802−1.阿部氏の軍隊無用論をよんで



2.4付795ー2号の阿部氏の軍隊無用論をよんで、
「これでは、堪らん!」と、侵略の現実を書きましたが、長くなっ
た。 秋好

非武装論は空論、改憲は必要---秋好 
1.非武装の命令と再軍備の命令と
マッカーサーが日本を骨抜きにするために、非武装の憲法を押し付
けたのが事実なら、吉田茂がこれを利用して軍事費負担をせず、経
済成長レールを敷いたのも事実です。 15年に及ぶ軍部独裁で、戦
争や国家主義に懲りた日本国民がこの平和憲法に縋り、自由と経済
復興に専念した----。
しかし、南鮮から米軍が引き揚げた途端に、金日成が南を侵略して
来たので、在日米軍が南鮮へ「防衛戦争」にでかけた。 
米軍不在の日本で、共産革命が起こっては大変と、マッカーサーは
「警察力では不足」とみて、予備隊を創設させた。 これがのち保
安隊となり、自衛隊となった。
無論、非武装を規定した第9条に違反しているから、違憲である。
マッカーサーから見れば、日本憲法なんか、ただの文章でしかない
から、「あれは戦力なき軍隊じゃよ!」などと、詭弁を弄する吉田
の苦労など知った事じゃない。

2..日米軍事同盟
日本国内の暴力革命には自衛隊ぐらいで間に合うが、もしソ連あた
りが攻めてきたら、自衛など出来ないので、吉田は米軍に駐留して
貰うことにしたのだ。
「駐留させるから、講和条約を結んで、占領をやめ、独立を回復さ
せてくれ」ということだった。 そして、日本は独立国に戻ったの
だが、軍事同盟である「安保条約」を結び、反共:自由陣営の旗印
を高々と掲げたのだった。
一方、容共派の社共が国民の3割程の支持を得たのは「自衛隊は違憲
なり」という、子供でも判る正論と、「平和愛好国」のソ連などが
攻めて来るはずがない!という楽観論による。 自民党は改憲した
かったが、それを言えば国民の支持が過半数を割る、と考え、「解
釈改憲」という、2度目の詭弁を弄する事と成った。
国民多数は経済政策では自民党支持だが、軍事戦略では社会党支持
だったのだ---もう、「戦争は懲り懲り、どちらの陣営にもつきたく
ない」から、「非武装中立」の理想を求めて、市民の大半が安保反
対闘争に立ち上がったのだった。
だが、日本史上、最大の大衆闘争も、農民の支持がなかったので、
岸内閣を倒したに留まった。 そして、次の内閣も農民の支持がな
かったので、社会党が取れず、やはり自民党の池田となった---吉田
学校の優等生である。

3.侵略と征服
第2次大戦後、どれほどの侵略が行われたことだろう----
パレスチナ戦争では、エジプトはじめアラブ諸国軍がイスラエルへ
朝鮮戦争では、北鮮軍が韓国へ、
東欧の自由化運動で、赤軍はハンガリー,チェコへ
ベトナム戦争で、米軍はベトナムへ
アフガン戦争で、赤軍はアフガンへ
チベット暴動で、人民解放軍はチベットへ
湾岸戦争で、イラク軍がクエートへ
-----侵略に成功したのは、東欧とチベットだけだが、のち東欧は
ソ連自壊で解放されたが、チベットはインドに亡命政府を建てて中
国による征服を認めていない。 
阿部氏が2.4:795-2号で「大戦後、侵略戦争を仕掛けることは事実
上、不可能」というのは、大いなるカン違いである。 

