5966.サウジの混乱で中東の混乱を誘発か



サウジアラビアの王室継承問題で、ムハンマド・ビン・サルマン皇
太子(32)が、汚職摘発を名目に政敵を排除し、イランなどへの強
硬姿勢をとる。これは中東混乱の可能性が出てきた。  津田より

0.背景
ヨハネの黙示録では、第六の封印である現実化した地球温暖化が解
かれると、第七の封印は中東での核戦争ということになる。アルマ
ゲドンはイスラエルにある地名であり、そこに最初の核爆弾が撃ち
込まれるというのだ。

核戦争になる第2次朝鮮戦争が早いか、第5次中東核戦争が早いかと
いう状況に、世界は現在あるとみる。

今までは中東のサウジアラビアは超保守的であるが穏健的で、この
中東の安定の柱であるとみていた。サウジは一方でスンニ派の武装
勢力に秘密裏に資金援助をしていた。しかし、そのアルカイダや
ISなど武装勢力は、イランの革命防衛隊やシーア派武装組織ヒズ
ボラ、クルド人勢力に負けてしまい、中東での多数派であるスンニ
派が劣勢に立たされている。

その状況で、サルマン国王が即位した。即位後、息子の若いサルマ
ン皇太子の熱血漢あふれる国家運営が始まり、イランへの対抗意識
と国内政敵に対する苛烈な行動が出てきた。

サルマン皇太子は、王室の超保守的で石油依存のサウジを変え、近
代化を推し進めたのであろうが性急すぎるように感じる。イエメン
への侵攻やイランに対して穏健なカタールとの断交など、シーア派
イランへの対抗を試みたが、断交したカタールはイランやトルコが
助けて敵陣営になり、イエメンの内戦も解決できずに、戦争が継続
している。

このため、サルマン皇太子は、焦っているような感じを受ける。石
油価格が50ドル以下であり、国家財政も行き詰まり、今までのよ
うな社会保障ができないことは明らかである上に、イエメンでの戦
争に莫大な費用が必要になっている。

1.革命の必要性と反動
その上、石油の富がなくなったと同時に、欧米との関係もおかしく
なっている。特にシェールオイルでエネルギーを自立できる米国の
保護がなくなるとみているので、安全保障についても自国の防衛を
真剣に考える必要になったようである。

また、国民や王族たちは、今までの生活の保障を求めてくるが、そ
れができない現実がある。このため、上からの革命を仕掛けたよう
である。

その方法として、中国の習近平国家主席が用いた汚職取り締まりを
用いた政敵排除を行なったようである。

しかし、王族を汚職の容疑で多数拘束して、その資産を奪い開放す
るようである。これは、中途半端なことになる。解放された王族に
は、政治力があるので、その政治力を奪わないと混乱のもとになる
と思う。

国内が混乱すると、イランではないがパーレビ国王の西洋化失敗で
、ホメイニ宗教革命が起きたと同じ事がサウジでも起きる可能性が
出てくる。近代化に反対する超保守的なワッハーブ派に支持された
王族が、政治の実権を握る可能性が出てくる。

2.中東の混乱に結びつく
国内での政敵排除をしているときに、レバノンのサード・ハリリ首
相は、サウジアラビア滞在中に突然辞任を表明した。辞任理由につ
いて、ハリリはイランとシーア派武装組織ヒズボラが自分の暗殺を
計画しており、家族が危険にさらされているためとした。

シリアにはロシア軍がいて、イラク政府軍は、元シーア派民兵が中
心であり、ISが負けたことでサウジの国境までシーア派諸国が接
することになっている。

イランを敵対視するのは、サウジアラビアのほかにはイスラエルが
あり、そのイスラエル軍のトップ、アイゼンコット参謀総長は、国
交のないサウジアラビアのアラビア語のメディア「イーラフ」との
インタビューに応じ、共通の敵国とするイランに対抗するため、「
イスラエルは経験や情報を共有する用意がある」と述べて、サウジ
アラビアに向けて異例とも言える連帯を呼びかけた。

シリアの次に戦場になりそうなのが、スンニ派、シーア派、シーア
派武装組織ヒズボラ、キリスト教徒マロン派など敵味方が入り乱れ
るモザイク国家レバノンであり、シリアに近接しているし、イスラ
エルが目の敵にしているシーア派武装組織ヒズボラがいるので、イ
スラルとサウジが組むことで、レバニンでヒズボラを協力して倒す
という可能性が出てくる。

