5916.最新の中東情勢とトルコの役割



メビリット・チャブショール・トルコ外務大臣が日本に公式訪問し
た。虎ノ門の笹川平和財団で開催されるトルコ外相の講演を聞きに
行った。

(講演)
14年ぶりに公式な来日ができた。岸田外相と北朝鮮などの話をし
た。世界的に紛争や戦闘があり、私からは南オセチア、モルトバや
キプロスなどが地域の安定に重要であるなどをお話しした。

特にシリア、イラク、リビアの問題が中東では重要であるとお話し
した。特にイラク政府は、国民の40%の宗派の人を排除している
ので、悪い統治になっている。なんでも排他的なことはよくない。

トルコとしては、隣国の統一、国民全員の団結などを重要視して、
イラク問題に対応してきたし、問題解決を支援してきた。

シリアでは、統治できない政府があり、国民を殺し、国民に対して
化学兵器を使い、病院を攻撃している。

そのシリアに軍を派遣する国がある。シリアが空白化したのでテロ
組織が入り込んだ。地域の空白にもIS、アルカイダ、アルジャバー
ブ、タリバンなどのテロ組織が入り込んだ。

ISに兵器が流れ込んでいる。安保理事国の兵器が流れている。何か
がおかしい。中東は昔輝いたが今は大変であるが、将来に昔に戻れ
るとは思うが、現時点では大きな問題を解決しないといけない。

リビアは政治体制が崩壊して、現在トルコとイタリアだけしか大使
館がない。リビアを潰した国家はすべて、さよならしている。

国家崩壊した地域では、子供の教育など多くの問題が起きている。
シリアには政治的な解決が必要であるが、その前に停戦が必要であ
る。テロ組織に勝つためには、政治体制の乱れをまず直さないとい
けない。そのテロ組織に参加するために、海外から100万人以上
の人がトルコを通って参加している。

トルコはシリア内に2000ヘクタールの地域を安定を維持して、
シリアからの難民をそのエリアに返している。そして、トルコ近傍
のその地域に電気と水を供給している。

また、YPGを支援するのは問題だ。YPGは共産主義でありテロ組織で
ある。欧米ロは、ISのテロ組織と戦い、YPGを味方にするには間違い
である。

ロシアと協力して、2000ヘクタールの地域を解放し、4万5千人
を移住させてた。ロシアとトルコ、イランの3ケ国でアスタナ協定
を結んだが、シリアはこの協定を破っている。

アスタナ協定は国連は関与していない。3ケ国で政治的な解決をし
たのである。今後、この地域の国境を定めることと政教分離するこ
とが必要である。特にイラク政府は政教分離をして、スンニ派住民
も取り込む必要がある。小さな利によって、大きな損をしてしまう
ことになる。

シリアは、国民600万人が海外に出ているし、国内に700万人
が家を失っている。300万人がトルコにいる。北イラクにトルコ
政府は、人道支援で難民キャンプを作った。

難民の子供85万人が学校に行く必要な年齢であるが、35万人が
学校にいけないでいる。

トルコは今までに250億ドルをシリア難民のために使っている。
しかし、5億2千万ドルしか世界から来ていない。わずか全体の5
%である。

EUは、60億ユーロを支援すると言っていたが、8億ユーロしか
来なかった。EUはいろいろな条件を付けてきて、官僚主義が大変
である。

カタール国交断絶という問題も起こり、サウジなどは食料品や医薬
品の供給をカタールに対して止めた。平和的に問題を解決すること
が必要なのに、話し合いもせずに証拠も示さないで断交はおかしい。

カタールには、エジプト人が25万人もいる。カタール航空の便を
止めたので、エジプト人は帰れなくなっている。カタール問題は、
相互に話し合いで解決するしかない。平和的な解決に向けてトルコ
は努力する。しかし、その調停をトルコは行うだけで、カタールの
味方ではない。

1957年までイスラエルとパレスチナという2つの国があった。
平和な手段ではない方法で領土を拡張したことで混乱が起きている。

PKK、YPGなどの組織はクルド人を分離させている。このため混乱が
起きている。テロ組織はすべてダメである。政治は、イデオロギー
が必要であるが、国民に宣伝して投票に結びつけて、政治を変える
ことである。

フェトも同じであり、クーデターを起こした。フェトフッラーから
指令が出ていたフェト主義者である外交官を全体で25%になるが
免職した。

トルコの経済は非常に良い。安定を維持している。成長も維持して
いる。改革も継続している。

世界との関係もよくしていくが、特に日本とトルコの関係を一層よ
くしたい。トルコ人と日本人は友好な関係にある。日本人観光客も
30%以上増えている。

国連にも問題があり、日本と改善して行きたい。

(質問と回答)
Q1.YPGに対してシリア政府と1998年に結んだアデナ合意
は、現在どうなっているのですか?
A1.シリアには統治がない。このため、アデナ合意を履行できな
い。そして、ロシアと米国はYPGを支援している。

Q2.ロシアと米国がIS攻撃のために、ここにいるが、両国の航
空機がお互いを攻撃目標としている。これに対してトルコは、どう
するのか?
A2.米国がシリア空軍機を撃墜した。シリア空軍機は、YPGを
攻撃していたのに、米軍機が撃墜した。ロシアが米国に抗議したこ
とで、大きなリスクになっている。どちらもISを攻撃すればよい
ので、調整をトルコは行う用意がある。

Q3.サウジの皇太子交代をどう思いますか?
A3.政治や統治に対することで、サウジの見解を尊重する。

Q4.米国のイランやロシア制裁法案をどう思いますか?
A4.イランを制裁するというが、イランとの貿易が多いのは、E
U諸国であり、ロシア経済に対する制裁は無理がある。EU諸国は
ロシアとの貿易が多いし、ロシアの天然ガスを止めることはできな
い。制裁の意味がないし、効力もない。



コラム目次に戻る
トップページに戻る