5961.中国の社会主義帝国化でどうなる



中国は第19回中国共産党全国人民代表者大会で、今後5年間の重
要方針と常務委員会委員が決まった。それを見て今後の世界を検討
する。                   津田より

0.中国の隆盛
中国の経済的な隆盛が顕著になっている。日本の中国専門家が中国
崩壊を言っているが、それは見事に裏切られている。日本人の多く
は、崩壊本の影響で、中国は将来、没落するとみているので、実態
を理解できない。

中国の経済規模はGDPで1200兆円にもなり、日本のGDP500兆円の2.4
倍になり、米国の経済規模GDP1800兆円の2/3にまで迫っている。

中国の経済をけん引しているのは、民間企業ではなく、国有企業に
なっている。最先端技術分野は民間企業がイノベーションを起こし
、国有企業は一帯一路の国家政策で潤っている。当初、李克強首相
の民間企業中心での経済発展という路線を、習近平は国有企業中心
の経済発展に路線を変更した。

このため、国有企業の利益総額は前年同期比24.9%増の2兆
1788億元(約37兆2583億円)に達し、収入と利益は引き
続き比較的速い伸びを示している。民間企業は、利益伸び率が10
%程度であり、現在中国経済拡大をけん引しているには、国有企業
である。

中国は、スマホ、ドローンや電子決済、ECサイト、EVなど、ネット
や技術の発展が著しいが、それは民間企業であり、しかし、それよ
り、国家政策である一帯一路の方が国有企業の規模拡大に寄与して
いる状況である。第19回党大会の決議は、『一帯一路』建設の推進
などを党規約に盛り込むことも明確にした。

ドイツなどの西欧まで鉄道貨物で安価に早く輸送できるようになり
、中国と欧州の間の貨物が激増している。東欧では中国の安い商品
が買え、中国は西欧の高い品質の製品を買えることになり、貿易が
活発になっている。

振り返って、日本は液晶分野やスマホ、ネット決済分野、EVで世界
から遅れだしている。この10年間、新しい技術製品がなく、中国
の新産業政策とは違いアベノミクスの成長戦略で、新しい産業を作
れていないのである。日本はGDP維持のために量的緩和に頼り、衰退
の一途を進んでいる。

どうして、国家戦略として水素社会を作り、農業改革をしないので
あろうか?アベノミクスの成長戦略として、当初は改革をすること
になっていたが、すべて中途半端な状態でやめてしまった。

ということで、中国は米国に迫る勢いであり、世界の盟主争うこと
になっている。国家成長戦略・産業政策の優劣でここまで大きな差
が出てしまっている。このため、アベノミクスは失敗であると思っ
ている。日本産業の機会損失が大きすぎる。

1.共産党全国人民代表者大会で決まったこと
10月18日から開催された中国共産党全人代第19回大会が同月24日、
閉幕した。習近平は、国家主席になった時点で「中華民族の復興」
を目指すとし、今回の党大会で党規約の「行動指針」に「習近平の
新時代の中国の特色ある社会主義思想」を盛り込んだ。党規約で「
行動指針」として、個人名が記されているのは建国の父の「毛沢東
思想」と改革開放路線に導いた「トウ小平理論」だけ。

ケ小平が目指した中国発展のために「黒猫でも白い猫でも獲物を得
た猫が偉い」いう資本主義的な思想と「爪を隠し、才能を隠して、
内に力を蓄える」ことを強調した深慮遠謀は捨て去り、再度、社会
主義に戻り、国民全体の所得を上げるために、不正所得を得ていた
企業トップや党官僚の腐敗を取り締まり、民間企業にも共産党委員
会を作り監視する体制にして貧富の差を縮小しようとしているし、
周辺諸国には迷惑であるが爪を研ぎ、力を見せる強大国化路線に転
じるようである。

このような政策であることで、大衆の支持も得た習氏は昨年10月に
毛、トウ両氏や江・元国家主席と同様に「党中央の核心」の地位を
得た。今回の大会で毛沢東しかついていない党主席になるかと思っ
たが、それは実現しなかったようである。

今回の党大会冒頭の政治報告でも、習氏は「中華民族の偉大な復興
という中国の夢の実現に向けてたゆまず奮闘しよう」と強調した。
今後も世界の盟主になることを目指し、世界各地に中国旋風を吹き
かけることになりそうである。

中国は独裁国家に対して、内政不干渉として、権力者に賄賂を贈り
中国の権益を確保してきた。莫大な金を世界にバラマキ、また、中
国の金欲しさに西欧まで、中国非難をできなくなっている。とうと
う、日本も大規模な貿易になり、軍事バランスが中国有利となり、
安倍首相も日中友好を進めざるを得ないようになっている。

