世界情勢が大きく変化している。ウクライナ戦争、パレスチナ戦争 の他に、南米でもベネブエラがガイアナの7割の土地を自国領土と 主張している。中国も南シナ海でフィリピンのEEZ内を自国領土 として、フィリピンの船に放水するなど、世界各地で紛争を起こし ている。この現状と今後を検討しよう。 津田より 0.米国と世界の状況 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、 2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、2022年10月10日は 29,202ドルで安値となり、2023年12月8日は36,247ドルで、11日は 157ドル高の36,404ドル、12日は173ドル高の36,577ドル、13日は 512ドル高の37,090ドルで最高値更新、14日は158ドル高の37,248ド ルと更新継続、15日は56ドル高の37,305ドル。 先週、株価は、連日最高値更新と1000ドル上昇して3万7000ドルを突 破した。12月13日FOMC後の会見で、パウエル議長の突然のタカ派か らハト派への転換で、利下げ方向の議論が出たという。このことで 、ドル安になり、10年米国債の利回りも4%以下になり、市場は買い のムードである。ドル円も141円まで円高が進んでいる。 これには、ホワイトハウスから、パウエル議長は怒られたという噂 もあるが、インフレが3%であり、金利も3%まで下げる方向で良いの ではないかということのようだ。 事実、イエレン米財務長官は、インフレが鈍化する中で米金融当局 が経済の安定を保つために利下げを検討するのは理にかなっている との見解を示した。 しかし、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、利下げ議論した とパウエル議長は明言したが、それを否定した。FOMC内部亀裂が露 呈した格好である。このため、15日の株価も上昇したが、勢いが削 がれた。市場の期待を削いだようである。 そして、中東で戦争になる地政学的リスクがあり、もし原油が高騰 すると、再度高インフレになる可能性はある。 現時点では、景気後退ではない利下げとなり、そうすれば、株価も 大きく下げない可能性がある。2024年11月までは、株価の大暴落だ けは、バイデン大統領はさせないようである。 欧州経済不振のために、ユーロ圏の債券利回りは9カ月ぶりの低水準 になり、利上げが近いと思われている。大暴落の可能性もある。 1.日本の状況 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021 年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は 24,717円の底値になり、2023年7月3日は33,753円とバブル崩壊後高 値となり、12月8日は32,307円で、11日は483円高の32,791円、12日 は51円高の32,843円、13日は82円高の32,920円、14日は240円安の 32,686円、15日は284円高の32,970円。 先週、株価は600円ほどの上昇でした。14日はFOMCで利下げを示唆し たことで、140円台まで円高になり、大量の空売りが出て、株価は下 げたが、15日には空売りの買い戻しで、株価は上昇している。 一番問題なのが、植田総裁は、最大でも0.25%までの利上げであり、 その利上げをいつするかで、まず12月なり1月に0.1%利上げでゼロ金 利にすると思うが、米国の利下げと日本の利上げが重なると、キャ リートレードの巻き戻しを起こし、円高は走り、120円台以下まで行 く可能性もある。キャリートレードで20兆ドルが円から他通貨にキ ャリーしているので、その巻き戻しもすごいことになる。 しかし、日本は、GDP比250%の国債発行量であり、50%が日銀にある とはいえ、利払いがあるので、1%未満にしていく必要があるので、 利上げでも最大金利1%程度であろう。 この状況で、ヘッジファンドの空売りしたが、日本企業の業績好調 で、大きな損失を出した可能性が高い。企業の想定レートは141円で あり、現時点で、円高で騒ぐ程度の円高ではない。 それより、日本の政界は大混乱で、岸田首相は来年の総裁選挙での 再選を捨てて、安倍派議員を排除した。