5859.トランプ大統領の行動正常化へ



トランプ大統領の行動が、この3週間は選挙モードで、まだ大統領
モードではなく大変世界は心配したが、やっと、周囲のヒヤリング
や入国制限の大統領の違憲判断、安倍首相、メイ英首相などとの会
話などで、正常化してきているようである。この正常化した状態で
の今後のトランプ政権の政策を考えたいと思う。    津田より

0.日米首脳会談
もう少し、米国から為替などの難題が突きつけられるのかと思って
いたら、為替は財務担当者会議に、経済問題はペンス・麻生会議に
送って、その一方、安全保障での日本の要求は満額回答という日米
交渉で、これ程の成果は珍しい。

しかし、裏では、事務方同士で日本から10年で1500億円の対
米投資やシェールガスの大量輸入などの交渉が行われていて、この
ため為替の要求をするかどうかを、最後までトランプ大統領は悩ん
でいたことは、前日の午前3時にフリン安全保障担当補佐官への質
問で明らかである。

フリン氏は、日本との関係を重視することが重要とトランプ大統領
に進言していたので、日本との問題では、フリン氏にトランプ大統
領が聞くことになる。このため、為替でも担当外のフリン氏に質問
をしたようである。

しかし、日本の献上品にトランプ大統領も満足して、日本が要求し
た安全保障にも満額の回答をしたのである。日本は世界幕府の米国
に貢ぎ物を持っていったということである。日米は冊封体制下にあ
ると思ったようが良い。

日本は安全保障を米国に頼っている間は、経済的な貢ぎ物が重要な
のである。トランプ大統領は貢ぎ物を明確に要求してきた。これも
珍しい。それに日本政府も応えただけである。

日本からの献上品を見て、日本との首脳会談前に急遽、中国との電
話会談を開き、日本の貢献を中国に言い、また「1つの中国」とい
うカード、南シナ海パトロールの制限などのカードを使って、中国
から人民元・ドルの高値固定化と米国企業の中国国内での位置保全
、中国からの建材などへの反ダンピング課税などをWTOに提訴し
ないこと、米国への日本以上のインフラ投資をおこなうことなどの
確約を得たようだ。取引外交そのものである。それが航空業界トッ
プとの会談で中国と日本の新幹線を褒めたことで、それがわかる。

というように、トランプ大統領を読むのは簡単である。ツイッター
や会談の発言で、うらが透けて見える。首脳会談後の記者会見でも
トランプ氏の演説は、事務方の原稿を棒読みである。このため、難
しい単語があり、トランプ氏も言いよどんでいた。トランプ演説で
は久しぶりに、聞いて分からない単語が出てきたなという印象であ
る。

1.事務局ベース交渉を逃げる
表向きの交渉が終わり、トランプ大統領は、安倍首相とフロリダに
ゴルフに向かった。ここで、トランプ氏は本音で安倍首相と交渉す
るつもりである。それは「フロリダでは平行するであろう交渉を行
う」と言ったトランプ氏の発言でわかる。

ここで、通貨政策や日銀の金融政策をどうするのかという構造を2
人で話すことのようである。トランプ氏も専門家のヒアリングを聞
いて勉強をしているので、ドル高になる理由はわかっている。しか
し、それをそのままにはできない。

日米での通貨安定化というような仕組みをトランプ氏は安倍首相と
話したいのであろう。

もう1つが世界の安全保障の仕組み、中国包囲網を提案しているの
は安倍首相であり、その安倍首相からその意図を正確に知って、米
国の立ち位置を確認したいのであろう。

東南アジアから米国が撤退すると、中国や北朝鮮がどう出てくるの
かなども議論しておきたいようである。

2.バブル経済に沸く米国
ということで、首脳会談は無事に終わったが、記者会見でも為替の
問題について、日本を名指しはしなかったが、ドル高への不満が出
ていた。また、両首脳の共同声明では「(日米が)相互補完的な財
政、金融、構造改革という3本の矢を用いていく」とあり、という
ことで、これからの日米通貨マフィアの交渉は難儀する。

また、米国内でのFRBと大統領府の摩擦が起こる。通貨マフィアの交
渉では、日米金利差を調整という問題になり、ドル安にするには、
FRBの利上げをトランプ政権は望まないことになる。市場は利上げを
年2回と見込んでいるが、ないかもしれない。これにより円高にな
る。トランプ政権との確執が起こりイエレン議長も大変だ。

失業率が4.5%としている現在の統計を、トランプ政権は変える
という。現時点でも就業活動をしていない人たちが多数存在して、
その人たちを入れると、失業率は大きくなる。

イエレン議長もトランプ政権の意向を汲んで、利上げをしないと商
業地やシリコンバレーの不動産価格が現在でも高騰しているなど、
バブルが既に米国国内で起きているが、それを抑制できないことに
なる。

米国は日中からのインフラ投資、減税、規制緩和、ドル安、輸出増
でバブル景気になる。それをトランプ大統領も望んでいる。しかし
、いつかは弾けることになる。そこまでは、米国はバブル経済が進
行していくことになる。

