912.米国政権と世界の動向



政権内部の亀裂が明らかになり、かつパウエルの応援に米国軍制服
組が乗り出してきた。   Fより

このコラムで、イラクの地上攻撃は無理だと述べてきた。その筋書
き通りに米軍制服組がイラクの地上攻撃はできないと言い始めてい
る。やっても、航空攻撃で、これではイラクのサダム政権を潰す事
はできない。ブッシュも、それを認めるしかない。

ネオコンの主張は、パウエルだけではなく、現役制服組の軍幹部か
らも否定されたことになっている。これに対して、ネオコンは論理
的な反論ができずに、「弱虫」と反論するしかなかった。ウルジー
は、まだトルコの協力を得て、イラクを攻めろというが、それを行
うトルコ優遇政策をしていない。また、強くトルコからはイラク攻
撃を否定されている。

このためパウエルの勝ちが確定した。そして、テネットとバーンズ
を夏の中東和平会談の調整のためパレスチナに送ることができた。
パウエルの外交政策が実行に移されることになったのです。このた
め、パレスチナ紛争は交渉の段階になっている。

このブッシュ政権の政策は揺れてきたが、とうとうネオコンの政策
が破産したため、ブッシュのロシア・欧州訪問でも、パウエルと
同様な欧州の意向に合わせると表明していた。このことを欧州の
大衆に知らせるために、ブッシュは欧米の協調を強調した演説を
ドイツやフランスで行ったのです。欧州の民衆は、反米デモをブッ
シュが訪問する国で行ったが、その効果はあったようだ。

シラクとの会談でも、フランスの意向を反映する政策にシフトする
ことをブッシュは表明している。全面的に米国が欧州の主張に寄っ
た感じになっている。米国連携を志向している英国のブレアー首相
がこの頃、目立たない。EU派のストロー外相が活躍している。
その裏にソラナ理事がいる。そのソラナの裏にはシラクがいるので
、欧州政治はシラクが支配しているように感じる。

このシラクは親日家で知られている。非公式に日本によく来るとい
う噂も聞く。日産とルノーの提携、トヨタのフランスでの工場建設
などもシラクの応援で実現した。日本も欧州、特にフランスとの友
好な関係を構築する必要があると思う。日米欧の連携で当面、世界
を運営するしかないのですから。米国との友好な関係を築くことは
多くの人がしているのでいいのですが、欧州(フランス)に目を向
けているのは、まだ日本の中でも少数であるような気がする。

そのブッシュの欧州訪問と同時期に、バリトーンのSEC調査が開
始されて、チェイニー副大統領は窮地に追いやられた。副大統領に
なるまでバリトーンのCEOをやっていたのですから、もし不正経
理が発見されると、責任問題になるのです。
FBI長官も、とうとう9.11のテロは防げたと、チェイニーが
防げないと言ったことを否定して、FBIの組織改革をしている。
チェイニー危うし!!!

そして、ウルフォウィッツ米国防副長官はインド・パキスタン紛争
調停のためアジアにいて、ワシントンで行われるビルダーバーグ会
議には参加できないようだ。結果的にビルダーバーグ会議では強硬
派ネオコンを排除したように感じるが。ラムズフェルド国防長官は
ビルダーバーグ会議に出席するようだが??

さあ、ネオコンの反撃はいかに!!!
米国政権の状況を毎週報告しているが、日本は日本の国益で動く
必要があるので、ネオコン嫌いになってはいけない。ネオコンとも
いい関係になっている必要がある。米国の全政治関係者と良好な
関係を日本の中で役割分担をして、付き合う必要があると思う。

