5938.バノン追放でも米国の問題は解決しない



トランプ大統領は、バノン首席戦略官を更迭した。バノン氏は下層
階層の白人たちの不満解消を目指したが、白人下層民は白人至上主
義という考えを伴うので、とうとうトランプ大統領もバノン擁護が
できなくなった。 しかし、益々米国問題は解消されずに不満がた
まることになる。今後の展望を検討しよう。 津田より

0.米国の状態
バノン流の白人至上主義は、米国企業は許すことができない。しか
し、貧富の差が日本より大きな米国では、下層白人の不満もわかる。

英語は世界に広がり、グローバルに米国へ優秀な人が集まる。世界
からの移民も多い。それを米国は受け入れてきた。このような人た
ちによって、米国は最先端技術を開発して世界経済のトップに立っ
ていた。

しかし、その陰の部分がある。このような移民や優秀な人たちに、
白人たちは職を奪われてきた。一部の白人しか金持ちになれず、大
多数が落ちこぼれ、貧困層になってしまった。

この貧困白人たちも、移民と世界からの技術者たちが自分の貧困の
原因であるとみて、白人至上主義になっている。

この貧困白人の支持を受けて、トランプ大統領は選挙に当選した。
その戦略を練ったのが、バノン氏である。

しかし、ケリー首席補佐官からトランプ大統領は、秩序維持か白人
支持層の確保かの選択を迫られた。秩序維持を担っているのが軍人
たちであり、白人支持層を担っているのがバノン首席戦略官であっ
たが、トランプ大統領は、ケリー氏を選んだ。そうしないと、政権
が維持できないからである。秩序維持優先の軍人政権になったよう
である。

中山俊宏先生は、「トランプ主義のソウル、バノンへの謝辞。トラ
ンプ政権は続いても、トランプ主義は終わった。」という。

ラビ・バトラのプラウド理論でいう武人政治のようである。社会分
断が激しくなると秩序維持が優先されることになる。米国内は力と
力の対決に向かうことを示唆している。

国家経済を担っている国際的な大企業を取るか、選挙時支持される
選挙民かの選択でもある。大企業を選択した。ということで、中山
教授が言うトランプ主義の放棄であるということになる。

世界企業のユーザで、貧困な白人の割合は数%であり、従業員も優
秀な人を求めるので、白人がそれほど多くない。アジア系の移民た
ちは、勉強熱心であり、成績もよい。インド人技術者も数学など論
理能力は高い。このため、企業も優秀な社員を求めると、非白人と
なる。

このため、白人至上主義を大企業は容認できない。トランプ大統領
が白人至上主義を擁護するなら、それは危ないので、企業は政権の
諮問委員会から抜けるしかない。次の選挙時には、反対に回ること
になる。

しかし、絶望感からか白人の生産人口の自殺率、オビオイド中毒患
者数が多くなり、労働参加率が80%台まで落ちている。そして、
貧困白人層の支持がないと、トランプ大統領の再選もない。

米国は企業と選挙民の利益相反が激しすぎである。問題解決の道が
ない。そのため、絶望感から社会が荒れると、銃などで武装できる
量に勝る弱者は、力の行使に出てくる。国内混乱という嫌な感じに
なっている。米国の衰退が近い。その混乱を主導するのか保守系メ
ディアのブライトバードに戻るバノン氏であるような気がする。一
方、民主党はサンダース議員の社会主義であり、どちらにしても弱
者の革命が起きる。その過渡期に米国はある。

1.日本は米国ほどには行き詰っていない。
一方、日本は米国とは逆に人口減少で移民を入れる必要になってい
る。米国とは違い、日本の問題は解決可能である。問題解決に真剣
に立ち向かうことで解ける問題である。それを阻止している政治勢
力がいるので、政策を実行できないだけだ。選択的移民をして計画
的な移民政策をして、将来、米国のような混乱にならないことであ
る。

もう1つが、健康な間は働けるように定年制を止める。これにより
、年金問題を軽減することができる。財政上の問題から、健康保険
もある一定水準までの医療費は保険適用して、それ以上の医療行為
を認めて、その医療行為は保険外とすればよいのである。混合治療
も認めることである。そして、民間企業が適用外治療部分の保険を
作ればよいのである。

人口減少社会であるので、大学を増やすのでなく減らしていくこと
を考えることと、能力がありやる気のある人の能力を開発して、日
本社会に貢献できるようにすることである。むやみに大学無償化は
いけない。今やろうとしているのは、赤字大学の救済策のような気
がする。

研究でも日本が最先端を行っている分野が多数あり、その分野を優
先的に産業化することである。農業、材料、エネルギー、バイオ医
療分野である。この分野は、今までの規制を変え産業の革新を促進
することである。

AIやIOT、ロボットも企業や大学を中心に行うことは重要であ
る。しかし、日本は所詮、後追いである。コンピューター分野は世
界的な競争分野であり、論理的な能力競争であり、日本の人口がな
いので、難しいと思う。それより、センサやサーボモーター、ナノ
などの分野を中心にシフトした方が、今までの技術やノウハウの蓄
積が生きるので、重要な気がする。IT技術開発分野で米中印とは
戦わず、部品分野を広げることである。

2.金融緩和で経済成長ができるはずがない
量的緩和を続けると、経済成長ができるという迷信を信じる人たち
が多すぎである。経済の崩壊を止めることはできるし、経済の衰退
を一時的に緩和できるだけである。

通貨量の上昇で、資産価値が上昇しバブルが起きたら、その時点で
量的緩和を止めないと、今度はバブル崩壊が起きて、経済の大混乱
を起こすことになる。バランスシート不況と見抜いたリチャード・
クー氏が言うことであるが、そのアドバイスを忠実に実行に移る方
向にイエレンFRB議長はある。

その忠告を無視しているのが日本であり、黒田総裁であるしリフレ
派の浜田先生などである。そろそろ、リフレ派の人たちの退場が必
要になっている。役目は終わったようだ。

今後、議論をすることは、どうしたらハイパーインフレを起こさず
に金融緩和を縮小していけるかである。国債は、今後買わなければ
40年もすると日銀からなくなる。問題はETFとリートである。
しかし、この2つには配当がある。日本経済が上昇すれば、日銀の
利益にはなる。

この縮小も長期に考えることである。ある水準になったら、売るこ
とも考えるしかない。

どちらにしても、最初にやることは日本経済の持続的な発展を図る
ために、イノベーションを起こし、日本企業を世界的な企業にする
ことと同時に財政均衡化である。

さあ、どうなりますか?



コラム目次に戻る
トップページに戻る