このように、世界的に、中国にモノが言えないような雰囲気になっ
てきた。

2.中国常務委員会メンバー
大会直後に決定されたトップ指導層の人事では、今回の党大会で習
近平国家主席と李克強首相以外の政治局常務委員は全員定年退職し
た。その後任に選ばれたのは、栗戦書氏(党中央弁公庁主任。日本
の官房長官のような地位)、汪洋氏(経済担当の副首相)、王滬寧
氏(党中央のシンクタンク)、趙楽際氏(党中央組織部長。王岐山
の後継として反腐敗運動を担当)、および韓正氏(上海市書記)で
ある。

しかし、習氏の後継者となる可能性があると見られていた、陳敏爾
重慶市書記と胡春華広東省書記は、いずれも政治局常務委員に選ば
れなかった。胡氏は共青団派のホープであるが、習氏は嫌い、両方
を常務会メンバーにしなかった。

これで、習近平は3期目を目指していることが明らかになったようで
、1期は5年であることから15年の長きにわたり権力の座にいること
になる。

3.今後の中国はどうなるのか?
楊偉民・中央財経指導小組弁公室副主任は、「経済規模の倍増」の
ような目標は今後掲げないとの新方針を明らかにした。高度成長追
求から質重視の路線に転換するという。しかし、中国は国内総生産
(GDP)と個人所得を2020年までに10年比で倍増させる計
画。達成する可能性は高いが、楊副主任は「GDP倍増といった目
標は(21年以降)掲げない」と述べた。

中国人民銀行の総裁を15年も務め上げ、間もなく引退する周小川氏
が、次の言葉で全世界から大きな注目を集めた。
「経済における景気循環の増幅性の要素が多すぎるならば、この周
期の変動が巨大と呼べるほどに拡大され、繁栄の時期に示す過度の
楽観性により、矛盾の蓄積が作り出され、特定の時が到来するなら
ば、いわゆるミンスキー・モーメントが生じることだろう。この瞬
間に伴う急激な調整こそ我々が避けるべきものだ」と言ったのであ
る。

ミンスキー・モーメントとは、米国のエコノミストであるハイマン
・ミンスキーが、もしすべての銀行が貸出資金の回収に奔走するな
らば、金融危機は避けられない。この一瞬のことをミンスキー・モ
ーメント(Minsky Moment)と称したことによる。

要は、中国の金融機関が大量の通貨を企業に貸し出しているが、そ
れが限界に来ると、中国経済は金融崩壊を起こすので、徐々に貸出
を抑えて、徐々に資金回収をするべきであるが、急に行うべきでは
ないということのようである。中国企業は資金の借入れが多く、総
資産の200%にもなっている。

このため、企業買い出しを抑えることが必要であり、そろそろ高度
経済成長から巡航速度に落とすしかないようである。そのことを楊
氏も言ったようだ。

2050年になると、中国も人口減少になり、日本の今の状態と同
じようになる。そこまでには軟着陸しようとしているようである。

このため、この20年から30年間が、中国経済の発展期であり、
それに伴って軍事力も強くなり、世界の盟主になれる時期でもある。

しかし、国内での言論統制などにより、国内の不満も高くなる可能
性もあり、中国の国内外の動向は、日本の経済的・安全保障的な問
題にも直結するので、十分な注視が必要であろう。

大国中国の近傍に位置する日本は難しい立場になることだけは確実
である。

さあ、どうなりますか?