総裁選前の衆議院解散もで きない。 時事通信12月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比4,2ポ イント減の17.1%となり、2012年12月の自民党政権復帰後の調査で最 低を更新、初めて1割台に落ち込んだ。支持率が2割を下回るのは、 民主党政権が誕生する直前に調査した09年9月の麻生内閣(13.4%)以 来。 ということで、選挙がないので、このまま安倍派は100名の大所帯で あり、この人数が総裁選挙を制するのに大きな力になる。パーティ ー券裏金事件は、秘書の責任にされて、多くの議員はセーフであろ う。泰山鳴動してネズミ1匹でしょうね。 このため、大変動になる可能性が出ている。選挙のことを考えると 、小泉進次郎か河野太郎か石破さんになる。しかし、岸田・麻生派 は、自派または茂木派から出したいはずである。この派閥群では、 上川外相の起用も検討しているようだ。初の女性首相は票になると みている。このため、総裁選挙に関心が行くことになる。 そして、その後、衆議院選挙になる。 2.ウクライナ戦争の推移 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ロ軍は、アウディーイウカの包囲とバフムト周囲の占領を目論み、 損害が大規模でも諦めないが、全体的には、膠着状態である。 しかし、ウ軍の砲弾が少なくなり、ほんの数カ月前まで、ロ軍とウ 軍の砲撃の比率は、ほぼ1対1であったが、今では、ロ軍が4、5発撃 つごとに、ウ軍は1発撃っている状態になっている。開戦直後の状態 に戻っている。この状態では、負ける可能性もある。 もう1つが、軍事委員会での汚職で、委員長を全員解任した影響で 、ウ軍の動員業務が滞り、兵員不足になっている影響も大きい。 ・クピャンスク ロ軍は、シニキウカのウ軍陣地に対して、歩兵、装甲車、戦車を投 入して、波状攻撃を行ったが、ウ軍に撃退された。 ・スバトバ・クレミンナ・リシチャンスク ロ軍は、各所を攻撃しているが、小規模の攻撃ですべて撃退されて いる。そして、ロ軍は航空優勢であることで、ロ軍の地上攻撃は、 航空近接支援を受けた地上攻撃も増えてきた。 ・バフムト方面 ロ軍は、10月下旬にバフムート方面での反撃を開始、ボフダニウカ で大きく前進し、14日までにベルヒフカ貯水池付近からボダニフカ やクロモヴォに向けて3km以上もウクライナ軍を押し戻すことに成功 した。イバニウシケ方向でも前進している。 また、ゼレンスキー大統領が12日に発表したホルリウカ郊外「テリ コン奪還」もロ軍に直ぐ奪い返された。 ロ軍は、クリシチーイウカ、アンドリーイウカに攻撃を続行してい る。線路まではロ軍に奪い返されているが、その線路も越えて、ロ 軍は攻撃している。クリチーイウカの高台もロ軍に奪われた。この 高台喪失は影響が大きい。ウ軍は苦しい。 ・ドネツク市北側方面 ロ軍は、アウディーイウカの南東、ノボバフチウカの北東、ステポ ベ、コークス工場、ペルボマイスケ、セベルネの南で、航空支援を 受けて、地上攻撃をしているが、ウ軍に撃退されている。 アウディーイウカ、ステポベ、コークス工場に対するロ軍の猛攻が 失速しつつある。ロ軍の電波妨害(ジャミング)装置を破壊し、ロ 軍ドローンを飛べなくするためにウ軍は、電波妨害装置を設置した ことによるようだ。ウ軍ドローンが早期に発見、攻撃できるために ロ軍も諦めた。 しかし、ロ軍の攻撃主体は、セベルネの南、ネベリシケの南、ベル ボマイスケなどのアウディーイウカの西側に移行している。 ・ドネツク市南側方面 ロ軍は、マリンカ全域を占領した。ノボミハイリウカに対して、航 空近接支援を受けた地上攻撃を行っている。 ・オリヒウ軸 ロ軍は、ベルボベの西と北西で地上攻撃をしているが、ウ軍は撃退 している。ウ軍は攻勢から守勢に作戦を転換した。 ・ヘルソン州方面 ロ軍空挺部隊を投入し、戦車、装甲車で攻めているが、ウ軍もドロ ーンで対抗している。ロ軍はドニプロ川を渡る補給船に狙いを定め て、ドローンと砲撃で攻撃している。ウ軍も苦しくなっている。 事実、ドニエプル川左岸の作戦に参加しているウ軍兵士はNY紙に対 して、クリンキでの作戦は自殺行為だであり、あそこに足場を築く ことも、装備を移動することも不可能で本当に無駄だという。 ・その他の方面 ロ軍は、冬のインフラ攻撃を開始した。