5967.日本の分水嶺が近い



日本の不可逆的な変化点に近づいている。労働人口が減少するが、
幼児教育も無償化して社会保障を拡大し、消費税だけではなく、多
くの増税を行い、かつそれでも財政均衡化が遠ざかる。
さあ、どうなるのでしょうか?検討しよう。   津田より

0.社会民主主義への道(英労働党政権の道)
今の自民党政権は、1960年代の英国の労働政権を見ているよう
である。自民党は、幼児教育の無償化などの社会保障を充実してい
るが、その上に労働者の賃金を上げた企業には、法人税を引き下げ
るという。自民党は、経済政策だけを見ると、保守党ではなく英国
の労働党的である。

そして、GPIFと日銀のETFで多くの企業の大株主にもなっている。
現時点では企業運営にはかかわらないというが、側面的に企業に圧
力をかけることができる位置にいる。

しかし、日本企業は、優秀な労働者の不足で海外生産を増やし、人
口減少で国内需要の落ち込みを見越して、海外市場を開拓して好決
算にしているので、そう簡単には政府の言うことを聞けない。

日本は後継者難で25年には130万社近い中小が廃業の危機に陥る見
通しで、国内では部品の調達もできなくなる。経営を引き継いでも
中小企業は従業員確保ができずに、廃業になることが見えている。

海外からの労働者を受け入れる移民政策をしないことで、国内需要
が減少するとともに労働人口の減少も起きて、日本の国力は消耗す
ることが、企業経営者には見えている。

2019年には消費税を上げるし、高額所得者の所得税を増税して
財政均衡化を行うというが、日本の国力がなくなる中で、所得格差
を無くする社会民主主義の政策である。

このため、日本に魅力がなくなり、ドイツ自動車以外の欧米企業は
去っている。高級品も売れないからである。デフレは継続して、平
均単価が500円の幸楽苑も窮地にあり、マクドナルドなどの300
円で食べられる外食チェーン店が復活している。というより、外食
全体が減少して、スーパーやコンビニのおにぎりなどの安い中食に
需要がシフトしている。このため、500円以上の弁当も売れてい
ない。

1.金融政策の強化
このような国家産業の拡大なしに、社会民主主義政策を行うと、英
国の労働党の結果を同じになる。国民全員が今より貧乏になる。

徐々に、黒田日銀総裁も金融緩和の行きすぎが、銀行の経営を圧迫
して、資金の流通ルートを詰まらせることがわかり始めたが、安倍
首相と取り巻きは、もっと金融緩和をするべきと日銀の金融政策運
営に関し「物価2%目標の達成に向けて、大胆な金融緩和を着実に
推進することを期待する」と述べた。

有効な規制緩和などの産業振興策も行わず、労働者不足をこのまま
にして税収も伸びない中で、社会保障制度・年金を維持するために
大胆な金融緩和を行うと、それは財政ファイナンスである。

もちろん、増税は行うが、所得控除の縮小、森林環境税や観光促進
税などを行っても6000億円程度しか増えない。年間30兆円の
赤字は埋めることができない。

このため、年間30兆円の財政赤字を国債でカバーしているが、日
銀は毎年80兆円国債を買うと、いつか市場には国債がなくなる。
現時点で日銀の保有率は50%を超えている。

銀行の余剰資金は日銀がマイナス金利にしているので行き場を失い
、ゼロ金利の国債を買うしかない状況であり、景気が良いという現
時点でも、利益が出ずに大規模リストラを行う銀行は、不況業種に
なってしまった。

日銀が年間6兆円のETFを買っているので、市場3位の保有率である
。そしてGPIFが1位である。株価は22500円であるが、もう少し上が
るかもしれない。世界的な景気が上昇しているからである。しかし
、公的介入のある東京市場は魅力がなくなる。このため、景気後退
時は、ますますETFを買わないと株価を維持できなくなる。

2.バーゼル3の全面発効
バーゼル3の全面発効が遅れているが、銀行の資産における国債の
格付けによるリスク回避部分では、世界は合意している。銀行の安
定性のための資産上積が問題にあっているだけである。