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「アメリカ・ファースト」VS「中華民族の復興」、世界の盟主争う
米中指導者、ナショナリズムを政権求心力に
Record china配信日時:2017年10月28日(土) 6時0分
中国共産党大会で一強体制を名実とともに確立した習近平総書記(
国家主席)。習政権を象徴するキーワードの一つは「中華民族の復
興」だ。米国のトランプ大統領のスローガンは「アメリカ・ファー
スト(米国第一)」。世界の盟主の座を争う2人は、政権の求心力に
ナショナリズムを前面に打ち出している。 
18日から北京で始まった共産党大会は最終日の24日、党規約の「行
動指針」に「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」を盛
り込んだ。党規約で「行動指針」として、個人名が記されているの
は建国の父の「毛沢東思想」と改革開放路線に導いた「トウ小平理
論」だけ。江沢民・元主席や胡錦濤・前国家主席の理念も「行動指
針」とされているが、いずれも名前は記載されていない。 
習総書記は2012年の就任後、「反腐敗」を旗印として、不正を犯し
た高官を次々と摘発し、反対勢力を抑え込んできた。大衆の支持も
得た習氏は昨年10月に毛、トウ両氏や江・元国家主席と同様に「党
中央の核心」の地位を得た。行動指針に自らの政治理念を名前付き
で明記したことで、毛・トウ両氏に続く権威付けも試みた。 
「中華民族の復興」は習政権1期目に登場した。「反腐敗」と並ぶ二
大看板で、今回の党大会冒頭の中央委員会報告(政治報告)でも、
習氏は「中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現に向けてたゆ
まず奮闘しよう」と強調した。そこには経済発展を背景に中国国内
で芽生える「大国意識」に訴えて共産党政権の求心力につなげよう
との思惑が見え隠れする。南シナ海などへの海洋進出や現代版シル
クロード経済圏構想「一帯一路」は、その延長線上にある。 
一方、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」は早くも色あせ
てきた。大統領選の公約だったイスラム諸国からの入国制限は自由
を尊ぶ司法の壁に阻まれて頓挫した。米国内の雇用を守るとして環
太平洋連携協定(TPP)交渉から離脱したものの、経済のグローバル
化が進む中で、TPPに代わる新たな道は見いだせないままだ。 
米国メディアはトランプ政権発足後、「世界で米国の役割が減少し
、オバマ政権時と比べて米国に対する外国の見方が好意的でなくな
っている」と指摘。日本やドイツなど37カ国で行われた世論調査結
果でも「国際問題についてトランプが正しいことをすると信頼して
いるのは平均22%にすぎない。これはオバマ政権の終盤には平均64
%が大統領は世界の中で米国を正しい方向に導くと信頼を表明して
いたのと対照的だ」と報じている。 
その上で「トランプ大統領は自らの『アメリカ・ファースト』政策
によって米国がより強くなり、世界中でいっそう尊敬されると信じ
ている。しかし、調査結果は全く逆の結果を示している」と説明。
「米国の世界における凋落(ちょうらく)」を憂慮している。
(編集/日向)
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習近平「一強」の独走体制ににじむ中国の焦り
7人の新最高指導部が選別された舞台裏
美根 慶樹 : 平和外交研究所代表 2017年10月28日TK
世界中が注目した、中国共産党の第19回党大会が10月24日、閉幕し
た。同月18日から開催されたこのビッグイベントは、5年に1度開か
れる党の最重要会議だ。
今大会では、習近平総書記(国家主席)による、過去5年間の指導が
改めて承認されている。習氏の政治理念が「習近平の新時代の中国
の特色ある社会主義思想」と命名され、党の最高規範である規約の
行動指針に記入された。中国の街中では、習氏が政治体制改革、軍
事体制改革、通信・インターネット改革などに関する、重要会議で
行った講話や指示をまとめた発言集が手際よく販売されているとい
う。
「思想」としては、中国革命の基礎文献となっている「毛沢東思想
」が最も有名だが、これに倣い、習氏の講話も今後の中国政治の指
針としていこうという考えだ。中国の社会主義建設における基本文
献である、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想と並ぶ位置づけを
、「習近平思想」に与えたのである。
命令だけでは国家は動かせない
一見、習体制は、盤石のごとく固められたかに見える。しかし、一
歩踏み込んで見てみると、そうでもなさそうだ。
習氏による統治システムは、国政の全般にわたって非官僚機構的方
