5837.世界秩序が変わる時に戦争が起きる



よもや、米国の指導者が法治を破棄して、中国と同じような人治主
義者になるとは、見通していなかったが、2017年の混乱の原因
の多くが、米国発になることが確実である。その検討。 津田より

0.トヨタなど海外企業にも介入
1月6日、トランプ次期大統領は、ツイッターで、トヨタがメキシ
コに新設するカローラの工場を批判して、米国輸入には関税35%
が必要であると投稿。

このため、1月6日の株式市場では、自動車株が軒並み下落した。
この介入により、トランプ大統領は、NAFTAの再交渉を行うことを示
唆したことになる。

また、メキシコの国境に壁を作る予算を取る手続きをして、それを
批判する記事に対して、米国が壁の費用を出すが、その費用はメキ
シコに請求すると述べている。選挙期間中に公約したことを実行す
るようである。

ということで、トランプ次期大統領は、公約実現に本気である。よ
って、保護貿易も行うことになる。中国からの輸入には関税45%
であり、メキシコからの輸入には関税35%になる。

これは貿易戦争になり、世界経済を大幅に縮小させることは、1930
年のストーム・ホーリー法で実験済であるので、確実に世界は大恐
慌に向かう。もし実施したら、株価は一万円割れも起こり得る。

しかし、多くの人達が、それでは米国も返り血を浴びる事になるの
で、実行しないと言ってきたが、つい最近のツイッターの投稿を見
ると、その期待はしない方が良いことがわかるはずである。

米国の製造業労働者は、工場が海外に移転せず、米国内に新設され
て大きな利得を得るので、世界が大きな損をしても、特にメキシコ
や中国が大損をしても、関心がない。というより、労働を取り戻し
ただけで、悪いことをしたとは思わないはずである。

しかし、まだ市場関係者、特にテクニカル分析に基づく評論家は、
4ケ月後には24000円まで行くと述べているし、まだ多くの評
論家も米国経済は良くなっているので、経済的な観点からもしない
と見ているようである。7月まではトランプ上昇相場が続くなどと
述べている。

政治が経済に対して非常に大きいダメージを与えることを知らない
のか?

この違いは、見ている目線が違うことから来る。あくまでもトラン
プ氏は、米国経済や米企業経営者ではなく、米製造業労働者だけの
観点から見て、その人たちにとって良いことを行う政治をするので
ある。

早く、トランプ氏の異常な政治観点を見て、市場から回避しないと
大損をすることになる。あらぬ期待をせずに日本企業の経営者も、
真のトランプ氏の異常性を見るべきなのである。

見方によっては、北朝鮮の金正恩委員長と同じような視点の持ち主
であると理解することである。

1.北朝鮮に対して
その北朝鮮の金正恩委員長は、米国まで届くICBMが完成直前である
と述べると、それに対してトランプ氏は、、「そんなことは起こら
ない」と断言した。

トランプ氏は、短期的な観点からしか事態を見ていない。新しい問
題が起きると、それもそれだけを解決しようとする。長期的戦略的
な視野がない。このため、金正恩委員長の脅しに対して、トランプ
氏は、それを否定することで脅しを無効にしたのである。

金正恩委員長は、ブラプで世界を動かそうとするが、そのブラプに
対して、より大きなブラプをトランプ氏は行うことになる。ブラプ
の応酬になる。このため、トランプ氏は自身の評価を左右するよう
なレッドライン(越えてはならない一線)を引いてしまったようで
ある。

もし、ICBMの実験を北朝鮮がしたら、トランプ氏は暴発してしまう
可能性がある。子ども同士が、言い合い後、引くに引けないでけん
かになるのと同様な紛争になる可能性がある。

トランプを脅したことで最初の犠牲者は北朝鮮となるような気がす
る。北朝鮮が最初に血祭りに上げられる可能性も出てきた。

2.世界秩序が変化する
ワシントン・ポストに「2017年新しい世界秩序」という記事が
出ているが、この中で米国が世界の警察を止めるので、世界的な混
乱が必至であるという。

イアン・ブレマーは、米国が孤立主義になると、中国が思いのほか
早く世界覇権を確立するとしている。

ベンアミ氏は、米国は現実政治ではなく、理念政治になる。イアン
・ブレマーもトランプ氏は、ケネディーに似ている。世界にかかわ
らず米国の理念を復活していくことになるという。