このバーゼル3により、AA以下の国債は、銀行にとって安全資産
ではなく、リスク資産化を強いる。このため、国債を買えないこと
になるので、銀行は日本国債A+を買えなくなる。三菱UFJ銀行が国
債を買わないと宣言したのは、この理由である。

その上に財政ファイナンスと思われたら、日本国債の格付けは現時
点の格付けA+から下がることが予想できる。そして、Bランクの
国債は年金機構も買えないことになる。

国債がBランクになると、国リスク増大とになり、1ドル=200
円以上の円安になる。そして、輸入品の値上がりで高インフレにな
る。

これに伴い国家予算も増額が必要になり、そのため、予算編成をす
るうえでも一層の国債発行が必要で日銀直接購入となり、国債の格
付けを下げることになる。悪循環が起こり、悪くするとハイパーイ
ンフレになる可能性もある。

こうならないためには、財政均衡化の努力をする必要があり、この
ため、社会保障の見直しとともに、大規模な増税を繰り返すことに
なる。当然、増税の中心は高所得者の税金を増やすことになる。と
いうことは、年金生活者の年金が減るが、それ以上に国民の平等化
、再分配を強化することにつながる。国民全員を貧しくする社会民
主主義の完成である。

3.分水嶺にある日本
今の自民党のアベノミクス政策を行うと、日本は国民全体が徐々に
貧しくなり、衰退することが予測できる。

日本を復活させるためには、労働力をある程度入れて、消費者であ
ると共に、納税者の数を増やすことが必要なのだ。そうしないと、
日本の衰退は急激に起こってくることになる。

しかし、国内の農産品の方が安くなり、少数化した大規模農家など
が復活してくることになり、植生文明の発展にはよいことになる。
しかし、日本は先進国ではなくなり、国民全員が貧乏な衰退国家に
なる。

このように、日本は衰退国家か先進国かを決める分水嶺になってき
たようである。そのことを国民も政治家も意識していないことが問
題なのだ。アベノミクスの金融緩和一辺倒政策に対して、野党の激
しい追及もない。国民全員が知らない間に社会民主主義の道を選択
したことになっている。

分水嶺であることを意識して政治的に選択するべきである。

そして、移民政策は慎重に行う必要がある。宗教・文化が著しく違
う人たちを大量に入れると、EUと同じ問題を起こすことになる。

そうならないためには、移民政策は民族・宗教に考慮して選択的な
移民を行う必要がある。もう1つが、移民の数であり、国民の1割
程度にすることが必要である。最大でも1000万人程度であろう
と思う。移民を入れる職種を選択する必要もある。日本人が嫌う介
護、建設、サービス産業、製造の中小企業などであろう。

アメリカとEUが金融緩和、特に量的緩和で、景気を押し上げられ
たのは、需要を作る移民政策があり、人口が減少していないことに
よる。日本は労働人口の急激な減少で、量的緩和の効果がなかった
のである。

それを無視した金融緩和強化策をしても、結果は円暴落を早めるだ
けである。

さあ、どうなりますか?