法で改革を進めることと、腐敗の取り締まりや言論統制の強化を進
めることである。いわば2本のムチを用いて、その実効性を高めるこ
とであった。
かつて習氏は国務院で要人の秘書を務めたほか、地方(河北、福建
、浙江、上海)における、行政・党務の経験が豊富である。2007年
の党大会で2階級特進して政治局常務委員となって以降、トントン拍
子に胡錦濤前総書記の後継者となったのだが、この間、習氏は中国
政治の官僚化、マンネリ化を嫌というほど体験していた。
仕事師である習氏は総書記に就任後、現状を改革することが必要と
考え、そのため「小組」を多数設置、自らその組長に就任した。小
組は名前は小さいものの、大きな力を発揮する。1960年代半ばから
約10年間、中国を大混乱に陥れた文化大革命の司令塔的役割を果た
したのも、「文化革命小組」だった。小組は党規約には明記されて
いないもので、その権限は制限がなく何でも指示できる。
だが、命令だけで、中国を動かすことはできない。そこで習氏は、
小組による改革を貫徹するため、「腐敗の取り締まり」と「言論規
制の強化」という、2本のムチを使った。前者は小組の方針に従わな
い者を罰するため、また後者は問題の発生を事前にコントロールす
るため、活用された。いずれも有効であり、膨大な数の党政の幹部
が訴追され、民主化要求は徹底的に抑え込まれたのである。
同時に習氏は「中国の夢」を語る。国際社会における中国の声望を
押し上げることにも腐心した。日本との戦争の開始時期を早め、共
産党が早くから日中戦争を戦ってきた形にするなど、大国・中国に
ふさわしい歴史に書き換えた。また第二次世界大戦中、中国は欧州
戦線でも一定の役割を果たしたことを強調し始めたのである。これ
らはすべて「中国は元から大国であった」と印象づけるためだ。
毛沢東に次ぐ偉大な指導者であり、改革開放を始めた功労者である
ケ小平は、かつて、「才能を隠して、内に力を蓄える」ことを強調
した、それから約30年後の今日、習氏はそのような深慮遠謀は捨て
去り、大国化路線に転じたのである。それには中華思想的体質を帯
びている国民の心をくすぐる狙いもあったのだろう。
中国における政府や官僚機構がすべてダメなわけではない。また小
組からの指示がつねに正しい保証もない。党の権威を背景に、2本の
ムチが振るわれれば従うほかないが、官僚機構にとって習氏の非官
僚的方法による改革は、しょせん人為的に作り上げられたものにす
ぎないのだ。改革は今後も積極的に進められるだろうが、行き過ぎ
ると反発を惹起(じゃっき)する危険がある。
今大会で実現した新しい人事についても問題は山積みだ。中国共産
党の中核的機関である中央委員会に204人が選ばれたが、国務院各部
のトップクラスが相次いで中央委員の資格を失った。一部は定年退
職の結果だが、大臣クラスの高官が中央委員でないのは、これまで
めったになかったこと。国務院の新人事は、2018年の全国人民代表
大会(日本の国会に相当)まで待たなければならないが、新大臣が
中央委員から選ばれるか、不明の状態になっているという。中国人
民銀行(中国の中央銀行)の周小川総裁も中央委員でなくなった。
既存の官僚機構である国務院の各部は、党の序列では格下げとなり
、党の指導力がそれだけ強くなってきたわけだ。
反面、公安系統は別扱いで、部長(大臣)、および3人の副部長は全
員、中央委員になった。常万全国防部長も中央委員でなくなったが
、後任は中央委員から選ばれるといわれている。公安や軍を格下げ
できないのは、国内の安定のため、強権的手段を維持せざるをえな
いからである。
若手ホープ2人はなぜ選ばれなかったか?
大会直後に決定されたトップ指導層の人事も特徴的だ。
今回の党大会で習氏と李克強首相以外の政治局常務委員は全員定年
退職した。その後任に選ばれたのは、栗戦書氏(党中央弁公庁主任
。日本の官房長官のような地位)、汪洋氏(経済担当の副首相)、
王滬寧氏(党中央のシンクタンク)、趙楽際氏(党中央組織部長。
王岐山の後継として反腐敗運動を担当)、および韓正氏(上海市書
記)である。
しかし、習氏の後継者となる可能性があると見られていた、陳敏爾
重慶市書記と胡春華広東省書記は、いずれも政治局常務委員に選ば
れなかった。
陳氏は習氏の部下だったことがあり、信任が厚い人物である。習氏
は後継者にしたかったといわれていたが、結局、それは実現しなか
った。一方、胡氏はかねて次世代のホープとされてきたが、出身母
体である共産主義青年団(共青団)に対し、習氏は最近批判的な姿
勢を強めていた。そのことが原因となってか、後継者とならなかっ
た。
このような結果になったのは、陳氏を推す習氏と、胡氏を推す李氏
など共青団派の間で、激しい確執があったからだともささやかれて
いる。
後継者問題と関連があると思われるが、今回、政治局常務委員とな
った5人は、かつての部下など、習氏と特に近い関係にあった者ばか
