ウ戦争からパレスチナ戦争になり、それが拡大すると第3次世界大 戦になる可能性がある。この現状と今後を検討しよう。津田より 0.米国と世界の状況 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、 2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、2022年10月10日は 29,202ドルで安値となり、2023年10月6日は33,407ドルで、9日は197 ドル高の33,604ドル、10日は134ドル高の33,739ドル、11日は65ドル 高の33,804ドル、12日は173ドル安の33,631ドル、13日は39ドル高の 33,670ドル。 先週、株価は上昇した。10年国債金利が4.59%まで下がり、原油価 格も下落し、ドル円も148円まで下げたが、9月CPIが高止まりの3.7% になり、利上げの可能性があるとなり、10年国債金利が4,64%まで上 昇して、ドル円も149円になった。 イスラエルとハマスの戦闘にイランが巻き込まれるとみられ、13日 のニューヨーク原油市場では、国際的な取り引きの指標となるWTIの 先物価格が一時、1バレル=87ドル台まで上昇し前日の終値と比べた 上昇率は5%を超えた。 このため、米国や世界のインフレが収まったとも言えないような雰 囲気になってきている。 このインフレで、ウォルマート元CEOは、米国の消費者が「限界点」 に達していると語っている。 そして、米国は、累積債務が33兆ドルになり、金利5%の利払いとな り、1.75兆ドルにも達して、イエレン財務長官は、今の水準の金利 は長期化できないという。 ウクライナ戦争では、穀物価格の高騰で済んだが、中東戦争になる と石油価格の高騰になり、インフレの加速が心配になる。 それと、米下院議長選挙であるが、共和党はスカリス議員を議長候 補したが、スカリスは辞退した。ジョーダン議員を次の候補にしよ うとしているが、多数の共和党内での反対があり、下院議長は、民 主党になる可能性もあり、米議会の混乱が当分続くことになる。 また、ケネディー・ジュニア大統領候補は、民主党を飛び出して、 第3党で出ることになった。益々バイデンの当選が危うくなってい る。 1.日本の状況 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、7月 3日は33,753円とバブル崩壊後高値となり、10月6日は30,994円で、 10日は751円高の31,746円、11日は189円高の31,936円、12日は558円 高の32,494円、13日は178円安の32,315円。 先週、株価は約1300円の上昇になった。ウクライナ戦争からもイス ラエル・ハマス戦争からも遠いことで、安全性が高いと日本株に逃 げてきていることになる。もう1つが、米10年債金利が下落して、 バリュー株を買う動きが出たが、米CPIが高止まりしたことで、米10 年債金利が上昇して、日本株売りになり、13日は全面安になってし まった。 どちらにしても、イスラエル・ハマス戦争の行方により、日本の状 況も変化することになる。東アジアが安定していることが重要にな ってきた。中国の暴発を止めることである。 2.ウクライナ戦争の推移 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ロ軍の抵抗で、オリヒウ軸とバフムト方面でのウ軍は前進できない でいる。これは前回と同じであるが、ロ軍は、この状況を見て攻勢 に出てきた。 ・クピャンスク ロ軍はシニキウカとイバニウカに毎日のように空爆後、地上攻撃を 行っているが、ウ軍は撃退している。砲撃の代わりに空爆を使って いるので、空爆の効果も薄い。 ウ軍はリマンペルシーの西側に攻撃して、奪還している。 ウ軍の後方に通信機器やアンテナらしい物が畑の中や樹林帯に設置 され、誘導装置か何かで、ウ軍後方にロ軍のスパイがいるようだ。 ロシアも、この地域には親ロの人がいるということである。 ・クレミンナ方面 ロ軍は、マキーイウカ付近に毎日のように複数回の地上攻撃をして 、一部地域を占領している。 