849.危機的状態の中東情勢



ラマラの議長府に対して、イスラエル兵が攻撃して、アラファトが
地下シェルターに待避する事態にある。よって緊急検討する。Fより

29日から今日に掛けて、YSさんと名無しAさんが戦略情報BB
Sに情報を多数提供いただいている。この情報から、解析したい。

まず、シャロン首相は、ラマラ議長府に攻め込む事前に、米国と協
議していた。その様子をパウエルの発表で分かる。ブッシュ、チェ
イニー、ライス、ラムズフェルド、テネットが出席して、安全保障
会議が行われ、イスラエル支持を米国は表明したため、イスラエル
は、議長府に占拠したようである。

この直前、ジニ特使がアラファトと平和協定の会議をしていて、
米国は努力をすると表明していた。しかし、自爆テロが引き続き起
こり、シャロンは決断したのでしょう。

しかし、当然の如く、EUとロシアは大反発ですし、恐らく、アラ
ブの各国も、反対の声明を出さざるを得ないでしょう。
アラブ首脳会談ではサウジのアブドラ皇太子は自分の平和提案を合
意させて、かつイラクとクウートの仲直りまで仕切っていた。

ほとんど、サウジ主導の会談であった。これは当たり前で、サウジ
はアラブ世界に多額の援助をしている。しかし、この会談に欠席し
ている国がある、エジプト、カタールなどで親米派と目されている
諸国である。サウジからカタールへ、米軍の中東軍司令部を移すの
も、カタールが親米派であるためでしょうね。チェイニーの中東訪
問で、イラク攻撃に賛成したのもカタールだけでした。エジプトは
米国の援助を受けているためですし、カタールは自由主義的な国家
であり、反米的な放送をするアルジャジーラもここにある。

そうすると、このサウジが主導したアラブ首脳会談は、反米的とな
るように思う。
とうとう、サウジを中心としたアラブ諸国対米国・イスラエルと
エジプト・カタールの構図になってきた。
戦争を起こしたい米国はとうとう、一番悪い形で戦争に引きずり込
まれる可能性がある。このままにするとイスラエルが世界から孤立
し、そのイスラエル支援をすることになると、エジプトやカタール
も中立しかないし、日本も対アラブとするとアラブ寄りの中立しか
ない。

今の日本は石油依存率が石油ショックの時よりアラブ石油に依存し
ている。このため、イスラエルや米国の支持はできないし、また、
イスラエルの軍事行動は、日本のセンスからしても横暴であると感
じる。これは欧州諸国も同様のようであるから、世界的な批判を浴
びる可能性がある。

全世界と米国・イスラエルの2ケ国の戦いになる可能性がある。
この戦争でも、軍事的には米国1国で世界と戦うことは出来るが、
政治戦・経済戦など多方面からの戦争になるから、最終的には米国
は没落する可能性が出てきている。

世界が連合を組んで、イスラエル・米国の横暴を阻止する必要にあ
るし、ラマラに国際治安部隊を派遣する必要もあるようだ。
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イスラエル、議長殺害しないと米に保証
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20020330CIII006030.html
 【ワシントン29日共同】パウエル米国務長官は29日、イスラエル
のシャロン首相との電話会談でパレスチナ自治政府のアラファト議
長府施設を占拠したイスラエル軍が議長を傷つけたり、殺したりあ
るいは拘束しないとの保証をイスラエル政府から得ていることを明
らかにした。 

 国務長官は記者会見で「首相はわたしに、イスラエルが取る行動
には議長を傷つけたり、殺したりすることは含まれていないと述べ
た。また拘束しないことも(イスラエル政府は)示唆している」と
述べた。さらにイスラエル側がヨルダン川西岸のパレスチナ自治区
ラマラ地区を長期にわたって占拠する考えもないことを米政府に伝
えたことも明らかにした。 

 一方、国務長官から首相に対しては「議長を傷つけないよう必要
な自制を発揮してもらいたい」と要請したという。サウジアラビア
のアブドラ皇太子は29日、「われわれは、アラファト議長が危害を
加えられないという確約を米国から得ている」と述べていた。
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海外の反応(日本語記事) YS   

 ■サウジ皇太子が警告 イスラエルの議長府占拠 
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=JOM&PG=STORY&NGID=AITN&NWID=A3263000
 【カイロ30日共同】サウジアラビアのアブドラ皇太子は滞在先
のベイルートで29日「パレスチナ自治政府のアラファト議長を排
除しても、占領が続く限り抵抗運動は終わらない」とイスラエルの
議長府占拠に強く警告した。 
 ベイルートで28日まで開かれたアラブ首脳会議が採択した中東
和平案の発案者となった同皇太子は、「アラブは善意をもって和平
の手を伸ばした。イスラエルがこの機会を逃せば、結果は悲観的な
ものになる」と、事態の平和解決を呼び掛けた。 
 アラブ諸国では、イスラエルがラマラ侵攻で和平案を否定したと
の受け止め方が広がっているが、アブドラ皇太子は「未来を見詰め
る者は、失望などしない。正義はいつか実現する」と述べ、長期的
には同和平案が地域の安定に寄与するとの考えを強調した。(了)