14日、キーウにkh-42M2キン ジャール3発が発射され、1発撃墜している。オデーサには、42機の シャヘドUAVが発射されたが、41機を撃墜した。 ・ウクライナの状況 米国の援助が無くなることは、2024年11月でトランプ氏が大統領に 当選すると確実である。ここまでには、停戦に持ち込む必要がある。 しかし、ウクライナのゼレンシキー大統領は12日、バイデン米大統 領と会談したが、ロシアに対してウクライナが領土面で妥協する可 能性を否定した。バイデン米大統領は、「私は先ほど、米国防総省 の2億ドル拠出に関する新たな指示に署名した」という。 ゼレンスキー大統領は12日、米首都ワシントンで与野党の議会指導 部に年内に枯渇する予算を追加承認するよう直訴した。米野党・共 和党幹部はクリスマス休暇までの予算可決は「事実上不可能だ」と 明言した。当分、ウクライナ支援予算は通らないことが確定した。 しかし、米上院が8,860億ドルの国防予算を承認した。法案には、ウ 国安全保障支援構想の下で3億ドルを配分する条項が含まれている。 さらに、ウ国支援特別監察官室の設置についても言及されている。 上院を通過し下院に送られるがどうなるか。まだ、ウクライナ支援 予算(1050億ドル=15兆2千億円)は通らない。 このため、バイデン大統領は、ウクライナが将来NATOに加盟するの は間違いないとしつつ、今ウクライナが必要なことは戦争に勝つこ とだと発言した。勝てないなら停戦することであるが、そこは言わ ないが、NATOに加盟して、ロ軍の再攻撃を止めることだということ である。 EUも500億ユーロ(約7兆8600億円)規模の支援パッケージを用意し ているが、EU予算全体を問題視するハンガリーのオルバン首相は 、拒否権を発動した。しかし、EU加盟交渉開始では、オルバン首相 がコーヒーを飲みに退席し、全会一致で交渉開始を賛成した。オル バン首相は、EU加盟ではないので、ここは譲ったという。 このため、ドイツのショルツ首相は、ロシアのウクライナ戦争で状 況が悪化した場合、政府はドイツに異例の非常事態を宣言する可能 性があるという。 これは単なる戦争ではありません。それは欧州の国境が安全かどう かの問題です。プーチンは、ウクライナに対する国際的な支援を怠 ることに賭けている。ドイツが、米国の代わりに欧州を守る決意が あると宣言した。 この中心的存在は、軍事防衛企業のラインメタル社である。 米国やEUからの支援がなくなると、ウ軍が困るとして、ドイツは、 155mm砲弾を6万8千発を供給するとした。1日1万発打つので、7 日弱分である。 15日、リトアニアは数百万発の弾薬、数千発の携帯型対戦車擲弾筒 用弾薬、折り畳み式簡易ベッド約1000個、冬季装備等をウクライナ へ供与した。東欧は、ロシアへの脅威があり、ウ軍支援に必死であ る。 それと、アルゼンチンは、2011年にロシアから購入したMi-171Eヘリ コプター2機をウクライナに供与するという。アルゼンチンは親ロ政 権から親米政権に転換した。 このように、欧州対ロシアの戦いになり、米国からドイツにバトン が渡されたようである。ドイツがバトンを取らないと、CNNは、米軍 の高官の話として、ウクライナヘの米国などからの支援が停止した 場合、最悪、2024年夏までに大規模な後退か敗北もありうるとの見 方を伝えた。 日本もウクライナに武器の支援が必要である。特に退役するホーク 対空ミサイルをウクライナに提供するべきだ。155mm砲弾も提供する べきである。ドイツ経由でも英国経由でも良いが、ウクライナ戦争 に負けることは、民主国全体の問題になってきた。 ・ロシアの状況 ロシア軍はウクライナへの侵攻を開始してからの約2年間で、現役 の地上兵力のうち87%、戦車の3分の2を失ったとする米情報機関の見 解が明らかになった。しかし、これでも戦いを継続するようである。 そして、北朝鮮からの100万発の砲弾に不発弾や弾薬不足があり、信 頼性が低かった。このため、見返りに送られた小麦も賞味期限切れ の小麦粉だったという。しかし、それでも、北朝鮮は飢餓を防げる と喜んでいるようだ。 キルギスは、ロ軍のGAZ-66Mトラックを組立てているという。キルギ スがロシアの軍需工場化しているようだ。 このように、米国の戦争研究所は14日、ロシア側は損失を補い、戦前 の能力をはるかに上回る速度で周辺国を巻き込んで、軍需産業の基盤 を強化しているとした。 