5900.米国の景気と日本の経済政策



ロシアに機密情報を漏らしたとかコミーFBI長官を辞任させたなど
トランプ大統領を弾劾裁判にかけようと「ロシアゲート」事件が、
米国で勃発し、ドル安円高株安になっている。今後、この事件で経
済はどうなるのであろうか?     津田より

0.トランプ大統領の行動
日本の前民主党政権で首相をした鳩山由紀夫氏の思いと同じことを
感じる。首相の言ったことは実現すると思ったのに、それができな
いとはおかしいし、首相の権限はもう少し大きいと思ったと言った。

権力トップには、それを監視するシステムがあり、また政治は、多
くの人の調整の結果であり、それを首相の指示だけでは決まらない。

政治家ではないトランプ氏は、自分の指示は実現されて当然であり
、権力のチェックはおかしいということである。今までの政治とは
違うことをしないと米国の多くの下層階級の白人は救えないと言っ
て当選したので、政策を実行するしかないと思っている。

しかし、経済理論とは相いれない政策を実行することで、共和党の
議員を説得できず、多くの経済学者から反対され、ロシア重視の姿
勢は、米国の利益に反していると、その行動をチェックされている。

トランプ氏は大統領職を米帝国の国王と同じように考えているよう
な気がする。しかし、今までの政治とは違う革命は、米国流の民主
主義の政治システムでは実現できないことが明白化したように感じ
る。

1.マスコミとトランプ大統領の対決
もう1つ、マスコミとの反目がある。このため、トランプ氏のすべ
ての行動を疑惑と報道することになり、政治的な混乱を助長してい
る面がある。そう簡単に弾劾はできないのに、今にも弾劾が起こる
ような報道をしている。報道機関の権力性を証明しようと報道機関
も必至である。

トランプ大統領は、SNSで支持者に自分の行動は正しいと呼び掛けて
いるのに対して、報道機関はSNSのコメントにも難癖を付けている。

SNSで発信するトランプ政権が勝つか、新聞やテレビのマスコミが勝
つかの大衆伝達方法の勝負も裏にあるような様相になっている。

歴史が証明しているように、新しいメディアの方が強いことは明白
であり、いくらマスコミが支持率が30%程度と低いと調査しても
、隠れトランプ支持者が、マスコミよりトランプ氏のSNSを信用して
いるので、トランプ氏も強いことがわかる。そのため、弾劾もそう
簡単ではない。

2.株価の原則
しかし、マスコミの弾劾報道に反応したのが、世界の株価である。
トランプ大統領の公約である減税とインフラ投資ができなくなると
米国投資家が思い、トランプ・ラリーの反動が来たようだ。

日経平均も1万9998円まで行き、2万円に行くかと思いきや、
米国株安と円高の影響を受けて1万9449円と500円以上も下がってし
まった。トランプ大統領の弾劾成立まで2年以上もかかるが、株価
は落ち続けるのであろうか?

「政治ショックで株価下落なら買い。経済ショックで株価下落なら
、損切の売り。」が原則である。株価は、基本的に企業業績と金融
政策の2つで決まる。政治ショックは、将来の経済環境が悪くなる
と見ることで下がるが、実際は、当分の間は現在と同様な経済状況
が続くことになり、それを確認すると、株価は戻るようである。

日本企業は17年3月期決算で最高益を出している。EPSが16倍に
なると、2万3000円になってもおかしくないレベルまで企業業績は来
ている。このため、株価が割安になって、海外投資家は買いになっ
てきたが、反対に2万円付近になったことで国内投資家は売りにな
っている。野村証券は年末2万1000円台というが可能性がある
し、楽観の野村としては、少し控え目ということもできる。

日本銀行の金融政策は量的緩和継続がほぼ間違えないので、株価を
決める2つの要素は、株価上昇を示している。なのに、株価が下が
るのは、円高による。FOMCは、6月に利上げをすると予想されてい
るので、金利差が大きくなり、円安になると思われているが、政治
ショックで円高になったが、それも一時的である。

