◯ 「日本再生」 『国家戦略』 その12 ★△ 税制と支出の改革 △★ 永田 1、日本を元気な国・活盛国に再生するには、税金を沢山支払って くれる人や企業が喜んで居住(本拠と)する国にし、しかも、できる だけ多くの国民が、少額でも納税(税を負担)する制度を採用する事 が肝要であります。 官(国・自治体等)が支出すれば、直接・間接に税収(歳入)が増加 するような仕組み、つまり、効率的な歳出構造を確立する事が極め て重要であります。 1-1、換言しますと、資産家・高額所得者、智慧や才能ある人々、 優良企業が、海外からどんどん日本への移住(本拠の移動)を希望す るような国家を目指すべきであります。その絶対的条件は、治安が 良好な事であります。次いで、規制が極めて少なく自由な経済活動 が保証されている事であります。智力・資力・徳力・意力の面で 格別取り得のない、単純労働者や風俗業従業員等の移入は絶対断る 事となりますし、暴力団の全面的禁止も、必要となります。 1-2、官僚・族議員・政官業の癒着等々の影響による、不適正・非効 率な支出の発生を断固阻止し、かかる支出を促進した連中には、 「財政再建協力基金」(文末(注)をご覧下さい)への多額の強制寄付 を要請します。 2、租税制度の抜本改革案を提示します。従来からの慣例をすっか り忘れ去る事が大切であります。tax eater(税金を負担せず、結果 として他人が払った税金に依存する人、最大のtax eaterは官)を減 らし、tax payer(実際に税金を負担する人)を増やします。 2-1、どんな悪人でも・課税逃れの名人でも、負担せざるを得ない消 費税の活用が不可欠で、その税率は、次のいずれかとします。 A案。食べられるもの0%、その他25%。 B案。食べられるもの5%、その他20%。 この程度の高率消費税でないと、歳入不足を補えません。人間が 生きて行く最低限度(食べ物)には課税しないか超低率とし、生活弱 者に配慮します。免税点の年間3000万円を思い切って引き下げ、600 万円(月50万円相当)とします。 「益税」発生を阻止するため、免税業者による消費税の受取りを一 切禁止します。容器入りの食品等は、価格を2本立て表示とし、容器 を持参して中身だけの購入希望者を積極的に認め、ゴミの発生を減 らします。 2-2、所得税の税率は、個人・法人共に、5%・15%・25%の3 段階とし、現状の事業税と住民税は全面廃止します。各種引当金や 諸控除制度は原則全廃し、損金となる経費項目と割合を大きく圧縮 、分かり易い税制とします。頑張って多くの所得を稼ぐ人々や企業 を優遇します。課税最低限は年収100万円、低所得者は5%の低い税 負担となります。 2-3、相続税と贈与税は、全面的に廃止します。棚ぼた式に資産を取 得した人の大部分は、短期間に消費するのが常であり、若い人に資 産が移動すれば、消費は活発となり経済活性化に役立ちます。相続 税のない国に世界の富は集まります。富は必ず経済の底力となりま す。一部の人からは金持ち優遇との批判がありますが、資産家・高 額所得者・死ぬまで頑張る人を潰そうとする国家社会は、必ず衰退 疲弊すると歴史が証明しております。 2-4、前項を非課税、前々項を、国際水準より大幅に安い税率にする のが、通称金持ちや優良企業を国内に止まらせ、海外から誘致する 大切なキーワードであります。税率は低くとも、税金を支払ってく れる人や企業(tax payer)を、日本国内に沢山抱える事が大切であり ます。 2-5、株式及び資産の譲渡・承継に関する課税は全廃、固定資産の移 動に伴う費用(登録免許税・不動産取得税)を零か極めて低くし(例、 登記1筆当り全て1000円)、資産・資金の移動を容易にし、景気停滞 要因を除去します。 2-6、税関連の徴収を単一の機関に一本化し(税務署・各自治体税務 課→歳入庁へ統合)、徴収コストを3分の1以下に減らします。国・各 自治体へは電子機器で瞬時に自動配分します。 2-7、固定資産税の非課税法人・団体を無くします。