

戦略情報BBSの英語記事で、米国帝国主義ということが、かなり
頻繁に出てきている。三井物産の寺島さんも「世界」に同様なこと
を書いているが、ブッシュ・ドクトリンが明確化してきている。

ブッシュ政権内部の抗争は、チェイニー副大統領、ラムズフェルド
国防長官、ウオルフォウイッツ国防次官の強硬派がパウエルの穏健
主義を圧倒した。とうとう、ブッシュもパウエルを中東アラブ諸国
の調停という限定的な役割にしてしまった。このため、パウエルは
いつ辞任するのかと言われている。中間選挙でも共和党は黒人票を
期待できないと考えている。これは中間選挙までには、パウエルが
辞任するためであろう。

パウエルが米国ブッシュ政権で力がなくなって、欧州も米国の政策
を批判しなくなった。言ってもムダということで、米国のお手並み
拝見なのでしょうね。このコラムも、パウエル応援団であったが、
米国政権の方針が確定したので、日本の国益を守るために意見を
変更している。米国内でも反ブッシュ陣営に対する圧力が増してい
る。米国のテロ対策として言論の制限を意図している可能性もある
。CIA、NSAのエシュロンの活動も活発化している。

このブッシュ・ドクトリンを見ておこう。テロおよびテロ支援国に
先制攻撃を米国はできる。今までは大量報復戦略で、敵が攻撃して
から米国は報復するというドクトリンであった。このため、米国と
いい関係ではなくても、米国を攻撃しない限り、米国から攻撃され
ることはなかった。しかし、今後は米国の気にいらない国家やテロ
支援をしていると米国が見た国家を先制攻撃するということである。
それも、先制攻撃に核兵器も含むため、敵対国家は瞬時に無くなる
可能性もある。

米国に楯突く国家とは、現在イラク、イラン、北朝鮮の3ケ国と、
指定されている。しかし、グレー国家というレベルがあるようだ。
それは、中国・ロシア・インドという米国の世界覇権に挑戦できる
国家で、米国から警戒されている。

反対に、ブレア英国首相は、イラク攻撃賛成、軍派遣も表明してい
る。そして日本は米国としても英国・豪州に次ぐ同盟国家となって
きている。そして、日本説得のためブッシュ・パパまで日本に送っ
てくる。

このように米国がローマ帝国と同じになったというなら、帝国に逆
らうとカルタゴの運命になると思う必要がある。日本の左翼や知識
人は反米の方がかっこいいと思っているので、寺島さんのように
カルタゴの失敗の方向に日本が行くことを主張する。これは大きな
国難を背負い込むことになる。
これに比べて、英国・豪州は米国追従と明確。ロシアは米国と関係
正常化して、石油で儲けようとしている。このように諸外国は米国
帝国主義に逆らわない方向に変化している。これは当たり前で、
米国軍事力に対抗できる国家は今のところない。

私はバーレーンのやり方は面白いと思う。バーレーンにはアルジャ
ジーラという反米国の放送局があり、米国から再三放送局を閉鎖し
ろという要求があったが、ハマド首長は拒否している。しかし、
米国第5艦隊の基地を置くとか、立憲君主国にして民主化を行うな
ど、米国が中東諸国に要望していることを先取りして、バランスを
取る努力をしている。米国もイラク攻撃基地をして、重要視してい
る。このように中東諸国と米国の両方に受け入れられる努力してい
る。

このようなバランスをどう取るかが、日本も考えることであろう。
欧州はイランと貿易協定を作るなど、努力している。中東で米国と
の橋渡しができるポジションを欧州は指向し始めている。
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<イラク攻撃>「日本は石油備蓄放出の用意を」 米国務次官 
(毎日新聞)
 ラーソン米国務次官(経済担当)は20日、下院外交委員会の
公聴会で証言、米国がイラクへの軍事行動を開始した場合、世界的
なエネルギー不安の広がりを抑制するため、日本や欧州連合(EU
)諸国は石油備蓄を市場に放出する準備をしておくことが必要との
見解を表明した。

 軍事行動後の石油需給見通しについて「親米アラブ諸国が対米
石油輸出を停止する可能性があるとは思わない」と言明したが、
供給が止まった場合に備え、メキシコとカナダから輸出の大幅増加
の約束を取り付け、南米の産油国ベネズエラとも関係改善を進めて
おくことが重要と指摘した。

