831−2.知的社会のインフラ2



知的社会のインフラとは何かを前回に続いて考察しよう。 Fより

産業政策の導入が必要とこのコラムでは何遍も、主張している。
国家と民間がともに産業政策を構築して、目標を決めるべきだ。
1992年、MITの日本研究は凄かった。何が日本の成功を作っ
たのかを研究して、また日本の欠陥を指摘していたのです。
そして、その長所のTQCや田口メソッドなどを導入して米国工業
を再興し、日本の欠点となる系列のクローズドな仕組みを米国は、
オープンな仕組みにして、そのオープンな環境を構築するために、
インターネットを利用した会社間取引を活発化させるのです。

この世界的にオープンなシステムで日本とのコスト競争に勝利する
ために中国の工業化を推進させるのです。そして、米国のオープン
戦略に日本の系列クローズド戦略が負けるのです。
しかし、現在まで、この敗戦理由を日本は研究していないし、教訓
化していないのです。この研究をすると、不良債権の処理とともに
系列を乗り越えた合併もある社会を作る必要があるのです。この
合併をスムーズにするためには、社会全体の共通な仕組みを作る必
要があるのです。

それではオープン化戦略の基盤は何か??
オープン戦略の基盤とは、ERPやインターネットなのであろう。
ERPという社会全体の共通的な事務手順を覚えれば、どの会社で
もスムーズに就職できることになる。このようにすると、転職コス
トや合併コストが大幅に削減するのです。
このように社会全体で共通化すると、その上での競争になり、コス
トを掛ける差別化が上位概念レベルになり、より付加価値が出やす
くなるのです。このようなレイヤ分けして、下位レイヤを徐々に
デファクト・スタンダード化する方向にある。上位レイヤで差別化
する方向である。この下位レイヤの共通化、オープン化によって、
次のビジネス・チャンスがあるのでしょうね。なるべく、世界共通
化に合わせるか、世界共通化を目指していくしかない。

エコ・ネットは日本独自仕様になっているが、世界は違う仕様で動
いている。このため、世界標準でないため、今後日本の家電は、
世界に売れなくなるばかりか、中国のハイアールなどが世界標準で
安く日本参入される可能性があると思う。

このように世界標準を利用して、その上に新しいアイデアを積み上
げないと社会全体の知的レベルは上昇しないし、日本が新しい物を
生み出さないと、中国の世界標準の安い物で席巻されることになる。
製造台数が違うと、コストはまるで違うことになる。
いい例が、NEC独自のPC98のコストと世界標準のDOS/V
のコストでは、半額な部品もあった。それと、その上に乗せるソフ
トの量が違っていた。
日本や会社独自の規格をオープンにして、世界標準化するか、もし
くは世界標準に合わせるべきだ。
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ソニーとホンダと松下
3社は井深、本田、松下という発想豊かな人が小さな町工場から
世界の大会社にしたのです。この3人の創造性でそうなったのです。
しかし、その創造力を企業文化としているホンダとそれより文化化
の低いレベルのソニー、独創性より企業安定性を選択した松下の違
いが、今明暗を分けているように思う。

日本は価格競争力を失い、家電では中国のハイアールに船井電機も
負け始めた。米国でソニー製品の半額、船井電機の20%安でハイ
アールは売られている。
このため、米国でも日本企業は高付加価値または新しい物を生み出
さないと負ける状態になっている。

井深さんの着眼力はすばらしいものがあった。音の再生しかできな
いステレオ・テープレコーダーを皆が反対するのに推進する。
自分に確固とした思想があったのです。普通の人は反対されると弱
い。
しかし、井深さんのこの創造性のミームは、天外さんとして有名な
土井取締役ぐらいであろうか??AIBOを生み出している。

これに比べて、ホンダは企業全体が本田総一郎のミームを引き継い
でいる。創造的なムダを積極的にしている。このため、ヒット作が
多いし、ロボットにもその成果が出ている。ホンダのような創造的
なミームをどう企業は作るかが、重要になってきた。

この創造のミームがないと、大手製造会社もSI会社も、早晩市場
から撤退せざるを得ないことになる。効率だけを追い求める今まで
の日本企業のやり方はトヨタ以外は市場に受け入れなくなっていく。

そして、世界企業となるためには、独創的な商品を提供していくと
ともに、世界の標準に合わせるか、世界の標準になるかしかない。
日本独自仕様やある企業独自仕様は、主にコスト面で許されなくな
る。


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