4.憲法改正の必要性
自衛隊が軍隊であることは、陸自の富士演習や海自の観艦式を見る
までもなく、誰の目にも明らかである。 「戦力なき」も嘘なら、
「飾り物」でもなく、レッキとした現代科学で装備された国防組織
である。 これを「合憲」とするのは、コートを着て歩いている女
性を見て、「ヌードだ」と、言っているようなもの。
子供に憲法を教えて、「それなら、あの自衛隊は憲法違反じゃない
の?」と、聞かれたら、「いや、自民党が違反じゃない、といって
いるから---」と答えるのか?
私は以下のように答えたものです----
「自衛隊は確かに違反だね。 でも、憲法の方が世界の現実を無視
しているので、そのうち改正されるよ。 現実はとても、"平和を
愛する諸国民の公正と信義"に信頼できる状態ではないのだからね」
と。
各地の戦争、動乱、北鮮のテポドン,スパイ船その他、世界の現状を
テレビで知っている子供は納得している。 納得するしかないでは
ないか。

5.核武装は無用
むろん、改憲で防衛庁が国防省に昇格したり、原爆を持ったりする
ことには反対、という。 これも、当然と思われる。 なぜなら、
「庁である」現在でさえ、世界の10指にはいる軍事予算を使ってい
るし、唯一の被爆国民であり、なお原爆はもはや「武威」以外には
使えぬ兵器になってしまっているからだ。 あれだけ、原水爆を持
ったソ連が1発も使えないで、米国との「冷たい戦争」に敗れてい
るのだ。
中国が核武装を進めるので、座視できなくなったインドが核武装し
たら、「ヒンズーの核」には「イスラムも核」をもつ、とばかりに
パキスタンまで核武装してしまった。
 -----使えるはずもないのに、愚かな貧乏国(の為政者)たち! 
「平和を愛する諸国民など、どこにいるのか?」
と,護憲論者に反問したくもなる。 かの永世中立を世界に認めさせ
ているスイスでさえ、針鼠のように武装しているのが、世界の現実
なのだ。
また、米国での冬季五輪では、選手の4倍もの官憲でテロ対策をして
いる------これが、残念ながら、世界の軍事状況なのだ。

6.平和ボケからの目覚め
 小泉総理は平和ボケから覚めているので、アラビア海へ駆逐艦を
派遣して、米国に一言も言わせなかった。 (あれを、護衛艦と偽
称しているのは、軍事アレルギーの左翼対策なのだ) 総理が断固
たる国家意思を示せば、部下たる役人も褌が締まり、海上保安庁は
今度はスパイ船を逃がさず、海防の実を挙げた。 
 W杯では、警察庁が万全のテロ、フーリガン対策を練っている----
日本も平和ボケから急速に目覚めつつあり、嬉しいかぎりです。
 ともかくも、法の法たる憲法が平和ボケのままでは、子供の教育
も大人の道徳もどうにもならないだろう。 史上空前の豊かさなの
に、イジメや汚職が後を絶たないのは、カネはあっても誇りがない
からだろう。 誇りの根源が「誇れる国家」にあることは自明の理
だと、思われるのだが-----。         2.6
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Re.「日本に軍隊は無用かつ不要」   T・Yより
 
世界最強の米軍が日本に駐留している限り日本には飾り物(自衛隊
)以上の軍隊は不要との阿部さんの意見に反論します。
 
阿部さんが指摘される「軍隊」とは具体的に如何なるものか不明で
すが、単独で日本への侵略を阻止できる程度の戦力(通常戦力以外
に核戦力も含むのか?)と理解した上で話を進めさせていただきま
すが、私も、もし上記のような戦力を言うのであれば、特に核戦力
を含める場合、不必要な戦力(今後の外交政策の上からも)である
と思います。
 
ただし、阿部さんと違う点は、日本は日米安保体制を前提とした上
で、今後も(今でも自衛隊は相当の戦力を保持していると思います
が。)必要な通常戦力を保持することが重要であると考えます。
 
その理由の第一は、世界最強と阿部さんが言われる米軍でも、日本
への来援プロセスから考えると、必ずしも完璧ではないからです。
 
(ここでは、当面と言うよりも、中・長期的な視点で述べさせても
らいますが)
現在の在日米軍は、基本的に司令部等の指揮機能が主体ですが、日
本への侵略が予想される、または現実に侵略が行われた場合、主と
して米国本土(ハワイ、グアム島も含め)から戦闘部隊を空路、ま
たは海路から戦略輸送することになりますが、それに有する期間は
、湾岸戦争におけるサウジへの戦略展開を見てもわかりますように
、数週間から数ヶ月を要すると考えられます。
(もちろん、その間、第7艦隊等をもってある程度の抵抗を図るで
しょうが、軍事技術、特に情報関連技術、巡航ミサイル等の精密誘
導兵器の今後の発達によって、それらの敵部隊を破壊しない限り、
空母を中心とする空母機動グループは極めて脆弱と成る可能性があ
り、おいそれと第7艦隊だけで敵の制海・制空圏内に突入すること
は困難です。)
 