しかし、黙示録では、ロシアやイランなど多数の国がイスラエルを
取り囲むとなっている。この状況に現在なってきたし、イスラルが
サウジと結ぶと、ロシア・トルコとイラン・シリア・ヒズボラなど
のシーア派対イスラエル・クルド人とサウジなどのスンニ派という
戦いが形成されることになる。しかし、欧米は中立になると思う。

今までは、スンニ派武装勢力のテロ集団と世界の連合という戦いで
あり、スンニ派対シーア派というような構図では、なかった。

というように、黙示録の描く構図ができることになる。最初にも述
べたように第六の封印は現実化して、最後の第七の封印が解かれる
可能性が増していると見えるのである。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
Saudi Arabia’s Revolution From Above
Nov 16, 2017 JOSCHKA FISCHER
https://www.project-syndicate.org/commentary/saudi-arabia-mbs-reforms-by-joschka-fischer-2017-11

The Saudi Prince’s Dangerous War Games
Nov 17, 2017 SHLOMO BEN-AMI
https://www.project-syndicate.org/commentary/saudi-crown-prince-purges-and-war-by-shlomo-ben-ami-2017-11

ヨハネの黙示録
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/131014.htm

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レバノン、ハリリ首相の「拘束」めぐる中東の混沌
Lebanon's Saad Hariri Vows Return, But Family Stays
2017年11月16日(木)19時30分NWJ
トム・オコナー
<スンニ派、シーア派、シーア派武装組織ヒズボラ、キリスト教徒
マロン派など敵味方が入り乱れるモザイク国家レバノンは、シリア
に次ぐ戦場になりかねない>
サウジアラビアに滞在中のレバノンのサード・ハリリ首相は14日〜
15日、辞任手続きのために帰国すると続けざまにツイートした。イ
スラム教スンニ派のハリリは11月4日、サウジアラビア滞在中に突然
、辞任を表明。衝撃が広がった。
辞任理由について、ハリリはイランとその後ろ盾を受けたレバノン
のイスラム教シーア派武装組織ヒズボラが自分の暗殺を計画してお
り、家族が危険にさらされているためだと説明した。しかしレバノ
ンのミシェル・アウン大統領とヒズボラの最高指導者ハッサン・ナ
スララらはこの話を否定している。スンニ派の盟主サウジアラビア
がイスラム教シーア派の盟主イランの影響力を低下させるため、イ
ランとヒズボラによる「レバノン首相暗殺計画」をでっち上げ、ハ
リリを拘束して辞任を表明させたというのだ。
「国民の皆さん、私は元気だ。2日後には帰国する。心配ない。私の
家族は彼らの祖国であるサウジアラビアにいる」と、ハリリは14日
にこうツイートした。
「繰り返すが、私は元気だ。約束どおり、愛するレバノンにもうじ
き帰る」これが15日のツイートだ。
だが同日、アウン大統領は、ハリリはサウジアラビアに拘束されて
いるとの見方を示した。首相の家族がサウジで自宅軟禁状態にある
ことも確認したと述べた。
レバノンはスンニ派、シーア派、キリスト教マロン派の政治勢力が
入り乱れるモザイク国家。ハリリの不在で権力の空白が生じ、政治
的混乱が広がりかねない。ハリリはサウジアラビア生まれで、サウ
ジアラビアとレバノンの二重国籍を持ち、05年に暗殺された父親ラ
フィク・ハリリ元首相の後を継いでスンニ派政党「未来運動」の党
首となった。
ラフィク・ハリリの暗殺にはシリアが関与した疑いが持たれ、事件
当時レバノンでは反シリアのデモが広がった。シリア軍は15年続い
たレバノン内戦終結後、1990年からレバノンに駐留していたが、暗
殺への反発がきっかけで撤退。シリア軍が去ると、フランスからキ
リスト教マロン派のアウンが帰国し、「自由愛国運動」を率いて、
06年にかつての政敵であるヒズボラと和解の覚え書きを取り交わし
た。以後、アウンがハリリの政治的ライバルとなった。