よって、米国株は高騰することになる。ダウは、2万円を超えて3
万円に向かうことになる。

日本の製造企業でも、日本から生産を米国工場に移していくことに
なるが、企業業績は上がり米国生産を行う企業は株高になるはずで
ある。

3.入国制限の大統領令
バノン上級顧問などの少数の側近が書いた、そして大統領府の法律
顧問にも見せずに出した、中東・アフリカのイスラム圏7カ国から
の入国を禁止した大統領令が違憲判断されて、そのまま連邦最高裁
に上告するかと思いきや、新しい入国制限の大統領令を検討してい
るようである。

前回の大統領令は、ジョン・ケリー国土安全保障長官にも見せてい
なかったことで、ケリー長官も周知ができず、また問題点も指摘で
きなかったと言っていた。今回の大統領令は、国土安全保障省が中
心に作成するようである。

ということで、入国制限の大統領令は、トランプ大統領に、関連部
門への事前の根回しの重要性を教えたようである。徐々にトランプ
政権の閣僚も任命されてきているので、体制が揃い、法律問題や周
知などを考えると関連部門で検討したほうが良いことを学んだよう
である。

4.国境調整という税制改革
トランプ米大統領の税制改革計画は、米ゴールドマン・サックス・
グループ元社長のゲーリー・コーン氏中心に策定が進められている
ようだ。国境調整では、ウォルマートなど米国内小売業へのヒアリ
ングを通じて、米国での生産より海外での生産が消費者にとって有
利なものは、コスト換算できるなど、輸入品の色分けをしているよ
うだ。ここでも、検討は事務方が行い、議会での審議を経て、一番
良い形を目指している。

それと、中国など問題諸国からの輸入品には、個別の反ダンピング
課税を行って行くようだ。ということで、一律に国境税20%を掛
けるのではないようである。

日本との間では、日米FTAを結び、日米通貨同盟などのような感
じで自由貿易圏を構築するようである。その時には日米通貨安定化
体制を作り、今後、他国との通貨安定化でも日米通貨安定化の体制
を参考に結ぶような気がする。その代わり、国境税はないので、自
由な貿易ができるという仕組みを作るようである。

もう1つが、原産地主義制度への税制変更や投資減税であろう。投
資分をコストとして1年で償却できるなど、投資が有利になる税制
を考えているようである。この投資減税で、国内への投資を呼び込
もうというようである。

日本企業が、米国で販売するものは米国で生産をする仕組みができ
ることで、国内の人手不足を解消できることになる。日米英加・共
同経済圏というような仕組みができる感じもする。

どちらにしても、やっと、米トランプ政権の体制確立とトランプ大
統領の行動正常化により、いろいろな検討体制が動き始めている。

もちろん、選挙公約を実現するため、米国によって一番良い形を模
索しているのは間違えないが、突如、ツイッターで企業が攻撃され
ることはなくなるのではないかと思う。

さあ、どうなりますか?


