6343.ロシア領内攻撃で核エスカレーションが起きている



月曜日有料版2章途中までをお送りします。

ウクライナ戦争で、ウ軍は欧米兵器によるロシア領内攻撃を行った
が、プーチンは核の脅しを強めている。今後を検討する。 
                        津田より

2.ウクライナ戦争推移
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ロ軍は、ハルキウ国境を超えて攻撃してきたことで、欧米諸国はウ
軍へ供与した兵器でのロシア領内への攻撃を容認し、その攻撃で、
ロ軍はこの方面での損害が大きくなり、特に補給トラックのHIMARS
爆撃で補給ができなくなった。

このため、攻撃の重点を再度、ドネツク市北側のオチェレティネ周
辺に移したようである。

米国も、ハルキウ州、スームィ州やチェルニーヒウ州の国境付近へ
のロ軍軍事目標への攻撃を容認したが、ATACMSの使用が許可せずに
米武器での攻撃を細かく指示してくる。ロシアの核攻撃を恐れてい
て、エスカレーションを高めないようにしている。

これに反して、マクロン仏大統領は、ロシアの核攻撃に対してウ軍
の核反撃を行う準備するようだ。「ミラージュ2000-5提供のための
訓練が数日以内に始まる」と言及したが、スェーデンのグリペン戦
闘機を供与をやめた理由は、F-16の訓練を優先するとしたが、実は
核反撃を想定して、ミラージ2000-5の訓練を優先することであった
ようだ。

F-16訓練の人数が米国は16人に絞っているので、ウクライナは、米
国で訓練を開始できるパイロットが30人いるというが、また、2年程
度で供与される90機のF-16もパイロット不足で稼働できないし、米
国は戦術核供与をしないので、ロシアの戦術核攻撃を受けた時の核
反撃ができない。

フランスには、ミラージュ2000Nが核搭載可能であり、ウクライナが
もし戦術核での攻撃を受けた時には、フランスはミラージュ2000Nと
戦術核の供与をして、報復攻撃を可能にするようである。

このことで、ロシアの戦術核攻撃に対応することで、ウクライナへ
の核使用の抑止力を効かそうとしているようであるが、徐々に核使
用のレベルが低くなってきたように見える。

このフランスの対応とは違い、トランプ氏最側近によれば、ウクラ
イナが領土を奪還することは不可能なので、これ以上領土を奪われ
ないように武器支援はするが、ロシアとの和平交渉を受け入れるこ
とを条件とする。和平が実現すれば、ロシアと欧州を和解させ、G8
にも復帰させ、中ロを離間させる。中国こそが最大の敵と見ている。

というように、トランプ政権では、ロシアより中国を敵対視するよ
うである。EUは、中国よりロシアが怖いので、ロシアを徹底的につ
ぶす方向であり、核には核という対応を推し進めることになる。ト
ランプ氏は、ハンガリーやチェコ、ポーランド、バルト3国の人々
のロシア恐怖症を理解していない。このため、米欧の戦略の差が出
ている。

しかし、ウクライナ最大のドニプロ水力発電所がロシア軍の攻撃を
受け、発電能力を失うなど、ロ軍の電力インフラ攻撃で、ウクライ
ナから30GW相当の発電能力がなくなっている。このため、キーウで
の停電時間が20時間という事態になっている。ほぼ、原子力発電所
の電力しかない状態である。

この電力量であると、ドローンなどの兵器製造でも支障が出ている
はずであり、ロ軍からの領土奪還でも大きな支障になることが確実
である。その意味では、トランプ陣営の言うこともわかる。

しかし、戦術核兵器が使用されると、途端に状況が変化することに
なる。

5日、サンクトペテルブルクで各国の通信社幹部らとの会見で、プー
チンは、ロシア国内を攻撃できる兵器をウクライナに供与する国が
あれば、その国と敵対する国や地域にロシアも兵器を供給すること
を「検討している」と述べた。また、ウクライナに兵器を供与した
国の「重要目標がロシア製兵器で攻撃される可能性がある」と警告
した。

事実、原潜含むロシア海軍艦船4隻がキューバへ向かっている。

このような脅しで、欧米に対ウクライナ軍事支援の停止やロシア国
内攻撃の許可の取り消しを迫った形だ。プーチンはまた、欧米が兵
器供与を停止すればウクライナでの戦闘は2〜3カ月で停止すると
主張した。

ロシアが行き詰っていることが、この会見で見て取れる。ロ軍でも
装甲車両が足りないので、ロシアの兵器とは核兵器しかない。核の
脅しであるが、その脅しで、欧州は新たな行動に出るので、核のエ
スカレーションが起きていることになる。

以後は、有料版を見てください。

0.米国と世界の状況
1,日本の状況
2.ウクライナ戦争の推移
3.中東情勢
4.中国の動向



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