レバノンでは宗派対立を避けるため、大統領(議会が選出)はキリ
スト教マロン派、首相(大統領が指名)はスンニ派、議会議長はシ
ーア派の代表が務めるのが慣例になっている。ハリリは09年11月か
ら11年6月まで首相を務めた後、返り咲きのチャンスを狙っていた。
3派間の交渉と調整が長引き、大統領空席の異常事態が29カ月間続い
たが、16年10月アウンが大統領に選出され、12月にハリリを首相に
指名した。一方、シーア派組織アマルの指導者ナビ・ベリは92年以
降、議会議長の座に居座ってきた。
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サウジ政変、国王退位の影 性急な国家改革に危うさ 
2017/11/18 2:00日本経済新聞 電子版
 サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(32)が進
める国家改革が世界に波紋を広げている。汚職摘発を名目に政敵を
排除し、イランなどへの強硬姿勢をとる。石油に頼らない経済をつ
くりあげるため、権限を集中させる狙いだ。複数の王室関係者によ
ると、サルマン国王(81)は、生きているうちに息子である同皇太
子に王位を譲る検討に入った。サウジ政変は生みの苦しみか、衰退
の始まりか。イスラム世界の盟主の行方…
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サウジ:汚職容疑者と和解交渉も、釈放の見返りに資産回収−関係者
Dinesh Nair、Archana Narayanan、Alaa Shahine
2017年11月18日 16:40 JST
サウジアラビア政府は汚職取り締まりの一環で拘束した王族や実業
家らとの和解交渉を目指しており、釈放の見返りに政府が金銭など
を受け取る和解条件を示す。事情に詳しい複数の関係者が明らかに
した。
  非公開情報だとして関係者らが匿名を条件に述べたところによ
れば、摘発を取り下げる代わりに容疑者が支払いを行うか保有資産
を政府に引き渡すことが和解合意の柱になる。政府当局者は今のと
ころコメント要請に応じていない。
  また高官の1人は匿名が条件だとして、裁判を回避するための
和解に合意した容疑者については特別委員会による交渉が行われる
と説明。合意しなければ、容疑者は公訴の対象となるとしている。
当局は容疑者側から500億−1000億ドル(約5兆6000億−11兆2000億
円)を取り戻す可能性があると推計しているという。
原題:Saudi Government Is Said to Negotiate Settlement 
With Detainees、Saudis Could Recover At Least $50B 
From Graft Suspects: Official(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ
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イスラエル軍がサウジアラビアに異例の連帯呼びかけ
11月17日 16時36分NHK
中東イスラエルの軍のトップが、国交のないサウジアラビアのメデ
ィアのインタビューに応じ、共通の敵国とするイランに対抗するた
め、「イスラエルは経験や情報を共有する用意がある」と述べて、
サウジアラビアに向けて異例とも言える連帯を呼びかけました。
イスラエル軍のトップ、アイゼンコット参謀総長は、国交のないサ
ウジアラビアのアラビア語のメディア「イーラフ」とのインタビュ
ーに応じ、16日に記事がインターネット上に掲載されました。
この中でアイゼンコット参謀総長は、「イスラエルとサウジアラビ
アはイランに対抗するという目的を共有している。イスラエルは経
験や情報を共有する用意がある」と述べて、サウジアラビアに向け
て異例とも言える連帯を呼びかけました。
また今月14日には、レバノンの新聞がサウジアラビア政府内部の
機密文書を入手した内容として、「サウジアラビアとイスラエルは
協力してイランの脅威に対抗し、経済制裁を強化するようアメリカ
などに働きかけることで一致している」と伝えています。
中東地域では長年、イスラエルとアラブ諸国の対立が続いてきまし
たが、一連の報道は、イランの台頭で従来の対立構造が薄れ、共通