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トランプ米大統領、日本の新幹線を高く評価 米交通インフラは「
時代遅れ」
2017.2.10 01:27SB
 【ワシントン=小雲規生】トランプ大統領は9日午前、「日本や
中国にはいたるところに高速鉄道があるが、米国にはない」と述べ
、米国でも高速鉄道網を含めた交通インフラの整備を急ぐ考えを示
した。ホワイトハウスで行われた航空各社のトップとの面談で話し
た。
 トランプ氏は、管制システムなど米国の交通インフラが「時代遅
れだ」とも述べ、航空インフラへの投資を積極化させると強調した
。トランプ氏は1月20日の就任演説でもインフラが老朽化してい
るとして整備を急ぐ方針を示していた。今後、規制緩和などで経営
を支援していく構え。
 会談に出席した航空会社のトップは、デルタ航空のバスティアン
最高経営責任者(CEO)、ユナイテッド航空のムニョスCEOら。
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米中に早くも「取引」の兆し、トランプ氏に変化(秋田浩之) 
2017/2/11 6:04日本経済新聞 電子版
 トランプ米大統領は安倍晋三首相との共同記者会見で、中国との
対立を避け、良い関係を築いていく姿勢をにじませた。通商問題を
めぐり、早くも何らかの「米中取引」が成立しつつあるのかもしれ
ない。
 「とても暖かい会話を交わすことができた」。トランプ氏は会見
で9日の習近平・中国国家主席との電話にふれ、こう語った。
 さらに中国とは「うまくやっていけるだろう。日本にとっても利
益になる」と強調し、対中関係の行方に楽…
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中国、米政権と関係構築本格化へ
「一つの中国」尊重受け
2017/2/10 18:53
 【北京共同】トランプ米大統領が、中国と台湾は不可分の領土だ
とする「一つの中国」原則を尊重する姿勢を示したことを受け、中
国外務省の陸慷報道局長は10日の記者会見で、トランプ政権との関
係構築に本格的に乗り出す考えを強調した。
 陸氏はオバマ前米政権時代から習近平指導部が提唱する「新たな
形の大国関係」構築を推進するとの主張に「変わりはない」と述べ
、両国協力の重要性を訴えた。
 陸氏は「一つの中国」原則は「米中関係の政治的基礎」であり「
米国政府が果たすべき義務だ」と主張した上で、トランプ氏が「一
つの中国」原則を「尊重する」と表明したことに対し「称賛」の意
を示した。
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円安、首脳会談後も火種=トランプ氏は強硬姿勢
時事通信 2/11(土) 12:28配信
 【ワシントン時事】安倍晋三首相は10日、トランプ米大統領との
初の首脳会談で、日米財務相が為替問題を引き続き議論する方針を
確認し、トランプ氏の「円安誘導」批判を回避した。
 日本政府には「日本の政策に理解を得られた」との声もある。し
かし、トランプ氏は共同記者会見で、貿易相手国の通貨安誘導を改
めてけん制しており、円安・ドル高が日米間の火種となり得る構図
に変わりはない。
 トランプ氏は1月末に日本や中国が「通貨安誘導を行い、米国を出
し抜いている」と批判。日本にとっては首脳会談で一段の干渉を避
けることが優先課題だった。日本政府によると、安倍首相は従来通
り「為替は財務相間で緊密に議論する」との方針を提案し、異論は
出なかったという。
 両首脳の共同声明では「(日米が)相互補完的な財政、金融、構
造改革という3本の矢を用いていく」という表現を採択。日本政府は
、円安の一因とされる日銀の金融緩和について「理解された」と力
説した。
 だが、楽観するのは時期尚早のようだ。トランプ政権は「貿易赤
字を削減し、経済成長を遂げる」と訴え、政策の立案に向かってい
る。トランプ氏は会見で、他国の通貨切り下げに不満を漏らし、「
速やかに公平な競争の場をつくる」と強調した。 
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Kazuto Suzuki ?@KS_1013  2月10日
日米共同記者会見で興味深かったのはトランプ大統領が原稿を読み
上げ、完全に振り付け通りに話をしていたこと。外交問題では変な
ことをしてはいけないという認識が強まったことを感じさせるもの
があった。
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2017.2.11 11:33サンケイ
【米入国禁止】
トランプ氏が入国禁止で新大統領令へ 週明けの13日か14日 
法廷闘争の長期化を回避か
 【ワシントン=加納宏幸】トランプ米大統領は10日、中東・ア
フリカのイスラム圏7カ国からの入国を禁止した自らの大統領令に
代わる新たな大統領令を検討していることを明らかにした。訪米中
の安倍晋三首相とフロリダ州に向かう大統領専用機で記者団に語っ
た。米メディアによると、ホワイトハウス高官は大統領令をめぐる
訴訟で連邦最高裁にただちに上告する考えはないと述べた。
 トランプ氏は「(法廷の)戦いには勝てるが、時間がかかる。新
たな大統領令を含む選択肢がある」と述べ、厳格な入国審査の態勢
を作るため、週明けの13日か14日に新たな大統領令を出すと明
言した。
 連邦最高裁への上告などにより法廷闘争が長期化し、入国禁止措
置の差し止めが続くことで、テロ対策の効果が損なわれるのを避け
る狙いとみられる。
 ロイター通信によると、新大統領令では、米国の永住許可証(グ
リーンカード)の所有者を明示的に入国禁止措置の対象から除外す
るなどの改正が検討されているという。
 トランプ氏が1月27日に出した大統領令に関し、サンフランシ
スコ連邦控訴裁判所は9日、西部ワシントン州などの請求を認め、
一時差し止めを命じたシアトル連邦地裁の決定を支持する判断を示
した。政権側には控訴裁の大陪審での審理や、最高裁への上告の選
択肢があった。トランプ氏は控訴裁の判断を受け、最高裁で争う意
向をツイッターで表明していた。
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トランプ氏の「驚異的な」税制改革案、コーン氏中心に策定中
Margaret Talev
2017年2月11日 04:56 JST
トランプ米大統領の税制改革計画は、米ゴールドマン・サックス・
グループ元社長のゲーリー・コーン氏中心に策定が進められている
と、ホワイトハウスの当局者が明らかにした。
  この当局者は複数の議会指導者が草案について助言を求められ
たと、議員の名前を明かすことなく述べた。計画がまだ策定段階に
あるためだとして匿名で取材に応じたこの当局者は、草案はトラン
プ大統領の提案した予算案とは別だと話した。
  トランプ大統領は米国の航空会社幹部との会合で9日、法人税
制の見直しで「驚異的な」計画を2、3週間以内に発表すると、詳
細に触れることなく述べた。ホワイトハウスのスパイサー報道官は
その後記者団に対し、詳細が明らかになるのは数週間先だが、ホワ
イトハウスは1986年以降で最も包括的な法人税・個人所得税の見直
しについて枠組みを作成していると話した。
  ゴールドマンの社長兼最高執行責任者(COO)だったコーン
氏(56)は、トランプ政権で国家経済会議(NEC)委員長に就く
ことに合意したのち、12月に同社を退社した。コーン氏は先週、連
邦議員と面会しつつ、法人税および個人所得税の引き下げの2つを
主要目標に作業を進めていると話した。
原題:Trump’s ‘Phenomenal’ Tax Plan Said to Be Overseen 
by Cohn (1)(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ



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