832−2.朝鮮半島の今後



朝鮮半島の行方を検討したい。    Fより

米国は今、中東に目がいっている。このため、朝鮮半島情勢は、
比較的に穏やかであるが、韓国の反米感情が大いに気になる状態に
ある。ブッシュと金大中、両大統領の会談は成果がほとんどなかっ
た。韓国と米国の見解が大きくずれていることが確認できただけ。
その後のオリンピックでの失格事件で、韓国国民のプライドを米国
は大きく傷つけることになる。そして、韓国と米国の同盟解消まで
韓国国内では議論になっているようだ。

韓国は北朝鮮と戦争をしないで、太陽政策で統一するとかを
考えるかも知れないが、北朝鮮はそう考えていない。もし、この状
態で韓国が北朝鮮を取り、米国と同盟を解消するようだと、東アジ
アの情勢は緊迫したものにあるでしょうね。

北朝鮮は、本気で韓国を征服しようとするし、韓国国内にも、北朝
鮮と繋がった人たちがいるため、戦争をしても戦力的には韓国の方
が優秀であり、楽勝の可能性があるが、韓国の北朝鮮に繋がった人
たちの動き次第では分からない。このため、米国なしの韓国になる
と、平和的な統一か戦争による統一かが実現する可能性がある。

しかし、どちらにしても、韓国の国力は大きく殺がれることになる。
そして、東アジアの干渉地域がなくなり、中国と日本は対面するこ
とになり、この日本の戦略的な意味合いが大きくなる。そして、
そのために、日米の同盟関係は強化させることになるでしょうね。

まあ、韓国が米国との同盟を解消するとは思えないが、仮定してみ
た。
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 ■■世界週報■■ メールマガジン vol.31 
特集「悪の枢軸」

米韓亀裂拡大を企図する北朝鮮
〜朝鮮半島の危険な胎動〜

慶應義塾大学教授
小此木 政夫

おこのぎ・まさお 一九四五年生まれ。慶應義塾大学大学院博士課
程修了。韓国延世大学留学、ジョージ・ワシントン大学客員教授な
どを経て八五年から現職。国際政治論、朝鮮政治論専攻。著書に「
金正日時代の北朝鮮」「北朝鮮ハンドブック」「ポスト冷戦の朝鮮
半島」など。

北朝鮮はブッシュ大統領の「悪の枢軸」演説や韓国訪問に激しく反
発している。しかし、北朝鮮指導部の対応はそれほど単純でも、直
線的でもない。
現在までのところ、むしろ「対話と交渉による問題解決を望んでい
る」というのが実態である。事実、北朝鮮の今年前半の政治日程を
見るならば、二月の金正日還暦行事の後にも「アリラン祭典」を挙
行し、海外から大勢の観光客を誘致する。
従って、北朝鮮側の激しい反発にもかかわらず、朝鮮半島情勢が複
雑化するのは本年後半以降のことである。韓国で大統領選挙が実施
される一二月までの間、ブッシュ訪韓時に表面化した韓国内の反米
ナショナリズムに勇気付けられて、北朝鮮は米韓の亀裂をさらに拡
大するために全力を傾けることになりそうである。
また、その意味で注目されるのが、ブッシュ非難と並行して、北朝
鮮が保守派の有力な大統領候補である李会昌総裁(野党ハンナラ党
)に対する激しい非難を開始したことである。北朝鮮は明らかに李
会昌総裁の大統領当選とそれによる米韓同盟の再強化を懸念してい
るのである。
筆者は、少なくとも現段階で、ブッシュ政権が北朝鮮に対する軍事
行動(外科手術的なピンポイント攻撃)を企画しているとは考えな
い。また、北朝鮮が早々に対話努力を放棄したとも考えない。
しかし、ワールドカップやアリラン祭典が終了した後も米朝対話の
再開に失敗し続け、そのまま韓国大統領選挙の投票日を迎えるよう
なことになれば、朝鮮半島情勢の緊張は避けられないだろう。
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危険水位に近づく韓国人の反米感情
静岡県立大学助教授
小針 進