の敵国とするイランに対抗するため、イスラエルとサウジアラビア
が接近していることを浮き彫りにしています。
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サウジvsイランの対立の中心にいる武装組織ヒズボラ
代理戦争の舞台と化すレバノン、中東地域の軍事的役割に注目
2017.11.16(木)  Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年11月14日付)
 レバノンのサード・ハリリ首相が今月、見たところサウジアラビ
アに圧力をかけられ、辞任した。
 衝撃的な辞任は一般に、イランの支援を受けたレバノンの武装組
織ヒズボラに対するサウジの大きな作戦の最初の一斉攻撃と見られ
ている。
レバノンにおけるヒズボラの役割は何か?
 ヒズボラはイスラム教シーア派の武装勢力で、民兵部門と政治部
門の双方を抱えている。もともとイスラエルによるレバノン南部占
領と戦うために、1980年代にイランの支援を受けて創設された組織
だ(イスラエルは2000年に、レバノン南部から撤収した)。
 今でもイランの資金に支えられているヒズボラはおそらく、イラ
ンにとって最強の地域代理部隊だ。
 米国はヒズボラをテロ組織に指定している一方、欧州連合(EU)
はヒズボラの武装組織をブラックリストに登録しつつも、政治組織
も含めるよう求める米国とイスラエルからの圧力には抵抗している。
 ヒズボラは、組織の最大の任務はイスラエルと戦うことだと言っ
ているが、双方が最後に直接衝突に至ったのは2006年までさかのぼ
る。1カ月間の戦争で、ヒズボラのゲリラ部隊がイスラエルを相手に
膠着状態に至るまで戦った時のことだ。
 推定3000人にのぼるヒズボラの民兵組織は、レバノンの政府軍よ
り強力だと見られている。政治部門もとてつもなく大きな影響力を
持ち、批判的な向きは、ヒズボラはレバノンを舞台裏で操る支配的
な勢力だと話している。
 ヒズボラのメンバーが占める政府内の要職は限られているが、情
報収集の役割の大半と司法の要職の多くを掌握している。
 だが、最新の緊張は、中東全体で次第に大きくなるヒズボラの役
割をめぐるものだ。
ヒズボラはレバノン以外で、どこで活動しているのか?
 ヒズボラはイスラエルと衝突することで、アラブ世界で名をはせ
た。
 中東では現在、シーア派のイランと、サウジアラビアを筆頭とす
るスンニ派の湾岸アラブ諸国との影響力拡大をめぐる戦いが激しく
なっており、ヒズボラはこの戦いにおいて、次第に重要な――かつ
宗派色の強い――役割を担うようになった。
 それがはっきりしたのは、ヒズボラがシリア内戦に加わった時の
ことだ。ヒズボラはシリアでバシャル・アサド大統領を支援し、大
統領退陣を狙う反政府武装勢力を撃退するのに決定的に重要な役割
を果たした。
 その後、ヒズボラは過激派組織イラク・シリアのイスラム国
(ISIS)と戦うイラク民兵組織を支援したほか、イエメンで一定の
役割を果たし、反政府武装組織「フーシ」に訓練と武器を提供して
きたことも疑われている。
 そのフーシは、サウジアラビアがイエメンからの追放を目指し、
巨額の資金を投じて3年越しの軍事作戦を展開してきた相手だ。
ハリリ首相の辞任でヒズボラが果たした役目とは?
 厳密に言えば、直接的な役割は何も果たしていないが、ハリリ首
相の予想外の辞任の背後にある真の標的は明らかにヒズボラだった。
 サウジの首都リヤドで発表された辞任は一般に、ハリリ政権内で
ヒズボラが持つ強力な役割について心配するサウジ政府関係者によ
って強いられたものだと見られている。
 レバノンなどの中東諸国の政府関係者の見立てでは、サウジはヒ
ズボラに地域における軍事的役割から手を引かせたい考えで、さも
なくばレバノン政府崩壊に甘んじるしかないという。
 サウジ政府高官は先週、もしレバノン政府がヒズボラが一定の役
割を担うことを認め続けたら、レバノンがサウジに宣戦布告したと
見なすと述べている。
ヒズボラはサウジとイランの対立になぜ巻き込まれたのか?
サウジは今後何をするのか?
 サウジアラビアは、ヒズボラが強大になる様子を見てきたため、
ヒズボラを抑制することがイランに打撃を与えることを知っている。
 だが、ヒズボラに対するサウジの行動の主な動機は、ヒズボラが
イエメンのフーシに訓練とミサイルを提供しているとの確信のよう
に見える。
 サウジはバーレーンへの介入についてもヒズボラとイランを批判