 さらに、石油の供給量が大幅に低下する最悪のケースを想定、
米国だけでなく日本とEU諸国が「(備蓄を)市場に放出する準備
が必要」と述べた。(ワシントン共同)
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米が有力国と共同戦線検討 対テロで安保課題を共有 
 【ニューヨーク17日共同】大量破壊兵器を開発する国家やテロ
リストへの先制攻撃を含む米国の防衛政策に絡み、ブッシュ政権が
日本、欧州、中国、ロシアなど「大国」との間で「安全保障に関す
る共通の枠組み」の構築を検討していることが17日、明らかにな
った。同日付のニューヨーク・タイムズ紙が報じた。 
 各国が共通の安全保障課題を共有、情報交換などを促進すること
によりイラクなど「ならず者国家」やテロリストが大量破壊兵器を
入手、使用に至るのを阻止するのが目的で、米国を中心とする有力
国によるいわば「対テロ共同戦線」。 
 ブッシュ大統領はテロとの戦いで「敵の計画を崩壊させ、脅威が
現れる前に対峙(たいじ)する」と言明、先制攻撃が必要との方針
を既に示していたが、このほど新たな国家安全保障戦略として「
先制攻撃ドクトリン」をまとめるようライス大統領補佐官(国家安
全保障担当)らに指示した。 
 新戦略は8月中に完成する見込みで、共通枠組み構想はこのオプ
ションの一つとして浮上したという。 
                           (了) 
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<ブッシュ元大統領>対テロで日米の協力要請 自衛官らに演説

 米国のブッシュ元大統領(78)が17日、米国から自家用機で
来日し、到着した海上自衛隊厚木航空基地で米兵と自衛官計
約300人を相手に演説した。元大統領は「国際社会は協力して
テロの脅威に対抗しなければならない」と述べ、息子のブッシュ
大統領が進めるテロとの戦いに日米が協力して取り組むよう訴えた。
(毎日新聞)
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米、国連イラク代表部外交官の国外追放を通告(ASAHI)

 米政府は14日、国連イラク代表部の外交官の1人がスパイ行為
をしていた疑いがあるとして、この外交官を国外追放するとイラク
代表部に通告した。リーカー国務省副報道官が記者会見で明らかに
した。

 国外追放を通告されたのはアブドゥール・ラーマン・サアド一等
書記官と見られている。米側は今月中を期限と定めている。リーカ
ー副報道官は理由について、「外交官の仕事とはいえない行為をし
た」と説明したが、具体的な説明は避けた。

 ニューヨークにあるイラク代表部は、この件に関してアナン国連
事務総長に手紙を書き、米側に対しては、スパイだとみなす具体的
な情報の提示を求めているという。

 イラクをめぐっては、中断している大量破壊兵器査察の再開に関
するアナン事務総長とサブリ・イラク外相の3度目の会談が、7月
上旬にウィーンで予定されている。国連報道官は「外交官追放は米
・イラク2国間の問題で、国連は関知しない」と話している。
(11:27) 
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米、先制攻撃容認の新戦略策定へ(ASAHI)

 10日付の米紙ワシントン・ポストは、ブッシュ政権が冷戦時代
の「封じ込めと抑止」戦略と決別し、生物・化学・核兵器など大量
破壊兵器を所有するテロ組織や敵対国への先制攻撃を認める新たな
戦略を策定中であると報じた。新戦略では核兵器による先制攻撃も
検討されており、広く論議を呼びそうだ。

 米政府高官が同紙に語ったところでは、新戦略はブッシュ政権の
国家安全保障会議が策定し、この秋に発表する「国家安全保障戦略
」に盛り込まれる。「封じ込めと抑止」戦略を完全に捨て去るわけ
ではないが、米国を大量破壊兵器で攻撃する恐れのあるグループに
対する「先制攻撃」と「防衛的な介入」が、初めて、正式な選択肢
として明記されるという。

 特に生物兵器に対抗するため、「最後の手段」として核による
先制攻撃も考慮されているという。ある政府当局者は「敵の性質が
変わった以上、対応も変わらざるを得ない。問題は、守るべき領土
を持たないテロ組織に、我々が経験したような攻撃を思いとどまら
せる方法が分からないことだ」と話している。(21:02) 


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