りだ。韓氏は上海市での勤務が長く、江沢民派だといわれるが、か
つて習氏が上海市書記に就任するに際して積極的に協力した経緯が
あり、縁は浅くない。
習氏がこのような人物たちを政治局常務委員としたのは、中国広し
といえども、本当に信頼できる人物はあまりいないからだろう。こ
こにも習体制の足元が見掛けほど強くないことが表れている。
低成長と人口減でひずみは顕在化
今後、中国の経済はなお成長を続けるだろうが、かつてのような急
成長は望めなくなっているのも問題だ。
特に労働条件の優位性が失われつつあり、人口の減少傾向は深刻化
していく。労働力人口の減少ペースは2020年以降一段と加速し、2050
年までには現在から2億5000万人も減少すると試算されている。その
ような状況下、社会のひずみと格差は、従来以上に顕在化してくる
おそれがあろう。
共産党の一党独裁については、本来的に不安定な面がある。ケ小平
が1989年の天安門事件後、西側諸国は「和平演変(平和的な方法で
転覆させる)」を狙っている、と言ったのは有名な逸話だ。が、そ
れ以来、歴代の指導者は誰もこの危機意識を払拭できていない。習
氏も例外でない。
中国共産党の独裁体制は、今後5年間、習氏の下で最も安定し、「中
国の夢」実現に近づくかもしれないが、その後は指導者、諸改革、
経済成長のいずれをとっても、問題が増大する危険があるのではな
いか。
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焦点:中国の終わりなき反腐敗闘争、習主席が選んだ新責任者
2017年10月27日 14時00分.epochtimes
[北京 25日 ロイター] - 中国の習近平国家主席は25日、新たに
発足した共産党最高指導部の反腐敗運動の責任者に、側近で比較的
目立たない趙楽際氏を据えた。趙氏は、これまで反腐敗運動に辣腕
を振るってきた王岐山氏の退任に伴い、党中央規律検査委員会(CCDI
)書記となった。
習氏は24日に閉幕した共産党大会で、これまでに摘発した当局者は
130万人を超えたと運動の成果を強調するとともに、序列・身分の高
下に関わらず断固処分するという意味の「トラもハエもたたく」方
針を続けていく考えを示した。
ただ趙氏の起用によって中国の反腐敗に向けた取り組みは、個別的
な汚職摘発からこの問題に広く対応できるような政治機構の整備と
いう次の段階にさらに進んでいく、と専門家は話している。
米シンクタンクのポールソン・インスティテュートのアソシエート
ディレクター、ダミアン・マー氏は「趙氏の役割は、トラとハエを
たたく面が後退して、反腐敗システムを効率的に組織化し、CCDIの
機能を全行政レベルに行き渡らせるという面が大きくなっているよ
うだ。これは難しい仕事だが、趙氏は前中央組織部長として全党員
の記録を持っている」と指摘した。
習氏は新しい最高指導部(政治局常務委員)メンバーの発表後記者
団に、共産党の規約にも盛り込まれた反腐敗闘争は「終わりなき旅
」であり、党組織にはいかなるウイルスも存在させてはならないと
言明した。
その反腐敗を陣頭指揮してきたのが王岐山氏で、それまで存在感が
薄かったCCDIを、党にとって極めて重要で恐ろしい監視機関に改造
し、実際に成果を上げたとの評価が大勢だ。
一方で着実に地位を上げて今回の最高指導部の最年少メンバーとな
った趙氏は、貧しい農村部での任務経験が長かったこともあり、あ
まり名前を知られていない。もっともブルッキングズ研究所の中国
政治専門家チェン・リー氏によると、習氏と趙氏は「陝西閥」でつ
ながっている。陝西省は習氏の戸籍があり、趙氏もここで下積み時
代の大半を過ごした。
<組織再編>
習氏は、いくつかの政府機関を統合して強大な権限を持つ「国家監
察委員会」を立ち上げ、CCDIと庁舎や人員を共有する形に反腐敗組
織を再編する計画だ。国家監察委員会には、共産党員ではない公務
員を調べる権限も与えられるとみられる。
しかし一部の専門家は、王岐山氏という重鎮がいなくなった中で、
国家監察委員会がいったいどれだけの権限を得られるか疑問を呈し
ている。また国家監察委員会のトップにだれが座るか、あるいはCCDI
との関係が厳密にどうなるかもはっきりしていない。
(Christian Shepherd、Philip Wen記者)
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「1つの変化と2つの不変」は現代中国の国情に符合する科学的論断
人民網日本語版配信日時:2017年10月28日(土) 16時50分
習近平総書記は第19回党大会報告で「中国の特色ある社会主義は新
時代に入り、中国の主な社会的矛盾は人民の日に日に増大する素晴
らしい生活への需要と、不均衡で不十分な発展との間にある矛盾へ
とすでに変化している」と強調すると同時に、「中国社会の主な矛