している。バーレーンでは、少数派のシーア派がサウジの支援を受
けて政権を握っており、国民の過半を占めるシーア派の抗議行動が
何年も続いている。
 サウジが次に何をするか誰にもはっきりしたことは分からないが
、多くの人は、サウジが経済的な圧力を使う計画だと考えている。
 湾岸諸国で働く何千万人ものレバノン人が国外追放される可能性
もある。そうなれば、経済が外国からの送金に依存しているレバノ
ンにとって決定的な打撃になる。サウジアラビアは、制裁を科そう
とする可能性もある。
 最悪のシナリオは暴力だが、実現の可能性は低い。サウジはレバ
ノン国内に代理の武装勢力を持たないため、この選択肢を実行に移
すのは難しいからだ。
 だが、長期的にはサウジは、おそらくはシリアから逃れ、ヒズボ
ラの役割に苦々しい思いをしている大半がスンニ派のシリア難民を
使って、スンニ派の民兵組織を新たに創設したり、既存のグループ
を武装させたりする可能性はある。
 一方で、サウジの政府高官がイスラエルに働きかけ、ヒズボラと
の新たな衝突に追い込むと懸念する外交官もいる。
衝突がエスカレートしたら、どんな利害が生じるのか?
 レバノンの多くの政府高官は、サウジにはレバノンに破滅的な被
害を及ぼせるほどの経済的、政治的影響力がないという懐疑的な見
方を表明している。だが、サウジがヒズボラを積極的に追い詰める
方法を見つけたら、レバノンの安定は揺らぐだろう。
 レバノンと欧州の当局者らは、サウジのみならずワシントンから
も見られる厳しいスタンスへの懸念を表明している。
 サウジアラビアと密接に結びついたホワイトハウスは先週、ペル
シャ湾岸の同盟国を支持し、「イラン政府の侵略とあからさまな国
際法違反」に対する国連への訴えを貫くと述べている。
 当局者らはまた、ヒズボラとの権力共有は、分裂した国で微妙な
政治的バランスを保ってきたと主張する。
 このバランスが崩れるようなことがあれば、中東地域にさらなる
カオスと暴力をもたらしかねず、その結果、難民の流出が増え、シ
リア内戦とISISとの戦闘が何年も続いた後、すでに膨れ上がってい
る復興費用もさらに増える恐れがある。
By Erika Solomon, Middle East Correspondent
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サウジアラビアの大粛清、若き皇太子が政敵一掃
王族から財界エリートまで一斉に拘束、中東全体に大きな余波
2017.11.15(水)  The Economist
(英エコノミスト誌 2017年11月11日号)
富豪の王子の逮捕と閣僚入れ替えで王国に衝撃が走っている。
 この状況を何と表現すればよいのか、迷いを覚えない人はいない
。サウジアラビアで11月4日に繰り広げられた多くの人々の逮捕劇は
、クーデター、反クーデター、さらには粛清と様々に形容されてい
る。
 身柄を拘束された人々も様々で、アルワリード・ビン・タラール
王子のような富豪の実業家もいれば、ムトイブ・ビン・アブドラ王
子のような王位継承者候補もいる。
 「何があったのか、サウジアラビアの国民はのみ込めていない」
 首都リヤドに住むある専門家はこう語る。「衝撃的な事件だ」。
 しかし、少なくとも1つ、はっきりしていることがある。それは、
81歳と高齢で体も弱った父・サルマン国王の名の下に急襲を指揮し
た、若きムハンマド・ビン・サルマン皇太子の手に権力が集中する
ことになった、ということだ。
 過去数十年間、サウジアラビアの歴代の国王は、拡大した王族の
中で合意を形成しようと試みてきた。変えるところは少しずつ変え
、権力の微妙なバランスを保ってきた。
 特に、アブドルアジズ初代国王とその寵愛を受けたハッサ・ビン
ト・アハマド・アル・スデイリ妃がもうけた7人兄弟、いわゆる「ス
デイリ・セブン」の一族の間ではそうだった(右の家系図参照)。
 その7人兄弟では、スルタン元皇太子が国防相を48年間務めた。ナ
エフ元皇太子も、息子のムハンマド前皇太子とのリレーで内務省を
40年以上支配した。
 そして1963年からは、アブドラ元皇太子(後のアブドラ前国王)
の一族が国家警備隊を縄張りにしていた。
 今では、この3つの地位すべてがムハンマド皇太子かその仲間の支
配下にある。



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