その米軍の来援兵力が日本国内に戦略展開するまでの期間が、もし
、日本がある程度の通常戦力を保持しない場合、極めて危険となる
のです。
日本に侵略する国は、その期間のうちに、日本国内における主要な
港湾、空港等を含めた戦略的に重要な地域を占領し米軍の来援を阻
止するか、あるいは、その期間のうちに日本の重要な都市等を占領
した上で交渉にはいることができるのです。
 
また、抑止論からも、上記のような抵抗のラダーに空白がある場合
は、抑止が機能しないことは、冷戦時代における核戦略抑止論の推
移(特に大量報復戦略から柔軟反応抑止戦略への転換)を見ても明
らかです。
 
米国が、今後、平時における日本への駐留戦力を増強しない限り、
米軍の来援のみに期待するのは困難です。また、危機が訪れてから
侵略以前に米軍が来援することも、例え情報収集機能が強化されて
も敵の意図を読みとることには不確定要因が常に含まれるものです
から(例えばイラクのクェート侵略の企図判断の誤り)、今後も十
分ではないでしょう。
 
理由の第二は、非通常型戦力、特に特殊部隊等による日本への侵略
に対しては、恐らく米軍ではなく、日本独自の戦力で対応すること
が求められるからです。特に北朝鮮が暴発する場合、在日米軍基地
、あるいは、日本の政経中枢への攻撃は、多数ではないにしても、
ある程度の規模の攻撃の可能性があるのではないでしょうか。その
際に、先の米国本土でのテロでのわかるように、極めて効率的に破
壊活動を実行できるのです。
そのためには、警察では対応が困難でしょうから、日本独自の通常
戦力が必要となるのです。この際、守る側は、敵がどこに襲撃する
か分からないわけですから、主要な施設等に戦力を配備する必要が
ありますが、相当の規模の戦力が必要でしょう。
 
このように、日本が見せかけの戦力を保持しているだけでは、何ら
日米安保体制(に基づく日本防衛は)は堅持できないのではないで
しょうか?
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日本に軍隊は無用かつ不要と仰る阿部@イジャペルさんへ

いくつかお尋ねしたいことと、私の考えを述べさせてください。
阿部さんは「第二次大戦のような正規軍同士のぶつかり合い」を想
定しているようですが、現在は対ゲリラ戦のようなものが主になり
ます。この間の北朝鮮の船との銃撃のような。

以前は民間人の暴力には、警察が対応し、国家の暴力には軍が対応
するという棲み分けができていましたが、最近はそうではない。民
間?の暴力も凶暴、凶悪、重武装になっているので、警察には対応で
きない。軍が対応する場面も増えるのではないか。そのためにも軍
は必要でしょう。もちろん最低限の。

阿部さんは「日本は米国と軍事同盟を結んでいるので攻められない
」と言いますが、これは予想と言うより「願望」でしょう。「攻め
られないで欲しい」という。
9.11のテロのように、世界最強の米国だって何度も攻められるので
す。それもゲリラに。その対策は日本では誰がするのですか。現代
は「正規軍同士の総力戦」はあり得ないでしょう。しかし、ゲリラ
との戦いは続くでしょう。

阿部さんの論では自衛隊と日本軍の定義も曖昧です。どうやら阿部
さんは「自衛隊=専守防衛」で「日本軍=侵略軍」と位置づけてい
るようです。しかし、世界中の全ての軍隊は自国の防衛のためにあ
るのですよ。自衛隊と呼ぼうが日本軍と呼ぼうが、基本的には自国
の防衛のためにあるものだと思います。

ken@千葉


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