793−2.サンノゼ事情とベンチャー



今回の出張は、ITバブル崩壊とテロ以後の米国を見ようとして、
サンノゼに来た。それと、ある提携しているベンチャーのセールス
ミーティングに外部の人間も参加できるというので、この会議にも
出席した。   Tより

サンフランシスコに日本航空の便で行ったが、満員であった。この
便は昔から混んでいるが、しかし、テロ以後は空いているはずと思
っていた。この理由は、他の乗客から知ったのですが、アメリカン
航空のキャンセルが続発していて、その振り替え客があったのです。
新婚の夫婦はシカゴに行くのにアメリカン航空を利用しようとして
、キャンセルになり、コードシェアリングされているAA便、日本
航空便でサンフランシスコに行き、そこでシカゴ行きに接続すると
のこと。アメリカン航空を利用される方は、注意が必要ですね。

米国入国はテロの影響で、非常に時間がかかった。しかし、ビジネ
スで、かつ、セールスミーティングに参加するベンチャー企業の名
前を言ったら、直ぐに入国OKになった。ホテルに着いて、まず初
めに、行きたいと思っていたパロアルトのスタンフォード大学に行
った。この大学の構内は広く、緑が多い。行った日が日曜日であっ
たためか学生もいないので静かである。スペイン風の色に統一され
ているのがいい。

このスタンフォード大学はベンチャー企業を多く生み出しているこ
とで有名である。今回ミーティングに参加するベンチャー企業の
従業員の多くも、この大学卒業生であると思う。
サンマイクロシステムズ、シスコシステムズ、ヤフー、ネットスケ
ープ、シリコングラフィックスなどで、最近もネット検索のグーグ
ルがスタンフォード大学から生まれたベンチャーである。

このようにスタンフォード大学は、インキュベーターのような機関
である。スタンフォード大学は1939年創業したヒューレット・
パッカード(HP)の創業にフレデリック・ターマン教授が2人の
アイデアを実現するため銀行への融資の依頼の走り回って、創業に
多きな影響を与えたのです。この後、東部の名門ハーバードやエー
ル、MITと同格にまで格付けが上がり、東部の大学がスタンフォ
ード大学のシステムを真似している。スタンフォード大学は、産学
協同で、かつ教授の評価がはっきりしている。どう民間からの金を
集めるかが評価ポイントである。それは研究委託が多いのです。
企業はスタンフォード大学に基礎研究のアウトソーシングをしたと
捕らえているようだ。それと、優秀な学生の確保のためであろう。
このスタンフォード大学のシステムを日本の大学も真似てほしいも
のである。

スタンフォード大学の後、ショピングセンタに行ったが気候もこの
シーズンとしては寒いし、雨も多いが、センタ自体も寒々した印象
である。店も所々閉店していて、やはり消費がこのパロアルトでも
落ちているように思う。ITバブル崩壊は確かにあると思うが。

ベンチャー企業のセールスミーティングに参加したが、時々、これ
は社外秘であると言う事を営業トップが言うが外部の企業も参加し
ている。この言葉は秘密を教えているという意味であろう。勿論、
このミーティングしか、世界的にこの企業の営業担当者が一同に集
まることはないので、この企業の営業担当は積極的に技術担当や他
の国の営業担当者と情報交換をしている。特に会議の間に10分程
度の休憩や朝食・昼食があるが、この時間はそれに費やしている。
このため、次の会議がよく遅れることになる。朝は7:30から朝
食開始、最初の会議が8:30と米国の朝は早い。

やはり、セールス・ミーティングであるので、2002年のセール
ス目標は高く、営業トップや会長・社長の激励は、非常にセールス
パーソンには厳しいものがある。特に2001年売上げの目標に達
したのは世界で2名しかいないと公表されて、1名は新しく営業ト
ップになった役員であるので、もう1名はだれかと話題になってい
た。2002年も厳しいようだ。日本の期待値も高く、大変だと
日本担当の営業トップが嘆いている。また、新製品の価格も発表さ
れたが、これも内部検討が終了しているのであろうが、社外秘にし
てと、ある営業担当からクレームが着いていた。

日本対応サポートに去年、黒人が着任した。この人のプレゼンテー
ションは、非常に優れていた。また、この人は日本人と同程度の細
やかさでクレームに対応するので信頼感が高い。その理由もわかっ
た。
長年、アムダールにいて、日本の企業と交渉していたので、日本人
がどう考えるか知っているようである。日本にも、数十回以上来て
いるため、日本語を話さないが、ある程度知っているようである。

ミーティングは、最新動向を教えてくれるので面白い。時差ぼけも
あり、15:00になると眠たくなるし、夜の3:00に起きてし
まう。そして、すこし気を抜くと、英語が聞こえなくなるので困る
が、米国と日本の技術差がだんだん解消しているように感じる。
システム提案では日本より遅れているように感じる。まだ、電話線
での接続を中心にしている。日本ではADSLでのインターネット
接続がメインになっているし、PPPは日本では当たり前であるの
に、米国ではサポートされていない。

日本は、現場から問題を見る。米国は論理的に問題を見る。このた
め、新技術の当初は米国の論理性がいいアイデアを出すが、現場か
らの意見をあまり取り入れないために、後半になると日本の現場か
らの意見を入れる方がいいアイデアを生むことになる。この置換り
の時期に日本と米国のIT分野がなっているのを感じる。


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