834−1.図越コラム



★月刊誌『正論』4月号
西部邁(にしべ・すすむ)論文
「親米保守(西尾幹二氏 図越註)への反論  又してもやってき
たレッテル貼りの季節」
文中引用
「このたび本誌前月号において西尾幹二氏が私を反米主義者と断じ
、私には中傷としか解されぬ一文を発表された。中略 結局、西尾
氏の文章がみせつけているいくつもの破綻を絨毯(じゅうたん)爆
撃ふうにやっつける」
と述べられてゐます。「新しい歴史教科書をつくる会」では、西尾
幹二著『国民の歴史』、西部邁著『国民の道徳』を出版する間柄で
はありましたが、この論戦により、決定的に両者の人間関係に亀裂
が生まれたと判断されます。
 
 小生の価値判断では、西部邁氏に軍配をあげます。西尾幹二氏は
信用できない人物であります。

★月刊誌『正論』4月号
入江隆則(いりえ・たかのり)論文
「『治者』としての保守、その再生のために」
今般の『正論』誌上における西部邁・長谷川三千子VS西尾幹二・
田久保忠衛論争を、入江氏が自ら分析してゐます。長谷川三千子氏
に強く共感しつつも、西部邁氏に対しては、西尾幹二氏と同様に、
「中傷としか解されぬ一文」を発表されました。
 
★月刊誌『正論』4月号
巻頭特集 「『つくる会』シンポ完全収録 『戦争論2』と9・11
テロの白熱論争」 2月7日開催

小林よしのり・長谷川三千子・田久保忠衛・八木秀次・田中英道・
西尾幹二(途中から飛び入り参加)

★『SAPIO』2月27日号
小林よしのり 「新・ゴーマニズム宣言」
「さらば『つくる会』、思想を語るために。」
「つくる会」脱会といふ衝撃宣言です。

小生の価値判断では、小林よしのり氏に軍配をあげます。
それにしても残念です。4月13日(土)には、大阪でつくる会の
シンポが予定されてをり、小林よしのり氏が来られる予定でした。
楽しみにしてゐたのですが、中止になりました。

★産経新聞 3/4 正論
「保守思想」は何を問題とすべきか
「近代主義」の行き過ぎに警鐘鳴らせ
    京都大学教授 佐伯 啓思(さえき・けいし)

先日の「正論」(二月十九日)に西尾幹二氏が「嘆かわしい保守思想
の左翼返り」と題する論考を寄せておられる。雑誌『正論』にも同
趣旨の論文が掲載されている。私は西尾氏に名指しされているわけ
でもなく、また氏が批判されるように、大東亜戦争を「西力東漸の
波に対する非力なアジアのナショナリズムの反乱というだけで説明
できる」などとは考えていないので、これは西尾氏に対する反論で
もないし論戦でもない。

 ただ、二月二十二日の田久保忠衛氏の「正論」にも見られるよう
に、今回の議論の背景には「九・一一」のテロに対するアメリカの
行動への評価、もしくはその意味付けという論点があることは疑い
えない。これは「保守思想」にとっても重要な点なので、私なりの
考えを書いておきたい。

 私は、以前この欄にも書いたが、今回のテロに対するアメリカの
反応、「テロに対する戦争」、および日本の対米支援を基本的には
支持している。アメリカが報復的措置をとるのは当然であるし、
日本が、現状での日米関係と憲法を前提とすれば(そして日本人も
犠牲となっているのだから)、現実には大筋において、小泉政権の対
応以外の選択肢があったとは思われない。

 しかし、だからといって「思想的」問題として、それですべてが
片付くとは思わないし、片付けてはならない。この事件についての
産経新聞の論調も概してそうなのだが、「保守派」は、テロを自由
と民主主義への挑戦と見なして、それゆえこの体制を保守すべく
アメリカへの全面協調を主張している。それはその通りである。

 しかし、そのゆえに、一切のアメリカの行動への批判を封じ、テロ
の背景にある事態への解釈や眼差(まなざ)しを閉ざしてしまうとす
れば、それは間違っている。言い換えれば、「思想的」もしくは「
歴史的」な問題としてみた場合、この事態を、ただ、自由と民主主
義の「文明」に対する「野蛮」なテロリズムの挑戦という次元での
み捉(とら)えて終わりにするわけにはいかない。

 いうまでもなく、この事件の背景には、アメリカの深く関与した
中東政策や、すでにレーガン時代から開始されている「テロとの戦
い」がある。そして、アフガン戦争におけるアメリカの間接的介入
、イラク・イラン戦争でのアメリカの役割、湾岸戦争以来のサウジ
アラビアへの介入、こうした事態をみた時、この「戦争」の背景が
決して、「文明」対「野蛮」というだけで理解できるような単純な
ものでないことは明白である。さらに九〇年代のアメリカ中心の
グローバリズムが、いたるところで、それぞれの固有の文化や生活
と軋(きし)みをおこしている(日本もその例外ではない)。

 アメリカのグローバリズム政策はテロリズムとは何の関係もない
という議論が中心となっている。確かに、何の直接的な因果関係も
ない。しかし、だからといって、それがテロリズムの背景的な要因
の一つをなしていることまでは否定できない。とりわけそれは「保
守思想」にとっては決して無視し得ない。

 なぜなら、九〇年代のアメリカのグローバリズムは、市場経済、
個人的自由、民主主義などの普遍性を唱える「近代主義」の極致だ
からである。そしてこの近代主義の世界化が世界のいたるところで
摩擦を生み出し、この摩擦に対して、アメリカは時には強権的な形
での介入をも辞さないのである。

