814−1.日本の普通の国化



日本特殊論の結末が近づいている。この問題を検討しよう。Fより

日本は特殊であり、米国とは違うという論調があった。今でもある
。よって、日本は規制緩和はしない。構造改革はしない。米国は
日本を陥れていると。
しかし、日本人もやはり、欧米人と同じで豊かになると、贅沢をし
て、かつ働かなくなっている。どんなに忙しくても、9時には帰ら
ないと、超勤時間が規定の時間を超えてしまい、労働基準監督所の
手入れがある。土曜日も勤務できない。昔は、労働組合の仕事が今
は、政府の仕事になっている。

このため、労働組合の組織率が下がることになるが、しかし、中国
は忙しいと夜12時や徹夜もしている。土日もない。このため、
日本で3ケ月かかるものが、1ケ月以内にできて、かつコストは
5分の1になる。そして、日本から仕事は中国に行くことになる。
政府は仕事を日本から奪い、中国にシフトさせているのです。この
ため、労働者は、首になるのですが、日本の労働組合は超勤時間の
長期化は言えない。このため、賃金ダウンとなるのです。仕事は
日本にあるのですが、主に納期の問題で中国シフトがおきているの
ですよ。コストより納期の問題が大きいことに注意。

このため、仕事がなくなるという自業自得の状態になっている。
政府も同じ。しかし、政府は企業が悪いというが、企業としては、
中国にソフト開発やアセンブリの仕事をシフトしないと、競争に負
けてしまうのです。日本の研究開発部門も、効率が悪い。なぜか?
いまやソフトが絡んだハードであるため、ソフト開発の早さが勝負
になっているのです。その部分は、日本では遅すぎるためです。
もう1つ、中国や米国にシフトしないと、日本では優秀な人員を
中途採用できないため、異分野との融合製品ができないのです。

米国でも同じであるが、サービス業に製造業を辞めさせられた労働
者を収容したのです。このため、鉄鋼や造船や重機械工業が負けて
も、ある程度の職業を確保したのです。このため、レーガンは、
規制緩和をして、サービス業を自由化し、仕事を創るのです。政府
の仕事もできるだけ、民間にシフトしたのです。日本の特殊論は、
製造業が国として優勢であり、これを守るためにそうしたのです。
外資がサービス業に進入しないようにするため、日本人の胃腸は長
いから肉食には向かないなどと、屁理屈を言っていたのですね。

しかし、日本政府は日本の優位性がある製造業の競争力を壊してし
まう。TQCを世界に教えてしまう。しかし、次の競争力の源泉を
創ろうともしなかった。まともな産業政策がない。このため、今の
日本の沈没があるのです。どうして、日本の現実を直視しないで、
米国の陰謀説や中国の没落説を言うのかサッパリわからない。

米国を見、中国を見ないで、論評しているバカな評論家、特に保守
派の評論家に惑わされるのは止めよう。中国で儲けている日本企業
が多数ある現実を無視して、中国に騙されるというのはよくない。
失敗する企業も、成功する企業もあり、その内から失敗した企業の
例だけを取り出して論評している。米国企業が多数中国に進出して
いる。この企業の現実も知る必要があるが、その努力もしていない
。もう、日本特殊論や中国ダメ論は止めて、いいかげん現実を直視
したらどうかと思う。

革新系の評論家は、安保体制でまだ一国平和主義を取っている。
これも冷戦時の一時的な環境が許したことであり、冷戦崩壊、米国
覇権確立時には、そのようなことはできない。米国に逆らうことは
お国の取り潰しになる可能性があるし、経済封鎖を受けて、国民が
塗炭の苦しみを受けることになるのです。ユーゴしかり、北朝鮮し
かり、イラクしかり、です。反米を主張することはできないと思う
必要があるのですが、まだ分かっていないようです。
この見解も、一種の日本特殊論ですから、左右の特殊論が崩壊して
日本も普通の国家になるしかないのです。
普通の論理的な思考をする必要があるのです。政府も政治家も国民
もです。


コラム目次に戻る
トップページに戻る