盾の変化が、中国の社会主義の置かれる歴史段階に対するわれわれ
の判断を変えることはない。われわれが今も、かつ長期間社会主義
初級段階にあるという基本的国情に変わりはなく、世界最大の発展
途上国であるという中国の国際的地位に変わりはない」と指摘した
。(文:胡鞍鋼・清華大学国情研究院院長、王洪川・同補助研究員
。人民日報掲載) 
社会の主な矛盾の変化は全局に関わる重大な歴史的変化であり、次
の10点に具体的に現れる。(1)発展が遅れていた状態から次第に中
所得国へと変化を遂げている(2)人民全体の発展能力・発展水準が
高まり続ける(3)総人口に占める貧困層の割合が下降し続け、最終
的に貧困が根絶される(4)貧困状態から衣食の満ち足りた状態へ、
小康(ややゆとりのある)水準から小康社会へ、さらに人民全体の
共同富裕へと、人民の生活水準が高まり続ける(5)伝統的農業国か
ら工業化・情報化・都市化・現代化の実現へと変わる(6)農業人口
が大きな割合を占め、主に手工業労働に依存する状態から、非農業
人口が多数を占め、現代農業と現代サービス業が主導する世界最大
の工業国へと徐々に変わる(7)地域の発展格差が拡大から段階的縮
小へ(8)非識字者が大きな割合を占め、科学技術教育が後れた状態
から、世界の教育大国・科学技術革新国へと徐々に変わる(9)人と
自然の生態格差が拡大の続く状態から、縮小を始める(10)世界の
先進水準との格差が縮小し続け、奮闘目標「2つの百年」達成のため
により高い基礎を固める――。 
だが、社会主義初級段階という中国の基本的国情に変わりはなく、
発展の不均衡・不十分のいくつかの突出した問題も解決されていな
い。今日の中国は天地を覆すような変化が起きたが、まだ社会主義
初級段階を出ていない。これは、社会生産能力は水準が全体的に著
しく高まり、多くの面で世界の前列に並んだが、社会サービス能力
、科学技術革新能力、文化生産能力、生態生産能力は発展が不均衡
・不十分なためだ。これはすでに、日増しに高まる素晴らしい生活
への13億余りの人民のニーズを満たすうえで主要な制約要因となっ
ている。これは、新時代の中国の特色ある社会主義は依然として、
発展が遅れていた要因からさらに抜け出し、常に社会生産能力を解
き放ち、発展させ続ける必要があり、そうして初めて社会主義現代
化を全面的に実現できることを示している。 
第18回党大会以降、中国は国際的地位をかつてないほど高め、国際
社会の中心に近づき続けてきたが、最大の発展途上国であるという
国際的地位は変わっていない。これは次の理由による。中国は経済
規模ではすでに世界2位だが、1人当たりGDPは依然として世界90位だ
。労働生産率は依然として米国と相当大きな開きがある。人口が多
く、1人当たり資源量が少なく、生態基礎が薄弱という基本的国情の
ため、発展を強く制約する条件に変わりがない。高齢化と少子化、
エネルギー供給の制約といった新たな、重大な試練にも直面してい
る。 
つまり、「1つの変化と2つの不変」は、中国が世界の大国から世界
の強国へと変わるうえでの国情の基礎だ。中国は社会の主な矛盾に
変化が生じたからこそ、質の高い発展、革新的発展へと方向を変え
、人民の多様なニーズを満たし、全面的現代化の実現を促進する。
依然として社会主義初級段階にあるからこそ、中国の発展は世界に
多大なチャンスをもたらし、総合国力と国際的影響力の持続的高ま
りを実現することができる。また、依然として世界最大の発展途上
国であるからこそ、途上国との団結・協力を強化し、全世界的範囲
で南北の公平な発展、均衡ある発展を積極的に後押しし、途上国が
現代化へ向かう道を拡大しなければならない。世界の発展途上国と
後発開発途上国が発展して初めて、中国は一層の発展を得ることが
できる。世界の発展途上国が繁栄して初めて、中国は一層の繁栄を
得られる。世界の発展途上国が豊かになって初めて、中国は一層豊
かになることができる。(編集NA)
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中国、国有企業の世界展開が加速=海外資産が100兆円以上に
―中国メディア
人民網日本語版配信日時:2017年10月28日(土) 22時50分
中国の国有企業の世界展開が加速、深化している。経済参考報が報
じた。 
中国国務院国有資産監督管理委員会によると、中央企業(国有企業
のうち、中央政府の管理監督を受ける企業)の海外資産は6兆元(約
102兆円)規模に達し、185カ国・地域に分布している。業務は、プ
ロジェクトの下請け、エネルギー資源開発から、高速鉄道、原子力
発電、電気通信、送電網などの建設、運営などの分野に拡大してい
る。これにより、中国の世界における発言権は強まっている。 
「一帯一路(the Belt and Road)」の建設も加速しており、中央企
