798−1.スティグリッツの公共経済学



今回は、スリグリッツの公共経済学を勉強しよう。  Fより

今、市場経済万能の意見が多いが、どうも資本主義の個人利益最大
要するにエゴの部分には限界と、デメリットがあるということが分
かっている。このため、政府や公共の役割を明確にして、全体の社
会のバランスを調和させる必要があるということであろう。

市場主義に対する不満としては、希少性からくる財、サービスの価
格の問題がある。皆が必要であるが、値段が高い。これは医療では
明らかで、病気の薬が高いと、直るものも直らない。このため、
政府が関与する必要がある。医療保険制度ですが、政府が市場に関
与しすぎると経済性を無視した政策や高度福祉国家というような市
場を無視した政策を打ち出すことになる。どこまでを公的サービス
にするかが問題になる。

市場への不満の2つ目が、資本家と労働者の所得分配に関する不満
であろう。これは米国でもアルゼンチンでも中産階級が没落して、
二層(高収入層と貧困層)に分化してしまっている。このため、市
場経済に政府が関与して再分配の仕組みを作るしかない。しかし、
あまりに関与しすぎると、効率性を損なうことと、資本蓄積ができ
ないために新規事業ができいことになる。

言い直すと市場経済万能であると、
good 生産的であり、効率的
bad  貧富の差の発生
である。

政府の役割は所得再分配を行うことであり、たとえば社会保障政策
であろう。問題点としては分配次第によっては経済のインセンティ
ブが弱められ、経済の生産性が低下することである。

市場への不満の3つ目が市場が経済効率性を生み出す機能そのもの
を果たしていない場合がある。これを市場の失敗を言うが、経済の
安定化が崩れる。たとえば、失業の増大や完全雇用時でも競争が限
られている場合、外部性がある場合、公共財がある場合、市場が欠
落している場合、情報が不完全な場合などでは、不公正な取引にな
る。このため、政府の役割としては経済活動の行き過ぎた変動を避
けるための努力をすることが求められるのです。 

競争の欠如の問題であるが、企業による競争回避の対策として、
政府による反トラスト法や公正競争法の法律の成立が必要である。

外部性とは、個人または企業がある行動をとるときにすべての費用
を負担しないか(負の外部性)、あるいはすべての便益を享受しない
(正の外部性)ときに発生する現象のことで、たとえば負の外部性と
しては、大気汚染を引き起こす工場があり、この対策として環境規
制法などを作る必要がある。
また、正の外部性としては発明があり、この保護として特許やその
関連法がある。このような法が国家として必要となる。

公共財とは利用する人が増えても追加費用がかからず(非競合性が
ある)、また利用する人を締め出すことに大きな費用がかかる(非
排除性がある)ような財のこと。たとえば国防である。

純粋公共財としては追加的利用者にそれを提供するために必要とな
る限界費用が厳密にゼロであり、かつ利用しようとする人々を排除
することがまったく不可能な財のこと。

フリーライダー(ただ乗り)とは公共財にお金を支払うことなく、
その財からの便益を享受する人のこと。純粋公共財の場合には、
それを使用しないように誰かを排除することが困難であるため、彼
らはその財から便益を得ていたとしてもそのための代金を支払わな
いようにしようとするインセンティブを持つようになる。 

欠落した市場とは財、サービスを売買することができる市場がない
こと。たとえば政府による失業保険、傷害保険、公的年金の供給以
前の市場である。これは市場が存在しないことによって、それを補
完する政府活動の必要性を高めることになる。

市場の失敗を超えて
消費者主権の原則とは、各個人は何が自分の経済状況を向上させる
かを最もよく知っているという考え方であり、その原則を重要視す
る必要がある。
価値財・メリット財とは、人々が自分自身でそれを望んでいようと
いまいと、政府がそれを良いものと決めた財、サービスのこと。
たとえば麻薬禁止や子供の就学の強制である。


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