どちらにしても、米国がポジションを変えると、世界に混乱が起き
ることは間違いない。

今までの歴史を見ると、このような時、経済的に一番強い国が覇権
を取る可能性が高い。とすると、中国が米国の代わりに世界の秩序
を確立してくる。

この有料版で、経済的な発展がなくなったら、戦争が起きるとした
が、まさに近々の問題になり始めてきた。世界秩序が変わる時、今
までも多くの大戦争が起きている。戦争を起こさずに、平和的に世
界秩序の変更ができるとは考えにくい。

このため、デュテルテ・フィリピン大統領は米国が頼りにならない
と、さっさと中国とロシアとの同盟関係を構築し始めている。ベト
ナムも中国寄りにシフトさせ始めている。インドネシアも豪州との
共同防衛を破棄して、中国寄りにシフトし始めた。東南アジアの米
国離れが深刻化してきている。パク大統領退任後の選挙で選出され
る大統領になると、韓国も中国寄りにシフトする可能性が高い。

世界は、米国後を睨んだ動きをしている。

3.日本はどうするか?
難しいのは日本の立場である。日本もロシアとの関係改善を図ろう
としている。しかし、中国との関係が改善するには、在日米軍を撤
退させないと中国との関係は改善しないし、日本人の多くが中国よ
り米国の方が良いと思っている。

中国軍が米国を脅かす軍に成長しているので、米国も自国防衛には
、前進基地が必要であり、その基地として日本は重要な存在なはず
である。ということで、米国も自国防衛のために、日本との同盟を
止めることはない。

日本には日米同盟を維持して、中国とは対峙していくしか選択肢が
ない。

しかし、在日米軍維持費を全額出せというトランプ氏の演説を日本
は、駐留経費の75%を出していると反論して、納得してもらった
ようであるが、日本自体の防衛費が少ないと安全保障担当補佐官の
フリン氏はクレームをつけている。

トランプ氏は、尖閣諸島などの無人島を中国軍が取ったような場面
では米軍を出動させないから、日本は自主防衛力の増強を行う必要
にもなっている。

米国は自国の防衛のために日本に駐留しているのであり、日本を守
るために駐留しているわけではないために、日本の自衛力、特に最
初に核ミサイルが飛んでくるので、その防衛をどうするのか、日本
自体が考える必要にある。

ということで、日本の米国離れも必要なことになる。日本が防衛力
を強化して、中国に対峙する必要になっている。中国は米国を抜く
かも知れない軍事力を持つ可能性もある。心して準備が必要である。

益々、日本にとって難しい時代になってきた。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
The new world order, 2017
https://www.washingtonpost.com/opinions/the-new-world-order/2017/01/01/fc54c3e6-ce9d-11e6-a747-d03044780a02_story.html?postshare=2381483443341366&tid=ss_tw-bottom&utm_term=.c29f1c37a98c

Trump’s Unrealpolitik
https://www.project-syndicate.org/commentary/trump-foreign-policy-realpolitik-by-shlomo-ben-ami-2017-01

TOP RISKS 2017: THE GEOPOLITICAL RECESSION
https://www.eurasiagroup.net/issues/top-risks-2017

