765−1. ケインズ経済学の政策



以前も質問したのですが、Tanakaさんへ。
 貴方は、なぜ近年になってから、ケインズ経済学が政策として
拒否されてきたと思いますか?

 リンク先の、政策が悪いから、という短絡的な返答は遠慮願いま
す。ケインズ経済学とは、絶え間ざるインフレとの追いかけっこで
ある。この言葉の意味は理解できますか?

 私は一応、答えを用意しておきます。よそのリンクをもってきて
、これを読んでください、と言うのはやめてください。貴方御自身
の文章で反論なさってください。

 日本国民は、お金は持っているのです。しかし、使う先が無い。
中流家庭が小金を貯めて、それをどこにどう投資したらよいのかわ
かっていないのです。放っておいたら相続税やらインフレやらで価
値が無くなるのは分かっていながら、「税金対策」すらも出来ずに
いるのです。(『金持ち父さん・貧乏父さん』をお読みください。
図書館ならどこでもあると思います)

 そんな国民にお金をばら撒いても、それは一時の贅沢な夢でしか
ない。それが貯蓄に回り、その国民の貯蓄を我が物のように、政府
は財政投融資で郵貯から予算をくすねてきました(だからこそ郵政
民営化が叫ばれている)。

 お金を配ってもインフレは起きない、などという世迷いごとを述
べるのはおやめなさい。堅実に緊縮財政をしているからこそ、最近
中国が「日本の円安は容認できない」などという妄言を受け流すこ
とが出来るのです。宮沢元大蔵大臣が述べたとおり、「あなた方の
仰ることは皆やりました」というのが、日本の格付けを急落させな
いでいる最大要因なのです。それが国際的な信用と言うものなので
す。『わが国には真の財源がある』とは、日本国民が努力して築き
上げた信用であり、そしてこつこつと貯めてきた貯金なのです。
それを政府の財源のように考えている発言が横行していますが、許
せるものではありません(これも宮沢元大臣の発言ですが)。

 安易に金を刷れば、それこそ世界は日本を見放すでしょう。ええ
じゃないか騒動で御札が降ってくるような妄想。似ていると思うの
は私だけでしょうか。

 再度お願いします。なぜケインズ経済学は、近年、拒否されてき
たのでしょうか?
御自分の言葉で反論願います。
コスモス 
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コスモスさんへ 
 過去の歴史でデフレを解消したのは戦争特需だけでした。
戦争に替わる特需を創出するよりほかないと思います。その財源は
国家が負担すべきものであり、ケインズ経済学に依存すべきである
と思います。

 何故にケインズ経済学が忌み嫌われるようになったのでしょうか?
積極財政は、経済活動の起爆剤として有効な働きをします。しかし
、簡単にその効果の恩恵にあずかれるために、無秩序に財政出動に
頼る安易さがインフレーションを引き起こし、国家財政を破綻させ
るからなのです。

しからば、通貨増発が即インフレーションに結びつくものなのでし
ょうか?
大阪学院大学の丹羽春喜教授は、「インフレーションとは、需要が
増加して供給が追いつかない場合に発生するものである」と言って
います。現在のように供給能力が有り余っている状況下では、需要
が増加しても物価が即上昇するようなことはないと言っています。

 潜在GDPが実際のGDPを上回っている表を、下記アドレスで
見てください。
   http://www.osaka-gu.ac.jp/php/haruniwa/

潜在GDPを実際のGDPが下回っている状態では、インフレにな
らないということです。
 完全雇用、完全操業を実現するまで需要を増やしても、インフレ
にならないのです。

 インフレを防げるのであれば、財政出動ができるかと言えば、日
本の国と地方自冶体の借金の合計は、GDPの1.2.〜1.4倍
もあり、世界最高のGDP:借金の比率であり、国債に依存する
ことも不可能であります。そのため丹羽教授は国の持つ通貨発行特
権を今こそ行使すべきであると言っているのです。

私の主張は、丹羽教授の財政政策に産業政策を加える必要があると
思っています。
日本が加工貿易経済で復興できたとしても、更なるプラザ合意のよ
うな要求が突きつけられれば、また同じ結果になるからです。

 プラザ合意が成立した頃、元日銀総裁前川春雄さんが日本の産業
構造を内需主導型のすべきだと言っていました。本当の構造改革と
は内需主導型の産業構造にすべきだと思います。小泉さんのいう構
造改革とは全然違うものです。

 雪崩れが押し出されるような、輸出依存型の経済構造では、日本
の相手国もたまったものではありません。

 日本における内需主導型の産業構造はいかにあるべきか。
私の主張はhttp://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1312082.htmで
も述べてありますが、環境問題を中心にすえた産業政策です。

環境対策こそが、新たな需要と供給を増大させる源です。
 京都議定書による環境対策も、国際的な動きの中でかすんでしま
いましたが、いまこそ日本は、丹羽春喜教授の財政政策と環境政策
によって日本の産業を振興すべきであります。

 新しい需要と供給のための雇用が発生して、日本経済活性化が果
たせるのです。

 世界の枠組みに大きな変化があらわれようとしています。日本の
進むべき道は、国際紛争に巻き込まれることなく自国の発展を目指
すことであります。それが環境立国なのであります。

 最後に、日本国は世界のどこからも借金していません。逆に債権
国なのです。ですから通貨発行権を行使して財政出動をしても円の
信用を失わないと思います。ただし、上図の完全雇用、完全操業し
た場合のGDP値を超えない範囲での実質GDPの値の範囲内であ
ればよいと思っています。(インフレになれないように制御が必要
です。)

追
 小渕さんがとったケインズ政策が、何故効果をあらわさなかった
かといえば、効果があらわれそうにになった時に、即緊縮財政に入
ったためです。インフレという「あつものに懲りて、なます吹く」
結果になったからであります。

私の理解は、ケインズ経済政策が沈滞した経済の起爆剤になるとい
うとらえかたです。いつまでも財政出動のみに依存すれば、インフ
レになると思います。自立的な発展ができる基礎作りが大切です。

 戦争のみが有効需要の源とは、思っていません。
tanaka
==============================
(Fのコメント)
今までのコラムでも述べましたが、戦争政策での景気刺激策を日本
は取れない。このため、産業育成策で需要を喚起するしかない。
しかし、もし、ムダな公共投資をし続けると、国家財政が破綻して
しまう。このため、有効な投資をする必要がある。

国家が金の増刷をしろと言うが、日銀の国債買取量の増加、金利0
%での銀行貸出ではなぜいけないのか???
国家が日銀に変わって、お札を発行するのかよくわからない。
日銀の通貨総量は、増加している。それと、日銀からの貸し出し金
利が0%であるため、世界に日銀資金が出回っている。日本には投
資する場所がないため、米国や中国、欧州などに資金が回っている。

これ以上の通貨量の増加は世界の実体経済と貨幣量のバランスが崩
れる所まで行ってしまう可能性がある。日本の一国の通貨量と思う
方が間違いですよ。世界に流れ出す。そして、日本が弱くなると、
円安になり、輸入品目が値上がりする。特に石油ですが、この値上
がりがインフレを呼ぶのです。世界的な広がりで問題を見ないと、
間違える。

丹羽教授の説は一国経済主義の感覚が強すぎです。世界的な資金の
流れを考えることをしていない。今は中国があるため、デフレです
が、今後はインフレだという藤田田さんの言うとうりでしょうね。
そして、円安になってきた。このコラムで心配している事態になっ
てきたのです。
デフレかインフレか
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kako/111129.htm
206−2.BIS年次報告について
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak1/1206142.htm


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