業47社が、参加国と1676件のプロジェクトを実施。エチオピアの首
都・アディスアベバとジブチ共和国の首都・ジブチを結ぶ鉄道やモ
ンゴルの鉄道などのプロジェクト、中国・パキスタン経済回廊電力
プロジェクトなどを代表とする重点プロジェクトは、「一帯一路」
参加国のコネクティビティの水準を効果的に向上させ、現地経済の
急速な発展を牽引している。(提供/人民網日本語版・編集KN)
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国有企業、3四半期の利益総額24.9%増
2017.10.27 05:00SB
 中国新聞社によると、中国財政省は先ごろ、2017年第1〜3
四半期の全国の国有および国有持ち株企業の利益総額は前年同期比
24.9%増の2兆1788億5000万元(約37兆2583億
円)に達し、収入と利益は引き続き比較的速い伸びを示したとの公
告を発表した。全ての利益のうち、中央企業は前年同期比17.8
%増の1兆4073億8000万元を占め、地方の国有企業は同
40.3%増の7714億7000万元を占めている。収入につい
ては、第1〜3四半期の国有企業の営業総収入は前年同期比15.9
%増の37兆6443億6000万元で、このうち中央企業は同
14.1%増の22兆5091億7000万元、地方の国有企業は
同18.8%増の15兆1351億9000万元だった。
(RP=東京)
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外交部、中国は「一帯一路」を非常に重視
人民網日本語版配信日時:2017年10月28日(土) 6時0分
外交部(外務省)の耿爽報道官は26日の定例記者会見で「習近平総
書記は第19回党大会報告で、『一帯一路』(the Belt and Road)建
設を重点に、国外からの導入と海外進出を共に重視し、『共に話し
合い、共に建設し、共に分かち合う』原則に従い、イノベーション
能力・開放協力を強化し、陸海・内外が連動し、東西が双方向に助
け合う開放構造を形成する必要があると強調した。『中国共産党規
約(改正案)』に関する第19回党大会の決議は、『一帯一路』建設
の推進などを党規約に盛り込むことを明確にした。これは中国共産
党の指導下、『一帯一路』建設を非常に重視し、『一帯一路』国際
協力を揺るがず推進する中国の決意と自信を十分に示すものだ」と
表明。 
「習総書記が2013年秋に『一帯一路』イニシアティブを打ち出して
以来、『一帯一路』建設は順調に進展し、実り豊かな成果を挙げる
とともに、国際社会の幅広い賛同と支持を得て、協力参加国を増や
している。『一帯一路』建設の推進を党規約に盛り込むことが、わ
れわれが新時代において各国と連携して『一帯一路』を共同建設し
、新型の国際関係の構築を推し進め、人類運命共同体を共同構築す
るために、さらなる方向を指し示し、力強い原動力となることは間
違いない」と述べた。(編集NA)
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経済規模の倍増掲げず=質重視に転換へ−中国
 時事通信2017/10/27
 【北京時事】中国共産党の習近平総書記(国家主席)の下で経済
政策を立案している楊偉民・中央財経指導小組弁公室副主任は26
日、党大会閉幕を受けて記者会見し、「経済規模の倍増」のような
目標は今後掲げないとの新方針を明らかにした。高度成長追求から
質重視の路線に転換する。
 中国は国内総生産(GDP)と個人所得を2020年までに10
年比で倍増させる計画。達成する可能性は高いが、楊副主任は「G
DP倍増といった目標は(21年以降)掲げない」と述べた。 
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中国の競争力が世界トップに!「一帯一路」が世界で16万人の雇用
生む―IMD報告書
人民網日本語版配信日時:2017年10月26日(木) 19時50分
スイス・ローザンヌにある国際経営開発研究所(IMD)がこのほど発
表した「2017年世界競争力年報」によると、中国の世界での競争力
がまたもや上昇して7つ順位を上げ、調査対象となった世界の主要63
エコノミーの首位に立ち、これには就職の指標が重要な役割を果た
したという。央視網が伝えた。 
中国の都市部では新たに就職した人が4年連続で1300万人を超え、大
都市での調査では失業率は5%前後を保ち、先進国の16年の平均失業
率6.3%を下回った。国際労働機関(ILO)の報告によれば、世界で
は平均失業人口が毎年220万人のペースで増えている。一方、過去5
年間に、中国は世界で新たな雇用機会を生み出した。データを見る
と、中国の国有企業102社が世界185カ国・地域で投資を展開し、現
