◯ 「日本再生」 『国家戦略』 その11 ★△ 政治家と官僚の改革 △★ 1、構造改革の現状は、不良債権処理や特殊法人の改組(民営化等) が中心となっておりますが、日本の政治の舵取りを司っている中枢 、つまり、「政治家及び官僚」の意識・仕組み・行動規範を革命的 に改革しないと、「日本再生」は絶対に成功しません。政治改革が 極めて肝要だという事であります。 1-1、藤原一門が権力を握っていた平安末期(平家・源氏興隆の前) の朝廷百官、江戸時代の老中を頂点とする幕閣体制、昭和初期から 1945年の敗戦に至る時代の軍人勢力、現在の国会議員及び官僚群の 大部分は、いずれも「国家・国益・国民の利益」の観念意識が極め て薄く、国費(財政支出)を自分達の利益の為に徒に浪費し、財政危 機を招いております。(その典型例が外務省の不正支出であります。) 1-2、過去の権力機構は、武家革命、明治維新、敗戦という、強大な 圧力で強制的に改革が成し遂げられましたが、今回は、穏やかに・ 平和裡に・武力を用いずに、改革を実施しようとしていますので、 最も困難であります。改革の先延ばしは、日本沈没・日本国実質消 滅(海外勢による実効支配)へ直結する道と、肝に銘ずるべきであり ます。 2、構造改革は、国会とその議員が改革を率先実行しないと、官僚 ・企業・国民は追従致しません。既に選挙制度の抜本改定を提言い たしておりますが(日本再生2001年7月号と8月号ご参照)、現在でも 実行可能な改革を、以下に述べます。 2-1、大臣・副大臣・政務官を選任する場合、官僚が書いた政策や答 弁を朗読するのではなく、自分の言葉で発言できる人材に絞る事が 肝要であります。これが、官僚に対する政治の優位性を確保する(政 治主導の)根幹で、実力の伴わない中堅若手の国会議員を副大臣・政 務官に任命し、数だけ揃えただけでは、官僚から独立できず、面従 腹背される基となります。 2-2、国会議員の中に、前項の条件(官僚から乳離れできる事)に該当 する人材が見当たらなければ、国会外から任命すべきであります。 現在は既に、政党・団体・企業・大学・官公庁等から離れ(直接の 影響を受けない)、野に下って現世欲や現世の利害は希薄ながら、高 所から世界の動向を見渡す能力を有し、国家国益のため頑張ろうと の志(ココロザシ)に燃える人物が最適であります。 2-3、「△△委員会での一人の党代表質問に全大臣が並びます。同時 刻には衆参合わせて、たった一つの委員会しか開催できません。当 該委員会に出席していない多くの議員は、その時間帯は国政から離 れていますが、歳費はもらっています」。かかる仕組みは、非能率 で歳出の無駄使いであります。 これに替えて、四百数十人の衆院・二百数十人の参院の議員全員 が、事前に自分の意見・主張を自分で書き電子メールに託して、他 の各議員・内閣官房・各官庁・マスメディア等々に送信します。 内閣等は、これに対して電子メールで回答(答弁)します。採決も電 子メールで十分可能であります。 2-4、議員全員の質問・意見開示・提言が可能となれば、常に国会議 事堂付近に居住する必要性が薄れますし、党を造って代表質問に頼 らないと、自分の主張・考えが伝わらない非効率さも無くなり、「 国家国益・国民の利益」の為多くの時間が取れるようになります。 政党を廃止すれば、議員は党の為に時間を削いたり党拘束で悩む事 は不要で、事案毎に弾力的対応が可能となり、改革を短時間で実現 し易くなります。 2-5、海外勢から見ますと、日本の政党の殆ど全部は、五十歩百歩で 大差ありません。同一コップの中の争いに過ぎません。言った言わ ないで、予算員会等でお互いに足の引っ張り合いを続けるが如き論 争は、国費を浪費しない国会外でやるべき事であります。国会議員 がこんな態度では、日本沈没を早めるばかりであります。 2-6、大臣・副大臣・政務官や国会議員は、電子メール配信を希望す る国民に、自分の国家国益に対する意見を、毎日の行動日誌と共に 常時送信して置きますと、国民との意思の疎通が図れますし、選挙 の際の有力資料となります。 2-7、大臣や国会議員は、日本国家全体の為に、活動して頂く必要が あります。支持者(次の選挙で投票してくれそうな人々)の為に働く 存在に成り下がれば、族議員や政党団体の下僕になる外ありません。 各国会議員の選挙区を選挙の度に、これまで利害の一切なかった 場所に変更し、政党等圧力団体の応援を一切禁止すれば、国益を忘 れて自分の地域に公共投資を誘導したり、自分の出身母体の為に国 費を流用するが如き弊害は一掃されます。 3、官僚(中堅幹部以上の公務員、中央官庁では課長補佐以上を指し ます)は、私利私欲を一切捨てて頂く事が必要となります。国の中枢 (政治家と官僚)に、個人的・身内的・派閥的欲望の強い人物を選ん でいては、日本国家の危機を招聘します。(日本再生2000年11月号― 政治指導者をご参照) 3-1、金銭の好きな公務員は、民間で事業活動をするか、タレント的 才能を生かすかとなります。私的権力欲の強い人は、自分で創業し ワンマン社長を死ぬまで続けるか、権力欲の実現可能な発展途上地 域へ、移住して頑張るのが一番であります。いずれにしても、まず 我が国の官職を辞す事が前提であります。 3-2、一人前の官僚に昇進するには、その前5年間の行動日誌(国益に 如何に貢献して来たか)、今後の国家・国益に対する考え方・行動指 針を提出してもらい、日本国を支える中枢人材として体力・智力・ 意力・胆力・徳力が適しているかを審査します。審査員は、日本国 を愛し世俗的欲望を離脱しており、大局的人物判断ができる人とす る必要があります。 3-3、公務員試験成績優秀の効果は、一定枠内の能力が発揮できる係 長止まりとなります。学力優秀者であれば、前項の五つの「力」を 体得しなくとも、そのまま幹部までトコロテン式に成り上がる現在 の仕組みは、断固廃止すべきであります。