 われわれ自身が、市場経済、個人的自由、民主主義という「近代
的価値」によって生活していることは事実であり、その意味では、
日本はすでにアメリカと運命共同体にあるということもできる。
しかし、この観点から「近代的価値」を掲げた「文明」を無条件で
擁護するとすれば、それはほぼ全面的な「近代主義」への信奉を
意味する。

 われわれが「近代社会」に生きていることは不可避の現実である
。しかし、その「近代的価値」の普遍性に懐疑の眼差しを向け、「
近代主義」の行き過ぎに警鐘を鳴らし、「近代主義」の中で見えな
くなった「日本的価値」へ目を向けることが「保守思想」の役割で
はないか。

 とすれば、保守思想の最大の課題は、その「近代主義」を世界的
レベルでいささか強引に推進しようとするアメリカに対し、日米同
盟という現実的関係の上に立ちつつ、思想的、精神的にはいかに
距離をとるか、という二重の視点を持つこと以外にない。九・一一
テロについても、この視点が要求されているのである。
図越
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「産経」3/2
中韓抗議の教科書後継本 採択は15校 「最新日本史」
14年度関係者「改訂版で巻き返し」

 昭和六十一年の高校教科書検定で中韓両国から抗議を受けた日本
史教科書「新編日本史」の後継本「最新日本史」の採択校の減少が
続き、平成十四年度に使用するのは十五の高校・高専の約二千五百
冊にとどまることが一日分かった。最新日本史は現在、十五年度
使用開始の改訂版が検定中で、関係者は「巻き返しを図りたい」と
している。

 新編日本史は日本会議(会長=三好達・前最高裁長官)の前身「日
本を守る国民会議」の学者、教員が日本の伝統文化を尊重する立場
で執筆し、原書房(東京都新宿区)が旧文部省に検定申請したが、
中韓の抗議を受けて文部省が合格後の書き換えを四回にわたって行
わせた。

 ピーク時には三十五校で八千冊以上が採択されたが、低迷したた
め、原書房が版権を譲渡。平成七年度使用分から国書刊行会(東京都
板橋区)が「最新日本史」と改題して発行した。しかし採択校の減少
は止まらず、今年度検定(十五年度使用開始)から明成社(東京都目黒
区)に引き継がれ、四月初めにも検定結果が発表される。

 国書刊行会発行の最後の版となる十四年度の使用校は表の通りで
、国立一校、公立三校、私立十一校。改訂版の採択手続きは八月に
かけて行われる。関係者は「昨年、中学の『新しい歴史教科書』が
話題を呼んで、教科書採択に関心を持つ人のすそ野が広がっている
。高校教科書でも世論を喚起したい」としている。

≪来年度の「最新日本史」使用校≫
松風塾高      (青森県平内町)
水戸女子高     (水戸市)
国立小山工業高専  (栃木県小山市)
狭山ケ丘高     (埼玉県入間市)
拓大紅陵高     (千葉県木更津市)
京華商業高     (東京都文京区)
金沢工業高専    (金沢市)
福井工業大付属福井高(福井市)
日本航空高     (山梨県双葉町)
麗澤瑞浪高     (岐阜県瑞浪市)
三重県立四日市商業高(四日市市)
立正大淞南高    (松江市)
福岡県立門司高   (北九州市)
大分県立三重高   (三重町)
宮崎第一高     (宮崎市)

●明成社(めいせいしゃ)とは、日本会議の出版局のことです。
『最新日本史』の著者は、小堀桂一郎氏等です。『教育勅語』全文
掲載や、大東亞戰爭戦没英霊の御遺書等も掲載されてをります。
 一般にも販売されてをり、日本会議に問ひ合はせると購入できま
す。1200円(送料別)であつたと記憶してをります。間違つて
ゐるかもしれません。別途、『最新日本史』に関して販売促進・
高校採択促進資金として5000円の事業資金も募集してゐたと
記憶してをります。

日本会議
http://www.nipponkaigi.org/

図越
以上
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雛祭
 3月3日はひな祭りです。桃の節句ともいい、飾り雛の風習は、
室町時代頃に宮中貴族の間にはじまり、後に武家に採り入れられ、
やがて江戸時代には民間に広まりました。

 桃には、伊邪那岐命が桃の実を投げて悪鬼を退けた神話や、桃太
郎の鬼征伐など、古くから邪気を祓うものという信仰があります。

 ひな祭りの供物のうち、白酒は正月の屠蘇や端午の節句の菖蒲酒
、重陽の節句の菊酒などと同じく、邪気祓いの薬酒です。また、
草餅は蓬の薬効を願ったもの、菱餅は心臓をかたどったものともい
い、ともに除災延命を願うしるしです。さらに、女児らによるお客
ごとは、この節日に訪れた客人神(まろうどがみ)を饗応する形と
いえます(この季節に行われる「野遊び」「山遊び」「磯遊び」な
どのたべごとも、この饗宴と同じ意味だと思われます)。

 ひな祭りの起源は”人形(ひとがた)”で、人形に自分の罪穢を
背負わせ、神様に清めていただくという意味がありました。現在で
も、鳥取県下には竹串に赤紙の衣装をはりつけ、幾組も青竹にはさ
んだ人形を川に流すしきたりが伝わっています。これを「流しびな
」といいます。

 現在は、ひな祭りは女の子のいる家で特に祝い、女の子が将来、
幸福な結婚ができるように願う意味合いが強くなっているようです。
図越


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