887−2.現状の中国における「矛盾と限界」



ヘキサゴンです.

漢語迷さんの記事を拝見し、なるほどと思いました.
中国における、知的所有権などの著作権とそれの保護について
投稿させてください.

>もちろん、中国は一党独裁の国であり、政府がメディアに対して
>様々な規制をしていることは疑いのない事実です。たとえ『南方週
>報』と言えども、例えば、台湾独立論などを掲載するのは絶対に不
>可能でしょう。中央政府に対する批判も制限があると思います。
>
>ただ、私が言いたいのは、「一党独裁=国内報道はプラス面ばかり
>、外国報道はマイナス面ばかり」とか「一党独裁=メディアは政府
>の宣伝機関、それに洗脳される国民」といった単純な見方で見るの
>ではなく、現代中国のメディアの多様な姿と言うものを正確に見る
>必要があるということです。

先日、日本の新聞で報道されていましたが、「トヨタ自動車がエン
ジンを供給している先の会社で、シャレード(夏利)そっくりの車
が作られている」という記事を見ました.

今、世界の金融資本が中国に進出していますが、工業特許やコンピ
ュータソフトや音楽など、著作権で保護され、その使用料が作者に
支払われるべきシステムが、今後はたして中国で正常に機能してい
くのでしょうか?確かに、中国はベルヌ条約批准国になりましたか
ら、「一般的な著作物」の保護の根拠は与えられますが、問題は、
実体として機能するかどうかです.

著作権というものは、「内国民待遇」と言って、そもそも治外法権
なのです.「著作者の国籍により、著作者のいる国の法律が、著作
権使用者の国に対して適応できる」のですが、一党独裁で中国の国
民一人一人の権利の方を上位に考えない中国で、はたして、この
著作権システムが機能するか疑問です.

この著作権システムとは、そもそも「グローバリズム」ですから、
中国が、「著作権システムを受け入れること」=「個人主義的グロ
ーバリズムを受け入れること」になるはずです.だとすると、中国
は、非常に多くの民族が集まった国であり、そもそも、一党独の
共産主義を続けていくことができなくなるはずです.
日本も、単一民族ではなく、中国系弥生人、私のようなユダヤ系の
血のある人、沖縄など南方系、モンゴル系、などがいます.
そういう、民族個々の人権を尊重していくということは、結局、「
西欧型、個人主義的グローバリズム」になっていく、ということで
す.
そういう観点が、現状の中国における「矛盾と限界」についての
コメントをお願いします.
ヘキサゴン
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(Fのコメント)
中国はビジネスでは一番難しい国でしょうね。自分の権利は主張し
ますが、相手の条件は聞きませんし、トップ同士の会話で大筋を、
決めてしまい、この条件でないと、合意とは違うため約束違反であ
ると強弁してくる。多くの日本企業は、その中国の交渉術を知らな
いため、日本に不利な条件で合意している。

また、共産国家ですから省政府の意向が重要です。省政府や自国民
の利益を最大限にしようとしますから、裁判になると負けです。
裁判所と省政府は同じ権力下にありますから、省政府を訴える行政
裁判というのは基本的にありません。そして、省政府は法律をころ
ころ変えます。しかし、三権分立もありませんから、その法律変更
を止めさせる方法がないのです。

そして、共産主義国家ですから労働条件もいろいろな規定があり、
ビジネスを行うのは簡単ではないのです。しかし、中国でビジネス
するのですから、中国の調査を十分してから、行ってください。

その苦労の代わり、競争者は少ないですね。未成熟社会ですから、
これからいろいろな産業が必要になるでしょうね。この産業はまだ
手薄なのです。しかし、国家や社会は非常に難しいので信頼できる
パートナーが絶対に必要な市場でしょうね。このパートナーとして
日本や米国に留学している太子党の人たちが、有効であろう。資本
主義や経営をある程度知っている。中国社会も知っている。そして
、一番いいのが、政府要人を知っていることでしょうか??

中国の問題点は、中央銀行が多量の国営企業の不良債権を抱えてい
ることでしょうね。今は、外資が積極的に投資しているため、あま
り問題点が見えないが、外資がなくなると問題が一気に吹き出す可
能性がある。それといろいろな条件があり、外国企業のビジネスは
難しいことです。このため、案外早く、外資の撤退があるかもしれ
ないですね。今は、オリンピックまでは持つと思うが??

