5939.金融資産課税を考える



民主党の前原氏は、増税して再分配政策を進めるというが、現時点
で消費税10%にしても3兆円程度の増収であり、より税収を上げ
るとなると資産課税となるが、その検討。      津田より

0.現状を整理する
財政上の問題で明確なことは、現時点20兆円から30兆円の国債
を発行して財政収支を成り立たせている。自民党は消費税を10%
に上げずに、予算規模を100兆円にする計画であるが、世界的な
バブル崩壊の可能性が出てきているし、この世界的な景気上昇が、
いつ終わるか心配の状況になっている。

世界の状況は、量的緩和からの脱出をどうするかという論点になっ
ている。欧米中央銀行は、その方策を検討しているが、インフレが
起きないことで、先に中央銀行の資産縮小の方向に向かっている。

しかし、日銀は、今までと同じ量的緩和を志向している。世界はグ
ローバル化で繋がり、世界は協調して金融政策を行う必要が出てい
るのに、それに反したことを日銀は行っている。

しかも、量的緩和は市場に大きな影響を与えて、市場機能が劣化し
ている。東証の海外投資家は、官製市場であることで参加を見合わ
せている。株価の値幅が小さく、うま味も少ないからである。

世界からの投資資金が集まらなくなることを意味する。

このような量的緩和一辺倒の自民党の政策では、BISのバーゼル
3規制などを経て、いつかハイパーインフレになるとも言われてい
る。しかし、そこに至るまでリフレ派の論者は、世界的な状況も見
ずに量的緩和の継続を言い続けるようである。

1.民進党の政策は
しかし、民進党の枝野さんは資本主義がわからない経済音痴である
ので期待しないが、保守色の強い前原さんが、民進党の党首になっ
ても、問題は解決しない。

急に量的緩和を止めたら、金利上昇が起きて、再度景気の後退にな
る。再度デフレに逆戻りになる。前回の民主党政権時代と同じにな
るだけである。

また、ただ増税して再分配だけでは日本経済のパイは増えないので
日本人全員が貧しくなるだけである。このため、有効な経済政策が
必要である。また、消費税増税も必要であるが、それだけでは足り
ない。このため、1800兆円になる金融資産課税の議論が出てく
ることになる。

大前研一氏なども資産課税というが、不動産には、固定資産税が掛
けられているので、料率のUPや農地への宅地並み課税はあるが、基
本的には今の制度の延長上である。新規の資産税となると、金融資
産に課税となる。

2.金融資産への課税とは
金融資産は、株などへの投資資金と銀行に預けている貯蓄資金と各
家庭にある現金とになる。このすべてに課税をすることは難しい。

各家庭にある現金の捕捉手段がないことと、申告させることは個人
の不利益になることがわかるのでしない。投資資金は、株の捕捉が
できるので、それに課税するとなると、海外投資家が日本の市場か
ら逃げていくことになり、資金逃避を促進させることになる。

金融資産に課税できるのは、そのため金融機関にある貯蓄資金だけ
になる。年間1%の税金をかけると、預金への金利は、現在ほとん
で0%なので、マイナス金利になる。貯蓄するメリットがなくなり
、デメリットが大きくなる。

さあ、銀行の貯蓄資金に税金が掛けられるとすると、皆様はどうし
ますか?

銀行から預金を下ろして、家庭に現金で持つことになる。徐々に現
金流通量が増えているので、既にそれを実行している人が増えてい
ることもわかる。1万円札の発行量が増加しているのでわかる。

このため、ロゴフ氏は、1万円札の廃止を提案している。このよう
にタンス預金になる。

3.金融資産課税の仕方
このため、金融資金に課税する場合は、戦後のすぐに行った預金封
鎖、新札発行、預金や現金への強制的な課税の3点セットで行うし
かない。

これしか、正当に課税できないので、そのような方法を戦後すぐに
実行したのである。しかし、この方法は数十年に1度程度しか実行
できない。新札発行して、旧札を無効化するというのは、そう簡単
ではない。

このため、この方法が使えるのは、危機的な状況の時である。戦後
のハイパーインフレ化で行ったことでもわかる。ということで、課
税できる環境は、危機的な状況となり、今までの国債が1000兆
円で償還できないことが明確化しているので、バーゼル3規制など
で、今回もハイパーインフレになった時のようである。国債をチャ
ラにしてしまう。

前回と同じように1回での課税の料率は、30%とか50%になる
と思う。前回は株式には課税しなかった。このため、今回も課税し
ないとすると、株に資金が集まることになるとみる。

どちらにして、このような状況にはしてはいけないが、安部首相の
お友達たちは、安易な方法での経済活性化を唱えているので、ハイ
パーインフレの可能性が出てきたことに、大きな懸念を抱いている。

さあ、どうなりますか?



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