767−1. 重職心得箇条



「重職心得箇条」を読む。この本の著者は佐藤一斎であるが、この
本の解説を安岡正篤先生がしている。   Tより

1.「人物」の条件
 ・重職と申すは、家国の大事を取計べき職にして、此重の字を取
  失ひ、軽々しきはあしく候。
2.大臣の心得
 ・大臣の心得は、先づ諸有司の了簡を尽さしめて、是を公平に裁
  決する所其職なるべし。
3.時世につれて動かすべきを動かす
 ・家々に祖先の法あり、取失ふべからず。又仕来仕癖の習あり、
  是は時に従て変易あるべし。
  兎角目の付け方間違ふて、家法を古式と心得て除け置き、仕来
  仕癖を家法家格などと心得て守株せり。時世に連れて動すべき
  を動かさざれば、大勢たたぬものなり。
4.「きまり」にこだわらない
5.機に応ずるということ
 ・応機と云ふ事あり肝要也。物事何によらず後の機は前に見ゆる
  もの也。其機の動き方を察して、是に従ふべし。物に拘りたる
  時は、後に及んでとんと行き支へて難渋あるものなり。
6.「公平」を保つ
 ・公平を失ふては、善き事も行はれず。凡そ物事の内に入ては、
  大体の中すみ見へず、しばらく引除て活眼にて惣体の体面を視
  て中を取るべし。
7.知識・見識・胆識
8.「世話敷と言はぬが能きなり」
9.刑賞与奪の権
10.何を先に成し、何を後に成すか
11.包容の心
12.私心、私欲があってはならない
13.抑揚の勢
14.手数を省く事肝要
15.風儀は上より起る
16.機事は密なるべけれども・・・
17.「人君の初政は、年に春のある如きものなり」
 ・人君の初政は、年に春のある如きものなり。先人心を一新して
  、発揚歓欣の所を持たしむべし。刑賞に至ても明白なるべし。
  財努窮迫の処より、徒に剥落厳互の令のみにては、始終行立ぬ
  事となるべし。此手心にて取扱あり度ものなり。

佐藤一斎先生(1772〜1859)は、岩村藩の家老の子息で、
非常に自由な、そして、風格に富んだ碩学というべき人でした。
この「重職心得箇条」は岩村藩のために選定した17条の憲法でし
た。諸藩がこの憲法を使っていた。

このコラムは、「「重職心得箇条」を読む」安岡正篤著 致知出版
800円を読んで記述した。


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