822−2.米国の目論見はいかに



米国の中東和平の動向の目論見が、前回のコラム記事とは違う動き
になっているので、検討しよう。    Fより

802−2.国際情勢分析で、
「イラク攻撃にサウジ・ヨルダン・シリアとトルコが反対し
ているし、イランは米国の敵としているため、地図を見ると分かる
が米軍の地上攻撃要員の駐留先はクエートのみになる。」
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1402112.htm
と記述し、このままではイラクとの戦争はできないとしたが、米国
もこの対策に乗り出した。サウジの説得である。

イギリスと日本からしかイラク攻撃の支持を得ていない。このよう
な時にサウジのアブドラ皇太子からの和平提案があり、米国は真剣
に考え始めたのです。
イスラエルのシャロン首相もパレスチナとの闘争に疲れて、また、
国内の支持率も50%以下になっている。無限に続くテロに、国民
は拒否反応を起こしている。しかし、ヨルダン川西岸全体からイス
ラエルが撤退して、干渉地帯を作る構想は本当にできるのか疑問も
でている。しかし、米国にとって、イラクとの戦争をするためには
サウジの米軍基地の使用は絶対的な条件である。サウジとの協力関
係は米国としてはイラクとの戦争開始に絶対的な条件になっている。

また、クルド族を使うとトルコの反対が大きいので、イラク現政権
に反対するシーア派の集団や元イラク軍の参謀長にCIAは接触し
ているようだ。米国はイラクをターゲットにした戦争を本気になっ
て、準備開始した。3月チェイニー副大統領が中東歴訪するが、
その準備にチェイニーの娘を中東和平専任の国務次官補にしてまで
も、自分の意思を貫くようです。もう止められないようですね。

このまま、戦争できない状況を放置すると、ブッシュ共和党政権と
しても、民主党からの批判が起きて、中間選挙で優位性を確保でき
なくなるため、5月までにはイラクとの戦闘を開始しないと持たな
い。さあ、どうなりますか??

これで、当面、北朝鮮攻撃はないですね。交渉時間ができたようで
す。
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アブドラ提案「実現可能性低い」 専門家分析

【カイロ小倉孝保】アブドラ皇太子の和平案は常識的には実現の可
能性が低い。エジプトのジャーナリスト、ホウェイディ氏は「(イ
スラエル側が)バラク前政権ならまだしも、シャロン政権では実現
しない。アドバルーンを上げているだけだ」と分析する。

 そこで取りざたされるサウジの思惑の一つは、アラブ諸国内での
主導権争いに絡んだもの。
 来月末にベイルートで開かれるアラブ連盟(本部・カイロ)の首
脳会議では、イラク問題と並んでパレスチナ問題が中心議題になる
。強圧策を続けるイスラエルに対して相当強硬な姿勢を示さざるを
得ないのが現実で、和平に反対する強硬派が主導権を握りやすい環
境だ。そのため、穏健派サウジは国際世論の後押しでシリアやイラ
クなど強硬派を抑えこむことを狙って和平案を提案した可能性があ
る。

 また、提案が米メディアを通して明らかになった経緯から、サウ
ジの米国向けメッセージとの見方もある。パレスチナ問題への米国
の積極的関与を引き出すために、アラブ側から譲歩の姿勢を示唆し
たというものだ。(毎日新聞)
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■米の事情 イラク包囲に危機沈静必要
http://www.sankei.co.jp/paper/today/internat/27int002.htm
 【ワシントン26日=前田徹】占領地から撤退する見返りにアラブ
諸国がイスラエルと外交関係を樹立するというサウジアラビア提案
をパウエル米国務長官が「重要な一歩」と評価、中東和平交渉に何
らかの前進の可能性がでてきた背景には、米国がイラク包囲網を構
築するうえでパレスチナ危機をとりあえず沈静化する必要がでてき
たためとみられている。三月にはチェイニー米副大統領がイラク周
辺国を歴訪する予定で、その前に道筋をつける可能性もある。

 米国は昨年九月十一日の米中枢同時テロ後、パレスチナ自治政府
のアラファト議長に対しイスラム原理主義過激派ハマスなどの自爆
テロを停止させるよう強く要求するなど中東和平交渉の仲介役を断
念したような姿勢をみせてきた。特にイランからの武器密輸船がイ
スラエルによって拿捕(だほ)されてからはブッシュ政権はアラファ
ト議長に対し突き放したような姿勢を堅持してきた。

