6359.ウクライナが「勝利計画」を出す



月曜日有料版2章途中までをお送りします。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、欧米に対して「勝利計画」を
出して、今後の戦争計画を説明するようである。今後、どうなるの
かを検討する。     津田より

2.ウクライナ戦争推移
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クルスクでの西側からのロ軍の反撃は、ウ軍が新たに国境線を越え
、グラシェコボのロ軍陸軍基地に向かって進撃し、ロ軍主力は西に
向かって攻勢に出ているので、基地に主力がいないことで、ロ軍は
挟撃される可能性が出ている。もう1つが、ウ軍はコレネボ付近で
攻勢に出て、ロ軍の脱出ルートを塞いでいる。

このため、ロ軍主力をグラシェコボ基地に戻して、挟撃に備えたこ
とで、西に張り出したロ軍奪還地をウ軍が再占領した。

このため、ロシアは、この地域周辺のホムトフルとリリスクの住民
に対して、避難命令を出した。

このように、ロ軍の第1次反撃作戦は失敗した。このため、第2次反
撃作戦を計画して、兵力も6万から7万に増やして、期限も10月中旬
にして実施するという。

ということで、ゼレンスキー大統領が言った「ウクライナの計画に
沿ったロ軍の反撃だ」と述べた理由がわかる。ロ軍を罠に嵌めたよ
うである。東部戦線からロ軍を引き離すこともできたようだ。

ロシア国内でも、徐々に戦争終結しないと、ロシア経済は持たない
という声が出てきたし、モスクワにもウ軍ドローンが100機以上も飛
来するなど、ロシア国民も徐々に厭戦気分になってきているようだ。

このような状況で、ロシア国内での電話による世論調査でも、ロシ
ア人の49%がウクライナからの軍隊撤退を支持し始めている。53%は
、ロシアにとってウクライナ東部の領土をさらに占領するよりも、
クルスク州からウ軍を追い出すことの方が重要だともいう。63%は、
来年ロシアとウクライナの間で相互譲歩による平和条約を締結する
ことに賛成している。ロシアの思想統制下での世論調査で、このよ
うな結果になるということ自体が厭戦気分になっている証拠だ。

そして、32%は国防省の命令に従い戦争に参加する用意があるとし、
30%は敵対行為には参加したくないと述べ、29%は、追加動員を支持
するとのこと。

ウ軍は、現時点で戦死者が8万人で、負傷者数は40万人もいるのこと
であるが、ゼレンスキー大統領はこれを否定しているが、状況も見
ると予備兵力も底をつき、戦争終結を目指す必要があり、ゼレンス
キー大統領は、「勝利計画」を作り、欧米に説明し始めた。

長射程ミサイルによるロシア領内への攻撃の容認、ウクライナ軍事
産業への投資要請、対ロ制裁の抜け穴を指摘、NATOへの早期加盟要
求であり、その上にクルスク州への越境攻撃の成果を説明している。

勝利の定義が、まだ明らかにされていないことで、従来の要望書と
現時点では変わらないような印象がある。しかし、勝利の定義を想
像するに、一部領土奪還を断念しても、優先的にNATO加盟を果たす
方向のような気がする。

クリミア奪還をするためには、へルソン州の奪還が必要であり、ザ
ポリージャ州も奪還する必要があり、トルコのエルドアン大統領も
ウクライナを応援するということで、これは行う可能性がある。

このために、長射程ミサイルによるロシア領内への攻撃の容認が必
要であるとしたが、対して、プーチンは長射程ミサイルの使用容認
なら、NATO諸国との戦争になり、紛争の本質を変えることになると
、核の脅しを使っている。前回、スターマー英首相は許可したとし
たが間違いで、まだ、バイデン大統領は認めなかったようであるが
、まもなく認めるという。

「勝利計画」では、ドネツク州とルハンシク州の奪還をあきらめた
可能性がある。

和平交渉を見越した上で、クルスク州の占領は重要であり、逆にロ
シアとしても、クルスク州の奪還が必要ということになる。

ということで、今後の主戦場はボクロウシクからクルスクになる可
能性も出てきた。

この勝利計画に対して、オースティン米国防長官は、戦争の拡大を
避ける必要があるという。中東でのイランとイスラエル戦争抑止と
中国への抑止で、米軍はこれ以上の戦争を支援できないからである。

米軍が三方面が同時に戦争状態になると、戦力や兵器・弾薬が足り
なくなるからで、逆にロシアとしては、どうしても世界各地で戦争
にして、第3次世界大戦の状況になってほしいのである。

今後、冬に向かい、発電所や電力網の破壊で、電力がないウクライ
ナは寒い季節になる。このため、フォンデアライエン欧州委員長は
EUが冬季のウクライナを支援するための計画を策定したと発表。同
計画は、エネルギーインフラの修理、ウクライナの欧州電力網への
さらなる統合、国内電力網の安定下に焦点が当てられているという。
この政策に日本も同調するべきであろう。

以後は、有料版を見てください。

0.米国と世界の状況
1.日本の状況
2.ウクライナ戦争の推移 
3.中東情勢



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