「誤審」への怒りが国防部のHPにも
「[ブッシュの『悪の枢軸』発言、金メダル強奪! 米国製品不買
で]昨今の米国は韓国の友邦でもなく、同盟国でもない。自身の利
益ならばどんな行動でもぬけぬけと行うのが今日の米国だ。私たち
国民ができることは何か? 米国産品の不買運動だけだ。これを機
会に韓国人の団結した姿を見せよう」
インターネットのブロードバンド化が経済協力開発機構(OECD
)加盟国で首位の韓国では、ホームページ上の「掲示板」への一般
市民らの書き込みが盛んである。社会的な問題などが起こると、
報道機関や官公庁などの「掲示板」に接続が殺到する。
二月二一日、ソルトレーク冬季五輪ショートトラック男子一五〇〇
メールの決勝で、韓国の金東聖選手が第一位になったにもかかわら
ず、失格判定を受けて米国の選手に金メダルが渡ってしまった。
韓国国民の怒りの声は「掲示板」にも殺到した。冒頭に紹介したの
はその一例で、翌二二日、ある新聞社のホームページ上の「掲示板
」に書かれたものである。メダルを逃した悔しさよりも、反米感情
が全面にあふれているのだ。
「同盟国でもない」という文句もあるが、「韓米同盟」が基本であ
る防衛政策を統括する国防部のホームページでは、「掲示板」の
開設以来、一日の書き込み件数が最高に達した。内容は空軍の次世
代戦闘機に関して、「米国のF-15戦闘機を絶対に購入してはいけな
い」というものだ。通信社の聯合ニュースによれば、「国際スポー
ツ競技に対する感情が、軍の武器事業にまで及んだのは今回が初め
てだ」と軍関係者は述べた。
東アジア三国歴訪でブッシュ大統領が韓国を訪問したのは二月一九
から二一日であり、ソルトレークでの「事件」はブッシュ大統領が
次の訪問国である中国へ移動した直後に入ってきたニュースだった
。もしも、この「事件」がブッシュ大統領の韓国入り前に起こって
いたならば、韓国社会は大混乱になっていたかもしれない。

「悪の枢軸」発言に大多数が抵抗感
もっとも、「事件」前にもかかわらずブッシュ大統領は大歓迎され
はしなかった。「歓迎」の声以上に激烈な反対デモが目を引いた。
もともと反米感情は高まっていたのだ。
在韓米軍などの法的地位を規定し韓国側には不平等な米韓行政協定
の改定問題、米兵の悪質な犯罪問題、米軍基地が及ぼす環境問題、
主要都市の一等地を占拠する米軍施設の移転問題などが、近年にお
ける反米の要因である。もう少し長い目で見ると、米軍政時代
(一九四五〜四八年)や朝鮮戦争(五〇〜五三年)以来、韓国にお
ける米国のプレゼンスは大きく、「韓米同盟」の下、韓国人の対米
感情は良好であった。ベトナム戦争には韓国軍も参戦した。対米感
情の転機となったのは、一般的には全斗煥将軍ら軍部勢力が市民の
民主化運動を武力で鎮圧した光州事件(一九八〇年)だといわれる
。韓国軍の作戦指揮権を在韓米軍が掌握していたため、米国が許可
しなければ国民に銃を向けた軍の出動はなかったからだ。ウルグア
イ・ラウンド後の米国の対韓市場開放圧力も韓国人をさらに刺激し
た。
そして、現在は冒頭の「掲示板」にも触れられているように、ブッ
シュ大統領の「悪の枢軸」発言への反発が加わった。別図のように
同発言を「不適切」と考えている韓国人が圧倒的に多い。MBC(
韓国文化放送)の世論調査(二月一八日)によれば、国民のうち
六七%が「ブッシュ政権の対北韓(朝鮮民主主義人民共和国=北朝
鮮)政策は誤っている」と考え、六三%が米国の対北朝鮮強硬姿勢
を「武器販売など経済的利益のためだ」と思っている。大統領の訪
韓に韓国人が冷ややかであったことを裏付けている。

大統領選を控え政争の具にも
こうした状況の中、野党ハンナラ党の李会昌総裁が一月下旬の訪米
中に「悪の枢軸」発言を支持してきたとして問題になっている。
米紙ワシントン・ポストが二月一〇日付で李会昌総裁の発言を報道
して明らかになった。
ハンナラ党はこれを否定しているが、同一三日には与党の新千年民
主党(民主党)は「国民は李会昌総裁が米国で何をしてきたのか心
配している」とし、米国での発言録の公開をハンナラ党側に要求し
た。
最友好国の大統領の発言を野党が支持したことを、その大統領がや
って来る直前に与党が問題視するというねじれた現象だ。なぜ民主
党がそこまでやるかといえば、「悪の枢軸」発言が多くの国民にと
って南北関係改善を妨害するものとして映っているからである。
そして、年末に実施される大統領選挙では有力候補と目される李会
昌総裁が現状では民主党候補者よりも一歩リードしている状況で、
「悪の枢軸」発言支持疑惑をクローズアップすることは同総裁のイ
メージダウンになり得ると民主党が判断したからであろう。
国民の反米感情が内政や大統領選の動向にも少なからぬ影響を与え
かねない要因になっているのだ。金大中大統領はブッシュ訪韓の前
後に、「韓米同盟」という言葉を久しぶりに多用した。国民の反米
感情を考えた場合、大統領選で与野党の候補者たちは「韓米同盟」
の重要性を認識しつつも、その扱いには苦慮することだろう。


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