 ところが、パウエル長官はサウジ提案がだされると同時にイスラ
エルのシャロン首相、アラファト議長という当事者に加えサウジ、
エジプト、ヨルダンといういわゆる中東の同盟国の首脳と相次いで
電話協議、さらに二十五日には欧州連合(EU)議長国スペインのピ
ケ外相と会談して米欧の意見調整を行うなど積極的な動きをみせた。

 サウジ提案はそもそもイスラエル軍の占領地からの完全撤退とい
うイスラエル側が到底受け入れない条件を含んでいるため実は非現
実的なものとみられていた。にもかかわらずパウエル長官が「重要
な一歩」と評価したのは(1)交渉に何らかの道筋を付ける最後のチ
ャンス(2)反テロ戦争第二段階であるイラク包囲にパレスチナ沈静
化が必要−などの事情が強く働いたとみられる。

 また、チェイニー副大統領が三月に米国のイラク政策を説明する
ために中東諸国を歴訪する予定で、しかもアラブ首脳会議が開催直
前というタイミングもパウエル長官の積極的対応を促したとみるこ
とができる。

2002.02.26 
■サウジ和平案を具体化へ 米国務長官
http://www.sankei.co.jp/html/0226side078.html

 パウエル米国務長官は25日、サウジアラビアのアブドラ皇太子
が示した包括和平案について「重要な一歩」と評価し、危機的状況
に陥っている中東和平を打開するため、同案の結実に向けてサウジ
などと協議する方針を明らかにした。

 国務長官は「数週間以内に詳細を肉付けして具体化する。それま
で和平案の細部についてコメントしない」と語った。3月中旬に予
定しているチェイニー副大統領の中東歴訪や同月下旬のアラブ首脳
会議を視野に和平案を詰めるとみられる。

 国務長官は同日、欧州連合(EU)議長国スペインのピケ外相と
中東問題を中心に協議後、記者団に語った。国務長官は先週末、ア
ブドラ皇太子、イスラエルのシャロン外相、パレスチナ自治政府の
アラファト議長らと和平案などについて個別に電話会談した。

 アブドラ皇太子の包括和平案は、ヨルダン川西岸とガザからのイ
スラエル全面撤退の見返りに、アラブ諸国がイスラエルと外交関係
を樹立することが柱。米政府は国際調査委員会(委員長・ミッチェ
ル元上院議員)の勧告を基にイスラエルとパレスチナ双方に衝突の
即時停止などを求めているが、バウチャー国務省報道官は25日の
記者会見で「いま重要なことは暴力の停止」と述べ、アブドラ皇太
子の和平案を支持する立場を表明した。(共同)
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■米民主党、対テロ戦争を初めて公然批判
http://www.yomiuri.co.jp/05/20020301i311.htm

 【ワシントン1日=永田和男】米民主党のトーマス・ダシュル上
院院内総務は28日の会見で、ブッシュ政権による対テロ戦争につ
いて、「成功がけん伝されているが、長い目で見れば成功は疑わし
い」と指摘、初めて公然と批判した。他の民主党指導者からも同日
、「戦争勝利には超党派の協力が欠かせないのに政権から議会に相
談がない」(リチャード・ゲッパート下院院内総務)、「ホワイト
ハウスにはおごりが見られる」(ジョゼフ・バイデン上院外交委員
長)などと一斉に批判が噴出した。「ブッシュ大統領に対テロ戦争
では協力し、内政面で批判を強める」というこれまでの中間選挙向
け戦術を、民主党が転換させ出した動きといえる。 

 これに対し共和党側は同日、「戦争の最中に大統領を批判するよ
うなことがなぜできるのか」(トレント・ロット上院院内総務)、
「胸がむかつく」(トム・ディレイ下院院内幹事)などと一斉に反
発した。 

 民主党が、これまで“禁じ手”だった大統領の戦争遂行を批判材
料に使うことに踏み切った背景には、今秋の中間選挙を前にして、
景気が底を打ったとの見方が広がるなど、共和党有利の状況が変わ
りそうもないとの判断があると見られる。 

 ロバート・バード上院歳出委員長(民主)は27日の公聴会でポ
ール・ウォルフォウィッツ国防副長官に対し、戦争がフィリピンか
らグルジアなどへ拡大しつつあることについて、「我々は戦争を始
めるのは得意だが、出口を探すのは苦手のようだ」などと詰問。国
防総省が要求する3790億ドルの超大型来年度予算も簡単には通
さない構えを示した。 
(3月1日19:32)


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