6408.自由・資本主義米国の崩壊



月曜日有料版0章途中までをお送りします。 

米経済の悪いデータや悪い予測をトランプ氏は潰し始めて、経済状
況が不透明になるようだ。このため、米国は自由・資本主義国では
なくなった。この内容と今後を検討しよう。
                津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2024年12月4日45,014ドルの史上最高値更新、2025年8月8日は44,175
ドルで、11日は200ドル安の43,975ドル、12日は483ドル高の44,458
ドル、13日は463ドル高の44,922ドル、14日は11ドル安の44,911ドル
、15日は34ドル高の44,946ドル。

先週、株価は770ドルの上昇。8月15日の生産者物価指数PPIが前月比
0.9%上昇で、0.2%の市場予想を大幅に上回り、前年比3.3%と約3年
ぶりの大きさになった。これまで関税の負担を飲み込んでいた流通
業者がマージンを圧縮していたが、それを拡大する動きが出てきた。

消費者物価指数CPIは前月比0.2% で前年比2.7%と低かったし、米7月
輸入物価は前年比-0.2%で3ヶ月連続デフレで、対米輸出業者の値引
きが関税上乗せ分を相殺している。この輸入物価のデフレ状態が、
いつインフレになるかが問題である。

このため、9月のFOMCで0.5%の利下げが行われると見ていたが、PPI
の発表後、9月の利下げは0.25%程度になると確率が下がっている。

また、8月の米ミシガン大学消費者信頼感指数も58.6と、市場予想
62.0に反し低下した。また、自動車価格の上昇はないが、新車の値
引きがなくなり、中古車が売れて中古車価格高騰しているが、CPIに
反映されないために、物価上昇の前兆が見えないだけのようだ。こ
のため消費者信頼感指数も悪くなっている。

しかし、7月の米小売売上高は前月比0.5%増加であり、このため株
価の下落は起きなかった。現時点、経済データは良いものと悪いも
のが混在しているが、徐々に悪いデータが増えている印象がある。

そして、ベッセント財務長官は、FRBに1.5%の利下げを要求したが、
それは到底無理であろう。

そして、9月のFOMCで利下げになるので、日銀は利上げができないこ
とになりそうである。もし、利上げすると超円高になるからである。
このため、日銀の利上げは早くても10月になりそうだ。

今週、エヌビディアとAMDは、中国での売り上げの15%を米政府に支
払う輸出税に合意した。しかし、中国は米国製AI半導体の使用を自
粛するように、中国企業に通達している。また、半導体の関税を、
100%以上にする方向で検討しているとトランプ氏は言う。

その上で、インテルへの出資を行い、米国内での半導体製造を行い
、輸入を止めることになる。しかし、TSMCからの輸入には関税を掛
けないともいう。

米政府は、産業界に多くの要求をしているので、社会主義と資本主
義のハイブリッド型である国家資本主義に近づいて、この制度の下
で国家が名目上の民間企業の意思決定を指導する。自由な資本主義
では、国内産業の空洞化が起きてしまい、それを阻止するには、国
家が市場や企業に介入する必要があるということのようだ。中国と
同様な経済システムになったようだ。

しかし、トランプ政権に盾突く企業や個人には、強く当たることに
なる。企業でも大学でも潰すまで追い詰めることになるので、自由
の制限になっている。反対に、トランプ氏にすり寄る企業や個人に
は、関税等の便宜を図るので、皆がトランプ氏にすり寄ることにな
る。そして、トランプ大型減税・歳出法をどれだけ支持したかに基
づいて、数百社を格付けしたという。今後、この格付けで企業への
支援等が違うことになる。

また、トランプ氏は、外国の企業や政府が関税コストの大部分を吸
収しているとしているが、ゴールドマン・サックスのヤン・ハチウ
ス氏は、関税の影響が6月までに22%出ているとした。

これに対して、市場と関税自体のいずれについても誤った予測をし
たとして、ヤン氏の解雇を求めている。このように、経済データや
経済予測でも自分の意に沿わない意見をつぶしに来ている。という
ことで、自由な国としての米国はなくなっている。

関税のほかに、自分にすり寄る同盟国や自国企業からの上納金を巻
き上げ、その資金でどう国内製造業を復興するかが問われることに
なる。この考え方の中心人物がスティーブン・ミラン氏である。

そのスティーブン・ミラン氏をFRB理事にして、米30年国債の金利が
4.5%を超えると、財務省が介入して金利を抑えているが、FRBでFF金
利を下げる方向になる。これによりYCC(イールド・カーブ・コント
ロール)を米国も行うことになりそうである。

ミラン氏は、トランプ関税の立案責任者であり、ドル安を推進する
ことや製造業の復活を行うことを目指している。過剰流動性の防止
もその中にあり、金融マフィアで、かつディープ・スティートの代
理人であるベッセント財務長官とは、立場が大きく違う。

以後は有料版を見てください。

0.米国と世界の状況
1.日本の状況
2.ウクライナ戦争の動向と世界情勢



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