ウクライナ軍陸軍司令官オレクサンドル・シルスキー大佐は、「ク ピャンスクとマキーイウカ地区の情勢は、ここ数日で著しくエスカ レートしている。」という。 ・スバトバ・リシチャンスク方面 ロ軍は、各所を攻撃しているが、小規模の攻撃ですべて撃退されて いる。弱兵しかいないので、ウ軍は簡単に撃退できるようである。 このため、ロ軍は航空優勢であることで、空爆を各地で行っている。 ウ軍は、防御だけで攻撃を行っていない。 ・バフムト方面 ウ軍はクリシチーウカ、アンドリーイウカの東に攻撃しているが、 前進できないでいる。クルディミウカの市街で戦闘中だが、奪還は できない。 ・ドネツク市北側方面 10月10日からロ軍は、大攻勢をかけた。アウディーイウカ要塞を包 囲するために、周辺のクラスノホリウカ、トネリコ、ケラミク、プ レボマイスク、セテポベなどに3個大隊戦術軍を投入して攻勢をかけ た。 アウディーイウカは、ドネツク市近傍であり、9年間ウクライナ防衛 の前哨基地でもあり、逆言うと、ロシアがここを取ると戦略的にも 政治的にも勝利といえる場所である。特に最近、トネツク市への砲 撃で被害があり、ドネツク市の安全のためにも必要になっている。 しかし、ウ軍の砲撃、地雷原やドローンにより、大損害になってい る。ロ軍の損害は、戦車200両以上、装甲車200両以上で、戦死者数 も2000人を超えている。 12日には、ロ軍の攻勢も失敗に終わりつつあり、攻撃のペースも減 速している。 ウ軍はクラスノホリウカの西にある主要補給路の橋を破壊して、ロ 軍の補給を止めている。 この攻撃でロ軍が得た支配地は、クラスノホリウカの西の草原地帯 の一部と、セベルネとトネニケ方向にもわずかに前進している。し かし、損害の割には少ない。 このため、ロシアが負けたという報道を規制するために、ロシア国 内でこの地域に関する戦況の情報統制が強まっているという。 ・オリヒウ軸 ウ軍は、ロボティネの南ノボプロコピウカを攻撃しているが前進で きず、コパニ方向、ベルボベ方向でも前進できず。 逆に、ロ軍が166高地から北に反撃をして、ウ軍陣地を破り北上に 成功している。ウ軍は後退して防衛線の再構築をしている。 ロ軍は、プーチンからの命令で、10月上旬までに戦果を出せと、ジ ョイグ国防相に命令を出されたことで、攻勢を開始したようである。 ウ軍は、逆に欧米からの支援の先行きが不安であることで、弾薬な どの節約をしていることで、攻撃力が落ちているようである。 現時点では、戦争が始まって以来初めて、ウ軍はロ軍よりも1日当 たりの砲撃数が多いことになった。これがいつまで続くかでしょう ね。 ・その他方面 ウ軍は、ドローンやミサイル攻撃を控え始めている。欧米からの支 援がウクライナからイスラエル優先になり、ドローンなども無用に 消耗できないという雰囲気なのであろう。 ドネツク駅への砲撃で炎上したとか、ベルゴルドで爆発が起きたな どと今まで比べて、ドローンによる攻撃が少なくなっている。 それと、メリトポリでレジスタンスが露軍の弾薬・物資を運んでた 列車を線路ごと爆破した。 その中、ロ軍プロジェクト2216巡視船「パーベル・デルジャビン」 がセバストポリ付近で機雷に接触して破損したようである。どうも ロ軍が設置した機雷であるようだ。 逆にロ軍は、オデーサの穀物倉庫にシャヘドドローンで攻撃してい る。しかし、このドローン全機をウ軍は撃墜したという。 バルト海で、フィンランドとエストニアを結ぶガスパイフラインが 破壊されて、ガス漏れが起きている。この破壊はロ軍かもしれない と言われている。 ・ウクライナの状況 ゼレンスキー大統領は、ハマスのイスラエル攻撃に対して、イスラ エルを全面的に支持すると言っている。 しかし、内心はイスラエルへの支援は英米共に即時に行っているが 、ウクライナへは米国共和党が支援の打ち切りも主張していること で、ヒヤヒヤしているようである。事実、欧米の支援優先度はイス ラエルの方が上であり、そちらに155mm榴弾が回ってしまうことにな らないが、不安が隠せない。 ボーイング社とサーブ社は、GMLRSの誘導ロケット弾GLSDBを供給す る。その最初のロットがウクライナに届くようである。