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2017年 01月 3日 11:35 JST 
北朝鮮、米国に届くICBM開発はできない=トランプ氏
[ワシントン 2日 ロイター] - トランプ次期米大統領は2日、
ツイッターで、北朝鮮が米国に到達可能な核兵器を完成させること
はないとの見方を示し、「そんなことは起こらない」と断言した。
北朝鮮の最高指導者である金正恩氏は1日、大陸間弾道ミサイル(
ICBM)の発射実験の準備が最終段階にあると表明した。
さらにトランプ氏は中国について、米国との経済関係から恩恵を享
受しているが、北朝鮮の制御という点では助けにならないと批判し
た。
「中国は、完全に一方的な貿易で米国から多大なカネと富を得てき
たが、北朝鮮についてはあてにならないだろう」とツイッターで述
べた。
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トランプ氏のツイッターでの政策発表、就任後も「間違いなく」続く
Alan Levin
2017年1月2日 09:42 JST
トランプ次期米大統領はツイッターへの大量投稿をやめることはな
い。同氏のツイートは慣例にとらわれない自身の選挙戦の力だった
が、今月下旬の正式就任後もそのスタイルを変えることはないよう
だ。
  ホワイトハウスの次期報道官に指名されているショーン・スパ
イサー氏は1日のABC番組「ディス・ウィーク」で、フェイスブ
ックやインスタグラムを含めたソーシャルメディアサイトでのニュ
ース発信や声明発表は「間違いなく」続くと述べた。トランプ氏は
先に、ツイッターなどへの投稿を控える考えを示していた。
  スパイサー氏は「実際のところトランプ氏がツイートすると結
果が得られる」と語った。
  トランプ氏のフォロワーは現在、ツイッターで1830万人、フェ
イスブックで1680万人、インスタグラムで450万人。09年にソーシャ
ルメディアを始めて以来、同氏の投稿回数は3万4000回を超える。
最新の情報は、ブルームバーグ
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2017年 01月 1日 18:08 JST
北朝鮮ICBM準備「最終段階」
 【北京共同】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は1日、国営メデ
ィアを通じて今年の施政方針に当たる「新年の辞」を発表し、大陸
間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験の準備が「最終段階」に入
ったと述べた。20日にトランプ新政権が発足する米国に対しては
「敵視政策」の撤回を求めた。
 発射実験の時期など具体的な計画には言及しなかったが、実施に
踏み切る可能性を示唆し、オバマ大統領の下で北朝鮮との対話に消
極的だった米国に政策転換を迫った。北朝鮮は米本土を狙うICBM
「KN08」の開発を進めてきたが、これまで発射されたことはな
い。
【共同通信】
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2017年 01月 7日 08:23 JST 
焦点:トランプ氏の北朝鮮発言、一線を越えた可能性
David Brunnstrom and Arshad Mohammed
[ワシントン 3日 ロイター] - ドナルド・トランプ次期米大統
領は今週、ツイッターへのわずか3語の投稿で、北朝鮮の大陸間弾
道ミサイル(ICBM)の発射実験は起こらないと明言した。
北朝鮮は核武装も可能な状況だが、金正恩(キム・ジョンウン)朝
鮮労働党委員長は1日、北朝鮮はまもなく、いずれ米国を攻撃する
能力も備える可能性のある兵器、ICBMの発射実験を行うと述べ
た。これに対しトランプ氏は、「そんなことは起こらない
(It won’t happen!)」と書いた。
だが、発射実験の阻止は口で言うほど簡単ではない。そしてトラン
プ氏は、1月20日に大統領に就任した後、どうやって北朝鮮の核
兵器開発計画を撤回させるのか、何も示唆していない。これは、民
主党・共和党の別を問わず、歴代の米国政府が果たせなかった課題
なのだ。
米国の元当局者やその他の専門家によれば、急速に拡大する北朝鮮
の核兵器・ミサイル開発計画を抑制しようと試みるならば、米国と
して採りうるオプションは実質的に2つ、つまり交渉か軍事行動し
かないという。
だが、どちらの道も確実な成功はおぼつかない。軍事的なオプショ
ンは、特に北朝鮮に近い米国の同盟国、日本と韓国にとって大きな
危険を伴う。
共和党のトランプ次期大統領は、別のツイートで、北朝鮮にとって
隣国であり、唯一の同盟国でもある中国が、北朝鮮政府の封じ込め
に貢献していないと文句を言った。ただし、中国は、北朝鮮政府に
対する数次にわたる国連制裁を支持している。
オバマ政権の関係者も含め、トランプ氏に批判的な人々の多くも、
中国は北朝鮮に対してもっと厳しい圧力をかけられるという点では
トランプ氏に賛同するが、国務省は、中国が北朝鮮封じ込めに協力
的でないというトランプ氏の評価には同意できないとしている。
北朝鮮の最高指導者である金正恩氏(党委員長)は1日、大陸間弾
道ミサイル(ICBM)発射実験の実施が近いと述べた。北朝鮮が
こうした主張を行うのは珍しくないが、一部の軍事専門家からは信
ぴょう性があるとの意見も上がっている。
専門家らは、通商問題から台湾問題に至るトランプ氏の対中強硬姿
勢は、中国の協力を確保するうえで障害になりかねないと指摘する。
米シンクタンク、カーネギー国際平和財団で原子力政策プログラム
の共同ディレクターを務めるジェームズ・アクトン氏によれば、ち
ょうどオバマ氏が2012年にシリア政府による化学兵器使用を批
判したのと同じように、今回の北朝鮮に関するツイートによって、
トランプ氏はいずれ自身の評価を左右するようなレッドライン(越
えてはならない一線)を引いてしまった、という。
「北朝鮮による核兵器・ミサイル開発計画の抑制が非常に難しいこ
とを考えれば、今回、トランプ氏があのようなツイートを投稿した
のは無謀だった。これが今後、トランプ氏にとって悩みの種になる
可能性があると私は思う」とアクトン氏は語った。


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