地で33万人の就職を促進した。「一帯一路」(the Belt and Road)
参加国だけで180億ドル(約2兆453億円)を投資し、16万人以上の雇
用を生み出した。 
中国では就業人口4人に1人が対外貿易と関係ある仕事についており
、人数は1億8千万人に上る。世界の約200カ国の税関がまとめた統計
では、過去5年間の世界の国境を越えた貿易額のうち、13%は中国人
が関わったものだった。世界銀行のデータから試算すると、中国の
対外投資と輸出入は、毎年平均で1500万人の雇用を直接生み出して
いる。(提供/人民網日本語版・編集KS)
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2017年10月19日 / 17:20
中国人民銀総裁、資産価格急落リスクを警戒 過度の楽観に警鐘
[北京 19日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)の周小川
総裁は19日、過度の楽観姿勢が資産価格の急落を引き起こさない
ようリスク回避に努めると述べた。
また企業の債務は比較的高水準で家計債務も急速に膨らみつつある
と指摘し、人民銀は資産バブルの急激な調整によるリスクを制御し
、地方政府の傘下機関による借り入れの問題に真剣に取り組むと表
明した。
周総裁は中国共産党大会に伴う会議で「劇的な調整を防ぐことに集
中すべき」と指摘。資産バブルの急激な調整リスクをコントロール
するとした。
さらに、地方政府の融資平台(資金調達のためのプラットフォーム
会社)の債務問題に真剣に取り組むとしつつ、中国全体の債務水準
は当局が信用に対する厳しい管理を維持する限り低下すると述べた。
ミンスキー・モーメント
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周小川、最後の忠告 中国に近づく「ミンスキー・モーメント」
2017/10/28 14:00jーcast
 マーク・トウェインはかつて、いわゆる銀行家は晴れの日に傘を貸
し出し、雨が降り出すとすぐに傘を回収しようとする者たちだ、と
語った。この言葉には、いくらか冷酷さが感じられるが、それが言
わんとしているのは、金融の景気循環の本質ゆえに不確実性がもた
らされるということだ。
   その後、米国のエコノミストであるハイマン・ミンスキーは、金
融部門の不安定性の理論に関する解説を発展させた。もしすべての
銀行が傘の回収に奔走するならば、金融危機は避けられない。この
一瞬のことをミンスキー・モーメント(Minsky Moment)と呼ぶ。
金融危機が始まる「一瞬」
  2017年10月24日まで開かれていた中国共産党第19回党大会(19大
)の期間中、中国人民銀行の総裁を15年も務め上げ、間もなく引退
すると見られる周小川氏が、中央金融システム代表団のイベントで
語った以下の言葉が、全世界から大きな注目を集めた。
「経済における景気循環の増幅性の要素が多すぎるならば、この周
期の変動が巨大と呼べるほどに拡大され、繁栄の時期に示す過度の
楽観性により、矛盾の蓄積が作り出され、特定の時が到来するなら
ば、いわゆるミンスキー・モーメントが生じることだろう。この瞬
間に伴う急激な調整こそ我々が避けるべきものだ」
   学術的素養が深い中央銀行のトップである周小川氏の発言は、も
ともと含蓄や示唆に富んでいるが、彼の発言は明らかな警告と言え
る。
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中国共産党大会、習近平が側近登用で権力固め 党主席ポスト復活も
2017年10月16日(月)12時42分
中国の習近平国家主席は18日に開幕する共産党大会で側近を指導
部に起用するとともに、自らの思想を党規約に盛り込み、権力を強
化する方針だ。さらに、「党主席」に就任し、毛沢東氏に並ぶ地位
を固める可能性があるという。
党幹部や元当局者、外交筋など、指導部とつながりを持つ複数の関
係筋が指摘した。
党大会では、習氏の河北省勤務時代に同省で勤務した栗戦書・中央
弁公庁主任など、習氏が最も信頼する側近が常務委員として有力視
される。
同じく習氏に近い王岐山・中央規律検査委員会書記は、引退が慣例
とされる年齢に達しているが、何らかのポストにとどまるとみられ
ている。
これに加え、関係筋によれば、習氏は党主席のポストを復活させる
可能性がある。慣例に従えば習氏は2022年に引退となるが、党
主席に就任すれば3期目続投にも道が開かれる。
習氏は現在、共産党総書記だが、総書記は政治局常務委員会の決定
を踏まえて党運営を行う。アジアの外交筋は、習氏が仮に党主席に
就任すれば「誰にも従う必要がなくなる」と語った。
[北京 16日 ロイター]



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