782−2.9.11テロルの意味



mond
9.11テロルの意味

 かつて古代ローマ帝国が文明世界の香りを四方八方に撒き散らし
ながら、蛮族を従わせ、領土を拡大していった頃があった。古代ロ
ーマ帝国の盛時には、北はイングランドやライン川までその版図を
拡大したが、兵站線が伸びきって蛮族との力の均衡から膠着戦線状
態になり、自然とそこが国境となり始めた。文明の影響の境界が形
成され始めたのである。

 文明史家のA・トインビーは文明圏外の蛮族を外的プロレタリア
ートと名付け、文明圏内に取り込まれ、なおかつその文明から疎外
されて違和感と絶望感のなかで面従腹背となった蛮族たちを内的プ
ロレタリアートと名付けている。古代ローマ文明が衰亡し始めると、
このプロレタリアートたちが、いわゆる「ゲルマン民族の大移動」
をはじめて古代ローマ帝国が崩壊していくのである。

 現代に戻る。オサマ・ビンラディンというテロリストの黒幕の指
令によって今回のテロが行われたのだという。いまや、外的内的を
問わず、疎外されたプロレタリアートたちがテロリズムを武器に欧
米文明に立ち向かいつつある。この傾向は今後の主流になるだろう。

 アメリカなどの欧米文明世界の支配的階級の住人は、決してアラ
ブや他の文明に住する人々の苦々しさや絶望感を理解することはな
いだろう。

 彼ら欧米の支配階級に属する者たちは、我々日本人やロシア人、
中国人、インド人などの気持ちを判らないだろうし、面従腹背の内
的プロレタリアートを拡大再生産し始めていることに気付いていな
い。これは貧困が原因とかそういう問題ではないだけ、大変根の深
い問題だ。要は欧米文明は世界を搾取しすぎた。

 21世紀初頭、アメリカがアフガニスタンを攻略し世界中のテロ
リストを根絶やしにする作戦に乗り出すのだという。
 古代ローマ帝国ですら寄せつけなかった「蛮族」の世界が、この
現代にテロリストという形で、その姿を現し始めたということの意
味は、いよいよ西欧文明の伸びきった限界線がそこに出来てきたと
いうことであり、西欧文明への反撃の出撃基地が出現し、外的プロ
レタリアートとしてのアラブ世界や、内的プロレタリアートとして
の、どうしても西欧文明から差別され続けている民衆の恨みが、行
動化されつつあるということにいよいよ気付かされてきたというこ
とを意味する。

 世界の発展途上国の中で真の発展途上にある国家群は東南アジア
と東アジアに偏っている事実がある。ここは日本の影響力が強い地
域であり、一方、発展しない国家群に影響力が強いのは欧米の勢力
範囲であるアフリカや中南米である。おそらく欧米は収奪したまま
放置しているに相違ない。欧米文明は世界へ侵略を開始して以来、
収奪をこととし、他文明を援助するなど考えることはないに違いな
い。
 
 たとえばペルーがハイパーインフレに困っているとき、フジモリ
が選挙に勝って出現し、その手腕によって、すばらしい経済復興を
遂げた。日本は大いに援助したものだが、アメリカは喜ばず、陰謀
の果てにフジモリ大統領を追い払った。欧米の考え方では西欧人以
外に優秀な民族がいたのでは困るらしい。

 彼らは自分たちの侵略は「神より与えられた明白な使命」である
といい、自分の植民地が危うくなると「侵略」であると断じる。こ
れはシナ人が植民地を奪いとることを「解放」といい、解放される
ことを「侵略」というのと同じである。日本人はこんな簡単な言葉
の使い方にも気づかず、いまだに恐れ入ってボーッとしている。

 この先、欧米文明の覇権国であるアメリカには二つの道があると
思う。この様なプロレタリアートの反乱を未然に防ぐために、アラ
ブ世界や他の文明に対し、謙虚に援助の手を差し伸べることである。
または、中性子爆弾等の“文明からのプレゼント”をすべての蛮族
にお見舞いし、西欧文明以外の全人類を抹殺する以外にテロルを防
止することは出来ないだろう。

