6395.中国と米国はデカプリング



月曜日有料版0章途中までをお送りします。

トランプ氏は、高関税をかけてもすぐに下げる弱気をタコと馬鹿に
されて、中国との交渉が上手くいかずに、中国に50%以上の関税にす
るようである。  津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2024年12月4日45,014ドルの史上最高値更新、2025年5月23日は
41,603ドルで、27日は740ドル高の42,343ドル、28日は244ドル安の
42,098ドル、29日は117ドル高の42,215ドル、30日は54ドル高の
42,270ドル。

先週、株価は670ドルの上昇。23日にEUへの50%関税とトランプ氏が
言ったが、26日に7月9日まで延期すると発言して、740ドル高になっ
た。28日夜に、トランプ関税の大統領権限を逸脱していると国際貿
易裁判所が判断したが、29日に最高裁で関税停止の保留になり、29
日の米株はエヌビディアの好決算にも関わらず117ドル高に低下した。

最高裁で関税停止の保留で、関税を継続しているが、トランプ氏は
大統領権限での関税実施ができる通商法122条と通商拡大法232条を
使い150日の15%関税やナバロ米大統領上級顧問は、通商法第122条と
同法301条を根拠に関税を行う代替案を検討するという。

この中、ベッセント米財務長官は29日、中国との貿易協議は「やや
停滞気味だ」と述べ、中国が米国の関税の国内紛争を見ているとみ
て、米中が合意に達するにはトランプ氏と習近平主席との電話会談
が必要になるとの認識を示した。

しかし、中国では習近平主席の権力が無くなっている。このため、
事務方の意向を言うだけであり、無意味である。

トランプ氏は、中国が約束したレアアース輸出の承認を引き延ばし
ており、関税を一時停止するジュネーブ協定を破ったと言い、北京
は米国の新たなチップ制裁が引き延ばしの引き金になったと言う。

中国は約束に違反したと述べているので、この状態が続くと、対中
国関税は50%以上になる。現在、中国から輸入している雑貨や衣料な
どの不足が、起きることになる。

この雑貨や衣料の輸入先を中国以外にして、価格の上昇を抑える必
要がある。中国の関税で、米国の物品輸入は4月に19.8%減少した。

中国は、米国への輸出がなくても世界に売れると、関税の撤回を主
張して強気になっている。デカプリングでも構わないということで
ある。EUも同様であり、この機会に世界の覇権を奪おうとし始めて
いる。中国は国際調停院を作り、国際紛争の調整をする機関を作っ
て、国連の調整機能を中国が作り、覇権体制を作り始めた。

この動きもトランプ氏は中国が違反しているというのである。マレ
ーシア元首相のマハティールは、米国の高関税は米国抜きでEUや中
国との関係を強化することになり、米国の国益にならないと述べて
いるが、世界の知識人の多くもその方向に向き始めた。

その点、日韓は米国との交渉で強気ではなく、妥協点を探っている。
この点から、日韓を米国は頼りにする必要がある。雑貨も衣料も、
日本と韓国企業からの輸入を促進する可能性が高い。日本で製造す
る以外に、他国で生産したものも低関税にする可能性もある。

トランプ氏は、30日にUSSの日鉄買収を認めて、かつ、米国への鉄鋼
輸入に対する関税を6月4日から25%から50%に引き上げると表明した。
米国製造業の復活で、日本依存が明確化した。

しかし、全体的には徐々に米国の交渉は行き詰まってきたように思
う。トランプ氏の交渉術は、通用しなかったようであり、どこかで
高関税の脅しを引っ込める必要になってきた。米国内でも、トラン
プ氏は「TACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつも
臆病者)」と呼ばれ、高関税をかけてもすぐに引っ込めるという。

そして、世界は米国抜きでの世界を作る方向で動き始めたように感
じる。米国の覇権は揺らいできた。

その上、トランプ氏はバイデン政権の財政赤字を批判していたが、
米減税法案を下院で通過したが、それより支出が増え、イーロン・
マスク氏は、失望を表明して、トランプ政権から離脱すると述べた
。予算歳出の削減を目指したが、結局、財政赤字を増やす方向にな
った。

その結果、超長期債の金利が上昇したのに、ドル安になっている。
米国売りの状況である。このため、FRBは、超長期米国債を買い取る
資金を米銀行に貸し、米国債買取をして金利を下げている。

本来は、この結果、インフレになるはずが、物価上昇は2%と低下し
てきた。ということは、消費者の買い控えが出て、価格を上げられ
なくなっていることになる。4月までに買いだめしたことで、消費が
落ちたようである。景気後退の方向になり始めた可能性が出てきた。

以後は有料版を見てください。

0.米国と世界の状況
1.日本の状況
2.ウクライナ戦争推移とその他地域の情勢


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