GLSDBは射程 150kmであり、誤差が1mというロケット弾である。このGLSDBは、現 時点ではイスラエルには必要がない。 米国で訓練に参加しているウ軍パイロット達が英語習得を終わり、 F-16の操縦訓練に移行した。来年4月にはF-16がウクライナに供給さ れる。 このような状況で、NATO加盟国のトルコ、ルーマニア、ブルガリア の3ケ国は、黒海の機雷除去の特別部隊を作り、ウクライナからの穀 物輸出がスムーズにいくよう支援するようである。 ウクライナ産穀物は、鉄道でモルドバ経由してルーマニアに運び、 そこのドナウ川の港から積み出すことになり、そこからの船の安全 航行を行うようである。 徐々にウクライナが自力で経済を回す仕組みを作り、欧米支援の量 を少なくしたいようである。これと、ロシアの凍結資産があり、こ れを担保にした資金で軍事費を捻出する可能性が出ている。欧米の 支援資金が、ソロソロなくなってきたようである。 ・ロシアの状況 ロシアは、イスラエル・ハマス戦争で、ウクライナへの弾薬が不足 すると見て、大攻勢をかけたが、失敗に終わっている。しかし、ロ シアは、現状から戦争を拡大させて、中東戦争にした方がメリット があり、戦争拡大の方向に裏で動くことになる。 そして、ロシアのネベンジャ国連大使は13日、「ロ軍が前線のほぼ 全体で攻勢を実施し、ウ軍の反攻は終了した」と主張した。事実、 南部ではウ軍は前進できていないが、東部のロ軍も前進できていな い。 北朝鮮からコンテナ1千個分以上の弾薬などが届き、ロ軍が攻撃強 化できるようになったからであり、この弾薬が尽きるまで、当分、 ロ軍の攻撃が続くことになりそうである。 それと、クリミア大橋は、攻撃後完全復旧したとフスヌリンロ副首 相が宣言した。 ウ情報総局のブダノフ局長も「世界戦争が迫っている」と述べてい る。その裏でロシアが仕掛けているからだという。 3.パレスチナ戦争 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ハマスの奇襲攻撃で、イスラエルは、1300人以上の死亡、3300人以 上の負傷者が出ている。対して、ガザのパレスチナ人の死亡者も増 え続けている。 イス軍は、ガザ国境を封鎖して、ほとんどのゲリラを排除した。今 後はガザへの侵攻になる。 また、ロケット弾の飽和攻撃を受けて、イス軍は、試験中のレーザ ー迎撃システム「アイアンビーム」を実戦配備する準備を進めてい るとのこと。これで、飽和攻撃を阻止したいようである。 しかし、ガザ侵攻をイス軍が行えば、数十万人という犠牲者が出る ことになる。 既に、イス軍は、少数の特殊部隊をガザに入れ、偵察活動をしてい る。 イス軍侵攻のため、期限14日午前中までの24時間以内にガザ北部か ら南部の住民は避難しろと、イス軍は、ガザ北部の住民にチラシを まいた。これに対して、ハマスは住民に退避をしないように呼びか けている。そして、イス軍は人道回廊も設置したが、ハマスはガザ 地区に道路封鎖を敷き、住民の南部への避難を妨げている。 それがなくても、ガザ南部には110万人もいるので、退避をすること は簡単ではない。 国連は「このようなイス軍の対応が人道上破滅的な影響を及ぼさず に行われることは不可能だと考える。」とし、通告撤回を求めた。 また、ガザからエジプトに抜けるラファフ国境検問所の横断ゲート をエジプトは、コンクリートブロックで閉鎖した。米国は、米国人 などの外国人が国境検問所を抜けられるように交渉していた。 エジプト政府はガザ地区からの米国人避難を拒否し、住民への支援 物資輸送が交換条件としているが、合意成立したようだ。物資をガ ザに入れ、外国人はエジプトに出られるようだ。 現在、約600人の米国市民がガザに滞在しているため、米国は、ハマ スとの良好な関係にあるカタールの応援も受けて、交渉していた。 これで、ガザ侵攻が始まる。 レバノン国境でもヒズボラがロケット弾や、対戦車ミサイルでイス 軍に攻撃をしている。ヒズボラは、ガザにイス軍が侵攻したら、イ スラエルに攻め込むという。 また、イス軍は、アレッポ空港とダマスカス空港に空爆を行い、ダ マスカス空港は滑走路が使用できなくなった。 