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中小承継へ税優遇拡大 
政府・与党が10年集中対策 廃業増に歯止め 
2017/11/22付日本経済新聞 朝刊
 政府・与党は2018年度税制改正で、中小企業の世代交代を促すた
め税優遇を拡大する。承継する非上場株式のすべて(現在は3分の
2)について相続税を猶予し、事業を継続する限り支払わなくてよ
くする。日本は後継者難で25年には130万社近い中小が廃業の危機に
陥る見通しだ。政府は事業承継を円滑に進めるため今後10年間を集
中対応期間とし、中小の成長力強化やM&A(合併・買収)市場整
備などを含む緊急対応策のパッ…
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賃上げ・投資で法人減税 
政府方針、実質負担25%に 
2017/11/21付日本経済新聞 朝刊
 政府は2018年度税制改正で、賃上げや設備投資に前向きな企業の
法人税の実質的な負担を25%程度まで下げるしくみを導入する。高
収益にもかかわらず賃上げや投資をしない企業は特別な減税措置を
外し、政府が掲げる来年の春季労使交渉での「3%の賃上げ」に誘
導する。ただ、賃上げ実現などに向けた部分的な税制の手直しにす
ぎず、日本の立地競争力強化に向けて抜本的な法人税改革を避けて
通れない。…
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2017年11月20日 / 14:14 / 19時間前更新
日銀は大胆な金融緩和推進を、デフレ脱却へ政策総動員=安倍首相
[東京 20日 ロイター] - 安倍晋三首相は20日の衆院本会議
で、日銀の金融政策運営に関し「物価2%目標の達成に向けて、大
胆な金融緩和を着実に推進することを期待する」と述べた。金融政
策の具体的な手法は日銀に委ねられるべきとしつつ、「政府・日銀
は緊密に連携し、あらゆる政策を総動員してデフレ脱却と力強い成
長を目指す」と強調した。
首相の所信表明演説に対する、立憲民主党の枝野幸男代表の質問に
答えた。首相は、経済分野での成果について、金融政策を含むアベ
ノミクス3本の矢で「もはやデフレではない状況を作り出せた」と
指摘。「行き過ぎた円高も是正された」と述べるとともに、金融政
策がデフレマインドの払しょくにつながっているとの見解を示した。
梅川崇
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高所得の会社員増税 給与控除縮小、基礎控除は拡大 
財務省案 多様な働き方に対応 
2017/11/17付日本経済新聞 朝刊
 財務省は2018年度税制改正での所得税改革案を与党に提案する。
会社員の給与収入から差し引ける給与所得控除を縮小する一方、全
納税者に適用する基礎控除を引き上げる。年収800万〜900万円を上
回る会社員は増税となり、フリーランスなど請負契約で働く人らは
減税。働き方の多様化に対応する措置だが、高所得者層の反発は必
至で、与党の調整が難航する可能性がある。(解説経済面に)
 22日から始まる与党の税制調査会…
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増えてきた「副作用」発言 
2017/11/16 5:30日本経済新聞 電子版
 日銀の黒田東彦総裁が金融緩和の副作用について発言することが
増えてきた。13日のスイスでの講演では「低金利環境が金融機関の
経営体力に及ぼす影響は累積的なものだ」と指摘。金融政策の運営
も「金融機関や金融市場の状況について幅広く目配りする」と述べ
た。
 黒田総裁が13日、金融緩和の負の側面として焦点を当てたのは長
期金利だ。過度に金利が下がると保険や年金の運用環境を悪化させ
、「マインド面を通じて経済に悪影…
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消費増税の19年10月以降、日本経済は低迷か 五輪需要が鈍化
、米経済も失速…
2017.11.16 06:10SB
 政府が消費税率を10%へ引き上げる2019年10月、日本経
済の成長は低迷しているのではとの予想が市場から上がっている。
20年7、8月に開催予定の東京五輪に向けたインフラ建設需要が
鈍化する上、最大の輸出先である米国経済が失速するかもしれない
からだという。
 警告するのは第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストだ
。まず永浜氏は、1964年10月に開かれた前回の東京五輪の例
を示し、五輪の1年前には成長がピークを迎える恐れがあると指摘
する。
 実質国内総生産(GDP)の前期比成長率(年率換算前)は五輪
