5942.北朝鮮核ミサイルへの対応の仕方



戦後75年が過ぎて、とうとう日本の防衛政策の根本を見直す機運
にある。それと世界でも核拡散防止の限界にきている。

北朝鮮に制裁を科せば、核の拡散は確実に広がることになる。世界
では核兵器を手に入れたい国が多数あり、かつNPTから離脱してい
る北朝鮮の核は安く買えることになる。

中東地域の不安定化は、確実に増すことになる。イランとサウジの
核武装は拡大していくであろうし、イスラエルも周囲の国家が核を
持つことで、脅威になる。

核の拡散を抑えるためには、北朝鮮の核をつぶすことが必要である
が、ロシアと中国は反対しているので、石油の禁輸はできず、その
結果は、核拡散ということになる。

オプションは2つで、北朝鮮を軍事力でつぶしか、交渉で核を容認
して核拡散させないようにするかであるが、核拡散防止の交渉では
巨額の金の要求になる。韓国がその金を払うというなら良いが、日
本も米国も払うはずがない。過去に失敗しているので、それはしな
い。

ということで、交渉はまとまらない。

戦争になると、韓国はソウル周辺の大きな破壊になる。そこにサム
ソンの工場や研究所があり、韓国産業の大破壊になる。

ということで、戦争もできないということになり、交渉を長期間行
うことになる。何の解決も見ないことになりそうである。

日本は自国防衛政策を、北朝鮮が核ミサイルを打たれたら、どうす
るかの観点で議論する必要がある。

日本も普通の国になるしかない。1つのオプションは、当面、米国
から核ミサイルを買って、自国の意志で打てるようにするしかない
。3年掛けて核兵器開発をして装備する。その時までにはNPTも無効
化されている。しかし、その研究開発するくらいなら、ビーム兵器
の研究をしたほうが良い。米国から核兵器は買うのが正解。

米国の意志では、議会の反対になり、北朝鮮の核が東京に落ちても
他人事になるからである。米国では安保ただ乗り論があり、一般国
民は内向き志向である。それに影響されて、トランプ大統領が生ま
れたことを、日本の政治家も報道機関は無視している。

そのため、石破さんの米軍の核を日本の基地に置くことでは、完全
には、核を使用できないことになる。一時の気休めである。何もし
ないより良い程度である。

日本の意志で核を使用できる状態にすることしか解決方法はない。

もしくは、2つ目のオプションとしては、常時北朝鮮の核ミサイル
を監視するために24時間北朝鮮領内に無人機を飛ばし、ブースト
段階で、北朝鮮領内で撃ち落とすことである。しかし、これも憲法
改正が必要であり、相手国に攻撃することを可能とする必要がある。

北朝鮮は、空軍力が弱いから、これができるが、中国には無理であ
る。とすると、戦略的な観点からは、当面、核ミサイルの配備で長
期的にはビーム兵器を可能にするしかないように感じる。

しかし、核3原則を破棄する必要がある。もし、核3原則を保持す
るなら、2番目のオプションしかない。

それより、戦争になる可能性もあり、第2次朝鮮戦争になる可能性
は大きいようにみるがどうであろうか?

日本の核武装を提案した三浦瑠麗さんの方が戦略的で、それに反論
した池田信夫氏のコラムは戦術論からであり、どうすれば北朝鮮対
応できるかの視点がない。あまりにもお粗末である。

それと、トランプ大統領も米国の核ミサイルを日本に売ることを検
討しているよ。池田さんの論を否定したが、池田さんはまだ、それ
でも核武装を否定できるのですか?

さあ、どうなりますか?

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日本は核武装できるのか
2017年08月30日 13:45
池田 信夫
北朝鮮が、今度は日本の上空を通過するミサイルを発射した。これ
と前後して掲載された三浦瑠麗氏のコラムが話題を呼んでいる。特
に問題なのは、日本が「核攻撃能力」をもつことを推奨した部分だ。

強硬な動きと穏健な動きの両方が必要だ。強硬面では、北朝鮮周辺
でアメリカが持つ軍事力の増強が必要だろう。北朝鮮の核施設やミ
サイル基地を狙った攻撃能力や、情報機関の格上げ、さらに日本と
韓国が独自の核抑止力を持つことすら必要になるかもしれない。[…]
核攻撃能力は、日本と韓国が独自に抑止力を持つために必要だろう。

さらに重要なことに、それによってアメリカから有意義な行動を引
き出せる可能性もある。
日本が核武装すべきだというのは、新しい話ではない。日本は高い
原子力技術と原爆6000発分のプルトニウムをもっているので、核弾
頭だけなら1年で開発でき、ミサイルに搭載して配備するとしても、
3年あれば技術的には可能だといわれる。

問題は、それが政治的に可能かどうかである。日本が軍事用のプル
トニウムを保有すると日米原子力協定に違反する。1988年に締結さ
れたこの協定は日本のプルトニウム保有の目的を「平和利用」に限
定しているので、日本が核武装の意思を表明すると、30年の期限の
くる来年、アメリカは協定の破棄を通告するだろう。

そして原子力協定は、非核保有国の日本が核拡散防止条約(NPT)の例
外としてプルトニウムを保有することを認めているので、核武装す
るためには日本はNPTを脱退しなければならない。アメリカはもとも
と日本のプルトニウム保有にも反対していたので、核武装には強く
反対するだろう。

それを押し切ってNPTを脱退すると、日米安保条約は破棄され、在日
米軍基地も撤去されるだろう。日本は独力で核兵器を全国に配備し
なければならない。そのコストは『コストを試算! 日米同盟解体』
によれば、直接経費だけで年間4兆2000億円にのぼり、防衛費は80
%以上増えるが、それでも今より安全にはならない。

つまり核武装は日米同盟の破棄と一体であり、技術的には可能だが
、政治的には不可能なのだ。こんなことは「国際政治学者」に説明
するまでもない常識だと思っていたが、そういう問題にも言及しな
いで気楽に核武装を提言するのは困ったものだ(写真はYahoo!ニュースより)。

追記:「ドイツのような核共有ならいい」という誤解もあるようだ
が、NATOに配備されているのは、ヨーロッパの地上戦で使う戦術核
兵器である。日本が配備するのは海を隔てて飛ばす巡航ミサイルか
戦略核兵器であり、アメリカの軍事的脅威になる。米軍の戦略核兵
器はアメリカ西海岸のSLBMに搭載されているので、日本と「共有」
することはありえない。くわしいことは『日米同盟のリアリズム』
参照。
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北朝鮮を止めるには、制裁以外の新たなアプローチが必要だ
Forget Sanctions, Reining in North Korea Will Need a Whole New Approach
2017年8月29日(火)09時00分
三浦瑠麗(国際政治学者)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/08/post-8324.php


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