いい・悪いの問題ではない。国益の問題だ。このコラムは面白くす
るために、ある見解を表明しているが、それと友好関係とは違う。

ネオコンとは、ネオーコンサーバティーブのことで、亜流保守派と
でもいうのでしょうか??共和党・民主党の両党にいます。その
ネオコンとキリスト教右派と軍文官・幹部がネオコンと欧州連携の
金融・産業派から政権を奪取したのが、今のブッシュ米国政権です。
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イラク攻撃の再考を説得 米軍制服組が大統領に 
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=NGK&PG=STORY&NGID=AITN&NWID=LATEST
 【ワシントン24日共同】24日付の米紙ワシントン・ポストに
よると、ブッシュ政権のラムズフェルド国防長官ら「文民」側がイ
ラクに対する軍事行動を計画しているのに対し、米軍の統合参謀本
部側がイラク侵攻は生物・化学兵器の逆襲の危険があるなどとして
思いとどまるよう説得を続けている。 
 同紙によると、マイヤーズ統参本部議長ら「制服組トップ」が「
文民」側に軍事行動をあきらめるよう「固い決意の裏工作」(同紙
)を展開。今月初めのフランクス中央軍司令官と大統領の秘密会談
で、司令官はイラク侵攻には少なくとも20万人の地上軍が必要で
、フセイン政権は生物・化学兵器を使用することが予想され極めて
危険だなどとの懸念を伝えた。             (了)
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●米中東政策は凍結状態 政権内対立で、と米紙
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=MYZ&PG=STORY&NGID=AITN&NWID=A3062610
 【ニューヨーク26日共同】26日付の米紙ニューヨーク・タイ
ムズは、パレスチナ自治政府のアラファト議長への対応をめぐる政
権内の対立から、ブッシュ米政権の中東政策が事実上の凍結状態に
あると報じた。 
 複数の政権当局者の話として同紙が伝えたところでは、2週間以
上前からブッシュ大統領やパウエル国務長官が予告していたテネッ
ト中央情報局(CIA)長官の中東訪問が実現しないのもこれが原
因で、日程もまだ決まっていない。 
 ブッシュ大統領は22日にロシア訪問に出発する前、この問題で
2回の政権内協議を開いたが、アラファト議長の改革の約束を受け
入れるかどうかの結論は出なかった。         (了) 
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「イラクとの戦争計画ない」 ブッシュ大統領(ASAHI)

 ロシア訪問を終えたブッシュ米大統領は26日にフランス入りし
、パリの大統領府(エリゼ宮)でシラク仏大統領と会談、大量破壊
兵器の開発疑惑が絶えないイラクのフセイン政権への対処やパレス
チナ情勢などについて協議した。

 会談後の共同記者会見で、ブッシュ大統領は同政権打倒が米国の
方針と強調。会談では、イラクの大量破壊兵器開発を米欧共通の「
深刻な脅威」とする一方、「戦争計画はまだない」と仏側に説明し
、将来の対処で緊密な協議を約束したという。

 パレスチナ情勢では、ブッシュ大統領は政治と治安協議の再開に
向けた環境づくりのため、テネット米中央情報局(CIA)長官を
今週末、現地に派遣することを明らかにした。

 このほか、パレスチナ情勢や28日に設置される北大西洋条約機
構(NATO)・ロシア理事会やNATOの東方再拡大問題などで
意見が交わされた。

同大統領は27日、ノルマンディーで演説、第2次世界大戦での米
犠牲者の墓で献花する。(01:43) 
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元米CIA長官:
早期イラク攻撃の考え示す  

 【ワシントン佐藤千矢子】ジェームズ・ウルジー元米中央情報局
(CIA)長官は30日、毎日新聞のインタビューに応じ、米国防
総省内でイラク攻撃に関する意見対立があるとされる問題について
「イラクのサダム・フセイン(大統領)が核兵器を手に入れ、中東
地域を支配する前にフセイン政権を倒すことが不可欠だ。2、3カ
月の遅れならば準備期間としていいが、それ以上の遅れは大変、
危険だ」と述べ、早期にイラク攻撃に踏み切るべきとの考えを示し
た。また同時多発テロの関連情報を事前に入手しながらテロ阻止に
適切な行動を取らなかったと批判を浴びた米連邦捜査局(FBI)
の組織改革を評価した。

 イラク攻撃に関してウルジー元長官は「フセインは核兵器を入手
しようと懸命になっている」と指摘。米国は「アフガニスタンでも
11年前のイラクとの湾岸戦争でも示したように、極めて効果的な
軍隊を持っている」と述べたうえで、攻撃は米単独ではなく「でき
れば友好国や同盟国とともに行うことが望ましい」と主張した。特
に最大の同盟国・英国とイラクの隣国トルコの協力が重要になると
の見方を示した。

 5月24日付けの米紙ワシントン・ポストは、フセイン政権が生
物・化学兵器で反撃する可能性への懸念から、フランクス中東軍司
令官ら米軍幹部がイラク攻撃に難色を示し、国防総省の文民を説得
していると伝えた。

 またFBIのテロ捜査態勢について「米国は冷戦に勝利して緊張
を解いてしまった」と情報収集・分析力が不十分との認識を表明し
た。

 ウルジー氏は、クリントン政権下で93〜95年にCIA長官を
務め、現在はワシントンの法律事務所に勤務している。

[毎日新聞5月31日]  


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