 このとき、世界の西欧文明以外の文明は一斉に反発し、世界は巨
大な「アッシリア合衆国(U.S.A.)」、つまり、世界最強の軍国主義
国家に変貌したアメリカを見、そして、これを人類の災厄として撃
滅する方向に動くだろう。これが21世紀の未来図である。

 アメリカに課せられた運命はいったい何であるのか。私は疑問を
持っている。広大な太平洋と大西洋に守られ、決して侵略なんかに
晒されない地政学的優位を持ちながら、それを逆手にとって世界を
支配しようとするアメリカ。第2次世界大戦後の絶対的優位のなかで
世界を統一しようと欲すれば出来た国でありながら、そうしなかっ
たために、いまだに戦乱が続く世界。自分の力を誇示し、敵を屈服
させればさせるほど、逆に恨みを深めていくアメリカ。世界一平和
で豊かであり続けることが出来る国でありながら、国民はピストル
とライフルをそれぞれが所有し、人によってはマシンガンや重機関
銃まで持っている国。数千万人のネイティブ・アメリカンを絶滅さ
せ、国を簒奪してしまった為、呪いにでもかかっているのだろうか。

 われわれ内的プロレタリアート(?)はますます加速されていく
時代の変化のなかに「漂流感」をもって、ことの成り行きに固唾を
呑んでいることである。
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(Fのコメント)
これは、以前掲載したコラムですが、再度MONDさんから、掲載
の希望が来たので、乗せますがまさに、この通りに世界は動いてい
るようだ。米国とイスラエルの動きは中性子爆弾等の“文明からの
プレゼント”をイスラム民族にお見舞いするという脅威を感じる。

米国の言うことを聞かない北朝鮮も同様にこのプレゼントをお見舞
いするのであろう。韓国はその事態を朝鮮民族の脅威として抵抗し
ている。北朝鮮から亡命した黄を米国での証言台に出させないよう
にして、北朝鮮攻撃の理由を封鎖しようとしている。

欧州も米国のイラクへの攻撃を思い留めようとしている。しかし、
イスラエルがパレスチナへの無謀な攻撃を行い、この攻撃により、
イラクやイランからイスラエルへの報復攻撃を待っている。
もうすでにイラクの工作兵が2000人、パレスチナに居る。この
連携で、イラクやイランやアラブ諸国はどう動こうとしているのか
不安な世界になっている。

日本は米国の言うとおりに動いているしかない。中性子爆弾等の
“文明からのプレゼント”を55年前、広島と長崎に頂いている。
これ以上は、謹んでお断りするしかない。このためには、無用な
抵抗はしない。現時点は協力あるのみ。あくまでも現時点ではある
が。しかし、米国の北朝鮮攻撃には、日本も戦場になることを覚悟
するしかない。日本から米国の攻撃機が北朝鮮に向け出発するので
あるから、北朝鮮も妨害行動に出るしかないはず。工作兵も日本に
多数存在しているし、工作兵の破壊工作を日本で訓練している。
新幹線はその時期、危ないではないかと思う。北朝鮮兵は自爆テロ
もOKであることを心得ていた方がいい。今回の不審船の自爆と
乗組員の自殺で知ったはずだ。
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tmizuno
 いつもコラムを興味深く読ませて頂いております。コラムを読み
つつ、この点については同感、あの点については私の考え方とは違
うな、などと考えながら読ませて頂いております。
 そこで一つお願いがあるのですが、誤字につきましては極力排除
して頂くよう切にお願いを申し上げます。失礼の段、お許し頂くよ
う合わせてお願い致します。
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(Tより)
すいません。ほとんどの原稿に誤字があることを認識しています。
私がチェックを十分しないことによるものです。残念ですが、私の
仕事も忙しく、その余裕がないのが現状です。悠々自適の生活にな
るまで、ご勘弁をお願いします。もう数年だと思いますが???
勿論、極力、今後もチェックする方向です。


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