そして、イラン政府は国連を通じイスラエル政府に、ガザ地区へ地 上軍を投入するならイランも介入すると警告した。 ヨルダン川西岸では、イス軍と武装したユダヤ人入植者が連携する 形で50名以上のパレスチナ人を殺害し、2つの村が事実上破壊され た模様であり、ヨルダン川西岸で戦争が始まる可能性やガザの地下 に張り巡らされたトンネルを使いハマスがイス軍を翻弄して、この 戦争が長期化泥沼化することになりそうだ。 それと、ブリンケン米国務長官は、中国の王毅外相と電話会談して 、イスラエルに対するイランやヒズボラなどによる攻撃を防ぎ、ハ マスとの戦争が拡大しないよう、中国に中東での影響力を行使する よう促したが、中国はイスラエルのガザ侵攻を止めることが重要だ と述べたはずで、影響行使はしないでしょうね。このパレスチナ戦 争で世界が二分化するので、無理だ。 この戦争を終われせるためには、パレスチナ国家をヨルダン川西岸 に作り、イスラエルの入植地をヨルダン川西岸に作らないことであ る。ネタニヤフ首相が、平和交渉を潰したことが、この悲劇につな がったことを明記する必要がある。 どちらにしても、大戦争になることが見えている。イスラエルから 日本人を脱出させる必要がある。キリスト教信者の多いポーランド やフリピンなどは早い段階で脱出するために、軍用機を送ったが日 本は遅れている。このため、日本人51人は無料の救援韓国軍用機で 脱出している。韓国もキリスト教徒が多い。 やっと、日本は14日になって、C2輸送機2機がジブチに向けて出発さ せた状態であるし、日本は救援機であるにもかかわらず有料で、ド バイまでしか運ばない。在イス日本大使館はあくまで「希望するな らば」というレベルで、テルアビブに残っている日本人は多くいる。 聖書の「ヨハネの黙示録」を知る国と知らない国の差が出ている。 4.第3次世界大戦への兆候と防止へ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 今後、イスラエル・ハマス戦争が、どこまで拡大するのかが次の焦 点になる。レバノンのヒズボラがイスラエルを攻撃するのは想定済 であるが、シリアにいるイラン革命防衛隊が、イスラエルのゴラン 高原を攻撃して、イランが戦争に介入すると、中東戦争になる。こ こまで想定できることになっている。 イラン国内に、イスラエルが空爆を行い、特に原子力発電所、濃縮 ウラン製造施設を破壊すると、これはイランとイスラエルの全面戦 争になる。この状況になると、核戦争の危機になる。イランもイス ラエルも核を持っている。 もう1つがガザにイスラエルが侵攻して、多数の住民を殺すと、ア ラブ諸国もイスラエルとの関係が悪化することになる。そして、世 界世論も大きくイスラエルから離れることになる。 すでに、南アフリカのラマポーザ大統領は、パレスチナとの連帯を 宣言。この状況の中でグローバルサウスはパレスチナよりの立場を 取る国が増えている。 また、世界的にアラブ民族が移住しているので、特に欧米諸国に移 住していることから、欧米諸国内でテロ事件が多発することになる し、現時点でも、欧州の各都市では親イスラエル、親パレスチナの それぞれの支持を訴えるデモが起きている。欧州の分断になってい る。 こうなると、世界経済は大きな試練に巻き込まれることになる。 そして、戦争が続くと、次の戦争を誘発する。ブリンケン米国務長 官は「数週間以内にアゼルバイジャンがアルメニアを侵攻するかも しれない」と警告した。 イランがこの戦争に参加すると、イエメンやイラクなども戦争に 参加して中東全体戦争になり、サウジなどスンニ派諸国も中立か らハマス寄りになる可能性もある。 この証拠に、イランのライシ大統領とサウジのサルマン皇太子が 電話会議をしている。ロシアは、ハマス寄りであるが、戦争には 参加しないが、ハマスに9300万ドル以上の仮想通貨で援助してい る。ロシアが陰にいることは確かだ。 次に東アジアでも戦争を誘発すると、世界大戦になってしまう。 このためには、日本と中国は東アジアでの戦争防止のために、話し 合うしかない。世界戦争にしないことである。 