しかし、米国の景気は、拡大が7年目になり自動車販売台数減少な
どの黄色の信号もあるし、米失業保険申請23.2万件の減少など緑色
の信号などが混在している。このため、経済動向を見る必要があり
、米景気減速となると、本格的な調整局面を迎えるが、現時点では
景気安定のようであり、まだ、大丈夫なのではないかとみる。

日本企業は、現地生産現地販売の方向であり、景気が良ければ、円
高の影響を受けずに、むしろ、円高の方が円換算値では販売金額や
利益が増えることになる。海外生産が定着したホンダは、円高の方
が利益が大きいという。

ということで、将来的には円高の方が利益規模が大きいということ
になる。このため、量的緩和などで実現している円安政策を見直す
ことになる。

3.日本の景気
日本の景気も、この数か月、経済成長プラスで推移して、景気拡大
5年目になっているし、来年の新卒内定率が98%になるなど、景
気が絶好調である。物価も徐々に上がってきている。特に非正規雇
用の給与が上昇してきた。格差の拡大が抑えられてきている。

今後は人手不足が問題になり、工場の自動化、海外移転、労働移民
の受け入れなど、多様な政策が必要になる。母子家庭の子供の教育
などの問題にも、焦点が当たり始めて、良い方向になってきた。

米国景気の維持と中国のバブル崩壊がなければ、当分日本の景気は
持つことになり、世界の景気も持つことになる。

4.日本の政治ショック
その日本でも加計学園問題が持ち上がっている。景気が拡大局面で
あり、内閣支持率も60%以上になっている。安倍首相を辞任させ
るには、こちらも大変であるが、総裁選挙に対抗馬が出てくる可能
性がある。

安倍首相のアベノミクス政策は基本継続してシャッポだけ取り換え
ることで、アベノミクスを継続する可能性はあるが、これも政治シ
ョックとなり、一時的に株価は下落することになると思う。そのと
きは買いである。

麻生財務大臣は、自民党の体制を安倍後を見据えて、整備し始めた
ようである。2大派閥体制を構築して、政権交代可能な自民党体制
を作るようである。

もう1つが、小池都知事の都民ファーストの会と日本維新の会が政
権交代可能な野党を構成するようである。

自民党内政権交代となるか、政権交代可能な野党ができて、政権交
代になるか、面白いことになってきた。

5.日本の金融政策
もう1つ問題なのが、そろそろ出口戦略を考える必要が出てきてい
る。米国の圧力で、企業の海外生産が一層高まると、円安より円高
の方が企業収益が大きくなるので、そろそろ消費税増税、量的緩和
の縮小などの政策を取り、市中にある余剰な資金を回収、バブルを
抑える必要になっている。しかし、急に緩和政策をやめると経済シ
ョックになり、経済成長がマイナスなることも考えていくことが必
要である。

地方銀行などの金融機関は、また不動産に資金を提供しているが、
これがバブル化してきている。このため、日銀当座のマイナス金利
をゼロ金利まで持っていく時期であると思う。国債市場も不安定に
なってきたので、国債の買取から国債金利の安定化として、国債売
買の柔軟化することであろうと見る。

やっと、量的緩和政策の効果が出てきたが、量的緩和政策のデメリ
ットに配意する方向になってきたように感じる。

野村総研のリチャード・クー氏がいう「量的緩和の罠」をどう避け
るかの政策が必要になってきたような気がする。

さあ、どうなりますか?