低価格の商品はできる。すぐ壊れるが、そのような低額部品を作る
会社も多数ある。しかし、この輸入はお勧めできない。輸入後の
メンテが大変。アジアで見かけるオートバイも中国製が多くなって
きた。しかし、直ぐ壊れるという。

このため、工場の進出は、部品の手配が大変。日本から部品を輸入
することを中国政府は嫌がる。このため、日本の部品メーカ等の進
出も計画しないと、成り立たない。物流が完備されていないため、
内陸部の工場では、部品が遅延する可能性もある。品質管理の十分
しないと、不良品の山ができる。沿海部では労働賃金が上昇してい
る。

ある程度の発展はするでしょうね。しかし、その後はどうなるか?
特別市や省政府の権限は非常に大きい。中国国家は十分に地方分権
化されている。このため貧富の差が激しい。国家はこの差を埋める
ために国営公共工事を内陸部に行っているが、あまりにも国家が大
きいため、有効的ではないようだ。国家が握っているのは中央銀行
と政府要人の人事権と警察や軍のトップ人事権だけのような感じが
するが。徴税権は省政府が持っている。
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件名:中国のメディアの現状についてのコメン ト  
先日「体験と情報収集」で中国メディアについて寄稿したKENです。

中国留学中の漢語迷さんのさらに突っ込んだ見方を拝見して、視野
の広さに感嘆しています。小生も仕事で覚えた中国語をエンスト寸
前の車をだましだまし走らす如く、判らぬところは中国語のできる
在日の友人に転送して内容の誤正を問うて読んでいます。このよう
な中で中国語に堪能な方から現地からの生の情報と別個な見解と
情報源を寄稿してもらったことは大変ありがたく、大いに啓発とな
ります。

私のつたない中国語でも新華社では、かなり頻繁に汚職役人の逮捕
や処分の記事が多く見えています。
これについて、3つの考え方が浮かび、判断に迷います。

1)実情を知らせる報道で読んだ党幹部に綱紀の粛正を促すのか。
2)官僚腐敗に対して立ち向かっている、とアピールして読者にア
  ピールするのか?
3)単に大きな争点のNEWSを報道しているだけなのか?

ここの判断で大事なのはこの新華社web版の読者をだれと想定し
て書いているのか?また実際の読者はどうなのか?ということです。

漢語迷さんのコメントの

>中国のメディアの現状について言うと、日本のメディア
>では、中国の主要紙というと『人民日報』や『中国青年報』
>などがよく取り上げられますが、これらの新聞を読んでいる
>中国人は決して多くありません。中国人だって、面白くないと
>思っているのです

という内容には納得がゆきます。たしかに私の中国人の友人が
MAILで「あんなの面白くないから誰が読むの?」といっていま
す。

ただし、中国の人々がどれだけ生の外国情報が直接入手できるか?
という状況も大事であると思います。
先日BBCで「Nielsen/NetRatings によると、中国ではすでに個人
のINTERNET使用者が5700万人に達し、3〜4年内に
2億5千万人になるであろう」という記事がありました。
http://news.bbc.co.uk/hi/english/world/asia-pacific/newsid_1945000/1945275.stm

典型的なユザーは16歳から34歳までの男性で、あるとのことで
す。この記事は最後に、BBCみたいなサイトはブロックされて読
めなくなっている、と締めくくられています。

原文
But it also tries to maintain strict control over what its 
citizens read on the net, blocking access to certain internet
 domains such as bbc.co.uk.

まあ私がBBCのNEWSを見たくてもかなわず不便した理由がわ
かりました。

この海外と直接つながれるIT社会で、情報統制があれば、限られ
た情報源でしか海外情報を得られないわけで、あくまでも目の細か
いフィルターを通して海外をみられないので、実際に海外にいる
中国人(何も華僑ではなく留学生など)との海外情報の認識の差が
広がってはいないかと察せられます。もったいない事ですね。

しかしアメリカyahooや日本語サイトは見放題だし(外国人出張者の
私の場合はそうですが、一般者もそうなのだとは思います)
その気になれば結構生情報は見られるのかとは思いました。

現在中国のサイトを見ると本当に面白くなって、ネットショッピン
グのページをよく目にして、値段を見て「安いなあ〜」とため息を
ついたり、出会いコーナーに本人か!と思うような美人の写真を
堂々と載せていたりしてかなり楽しめます。同時に前近代的な標語
が大きく書いてあるページもあり、日本には無いバラエティーです。
これも上述の海外のページを見て、模倣したり工夫したりして作っ
たのでしょう。

しかし、このようにBBCにあるような「16歳から34歳まで」
という典型的なネット使用者が増加すれば、彼らは自然に受身では
あき足らず、情報発信者となりますから、今後どのような状況変化
が起こるのか、ということを良く考えたいと思います。

確かにネットをやると、外国語は拾い読みから始まって、段々読解
力が増してくるので、それを基に彼らがどのようなアプローチを
海外に行うかが面白いところです。ただしあくまでもこれはITユ
ザーなので、漢語迷さんの情報で紹介された様々な活字の新聞の
読者とはちょっと趣を異にします。

私の情報の弱いところもあくまでもネットを通したメディアを見て
いるところにあります。

いずれにせよ、現在「16歳から34歳までの男性」という中国の
インターネット使用者も2年内で層が広がり、で状況が大きく変化
することは間違いなく、状況の推移が注目されます。


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