820−1.知的社会の苦悩



知的社会に日本もなる必要があるが、この知的社会になるための
苦悩があるようだ。  Fより

知価(知的価値)の特徴は、1に可変的であること。価格とともに
価値自身も変化する。2に予測困難。来年のデザインはわからない。
3に貯蔵ができない。近代経済学の対象にならない。近代経済学は
工業化社会の経済学であり、知価社会の経済学は、新しく作る必要
があるのです。

英国と米国は知価社会の取り組みが80年代から行っているが、
日本は遅れてしまったたために、10年不況になるのです。人口減
少・知価社会に対応した制度、仕組みを作る必要がある。今までの
コラムで文明の成熟度の時間差と言ってきたのも、このことである。

日本が今まで行ってきたのは、ワンセット主義で、ありとあらゆる
産業を持とうとしてきた。これは人口増加期にはいい方法であった。
しかし、この方法は人口減少社会ではムリがある。このため、産業
を選んで、そのための教育を行い、技術を着ける事になる。止める
産業の製品は輸入すればいいのです。それの方が、豊かな生活がで
きる。この例として15世紀のイタリアで実証済みなのです。

もう1つ、江戸時代と同じような賃金と権限と表彰を切り離して、
それぞれを分け与える仕組みが必要でしょうね。江戸時代では、武
士は所得が低いが権限はある。商人は金持ちであるが格式や権限は
ない。貴族は格式は高いが所得も無く、権限もない。というように
である。

そして、知価社会は、知的な価値のある組織しかない状態にするた
めには、社会的な保護や統制はもっともいけないことです。日本の
銀行が無能なのは、保護統制があったためです。まだ、統制がある
業界があるが、これはその業界の無能化を促進するため、なるべく
早く規制緩和や自由化をするべきでしょうね。

もう1つ、人口減少社会では、高年齢でも働ける環境を創る必要が
ある。70歳まで働き、歩いて暮らせる都市を創るため、職住接近
の街にするため、土地の高度利用するしかない。もう1つ、自分の
好きな仕事を選べることが必要であろう。

このような構造改革をする必要があるが、このことは知的社会の苦
悩として、今後、小泉内閣は取り組む必要があるのでしょう。
今の不良債権処理は、構造改革の第1歩でしかないのです。


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