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トランプ大統領、「弾劾は全くばかげている」
FBIへの圧力やロシアとの共謀を全否定
ロイター 2017年05月19日
[ワシントン?18日?ロイター] - トランプ米大統領は18日の記者会
見で、2016年の大統領選挙キャンペーン中にロシアと共謀したとの
疑惑やコミー前連邦捜査局(FBI)長官にフリン前大統領補佐官の捜
査を中止するよう圧力をかけたとの報道について、全面的に否定した。
会見では、今月9日に解任したコミー氏に対し、フリン氏の捜査を止
めさせるべく「何らかの形で少しでも」働き掛けを行ったかと記者
団が質問。大統領は「ノー、ノー」と答え、次の質問を促した。
弾劾を求める動きが出ていることについては、ツイートやその後の
記者会見で、「全くばかげている」と表現。刑事責任を追及される
ようなことは何もしていないと強調した。
また、「すべてのことが魔女狩りであり、私や私の陣営に(ロシア
との)共謀の事実はない。だが、私自身、いつでもロシア人と話す
ことは可能だ」と述べた。
ロシアとトランプ陣営の癒着の疑いが深まる中、米司法省は前日、
議会からの圧力を受けてモラー元連邦捜査局(FBI)長官を特別検察
官に任命。トランプ大統領はその後、「徹底調査により、私の陣営
といかなる外国との間にも共謀がなかったとの既知の事実を確認す
ることになる」と、歓迎する声明を発表していた。
「米国史上最大の魔女狩り」
だが大統領は翌朝のツイッターでの投稿で「クリントン元国務長官
の陣営やオバマ前政権で違法な行為が行われたにもかかわらず、特
別検察官は任命されたなかった!」とし、不満をあらわにする一方
で、検察官「counsel」の綴りを「councel」と間違えた。
その上で「これは米国史上、最大の魔女狩りだ!」と批判した。
トランプ米大統領は前日にも、米国沿岸警備隊士官学校の卒業式で
の演説で、「私ほどひどく、不公平な扱いを受けた政治家は歴史上
いない」などとして、メディア批判を展開していた。
トランプ氏はその後ホワイトハウスで記者団に対し、トランプ陣営
との癒着の可能性を巡る独立捜査を指揮する特別検察官にモラー元
FBI長官が任命されたことで「米国が分断され、統合されていない国
であることが示された」とし、「非常にネガティブ」なことだった
と述べた。
ローゼンスタイン司法副長官はこの日、上院議員に対するブリーフ
ィングを行った。公の場での発言はなかったが、共和党のリンジー
・グラハム上院議員は、ローゼンスタイン氏は「刑事捜査もあり得
ることを念頭に置いて今回の調査を取り扱う必要ががある」と述べ
たとしている。
選挙期間中に18回接触
一方、昨年11月の米大統領選挙までの7カ月間に、フリン前大統領補
佐官などのトランプ陣営が少なくとも18回、電話や電子メールでロ
シア政府関係者やロシア大統領府に関係がある人物と接触していた
ことを、現米政府関係者や政府OBが明らかにした。
現政府関係者とOBの3人によると、そのうち6回は、フリン氏を含む
トランプ氏のアドバイザーとロシアのキスリャク駐米大使による電
話だという。
現政府関係者4人は、フリン氏とキスリャク氏の会話が昨年11月8日
の大統領選の後に増加したと明らかにした。両氏は、米国家安全保
障当局の手続きを通さずにトランプ氏とロシアのプーチン大統領が
連絡を取る手段の設置について協議したという。
トランプ大統領就任後のホワイトハウスは1月、選挙戦中のロシア側
との接触を否定。その後、ホワイトハウスとアドバイザーらは、選
挙戦中にキスリャク大使とアドバイザーが4回面会したと明らかにし
た。
こうした接触についてロイターに明らかにした関係者は、トランプ
陣営とロシアによる不正行為や共謀を示す証拠はこれまで確認して
いないと述べた。ただ、一連の接触が明らかになったことにより、
トランプ大統領と側近に対し、ロシア側とのやり取りに関する詳細
な説明を行う圧力が高まる可能性がある。
ホワイトハウスはコメントの要請に応じていない。フリン氏の弁護
人とロシア外務省当局者はコメントを控えた。
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記事
My Big Apple NY2017年05月18日 08:02
米国での弾劾プロセス、早分かり
This Is How Impeachment Works.
トランプ米大統領が電撃的に米連邦捜査局(FBI)前長官を解任して
