786−1.エネルギーから見た文明と戦略



こんにちは、Fさん
私の立場は相変わらず「文明論からの戦略」です。
こっちの見方が一般受けするのかも知れませんがどうでしょうか。
                   MOND
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エネルギーから見た文明と戦略

 A・トインビー流の文明論から一転して、エネルギーを中心とし
て時間軸を過去・現在・未来と一方通行とした見方が出来る。

 遠い昔より人類は火の使用法を覚え、冶金技術をマスターし、今
日に至る。イギリスに始まる産業革命までは薪炭使用が主であった
。産業革命に先立ってイギリスではコークスの使用をはじめとする
石炭の使用が始まった。石炭の普及はその利用法の拡大を促し、蒸
気機関の発明に繋がり、石炭の消費は飛躍的に伸びた。19世紀は
石炭を中心とする蒸気機関と石炭化学の時代であった。イギリスは
世界の工場といわれ、覇権国であった。

 20世紀初頭にガソリン利用の内燃機関が発明され、ディーゼル
エンジンと共にガソリンエンジンは自動車、飛行機、戦車、船舶等
にその利用が広がり、20世紀は電気と共に石油化学の時代であっ
た。20世紀は大きな戦争は起き、その中からアメリカの支配が拡
大していった。

 20世紀の後半には天然ガスの利用が広がり、一部には原子力発
電が発電の主要な方法の一つとなった。天然ガス時代のエンジンは
「タービンエンジン」である。そして「C1化学」が勃興しつつあ
る。

 21世紀初頭の予測では、天然ガス利用の水素発電が巨大な発電
所を駆逐し、また、風力発電や波力発電、太陽光発電が一般化する
と言われているがどうであろうか。

 薪炭から石炭、石油、天然ガスと変遷してきたエネルギーである
が、それを支えてきたのは絶え間ないエネルギー効率の向上への研
究開発である。それはまた、結果的に一貫した煤煙の減少を伴って
いる。エネルギーのクリーン化も進んだが、それはいま流行の環境
保全のためではない。熱効率の一貫した向上が経済的に有利である
という理由によるものであったのだ。

 炭素の固まりである不純物の混じった薪炭から天然ガスの「C1
」へ一貫して炭素原子の減少方向へエネルギー利用は進んでいる。
究極には水素エネルギー(Cゼロ)の利用へ進むのではないだろう
かというのが一般的な見方である。

 石油を支配したアメリカが現在の覇権国であるが、もし海底のメ
タンハイドレート利用などが一般化すれば石油エネルギーは過去の
ものとなり、イギリスの覇権が凋落したように、アメリカの覇権維
持は困難となる可能性がある。あるいはトリウム原子力発電を組み
合わせた水素エネルギー体系へエネルギー文明が移行するなら、ウ
ラン鉱石の偏在性を克服できて、これまた覇権構造の変革を促すこ
とになるだろう。

 そこに日本のエネルギー戦略を構築する方向性が見えてくるので
はないだろうか。

 最後に風力発電などに未来を夢見る人たちがいるが、残念ながら
将来性はないだろう。本命ではない。利用しようとするエネルギー
密度が小さ過ぎて、ものにならない。(ただし、偏西風帯にあって
常時風が酷いオランダ、ドイツあたりなら多少経済的にペイするの
かも知れない)
(馬野周二氏の論文「石油エネルギーの幻影」を借用)
                          MOND
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(Fのコメント)
MONDさんの論理は、非常に面白い。Cの数が減る方向にあるの
は確かですね。やはり、水素エネルギー社会を目指す必要があるで
しょう。

しかし、水素エネルギーは、扱い方が難しい。このため、水素貯蔵
をどうするかが問題なのです。液体にするためには絶対0度近くま
でする必要があり、貯蔵合金では重たい。

水素エネルギーを電気に変える方法は燃料電池でできるし、この
燃料電池が自動車に普及すると、値段も大幅に下がるのです。

水素を生み出す方法は、太陽光発電、風力発電、トリウム原子力発
電、メタンハイドレートからの水素取出しなど、いろいろな方法が
あると思う。

水素は燃やしても、水になるだけで、公害問題を起こさない。

このコラムにはYSさんの燃料電池の特集がある。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak3/1301282.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak3/1302053.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak3/1302102.htm

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