■2002/03/30−01:28
「野蛮な侵犯」とイスラエルを非難=中国外相
http://www.jiji.com/cgi-bin/content.cgi?content=020330012806X451&genre=int
 【北京29日時事】新華社電によると、中国の唐外相は29日、
カタールのハマド外相と電話で中東問題について協議した。唐外相
はこの中で「われわれはイスラエルのパレスチナに対する野蛮な侵
犯に反対する」とイスラエルを非難。イスラエルが直ちに軍事行動
を停止し、パレスチナから撤退するよう訴えた。  

■ロシア外相がイスラエル軍の攻撃を批判
http://www.asahi.com/international/update/0329/010.html
 ロシアのイワノフ外相は29日、記者会見で「アラファト議長を
孤立させようというイスラエルの態度は政治解決の助けにならない
」と述べ、イスラエル軍のラマラ自治区侵攻を批判した。
 同外相はアラブ首脳会議の包括和平案決議を支持するロシアの立
場を強調。「この危機によって安定が脅かされるのは中東だけにと
どまらない。きわめて危険な状況に深刻な懸念を抱いている」とし
た。
 また、マルゲロフ上院外交委員長も同日、イスラエルの侵攻につ
いてインタファクス通信に「暴力停止を目指した国際調停努力を無
に帰すものだ」と述べた。(22:52) 

■独外相が憂慮表明
http://www.sankei.co.jp/news/020330/0330kok078.htm
 【ベルリン29日=共同】ドイツのフィッシャー外相は二十九日
、パレスチナ情勢の緊迫化を「深く憂慮する」との声明を発表し「
すべての紛争当事者」に暴力の即時停止を呼び掛けた。
 外相は、パレスチナ過激派の自爆テロを「野蛮なテロ行為」と非
難。米国のジニ中東特使による停戦調停の継続と、サウジアラビア
のアブドラ皇太子が先に示した和平提案に期待する考えを強調した。

■ラマラに国際治安部隊を
http://www.sankei.co.jp/news/020330/0330kok079.htm
 【パリ29日=共同】反グローバル化運動の指導者として知られ
るフランス中小農家組合「農民同盟」のジョゼ・ボベ国際広報部長
は二十九日、パレスチナ自治区ラマラからフランスのラジオに電話
出演し「民衆の命を守るため、国際治安部隊の派遣を求める」と訴
えた。欧米の人道支援活動家ら約100人とラマラ入りしており「
シャロン(イスラエル首相)の虐殺行為の証人となるつもりだ」と
話した。
 フランス南部のハンバーガー店を破壊した罪で今年二月、同部長
の禁固刑が確定したが、収監の期日は未定。

■2002/03/30−08:15
イスラエル軍の侵攻を非難=国連総長
http://www.jiji.com/cgi-bin/content.cgi?content=020330081516X470&genre=int
 【ニューヨーク29日時事】アナン国連事務総長は29日、イス
ラエルとパレスチナ間の抗争が再び激化していることについて、「
パレスチナ自治政府を破壊しても和平はもたらされず、むしろ戦争
へと近づくだけだ」と述べてイスラエル軍のラマラ侵攻を非難、双
方の指導者に強く自制を求める声明を発表した。

■国連が緊急安保理を招集
http://www.sankei.co.jp/news/020330/0330kok077.htm
 【ニューヨーク29日=共同】国連は泥沼化するパレスチナ情勢
を協議するために、緊急安全保障理事会を同日招集することを決め
た。国連報道官室が明らかにした。
 アラブ諸国などが強く要請した。非公式会合となる予定。決議や
議長声明が採択、発表されるかなど詳細は決まっていない。

■国連、緊急安保理を招集 泥沼のパレスチナ情勢で 
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=JOM&PG=STORY&NGID=AMAN&NWID=A0023000
 【ニューヨーク29日共同】国連安全保障理事会は29日、泥沼
化するパレスチナ情勢打開のため、緊急会合を招集、非公式協議に
入った。 
 アラブ諸国などの強い要請に基づく。国連外交筋によると、なん
らかの声明の取りまとめを目指しているが、実現は不透明。 
 これとは別にアナン国連事務総長は同日、「パレスチナ自治政府
への破壊行為は平和をもたらさず、戦争を引き起こす」とする声明
を発表、事態の急激な悪化に強い懸念を表明した。 
 声明はシャロン・イスラエル首相とアラファト・パレスチナ自治
政府議長の双方に「責任のある指導力」を発揮するよう呼び掛け、
首相にはパレスチナ襲撃の停止、議長には米政府のジニ中東特使に
よる停戦案受け入れを求めた。 (了)


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