プーチンの国民対話集会の代わりに行った対談での戦争目的は変化 しないし、その遂行を継続するという。 同時に、その対談でプーチンは、フランスと連携する用意があるが 、マクロンがある頃から連絡してこなくなったとし、「私がやめた のではない、彼がやめたのだ!」という。停戦の協議もできないこ とを言っているのであろう。 1990年までは、ロシアは、米国と競う大国であり、戦略構築が優れ ている。この観点から、単にウクライナ戦争ではなく、世界覇権奪 取の取り組みに戦略を変えてきているようだ。 このため、ハマスに多額の資金を提供して、イランから武器弾薬を 買い、その訓練も受け、準備してきた。また、ロシアからの忠告で ネタニヤフ首相もカタールのハマスへの資金援助も黙認してきた。 ネタニアフ首相はロシアへ一定の支持を与えてきたし、ガザでの戦 争もロ軍の戦い方と同じように、そこの民間人も殲滅するという戦 い方で、ロシアから反対されるのはおかしいという。プーチンは、 ネタニアフ首相を騙していたようである。 中国に対しても、世界覇権を米国から奪うために、プーチンが努力 すると習近平に言い、習近平もロシアを陰で支えている。 ロシアは、ベネズエラ軍を強化するために、戦車や戦闘機などを提 供するとともに、軍事訓練もしてきた。 このように、ロシアの長年の積重ねで、世界戦略構築を続けてきた 結果で、今の事態になっている。 そして、ロシア正教のグンニャエフ総主教は「わが祖国は今日、ロ シアや世界全体を脅かす悪に直面している。そして、ロシアは世界 全体、人類文明の重要な部分を占めているため、このことが世界の 人々を恐ろしい軍事的結末に導きかねないということを我々は話し ているのだ。」という。 第3次世界大戦での核戦争を予言していることになる。 3.パレスチナ戦争 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 12日、パレスチナ自治区ガザにイスラム組織ハマスが構築した地下 トンネル網にイスラエル軍が海水を流し込む「水攻め」を始めたと 報じた。イスラエルは計7台のポンプを設置し、地中海からの水で 地下トンネル網を氾濫させようとしている。 バイデン大統領は、この海水が注入されているトンネルには、現在 人質は拘束されていないとの「主張」を聞いているとした上で、そ のことを疑いの余地なく確認することはできていないと述べた。 イスラエルでは、人質は全員死亡したという情報が流れているが、 その後に、イス軍が誤射で人質3名を殺したという。それも白旗を掲 げヘブライ語で助けを求めたにも関わらず、射殺したという。 この人質3人誤射殺害で人質家族の怒りが爆発し、テルアビブで抗議 デモが起きている。人質家族は「解放優先」を要求している。 しかし、今のイス軍は、ガザにいる人は人質であろうと、すべて殺 せということでしょうね。 バイデン大統領は、ネタニアフ首相に私的な会話でガザ攻撃で自制 を求めたところ、「米国はドイツを絨毯爆撃し、原爆を投下し、多 くの民間人が死んだ」と言ったと。バイデンは「だからこそ、第二 次世界大戦後に二度と同じことが起こらないようにすべて国際機関 が設立された。…9/11の時に米国が犯したのと同じ間違いをしない でほしい」と応じたという。 イスラエルのガザ攻撃は、パレスナ人殲滅戦であり、ハマスの壊滅 ではない。ガザの完全な占領である。ネタニアフ首相は、パレスチ ア人との共存の合意を拒否して、ガザ統治の在り方は、イスラエル が統合するという。このため、米との見解相違が明白である。 イス軍は、ガザ南部のピエト・ラヒアを包囲してハマス殲滅作戦を 続行している。 国連総会は12日、パレスチナ自治区ガザ情勢を協議する緊急特別会 合を開き、人道目的の即時停戦と全ての人質の解放を求める決議案 を採択した。加盟193カ国のうち、日本やアラブ諸国など153カ国が 賛成し、米国やイスラエルなど10カ国が反対、英国を含む23カ国が 棄権した。 ネタニアフ首相は、世界からの支持がなくとも、戦争を継続して、 ハマスを殲滅するという。 英独外相も「停戦を支持する」とタイムズ紙に寄稿したが、「即時 停戦ではなく、持続可能な停戦」との留保付きである。 イランやエジプト、トルコなどが、イスラエルに対して戦闘開始に なると、第3次世界大戦への引き金になる。 