914.日本と米国の経済が同じ状態にへの反論



NO.899    
日本と米国の経済が同じ状態にへの反論

ishizuka
F氏への反論としてリチャード・クー氏の「日本経済 生か死の選択
」より抜粋する。

P2より
「日本では1990年より1300兆円といわれる冨が消滅した。これは日
本のGDPの2.5年分にあたり、人類が経験してきた平時の冨の消失で
は、アメリカの1930年代の大恐慌と並ぶものである。
これまでの人類史ではこのような状態に落ちいった経済は、間違い
無く大恐慌という事態に突入した。
ところが、日本は当初から、財政政策の出動により、大恐慌にうち
いる前に、事前に防いできた為に、GDPはこの10年間ほとんど変わっ
ていない。
これは人類史のなかでも初めてのことである。
この間に140兆円をこえる景気対策が打たれたが、株と地価の下落で
1300兆円もあることを考えるとこれまでの日本は140兆円の堤防で
1300兆円の洪水を防いできたことになる。これは人類史上どんな尺
度つかっても大変な成果である」とある。

つまり日本の竹中財務大臣とかマスコミのなかで主流としていわれ
ている日本の不景気は構造不況であり、規制緩和とか民営化を行い
、財政をきれば景気がこんなに時間が掛からずに経済は回復してい
たのに、財務省を始め政府のここ10年間の対策は間違いで、所謂「
失われた10年」と位置ずけと完全に正反対の主張である。

規制緩和、民営化、財政の健全化というのは日本の経済評論家やマ
スコミの依然として主流で、サッチャー、レーガンの80年代からの
新保守自由主義の流れの中での、F氏の主張もこれらのうちの一つに
なるのでしょう。

リチャード氏の意見は、著作にあるようにアメリカの最優秀論文と
して、アブラムソン賞を受賞し、フィナンシャルタイムズも同調し
ていることから、海外の評価に弱い日本のマスコミも徐々にコンセ
ンサスになっていくのではないかと私は思います
。

一歴史信者として、ここでも日本の大衆人気の有る在野の意見が完
全に間違いで、政府当局の全く人気のない対策が正解だったと言う
ことが、今回の危機でもまたまた、証明されてしまいつつあるよう
に思うのですが・・・
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(Fのコメント)
日本の経済は、複雑骨折していたのだと認識している。リチャード
・クーさんは、土地価格暴落により、企業のバランスシート上で、
資産が急減したのに、借金が増えて、企業は設備投資できなくなっ
て、日本の投資額が激減した。このことにより、不景気になったと
いう。この事態は、バブル崩壊後から5年程度はそうであったよう
に思う。

しかし、1997年以降、日本企業は中国に工場を建てるなど、
投資を中国でし始めた。中国の経済成長の多くが台湾・日本企業の
中国での投資です。この頃から様相が変わったと認識している。

クーさんにそのため、反論し始めたのです。日本の空洞化を真剣に
考える必要が出てきたのです。日本企業と日本の工場が強ければ、
日本経済の復活はもう少し早かったはずです。

日本が立ち上がれないのは、世界の工場が中国になったためで、
日本はその対応を、取る必要にあるのです。このためには、アセン
ブリや繊維産業などの従来産業を中国に日本企業が移動して、日本
ではデザインなどの付加価値があるものや、島精機のように全自動
化してしまう機械を作るか、その機械で高付加価値な製品をつくる
かと選択が必要になるのです。

そして、日本政府も国家としても、どう高付加製品を効率よく生み
出せるかを検討し始めたのです。この検討を米国では1992年、
クリントン政権が出来た時、国家として検討して、大学の開放を行
ったのです。その前から大学発のベンチャーを起こしていたスタン
フォード大学が、米国のモデルになったのです。昔はカリフォルニ
アではUCLAが一番いい大学と言われたが、今やスンフォードは
米国での1・2を争う大学になり、カリフォルニアのUCLAとは
段違いのいいレベルになっている。

そして、そのベンチャーたちがスタンフォード大周辺に企業を起こ
したため、昔の農村が今はシリコン・バレーとなっているのです。
このように米国は10年、インターネットを起点としたベンチャー
企業が繁栄を米国にもたらしたのです。また、このインターネット
技術は10年以上軍事技術として研究していたので、米国以外の国
では技術がなかったし、そう簡単にできなかった。

だが、とうとう、その企業価値であるインターネットとその周辺技
術が日本・台湾に追いつかれて、収益を産まない状態になってきた
のです。このため、シリコン・バレーも一時のような活況ではなく
静かになっているのです。

このため、米国は、1997年以降の日本と同じ悩みを持ち始めた
のです。収益が出る新規分野を立ち上げること。しかし、そう簡単
に出来るはずが無い。このため、軍事産業にシフトせざるを得ない
状態になっているのです。

一方、日本はやっと、新分野が見えてきています。ロボットです。
この分野は日本がもう後一歩で、実用化できるレベルになっている
。そして、ロボット用の部品メーカもだんだん出てきている。日本
は10年以上、大学の研究室や企業の基礎研で研究しきた。AI研
究も10年以上の歴史がある。この集合体に映像技術がゲーム分野
で蓄積されてきている。やっと、日本は低成長期を脱する可能性が
出てきたのです。企業の皆さん、もう少しの辛抱です。収益の出る
分野が出てきます。そして、今度こそ日本企業同士の価格競争を
止めませんか???

また、このロボット技術により、中国から再度、アベンブリ工程や
繊維産業を日本が行う可能性も出てきたようです。高機能ロボット
で今まで人間しか出来ないと見なされていたことができるように、
なるのですから、ロボットの方が人間より安いのです。24時間、
働きますから、経費も安い。電気代だけで給与も要りません。


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