911.日本経済は間違っていなかった!



「日本経済は間違っていなかった!?」   ken
 
F氏説→  日本はどうして・・生活レベルが落ちないかというと、
日本の圧倒的に強い分野が多くあり、その分野は今でも世界的な
競争に勝っている…。それと、労働分配率が高く、労働者の生活
レベルは、あまり落ちていない。…このため、悲壮感がない。
この悲壮感がないため、韓国のような外科手術ができない。そして
長期に低迷していると言われるが、もしかしたら、これが日本の定
常状態であるともいえる。…。米国の経済研究者の日本研究が楽し
みですね。
 
Ken→  過去1年ほど、ボクはこの国際戦略MLを去っていた。
どうも皆さんの論について行けなかったからである。あまりにも
悲観的過ぎ、あまりにも政府の過去の政策をマイナス面から捉え過
ぎているように思えたから。
 
□□国と地方の借金を合計すると645兆円、国の全金融機関の不
良債権残高は43兆円、地方自治体が抱える借入金の残高は195
兆円。政府は660兆円の国民預金を浪費してしまった。
などなど、政府が国民が貯めこんだ大金を物見遊山に蕩尽し、いま
にも国が滅亡するといわんばかりのする論調だった。
 
たしかに政府が600兆円費いこんだとし、郵貯が空になったとし
よう。しかしそれを返せ返せと怒鳴って、さてそのカネをどこへ使
おうというのだ。他国から借りたカネではない、ほかならぬ日本人
自身の余剰預金である。まして外貨はまだ増え続け、前代未聞の4
000億ドルがさらに増えつつある。
 
F氏仰せの通り日本の産業技術は群を抜き、勤勉で能率的な国民た
ちが働いて貯めた600兆。有意義に使って欲しいと政府に任せ、政
府はこのときとばかり全国津々浦々をインフラ整備の名のもとに土
建漬け、ハードウエア漬けにした。お陰で道路網は完備し、片田舎
の野っぱらに空港ができ、西欧が数百年かけた近代化を、たった20
年か30年でやり遂げたのだから、どこかにいびつもあれば、非効率
もあり、ピンはねした連中もたくさん居るが、それはいつの時代、
どこの国でもあることだ。
全ったきを望み過ぎると、物事は先に進まぬ。浪費好きな専制者が
現れて芸術文化が興り、国家のインフラも整備されるというのが歴
史の示すところである。
 
土建志向の政府が現れて、お陰で世界一安全な、世界有数の近代国
家が、現に我々の目の前に現出したではないか。その事実を少しは
評価して喜ぼうではないか。
それとも国民はいままで、政府に対して我々の貯めたオカネをタン
ス預金にして、無為にしまっておいてくれとでも言うつもりだったの
か。
 
マスコミは、国民はデフレで貧乏に泣き、いまにも国が崩壊するとば
かりに煽りたてる。しかし現実はF氏のいう通り、国民に悲壮感はな
く、生活レベルも落ちていない。高級外車も急激に増え、海外旅行も
続いている。リストラになったのは、能もなく書類いじくりばかりし
ていた人々が大半である。
郷里の兄の、片田舎の家の前に国道のゴーストップ信号が出来、す
ぐ隣りは緑の公園になるという。いつの間に誰が決めたか知らぬが
百姓たちは景気に沸き、田んぼを売って御殿を建て、子供たちを都
会の大学に入れている。開闢以来、はじめて人並みの生活ができる
ようになったと大喜びだ。まさに全国民の平準化、もともと国家と
はそうあらねばならなかったはずだ。
 
□□普請道楽の政府が消費した600兆円(?)、この殆どは国家の
インフラ整備に回っている。アメリカのように地球の裏の爆弾や大
砲に消費してしまったわけではさらさら無い。軍需で国家財政を維
持しようというどこかの国ともわけが違う。わが政府はどちらかと
謂えば実直で、ときたま端数を誤魔化す連中が居るだけである。
国の借金600兆円というが、オカネのあるうちに前倒しで普請し
たのだから、投資資産勘定に入れておけば赤字決算にはならない。
諸外国はそれを知っていて、日本円は下がるどころか、まだ値上が
りしている。国民は、有り余ってこれ以上要らぬという商品を買わ
ぬだけだからデフレでもない。不用品を造る生産設備の経営者が困
っているに過ぎない。
 
