5884.「戦争にチャンスを与えよ」新春文庫



この本は、ルトワック氏の論文と奥山さんからルトワック氏へのイ
ンタビューで構成されている。最初の話が、「戦争にチャンスを与
えよ」の論文とインタビューで、戦争に介入して、停戦に持ち込む
と、戦争にも平和にもならない中途半端な状態が出現するので、戦
争を始めたら、最後まで行わせる。それの方が平和になるのが早い
という。

また、難民を故郷の近くに留めると、その地域の安定を失うから、
難民キャンプを作らずに、難民化した人たちを全然違う場所に移動
させて、そこで自活させた方が良いともいう。NGOが食料を与え
て難民を自活させず、難民がゲリラとして内戦の戦士になっている
ので、故郷近くの難民キャンプは止めるべきであるという。

トランプ政権のバノン氏は、中東に今後一切、介入しないことが正
しいし、国務省予算を削減してNGOにも予算を付けないことを主
張している。

丸で、ルトワック氏は、トランプ政権でのバノン上級戦略官と同じ
ようなことを言っているが、ルトワック氏から聞くと、うなずける
面がある。詳しくは20日に発行される本を読んでください。

このコラムでは、第2次朝鮮戦争への道程を書いたが、北朝鮮を、
どうするのかということも論じている。

日本は、4つの選択肢があり、降伏、先制攻撃、防衛、抑止という
が、今の日本は「まあ大丈夫だろう」と問題を先送りしているが、
それが一番問題であるという。これはオバマ政権にも言えることで
あり、トランプ政権は、とうとうルトワック氏のいう先制攻撃に出
るようである。

ルトワック氏がトランプ政権の顧問のような気がするが、バノン氏
排除に動いているのが、政権の元軍幹部たちである。ルトワック流
の考え方は、現在の米軍幹部には、面白くないような気がする。

ということで、正統ではないかもしれないが、一理あるルトワック
流の考え方を、このサイトでも考えたいですね。

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▼目次

日本の読者へ──日本の新たな独立状態と平和

1 自己解題「戦争にチャンスを与えよ」
2 論文「戦争にチャンスを与えよ」
3 尖閣に武装人員を常駐させろ──中国論
4 対中包囲網のつくり方──東アジア論
5 平和が戦争につながる──北朝鮮論
6 パラドキシカル・ロジックとは何か──戦略論
7 「同盟」がすべてを制す──戦国武将論
8 戦争から見たヨーロッパ──「戦士の文化」の喪失と人口減少
9 もしも私が米国大統領顧問だったら──ビザンティン帝国の戦略論
10 日本が国連常任理事国になる方法

訳者解説



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