1年前の63年10〜12月期に3.4%とピークに達した後、鈍
化に転じ、64年7〜9月期には1.5%まで下がった。
 永浜氏は「1年前は五輪開催に備えた建設投資がピークを迎える
タイミングなのでは」と推測。次の東京五輪も同じなら、1年前の
19年7〜9月期がピークを迎え、増税する10〜12月期以降、
減速期に入る。
 また、永浜氏は米国経済の減速も懸念する。米国は、需給差を示
すGDPギャップがマイナスからプラスに転じると2、3年後に景
気減速が始まるという。プラスは需要超を意味し、「景気過熱を防
ぐための財政引き締めなどが始まるからだ」。
 米セントルイス連銀によると、マイナスで推移してきた米GDP
ギャップは17年4〜6月期に約0%まで浮上した。プラス圏に向
かえば、19年10〜12月期ごろ景気後退期に入る。米国向けが
輸出の2割を占める日本経済は打撃を受けかねない。(山口暢彦)
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円安頼みの成長に限界、労働力の安売りで消費低迷も−玉木元財務官
野沢茂樹
2017年11月16日 07:47 JST
経済協力開発機構(OECD)の事務次長を7月まで務めていた玉
木林太郎元財務官は、円安による原材料コストの上昇が国内賃金の
伸びを妨げ、ひいては消費低迷につながりかねないとし、金融緩和
と円安頼みの日本の経済政策運営に警鐘を鳴らす。
  玉木氏は9日のインタビューで、巨額の経常黒字を抱える日本
が通貨安による輸出増だけで成長することはできないと指摘。円安
による輸入インフレ下で企業が輸出競争力を維持しようとすれば賃
金の抑制という形でしわ寄せが来るとし、「極端に言えば海外への
労働力の安売り」になると語った。長く続ければ円安が「消費者の
購買力を輸入インフレという形で奪う」ことになり、国内消費にマ
イナスに働く恐れがあると言う。
  賃金・消費の伸び悩みを背景に、政府・日本銀行が合意した2
%の物価目標の達成は見通せず、異次元緩和は長期化している。円
相場は最近1年間で主要10通貨の全てに対して下落。総務省が発表
する家計調査では全世帯の消費支出が9月までの12カ月間で2回し
か前年同月比でプラスとなっておらず、個人消費は盛り上がりを欠
いたままだ。
  玉木氏は黒田東彦日銀総裁による金融緩和の意義を認める一方
、世の中で「2%インフレは達成できず、低金利が永遠に続くとい
うマインドセットが定着している」とみる。もし、この前提条件が
崩れたら、金利上昇の思惑で広範囲に混乱をもたらしかねず危険だ
と指摘した。かつての日本企業にとっての障害であった高い法人税
率や過度の円高などは解消しており、「何から何まで黒田総裁にお
んぶにだっこというのは、ちょっと甘ちゃん」と語った。
  玉木氏は金融危機の兆しとなったパリバショック直前の2007年
7月に国際局長に就任し、翌年9月のリーマンショックに対処。09
年からは財務官として金融危機の後処理と東日本大震災や超円高へ
の対応に追われた。11年からOECDの事務次長を6年間務め、先
月1日付で加藤隆俊元財務官の後を継ぐ形で、国際金融情報センタ
ーの理事長に就任した。
最新の情報は、ブルームバーグ
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2017/11/23gendai
ようやくわかった。アベノミクスとは「社会主義化」のことだった
「官営」株価バブルが進む中で見えたこと
宿輪 純一博士(経済学)・帝京大学経済学部教授
慶應義塾大学経済学部非常勤講師
アベノミクスという経済政策を俯瞰的に分析してみると、一つの“
性質”が見えてくる。良い悪いの問題ではなく、自由主義、資本主
義というよりは、「社会主義」的政策であるという事だ。
それも、産業との関係が、政府(当局)が株式を保有し、関係強化
する方向である。これはフランス型や中国型の国有企業とは違った
形態である。
もちろん、経済成長、景気が第一の目的であることは言うまでもな
いが、最近の安倍政権の政策が、以前の自民党政権のものよりも社
会主義化しているのは間違いない。
進む「生産手段の公有」
筆者の前回の記事(「株価バブル後最高値!いま知っておきたい日
本株の『新しい構造』」11月7日公開)に詳しく書いたが、アベノミ
クスにおける量的・質的金融緩和によって、日本経済は「株式」中
心の金融に変貌した。
日本銀行は毎年80兆円の国債を買い入れてきた。新発債(つまり財
政赤字)は40兆円で、残りは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF
)、年金共済などの公的年金や銀行等市場から買い上げた。
合計で資産規模が約200兆円になる公的年金は、運用比率を変更し、
ざっくり言って株式と債券が半分ずつ、また国内・海外の比率も半