□□どうしてもすぐ赤字財政を消したいという焦り好きの学者・政
治家への妙薬は日銀券の増発が最適だ。日銀券は現在、58兆円ほ
ど市中に出回っているらしい。国民1人当たりにすれば50万円だ
が、この金額、現在の国家経済の規模に比してあまりにも少な過ぎ
る。
近年日本の経済的規模からいえば数倍発行してもおかしくないし、
円の下落も起こらない。丹羽教授たちは国債の代わりに政府紙幣を
発行せよと言っているが、別に政府紙幣でなくても日銀券の増発で
いい。所詮、日銀と政府は同じで、法の壁などは、新しい法律で取
り払ってしまえばすむことだ。第一次大戦後のレンテンマルクの悲
劇や、第二次大戦後のわが国の超インフレを引き合いに出して、円
札の発行を渋るのは、羹に懲りて膾を吹くの類である。
 
□□ところで、不良債権問題の直接原因が地価下落にあることは明
かだ。かって邱永漢先生が言っていたことだが、ナにもない日本で、
そこらに転がっている「土地という木の葉」を小判に変えて、それ
を担保に資金調達したのはまことに賢明な方法であり、日本経済再
建のためもっとも効果的な手段になった、のは事実だ。そのため世
界一高い地価というハンディーを国民が持たされ、いまなお狭い家
屋で辛抱しているが、それは奇跡的な経済発展のための手品師のよ
うな手段だったのだから、その賢明さを誇っても悔やむ必要はない。
それが、その必要がなくなったバブルの時代に、投機の対象に使っ
た者たちがドジを踏んだだけだから、バブルの前、つまり「ナにも
無い時代の資金調達手段」のころの地価に戻るのは結構なことであ
る。
ばくち打ちが負けた、その尻拭いを、荷担した銀行がするのは当然
だが、アメリカのいうように急いで不良債権整理する必要があると
も思えない。円が不信任されているわけでもないから、ゆっくり時
間をかけてぼつぼつ消していけば、波紋も広がらぬだろう。早くケ
リをつければ外資が入りやすくなる、というのがメリットだという
が、この話はおかしい。日本はいま資金がだぶついている、外資な
どに依存する米国経済とはわけがちがうのだ。
 
□□というようなわけで、ボクは、もう少し政府の過去の業績を評
価し、ここ20年ほどの政府の土建政治ないしはインフラ整備を肯
定的に捉えるべきではないか、と思う。放漫財政というが、それで
ピンはねしたねずみ議員・官僚、あぶく銭経営者たちの懐へ入れた
カネは総計しても1割に満たないだろう。手数料を払ったと思えば
すむことだ。
 
★★それより問題は、F氏が説く生産の中国移転、日本の空洞化に
あるのは間違いない。 軍需生産で生き延びを図る米国か、金利稼
ぎで余命を永らえようとする英国か、文化芸術観光で稼ぐフランス
型か。なにか、わが日本も模索すべきで、それも緊急の問題だ。
いずれにしろ、普通の生産業の中国移転はもはや止まらない。
私見では、日本という国の高級ブランド化、つまり「日本製」が数
倍高く国際社会で売れる市場を積極的に造成するのが、比較的簡単
な、一つの生き延び方法ではないか、と思う。
現にいま、巧まずしてそうした方向へ向かって流れているのも事実
であるし。
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(Fのコメント)
1980年代までの日本は、土建業国家でよかったのでしょうね。
地方に工場を立てられるインフラ整備として機能していた。しかし
、その後インフラ整備から地元の土建業者救済事業化していった。

このため、中曽根政権で構造改革をするべきであったが、日本経済
がバブルになり、日本の構造改革(高付加価値創造国家にシフト)
ができなかった。そして、バブル崩壊後、中国の追い上げもあり、
日本の空洞化が明確になっている。主に地方産業がつぶれ始めてい
る。ここに問題があるのですから、この問題をどうするかですね。

日本はまだ、相対的には強い。米国軍事産業が活性化すると、日本
の電子部品が必要になり、日本の電子業界も活性化している。この
強い日本の次の産業を探して、そこに産業をシフトする必要がある
と思っている。ロボットとかナノテクとか通信の高度化とか

日本の国債格付けも下がり続けているが、国家財政の健全化は必要
であり、この施策を打たないと、銀行の健全化もできない。
全体の金利が低すぎで、この金利を下げているのは、国債の金利を
下げたいためと見られてしまう。そして、円からドルに金が逃げて
いる。しかし、そろそろ米国の経常赤字が限界になり、ドルも下落
する可能性がある。ユーロシフトですかね。日本国内に円の投資先
が必要だと思うが。


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