から1週間が過ぎ、ようやく米株相場に変化が訪れつつあります。17
日のNY株市場で、ダウは一時250ドル以上も急落。為替市場でも足元
で114円台を回復したのも束の間、17日に一時111円半ばまでドル安
・円高が進む展開を迎えました。ブックメーカーのプレディクトイ
ットでは16日、トランプ米大統領が年内に弾劾されるオッズが19%
から29%へ上昇する始末です。
弾劾へのオッズが高まるように、合衆国憲法第2条第4節で「大統領
並びに副大統領、文官は国家反逆罪をはじめ収賄、重犯罪や軽罪に
より弾劾訴追され有罪判決が下れば、解任される」と明記されてい
ます。そこで、米国の弾劾プロセスをざっくり振り返ってみましょ
う。一言で申し上げると弾劾訴追権は下院が、弾劾裁判権は上院が
有します。
【下院】
議席数435:共和党238、民主党193
@下院議員あるいは特別検査官の助言などで下院が弾劾を発議
↓
A司法委員会、議事運営委員会が訴因調査を決議
↓
B司法委員会が調査、過半数の支持で弾劾勧告
↓
C下院全体で協議後、過半数(218議席)の支持獲得で上院へ
【上院】
議席数100:共和党52、民主党48
@上院で審理開始、最高裁長官が裁判長を務め上院議員は陪審員、
下院調査担当者が検事役、ホワイトハウス法律顧問が弁護士役
↓
A公聴会を開催後、上院全体で審議
↓
B上院の3分2(67議席)による支持で大統領は罷免、回避しても刑
事責任を問われる余地残す
民主党議員が全員弾劾支持に回るとして必要な共和党の議席数はC
では97議席、上院のBでは共和党から19議席を確保しなければなり
ません。
過去に大統領が弾劾訴追されたケースは2回ありますが、罷免は回避
しています。1868年にはリンカーン前大統領の暗殺を受け就任した
A・ジョンソン氏がリンカーン氏の政策に反し南部人に寛大な政策を
実施した問題に加え当時の法律に反し政府高官を罷免したため、弾
劾訴追を受けました。1998〜99年には、モニカ・ルインスキー氏と
の不貞行為が仇となりクリントン氏が対象になりましたよね。ニク
ソン氏は1973年10月の”土曜夜の殺戮”後、1974年7月に下院司法委
員会が発議を可決した結果、辞任に至ったため弾劾訴追の例には含
まれません。
クリントン氏は弾劾訴追で免職を回避したとはいえ、弾劾に無用な
時間を奪われました。1998年9月に下院が弾劾を決議してから、中間
選挙を経て上院が弾劾を見送るまで約5ヵ月を要しています。スター
特別検査官がダンボール18箱分の事前調査を行っていなかったら、
もっと時間が掛かっていたに違いありません、辞任で幕引きしたニ
クソン氏の場合は、ウォーターゲート事件が発覚した1972年6月から
下院司法委員会の弾劾訴因を承認した1974年7月まで、約2年も要し
ました。
ウォールストリートは税制改革をはじめインフラ投資、規制緩和へ
の期待からトランプ政権下で米株ロングを積み上げたものの、クモ
の子を散らすようにポジションを手仕舞いしつつあります。ゼネラ
ル・エレクトリックの元会長でトランプ米大統領と懇意のジャック
・ウェルチ氏まで、弾劾で米株下落リスクが高まると警告する始末
ですからね。ただペンス副大統領が昇格し税制改革をはじめ経済政
策が想定通り進むと判断されれば、怒濤のような買い戻しを招く可
能性を残します。
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株、「下値は1万9200円」に3つの根拠 
証券部 花田幸典
2017/5/18 12:05日本経済新聞 電子版
 18日午前の東京市場では日経平均株価が一時365円下げ、1万9449
円を付けた。取引時間中では5月2日以来の安値となる。トランプ
米大統領とロシアの不透明な関係を巡る「ロシアゲート」問題を受
け前日の米株式相場が大幅安となり、日本株にもリスク回避の流れ
が広がった。ただ、市場は「売り一色」に傾いたわけではない。3
つの根拠から日経平均の下値は1万9200〜9400円程度との見方が多
い。
 日経平均の午前終値は前日比285円18銭(1.4%)安の1万9529円
70銭。東証一部では全体の約9割が値下がりする、ほぼ全面安の展
開だった。
 日本株はどこまで下がるのか。市場では3つの手がかりから1万
9200〜9400円程度との見方が多い。
 ひとつは、チャート上の節目がこの価格帯に集中しているからだ
。過去1カ月間に売買した投資家の平均コスト(25日移動平均、17
日終値ベース)は1万9146円。過去3カ月間(75日移動平均、同)
