898.米国の変化とイスラエル



米国ブッシュ大統領の見解が変化した。この影響をイスラエルは受
ける。この検討をしよう。    Fより

毎週、イスラエルと中東の問題を解説いているが、毎週のように
状況が変化している。これは、米国のブッシュ大統領がチェイニー
とパウエルの見解の間で揺れているためである。

イスラエルのシャロン首相はガザ攻撃を中止したが、これは明確に
米国からの中止指令があった。ブッシュにサウジのアブドラ皇太子
があった当たりから変化が出てきている。その裏に欧州のソアラ理
事と英国のストロー外相がいる。特に英国のストローは明確に、
パウエル支持をして、イスラエルとパレスチナ・アラブ諸国の平和
的な共存をすることが必要であり、そのためにはサウジの提案を
ベースにするしかないとブッシュに言っている。パウエルの強力な
援軍が現れた。欧州がとうとう米国の国際政治に関与し始めた。

このような事態を受けて、イスラエルのリクード内部も分裂した。
ネタニエフ元首相とシャロンが論争して、右のネタニエフがシャス
と合同でパレスチナ国家を認めないという方向に行ったのに、
シャロンは労働党との連立や米国ブッシュを意識して、パレスチナ
国家容認と言っている。大きな変化がイスラエルやシャロンの内部
に形成されてきている。そして、労働党でもパレスチナ国家容認以
上の平和案が出てきている。

サウジアラビアもアラファトに交渉を任せずに、直接テロ集団に、
接触して、自爆テロを止めるように説得している。アラファトも
自治政府改革を確約している。イスラエルも特殊部隊でテロ集団を
捕まえる方向に、軍事活動を転換している。しかし、これは危険性
が高いので何処まで、できるか分からないが。

このように前回の解説でネオコンが、メディアを抑えイスラエルが
絶対的な優位にあるという状態から一変したのです。逆に今はネオ
コン批判が明確になってきている。この批判でも、最近9・11
テロ事件は事前に分かっていたのに、対策を打たなかったという
批判が出て、それをブッシュが認めたために、テロ犠牲者から、大
きなクレームが出てきている。もし、この批判の拡大を許すと、
チェイニーやラムズフェルドなど軍人派の政府要人の辞任になる
可能性がある。日本の新聞は、世界的に報道されているこのテロ事
件での批判記事が報道されていない。フランスでは陰謀説が去年
10月から出ていたし、木村さんも言っていたが、米国の新聞でも
陰謀説を報道し始めている。これは中間選挙に向けて、ブッシュと
しては、大きなマイナス要素になるでしょうね。

欧州のソアラ・英国のストローなどがなぜ、明確に行動し始めたの
でしょうか??
ビルダーバーク会議が近々に開催されるのですが、この時の話題が
中東和平と世界の金融・経済体制をどうするのかということになる
のは明白である。そして、この前開催された三極会議で揉めた問題
をある方向に持っていく必要があるためではないかと推測している。

世界の陰謀説には組しないが、世界を決める会議があり、この会議
の動向はウオッチする必要がある。
ダボス会議、ビルダーバーク会議、三極会議、G7、30人委員会
などです。
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イスラエル労働党党首が和平案提案 2国共存を強調(ASAHI)

 イスラエル労働党党首のベンエリエゼル国防相は15日午後、
同党中央委員会でパレスチナ紛争の解決のためにパレスチナ国家の
独立を認め、エルサレムの一部をパレスチナに分割するという和平
案を提案した。連立政権を組む右派リクード中央委員会が先に「パ
レスチナ国家を認めない」と決定したのとは対照的にイスラエル・
パレスチナの2国共存による和平実現を強調した。

 ベンエリエゼル氏の和平案は、クリントン前米大統領の和平案を
下敷きにし、昨秋、党首選を争ったブルグ国会議長とともにつくっ
た。ヨルダン川西岸とガザからのイスラエル軍撤退とアラブ諸国の
関係正常化を提唱するサウジアラビアのアブドラ案を「解決の入り
口」と大枠で受け入れる姿勢を示す。

 エルサレムの扱いでは、67年の第3次中東戦争以前はヨルダン
の支配下にあった東エルサレムの主要部分を西エルサレムと同様に
イスラエルの首都とし、東エルサレム周辺の村落部をパレスチナに
分割するという。

 同旧市街にあるユダヤ教、キリスト教、イスラム教の共通の聖地
は「特別な体制として通行を保証する」とする。ユダヤ人入植地は
、西岸で孤立した場所は解体するが、イスラエル本土に近い入植地
は併合し、パレスチナ側との土地の交換もありうるとする。

 一方、将来の党首選でベンエリエゼル氏の対立候補と目される
ラモン元保健相は中央委で、パレスチナ側と議論をせずに西岸と
ガザから撤退する「一方的分離」論を提唱した。

 総選挙は03年12月までにある。(19:00) 
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政権与党リクード「パレスチナ国家」を拒否(ASAHI) 

 イスラエルの政権与党の右派政党リクードは、12日夜、中央委
員会を開き、ネタニヤフ元首相が提案した「パレスチナ国家の樹立
を認めない」とする提案を圧倒的多数で採択した。シャロン首相は
和平交渉の課題に関して党が決定を下すべきではないと投票延期を
提案したが否決された。投票結果はシャロン氏の政権運営を拘束す
るものではないが、同党の中枢のタカ派性と、シャロン氏の党内基
盤の弱さが改めて露呈した。

 ネタニヤフ氏の提案は、従来のリクード強硬派の主張を繰り返し
たもの。ただし、パレスチナ国家樹立は、いまや米国や欧州連合(
EU)、アラブ諸国にとって、パレスチナ紛争解決の前提となって
いる。リクード中央委の決定は、国際的な和平仲介の動きに逆行す
るもので、同政権下では和平達成が難しいことを示す。

 シャロン首相は中東和平会議の開催を提案し、将来的にはパレス
チナ側と国家樹立も含む政治交渉を拒否しないとしつつも、「テロ
根絶」が先決と主張してきた。しかし、今回の党中央委の決定を受
けて、政治解決を目指す国際社会や連立与党の労働党から和平に対
する首相の真意が厳しく問われることは避けられない。

 シャロン首相は投票に先立って「党中央委がパレスチナとの最終
地位合意に関して決定を下せば、イスラエルに国際的な圧力がかか
ることになる」と主張した。投票後には「中央委の決定は尊重する
が、イスラエルと国民の安全と真の平和を達成するための配慮に基
づいて国政運営を続ける」との声明を出した。

 今回のリクード中央委の投票の背景には、党内でのネタニヤフ氏
とシャロン氏の確執がある。シャロン氏は3月末から始まったヨル
ダン川西岸への大規模侵攻作戦の後、国民の強い支持を得ているが
、リクード内ではネタニヤフ氏が圧倒的に強い基盤を持っているこ
とが明らかになった。(11:50) 


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