官等の非課税法 人が豪華な施設等に非効率な投資をするのを抑制します。国・都道 府県・非課税法人等は市町村へ、市町村は「財政再建協力基金」へ 納入します。但し、24時間誰でも無料で利用できる道路・公園・神 社境内等には課税しません。 2-8、間接金融制度(国民→金融機関→企業、の資金の流れ)は、既に 制度疲労を起こし、余剰資金が銀行・郵貯等の金融機関に滞留し、 国家全体の資金流通は完全に澱んでいます。国民の1400兆円とも言 われている膨大な資金が、産業経済資金として活発に活用される事 が肝要であります。このため預貯金金利を全て廃止(0%)にする一 方、配当金に対する原則20%の源泉徴収(元来、不合理な2重課税)は 全面的に無くし、直接金融制度への移行を促進します。日本経済の 活性化・税収増には、預貯金の増加ではなく、断然「株価の上昇」 を選択すべきであります。 3、効率的な歳出構造を確立する処方箋を提示します。財政資金を 投入しても、直接(すぐに税収増)、間接(経済の活況化・国富の増加 を通して、ある期間後に税収増)に歳入に貢献しない歳出は、過去の 実績を無視しても、禁止ないし大幅制限する、との強い決意が不可 欠となって来ました。これを怠ると早晩、日本国の国債発行額が制 御できなくなる程膨張し、財政破綻必至となります。 3-1、今後建設せんと企画されている新幹線・空港・高速道・大型施 設等々は、本当に効率的(支出と収入が適合する?)ですか。日本国 は人口減少に移行しようとしております。右肩上がりを前提とする 施策は採用できません。 断固これを推進しようとする人々(族議員・官僚・地元推進団体等) には、再度収支計画を提出してもらうと共に、責任の所在を明確に して頂く事が肝要であります。失敗(本四架橋のように大幅収入不足 )すれば、関係者には「財政再建協力基金」への多額(数千万円以上 △△億円)の強制寄付を、事前に了承(個人保証)してもらって置く必 要があります。 3-2、非効率な支出が残っていませんか?。全歳出につき、当該歳出 が幾らの歳入に貢献しているかを、まず省庁が個々に計算し直しま す。更に、学者・評論家・有識者に再検討してもらいます。非効率 な支出は、国家体制維持のため不可欠なもの(治安・防衛等)を除き 、原則廃止とします。国会関連費・人件費と言えども、聖域は設け ません。 例えば、失業保険給付期間の延長は、痛みの先送りに過ぎず、税 収への貢献は期待できません。失業者に対する職業訓練制度は、 十分な機能を発揮していません。補助金の大部分は、税収増への効 果が期待できません。金融機関への公的資金投入は、過去の失敗の 穴埋めに殆どが使われ、歳入増効果はありません。 3-3、厚生年金等の年金制度・医療保険制度は、共に構造的に今後の 日本社会に不適合となっております。早急に廃止しないと、国家財 政の命取りになります。(2001年11月号社会保障と安全網、ご参照) 3-4、対外借款・ODA等は、現在の我が国の財政状況を勘案すると 、歳入効果なく、暫く凍結すべきであります。それより、海外の投 資家に不測の損害(国債のデフォルト等)を与える事のないようにす る施策が最優先であります。 3-5、景気下支えの(デフレを止める)為、又、国民の痛みを和らげる 為、財政出動を期待する意見が多々見られますが、数十兆円程度の 資金では、世界的デフレ傾向の流れに対抗できず、結果は国の内外 に何処ともなく分散消失して税収に還元されず、更なる赤字財政の 増額を招くばかりであります。 3-6、財政支出の非効率化放置は、国債の格付け低落・長期金利上昇 ・国債売行き不振・国家資金枯渇、ついには海外勢による、日本国 財政の実質管理を招く危険が高い、と認識しなければなりません。 (注) 「財政再建協力基金」とは、国債償還・元本返済専一口座で 、懲役・禁錮・罰金・科料・反則金等に替えて新設する強制寄付で あります。どんなに多額となっても前科には該当しません。ただ、 一定期間内に納付がないと、当人は名誉ある死(自害・臓器提供)に 至ります。