エジプトは、ガザの人たちがシナイ半島に移動しないといけなくな ったら、行動を起こすという。この行動に世界は、非難ができない ことになる。徐々に第3次世界大戦に向かっていることがわかる。 しかし、日本は、国内問題で終始して、世界の状況を議論していな い。そして、この世界大戦への準備もしていない。 4.世界情勢 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ロシアが優勢になると、世界の雰囲気は大きく変化する。南米でも ベネズエラが、「2015年に海底油田が発見されたガイアナ」のエセ キボ地域の領有をベネズエラに併合するとした。このエセキボ地域 は、小国ガイアナの国土の3分の2以上を占める。 米軍は12月7日、ガイアナへの協力を表明した。ブラジルも軍をガイ アナ国境近くに移動させている。このため、ベネズエラとガイアナ の首脳は14日、エセキボ地域を巡る論争で、互いに対して武力を行 使しない方針を明らかにし、合同委員会を創設し、領土問題の解決 に当たることで合意した。しかし、解決できないと軍事力行使もま だ可能性としてある。 このため、ベネズエラのマドゥロ大統領は、エクソンモービルなど にエセキボ地域から3ケ月以内の撤退を要求してきた。米国の死守す べき米国圏内でも戦争が起きる可能性が出ている。 米国の戦争研究所も、ロシアがウクライナに勝利すると、米国は再 び高まるロシアの脅威から欧州や世界を防衛する必要が生じるなど としてウクライナへの支援を打ち切るよりも続けたほうが有益でコ ストを抑えられることになると指摘した。 中国もフィリピンの南シナ海で領土を主張しているので、火が付く 可能性があるが、共産主義国との戦争をしないようである。 中国とベトナム両政府は12日、両国関係について従来の「包括的戦 略的パートナーシップ」を深化させ、戦略的運命共同体を構築する と合意した。中国の習近平国家主席が訪問先のベトナム・ハノイで 同国共産党の最高指導者チョン書記長と会談して確かめた。 中国は、不動産バブル崩壊し、金融危機に向かっている。11月下旬 、中国の大手資産運用会社の中植企業集団(中植)は自社が「深刻 な債務超過」に陥ったと発表した。約2000億元(約4兆600億円)の 保有資産に対し負債は推定4600億元(約9兆3400億円)という。 地方政府職員の給与も半年なしだという。次には年金基金が底を突 き、高齢者層の貧困化が始まり、国民の不満がピークになる可能性 が高い。この状況でも中央経済工作会議では、有効な対策が出てこ なかった。そして、中国政府は、経済への批判的論評なども処罰す るというので、経済不振も隠すようである。 それでも、不満は出ることで、この不満を解消させるには、国民の 目を外部に向けていく必要がある。 中国は、当面南シナ海と台湾、インド、ブータンなどを狙い、ベト ナムとは問題を起こさないようである。 しかし、第3次世界大戦をアジアまで引き込む必要はない。外務省幹 部の一人は「日本が米国よりも強硬になる必要はない。安全保障面 でも対話を増やしていく必要がある」と語るが、それでも、中国か ら戦争を仕掛けられた時の対抗処置は準備する必要がある。 その意味でも、このアジア地域の共同防衛構築は、日本の役割なの であろう。 そして、民主国の中心が米国であったが、2024年11月トランプ氏が 米大統領になると、米国はモンロー主義になり、自由民主陣営は中 心を失うことになる。米上院は、上院の承認なしにNATOから脱退す ることを禁止する法案を承認した。これで、トランプ大統領になっ ても、少なくともNATOからの脱退は簡単にはできないことになった。 しかし、米国の代わりに、この中心的な役割をドイツ、日本、英国 が担うしかない。戦略は英国が担い、アジアを日本、韓国、台湾が 、欧州をドイツとフランス、イタリアが担うことになる。このドイ ツ、日本、英国とその他の民主国の組織として、NATOの発展的な組 織を作り、親ロ政権のハンガリーを排除して、中ロに対抗できる組 織を作るしかない。 それも、2024年11月前には組織を作り、米国の孤立化宣言前には、 移行することだと思う。 しかし、日本の憲法改正議論の遅れが気になる。集団安全保障の枠 組みを可能にする法体系が必要である。同盟国に対する武器輸出も 可能でなければならない。 さあ、どうなりますか?