分ずつになっている。積み立てている年金も、その割合で株式が買
われることになる。
現在は公的年金の日本株式の保有は40兆円弱とみられる。公的部門
の株式の大量購入は、事実上の公的介入であり、このことは市場機
能を低下させている。
さらにこれも前回の原稿にも書いたが、日本銀行が株式を毎年約六
兆円購入している。実質的に中央銀行が企業の信用リスクを取って
いるのである。このような中央銀行は少なくとも世界の先進国には
ない。
さすがに、個別企業の株式を購入すると、その企業の信用リスクが
、ストレートに日本銀行の信用に跳ね返るため、上場投資信託 (ETF
:インデックス)で購入している。残高は20兆円を超えた。これも株
式市場の買い支えになっている。
大株主が企業経営を判断しないことの意味
繰り返しの指摘になるが、このインデックス(平均)で大量に株式
を購入する手法は海外の投資家に頗る評判が悪い。要は個別の企業
の経営を見ない、つまりガバナンスを重視しないということなので
ある。大株主がこれでは経営者が経営努力をしなくなる。
これこそが、アベノミクスによる社会主義化を問題にするときの焦
点なのである。今はなきソ連において、社会主義が競争原理を押し
つぶしていったのと同じようなメカニズムが危惧されるからである。
GPIF(保有額1位)と日銀(同3位)といった公的マネーが、日本
の上場企業の“実質的”に大株主としてなっている。筆頭株主にも
なっている場合も多い。公的マネーによる企業・産業所有が進んで
いるのである。(略)
労働者の味方、自民党政権
安倍政権の社会主義的行動は、株式市場を通した「企業公有」以外
にも広くみられる。近年の日本政府は、春闘での経営者側への働き
かけを始めとして、「賃上げ」を積極的に促している。特に安倍政
権になってからこの動きが目立つ。来年の春闘でも、3%の賃上げを
した企業に税制の面で優遇する方針だ。
ただこれは、日本だけではなく世界的な傾向ではある。実は、米国
の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会のイエレン議長は、もちろ
ん経済学博士であるが、その専門は金融ではなく、なんと労働経済
学である。そして、最近、最も注目している指標は賃金上昇率であ
る。
以前の自民党のイメージは、経営者の利害の代弁者で、労働者の賃
金の上昇を抑える側であった。一方、それに対し、社会主義的な政
党がメーデーなどを主催し、春闘でも賃上げを要求していた。
いまは逆に、保守を標榜する政権が、春闘の賃上げの後押しを行っ
ているのである。また、社会主義では「労働に応じた分配」という
平等が実現されている社会を目指す。これも「働き方改革」に通じ
るものがある。
マクロ経済学的に考えても景気浮揚効果が期待できる。日本が伝統
的に使ってきたインフラへの公共投資は、現在、労働力が不足して
いるために、効き目が薄くなっている。むしろ、日本の経済成長の
6割を占める家計の収入が増えることを起点にした方が、効き目があ
ると判断できる。
財政再建に逆行する大きな政府
安倍政権は発足当初、消費税引き上げによる財政再建を政策に挙げ
ていた。しかし、最近、財政赤字の改善に使う予算を、気前よく幼
稚園等の無償化や大学教育の支援など、社会的に手厚い支援を推進
することに回してしまった。終戦直後、かつての英国労働党が打ち
出した「ゆりかごから墓場まで」といった政策に近くなってきてい
る。
米国との比較では、安倍政権は、トランプ政権や、歴代の共和党政
権のような位置付けで小さな政府を目指すものと考えていた。が、
まったく逆で米国の民主党の様に大きな政府を目指しているようで
ある。
もっとも、その政策を行うには、政府の借金が持続可能か問題にな
ってくる。ちなみに、現在、金融庁が「金融行政方針」を発表し、
すべての地方銀行が生き残ることはないとして、金融機関に「持続
可能性」による選別を求めている。しかし、そう言っている政府自
身の持続可能性はどうなのであろうか。
経済学者マルクスが言っていたのは私有財産制をとると資本が集中
したところに独占が生じてしまうので、私有財産制と利潤の追求を
やめ、個人や企業にではなく、国や地方公共団体・協同組合などに
生産手段を公有(社会的所有)させることであった。
社会主義経済においては、工場・生産用機械などは全て国が管理し
、国全体の経済活動を政府が管理する。国民は全員、国営企業で働
き、給料を国が国民に平等に分配することにより、貧富の差、つま
り格差を無くしていくものである。
逆にこれだけ社会主義的な経済政策を取れば、左派政党はお株を奪
われた形になり、弱体化するのも分かる。今後も、アベノミクスは
より社会主義的な政策を進めるのであろうか。



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