欧米各国の兵器工場は増産するが、ウクライナとイスラエルに供給 する必要から、弾薬などが足りずに、日本の兵器産業にも受注が来 るし、鉄鋼などや自動車など、多くの分野での機器が必要になり、 戦争地域から遠い、日本にも戦争経済が押し寄せることになる。 日本は兵器などをウクライナに提供すればよいが、直接の提供がで きないなら、英国などを経由して、ウクライナに届けることである。 そうしないと、ウクライナ戦争は、まだ数年も続き、続いた分、世 界は疲弊することになる。また、各地で戦争が起きることになる。 また、テロ事件などで政情不安定になる欧米諸国での生産ができな くなることも考えられる。欧米諸国にはイスラム系移民が大量に入 り込み、キッシンジャー元国務長官は、ハマスのイスラエル攻撃を 祝うドイツのイスラム系移民の光景に見て、「まったく異なる文化 、宗教、概念を持つ非常に多くの人々を受け入れたのは重大な間違 いでした。なぜなら、それを行うことで各国の内部に圧力団体が生 まれるからです」という。 このアラブ系移民を日本は、ほとんど入れていない。クルド系トル コ人を入れているが、多くの問題を起こしている。ということで、 イスラム系移民・難民は絶対入れてはだめだ。 そして、戦争経済で活況になるのは、東アジアでの戦争がない平和 が続くことである。日本も中国も平和であれば、両陣営からそれぞ れ機器の注文が来るので、景気が良くなる。 このため、中国で銀行への取り付け騒ぎが起きるなど中国経済失速 時でもあり、この戦争経済で、経済回復できる良い機会だと中国を 説得できるはずだ。 5.日本の役割 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 日本は、欧米諸国とは違い、イスラエルへの負の遺産がない。欧米 はユダヤ人迫害の贖罪のため、パレスチナの地にイスラエルという 国家を人工的に作り、そこにユダヤ人を送り込んだ。このため、そ こに住んでいたパレスチナ人達が、祖国を追われたことが始まりで ある。 しかし、日本は、欧米と同じような価値観を持っている。自由や民 主主義や市場経済という普遍的な価値観である。 しかし、この価値観を他国に押し付けることもしていない。戦前は 八紘一宇などを日本は押し付けることもしたが、戦後は欧米と同じ 価値観を持つだけで、他国に押し付けたことはない。 欧米は、この価値観を多くの国に押し付けている。このため、多く が実情に合わないために、反発されている。 日本の役割は、現地の実情と普遍的価値の両立を図ることで、世界 秩序を回復させることであろう。海外青年協力隊などが世界で活躍 しているが、他国とは違い、現地に溶け込んでいる。 日本は、現地を「知」と「情」という2つの側面で見る感覚があり 、日本も欧米文化を日本化して取り入れてきた。これを他の文化圏 でも実行すればよいだけである。 日本は多神教であり、いろいろな考えを取り入れるベースがあり、 多様化してきたのである。この考え方が欧米以外の国で必要になっ ている。 この日本が行って、東南アジアは普遍的価値を取り込むことができ たので、大発展しているのだ。これは、東南アジアも仏教文明であ り、多神教であることが幸いしている可能性もあるが、日本の工場 進出に伴う社員教育が国の文化を変えたことによる。 日本が世界に出ているが、覇権を取ることはできない。覇権には4 つの条件が必要になる。軍事力が他を圧倒すること、経済力が他を 圧倒すること、文化・思想レベルが他国に比べて高く、その文化・ 思想を広めようとすること、世界への支配体制を確立していること の4つである。 日本は現時点で、軍事力も経済力も他を圧倒していない。 このため、覇権国になることできない。 しかし、中国のような自由でもなく民主主義でもない独裁国が、覇 権を取ると、人間の尊厳を壊し、人間の進化を止めることになる。 ということで、普遍的価値を共有する国が、共同で新しい世界秩序 を作るしかないし、より多くの国に普遍的価値を広めることである。 この広めるのに、日本文化が貢献できるはずとみている。米国の政 治的混乱、累積債務の多さを見ると、米国は、近々覇権国ではなく なることが確実である。どう、次の世界秩序を作り、運営するのか を考える必要になっている。 さあ、どうなりますか?