5920.世界経済混乱で日本の金融政策は崩壊



トランプ大統領は第2のフーバー大統領になることが確実である。
管理貿易にして、世界経済を大幅に縮小する。また、米中、米EU貿
易戦争が起きることになる。さあ、どうなりますか?
                     津田より

0.世界経済の大混乱
トランプ大統領は、米国国内の鉄鋼・自動車工場など昔の基幹産業
の雇用を守るために、該当製品に対する関税を大幅に引き上げてい
る。

このため、中国、ドイツとの貿易戦争が起きることが確実である。
中国は対抗処置を取り、米企業を中国市場から締め出すことになり
、米自動車や産業機械などの企業の業績が縮小する。米企業の中国
依存度は大きく、その市場を失い、利益は半分以下になる。もちろ
ん、アップルなど先端企業も締め出されることになる。同じことが
EUでも起きることになる。

米ダウ、ナスダックなどの株価は大幅な調整になることが予想でき
るし、世界経済の大幅な縮小になる。現在、世界の株価が上昇して
いるが、世界的に株価は大幅な調整になる。大恐慌に匹敵する経済
縮小になる可能性がある。

米国は世界の指導者から降りたが、それでは次の世界の指導者は誰
なのか?

中国は米国とは違うが、一部の国の企業を締め出すことになるので、
世界の指導者にはなれない。政治的な理由から韓国企業などを締め
出すので、中国との経済関係は非常に難しいし、それは自由貿易で
はない。

ということで、候補はドイツと日本である。このため、日EUEPA
を締結して、世界の自由貿易を守ろうとしているが、GDPの1位、
2位の国が管理貿易になるので、世界の経済混乱は避けることはでき
ない。

日本は安全保障上、米国との関係を切れないために、米国に妥協す
ることになる。自動車などの輸出をしないで米国国内で生産するな
どの対応策を取り、かつ米国産のシェール・ガスなどを輸入して、
貿易のバランスを取ることになる。

ドイツは、米国に対して原理原則を主張できる。そのためには、安
全保障を米国に頼らないことが必要であるが、それを十分実行でき
る余裕を持っている。ということで、世界の指導者はドイツになる。
日本はドイツをサポートする位置づけでしょうね。

1.日本の政治環境も混乱に
今までは、安倍政権が安定にしていたので、日本の株価も上昇して
いた。

しかし、自民党は自滅した。森友学園、加計学園、豊田議員のパワ
ハラ、稲田防衛大臣の発言、下村氏の闇政治献金などの問題が急に
浮上してきた。女性の働き易さが政治課題であるので金子政務官の
公用車での子供の送迎は新潮社の方がおかしいが、菅官房長官の前
川前事務次官への誹謗や二階幹事長の新聞誹謗なども自民党の横暴
さと国民は思っているので、都議選は自民党、民進党ともに負ける
ことになると見る。

この自民党への都民の審判は、アベノミクスに対する懸念でもある
と見える。アベノミクスで、今後の景気後退局面を乗り越えること
ができるのかとの疑問が起きている。

目の前に世界経済の大混乱があり、大幅な株価の調整と景気後退が
あることは自明で、FRBもECBもそれに備えるために、至急に
出口戦略をして、景気後退局面に向けて糊代を作ろうとしている。

2.FRBの戦略
FRBは、利上げと資産縮小の2つを至急に行うようである。トラ
ンプ政権が中国やEUと貿易戦争になる前に、糊代を作る方向であ
る。このため、今年中に始めるとしているし、議会には次期QEに
間に合うように株の買い取りもできるような法の整備をしている。

このように、世界的な経済縮小に備えて、米国は準備をしている。

ドラギECB総裁もEUと米国の貿易戦争が起きると思い、出口戦
略を行うとした。しかし、目の前の恐慌に対して、日銀はのんびり
した対応をしている。このまま、金融緩和を行うとしたのである。
日銀は、今後の経済大混乱をわかっていない。

3.金融緩和がいけない理由
景気後退局面になると、出口戦略を行う米国やEUとは金利差があ
る。このことで円安になり、輸入物価が上がりインフレが起きる。
しかし、景気後退であり、給与は下がり失業者は増えていく。この
現象はスタグフレーションである。国民の生活はますます困窮して
いくことになる。

この時、日銀はより大きな量的緩和ができるのかというと、すでに
国債を買いすぎて、国債市場は機能低下しているし、市中に国債が
ない。

もう1つがETF買いであるが、現状はPER14倍であり株価は
まだ低い位置にあり、買っても問題がないが、景気後退で企業業績
が低迷したとき、PER20倍以上となる。この時、ETFを買い
続けると株価が下がらず高すぎで個人投資家も外人投資家も買えな
い。このことで東京市場の機能低下を起こすことになる。

このため、高いときには売り、低いときには買うというようなルー
ルを作らないと、東京市場の機能低下や機能不全になってしまう。

日銀の量的緩和期間は、長すぎである。金融政策に頼りすぎている
のがアベノミクスであり、3本の柱があったが金融緩和のみに頼っ
たことで、大きな問題が起きることになる。金融緩和だけで景気を
維持させて、社会構造の改革もできず、新産業も生み出せなかった
ことで、アベノミクスは失敗である。

日銀の金融緩和、量的緩和は、経済崩壊までの時間を延ばすことは
できるが、経済再生、経済復活には社会構造の改革やイノベーショ
ンが必要なのに、それを十分に行わなかったことによる咎めを受け
ることになる。

4.どうすればよいか
何を目指すかである。経済成長を目指すことは無理である。日本は
世界でも成功している貧富の差の少ない国であるし、それを目指す
ことである。しかし、個人のやる気は維持して全員が将来への希望
を失わない社会にすることだ。このため社会主義国ではない。

この目標を実現するために、日本は将来の社会構造を選択する必要
になっている。人口減少の対応策を打たないと、社会保障制度も崩
壊する危険がある。

このため、高所得な移民として米国のIT企業の本社を日本に移すに
も、メイドなどの仕組みを導入しないと日本には来ない。高収入の
外国人を増やすにもメイドなどの単純労働者が必要であり、国際化
はすべての分野に必要になる。

また、国の税制を福祉国家的にする必要があると思う。日本の治安
の良さも貧富の差が少ないことによるので、それを維持する必要が
あるとみるかどうであろうか?



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