6388.ドル基軸通貨制度の崩壊



月曜日有料版0章途中までをお送りします。

トランプ氏の相互関税政策と、海外投資家が持つ米国債や株への課
税という話が出て、債券市場に大きな動揺が起き、米国のドル基軸
通貨制度崩壊に向かっている。今後の世界秩序を見通すことが必要
になっているので、それを検討しよう。    津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2024年12月4日45,014ドルの史上最高値更新、2025年4月4日は38,314
ドルで、7日は349ドル安の37,965ドル、8日は320ドル安の3,7645ド
ル、9日は2962ドル高の40,608ドル、10日は1014ドル安の39,593ドル
、11日は619ドル高の40,212ドル。

先週、株価は1900ドルの大幅な上昇。9日は、90日の相互関税延期発
表で、2900ドルの大幅な上昇になったが、状況は改善していないと
10日は一転して1000ドル安、そして、コリンズ総裁の米国債買い入
れの可能性示唆で、11日は600ドル高になっている。世界の株価は上
下に大きく振れている。10日のCPIは良い数字であったが、反応しな
かった。

しかし、2025年1-3月期の米企業の倒産件数が188件と、同期間とし
て15年ぶりの高水準となった。景気後退が徐々に明らかになってき
ている。また、ミシガン大学期待インフレ率は6.7%と高い水準であ
る。スタグフレーションになる可能性が高い。このため、高利回り
を追求できるハイイールド債から資金が流出している。

中国以外の国には、90日の相互関税延期にしたが、中国には145%の
関税にした。中国は、すかさずに125%の対米関税にすると宣言し、
これ以上の関税引き上げが無意味であるという。あくまでも戦う意
志を示している。

なぜ、90日の相互関税を延期にしたのかというと、1つに米国債の大
量売りが出て、一時4.6%まで金利が上昇したことで、市場の混乱を
押さえる必要があると見たからだ。その米国債大量売りは、アジア
時間で出たので、日本か中国の売りであると推測されている。

日本の売りは、60倍レバレッジかけて10年米国債ロングしていた農
林中金がバーゼル規制にひっかかって狼狽売りしたとの報道もある
が、それ以後も米国債の売りが続いている。中国の売りが続いてい
ることだと思う。10年米国債利回りは4.5%台を持続。

ヨーロッパ時間でも米国債が売られているので、機関投資家が米国
債を売っていることから、反米的な雰囲気が世界的に出ている可能
性がある。トランプ氏のEUを敵だと述べたことで、その仕返しにな
っているようにも見える。反米が世界的なムードになった可能性が
ある。

ということで、事実は、農林中金の米国債2.6兆円規模売却と、関税
戦争真っ最中の中国の米国債10兆円売却が重なり、国債金利が上昇
してしまったようだ。中国は売ったドルでゴールドを大量買いして
いる。このため、ゴールド価格が上昇している。この中国の米国債
売りで、世界の投資家が大量の米国債を売り始めた。

中国は、米国が中国所有の米国債に対して無効化を行う可能性を見
て、米国債を売っているようだ。ロシア資産の凍結を見ると、心配
になるのも分かる。もう1つが海外投資家が持つ米国債や株への課
税という話が出たことだ。

しかし、機関投資家で国債に高レバレッジを掛けて運用している機
関は多数あり、倒産するものも出てくる可能性がある状況になって
きた。

これに対して、米ボストン連銀のコリンズ総裁は、「FRBは市場の機
能や流動性に関する懸念が生じた場合に対処する手段を持っている
。必要に応じて対処する用意はある」とした。これは、QTを止めQE
で米国債の買い入れを行うということである。金利を低くするため
に行う必要がある。そうすると、ドルの信任は下がるのでドル安に
はなるが、致し方ない。

もう1つが、欧州の報復関税の動きが出て、欧州と中国が結託する可
能性があり、そうすると、米国の孤立化になるので、それを阻止す
るために、関税の対象を中国に絞ることにしたという説である。世
界的な反米の雰囲気を緩和することにもなる。

そして、90日の相互関税延期を受けて、EUは、「合意の締結を目指
す」ためワシントンへ向かうとした。EUを繋ぎとめたことになるが
、EUのフォン・デア・ライエン委員長は中国を訪問し、協議をする
という。

以後は有料版を見てください。

0.米国と世界の状況
1.日本の状況
2.ウクライナ戦争推移
3.中東情勢


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