もほぼ同じだ。日経平均がこの水準を上回っていれば、投資家は含
み益を持っていることになる。18日の日経平均は258円安で寄りつい
た後、一時膠着する場面が見られた。下げ幅を拡大したのは為替が
円高に振れた午前9時25分過ぎから。投資家が朝方から売り一辺倒
に傾いていたわけではない様子をうかがわせる。
 2つめは底堅い国内景気にある。内閣府が18日発表した1〜3月
期の国内総生産(GDP)速報値は前期比年率2.2%増と、市場予想
の中央値(1.8%)を上回る好内容だった。底堅い個人消費が背景と
いう。18日は日経平均に採用されていない任天堂が一時上昇したほ
か、森永製菓が4日続伸するなど、内需関連の一角が踏みとどまっ
た。業績の好調な銘柄には着実な押し目買いが入っている。
 最後に指摘されているのが、業績や景気に照らした株価の割安感
だ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長
は「日経平均の予想PER(株価収益率)は14倍を割り込む可能性
がある」と指摘する。トランプ氏の大統領選勝利で株価が急落した
昨年11月9日以来の低水準で、今回もPERが14倍を下回れば、株
価が自律反発するきっかけになるとみる市場関係者は多い。
 もっとも、ロシアゲート問題の「解明には時間がかかる」。富国
生命保険の山田一郎株式部長は、先行きに懸念を示す。問題は泥沼
化の様相を呈し、米議会では大統領の罷免手続きを求める声も上が
っている。市場が警戒するのは、疑惑によって政権運営が混迷を深
め、大型減税やインフラ投資の実現が遠のくリスクだ。株価が下げ
止まった後、積極的な買いが入るかどうかはなお流動的とみられる。
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2017年 05月 19日 02:10 JST 
米失業保険申請23.2万件に減少、受給者総数28年半ぶりの少なさ
[ワシントン 18日 ロイター] - 米労働省が18日に発表した
13日までの週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比
4000件減の23万2000件と、3週連続で減少し、1973
年以来の低水準に近づいた。市場は24万件を予想していた。失業
保険受給者総数も約28年半ぶりの少なさで、雇用市場のスラック
(需給の緩み)が急速に消えつつあることを示唆した。
新規失業保険申請件数の前週の数字は23万6000件のままで改
定はなかった。
新規申請件数は30万件を切ると労働市場は力強いとされる。件数
は115週連続でこの水準を下回っており、その期間は労働市場が
今よりずっと小さかった1970年に記録して以来の長さとなる。
労働市場は最大雇用状態に近づいており、失業率は4.4%と約10
年ぶりの低水準にある。
週ごとの変動をならし情勢をより正確に反映するとされる4週移動
平均は2750件減の24万0750件と、2月以来の低水準だっ
た。
2週間以上手当てを受けている失業保険受給者の総数は、6日まで
の週で2万2000件減の189万8000件と、1988年11
月以来、約28年半ぶりの低水準だった。5週連続で200万件を
下回っている。
4週移動平均は2万件減の194万6000件と、1974年1月
以来の低水準だった。
労働省のアナリストによると、今回の失業保険申請件数に影響を及
ぼすような特殊要因はなかった。ルイジアナ州だけは推計値だった。
今回の失業保険統計は、5月の雇用統計と調査期間が重なっている。
失業保険申請件数の4週移動平均は4月から5月にかけての調査期
間に2000件減っており、5月の雇用統計で就業者数がさらに伸
びることを示唆している。就業者数は4月に21万1000人増え
たが、3月は7万9000人増にとどまっていた。
雇用市場の底堅さと引き締まりを受けて、米連邦準備理事会(FRB)
は6月に利上げする可能性がある。小売売上高や鉱工業生産などの
指標も経済成長が第2・四半期初めに加速していることを示してい
ることも、6月の利上げ観測を強めている。第1・四半期の国内総
生産(GDP)は年率0.7%増と緩慢な伸びだった。
FRBは3月に政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げ
た。年内にあと2回の利上げを想定している。



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