6295.ウ軍はクラスター弾でロ軍のカウンター反転攻勢を止められるか?



ロ軍は、ウ軍の手薄なクピャンスクとクレミンナ方面で、カウンタ
ー反転攻勢に出たが、ウ軍は米供与のクラスター弾を使って大攻勢
を止めたいようだ。この現状と今後の検討をしよう。 津田より

0.米国と世界の状況
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、2022年10月10日は
29,202ドルで安値となり、2023年7月14日は34,509ドルで、17日は
76ドル高の34,585ドル、18日は366ドル高の34,951ドル、19日は109
ドル高の35,061ドル、20日は163ドル高の35,225ドル、21日は2ドル
高の35227ドル	。

先週、株価は9連騰で大幅な上昇になり、35000ドルに回復した。
米国のCPIが3%となり、7月の利上げは織込済であるが、それ以後の
利上げは停止になると、歴史的にみても株価は上昇すると言うこと
で、皆が買い株価は上昇している。

このため、F&Gインデックスも1週間前の80から84に上昇している。
ということで、投資心理は極めて強気になっている。

しかし、NASDAQが下げたのは、台湾TSMC純利益23.3%減と、TSMCの4
-6月決算が悪いことで半導体株が下げたことによる。

CPIが3%程度になり、金利は5%台であり、不釣り合いになってきてい
るが、欧米諸国はロシアのウクライナ戦争を助けることと、中国の
経済的衰退を推し進めたいようであり、中国企業は、大量のドル建
て・ユーロ建て社債を発行しているので、その金利負担が増えてい
ることで、中国経済にダメージを与えたいようである。このため、
中国の若年失業率は、46.5%に達した可能性がある。

しかし、欧米諸国の大企業の資金需要はどうするかをいうと、日本
の銀行から、超低金利の資金を借りて賄っている。このため、5%の
金利でも欧米大企業は大丈夫である。欧米の庶民や小企業が借りる
ローンの金利が大変なことになっている。

このため、ここ数週間で企業倒産が急増している。景気後退になる
可能性もあるが、雇用状況は良いことで、利上げを続けるようであ
る。

1.日本の状況
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、7月3日は33,753ドルとバブル崩壊後高値と
なり、14日は32,391円で、18日は102円高の34,493円、19日は402円
高の32,896円、20日は405円安の32,490円、21日は186円安の32,304円。

先週、株価は横バイでした。ドル円が138円台から141円台まで円安
になったのに、株安にならず、横バイである。消費者物価指数は、
6月3.3%上昇と2ヵ月ぶり伸び率拡大になった。

市場は日銀がYCCを変更すると見たが、植田日銀総裁は、政策変更を
しないと明言したことで、円安に向かっているが、145円で財務省が
為替介入をする可能性があり、円安も進まないし、米国の政策金利
も7月で打ち止めとみるので、金利差は拡大しないことで、150円の
円安になると市場は見ない。貿易収支23カ月ぶりに430億円の貿易黒
字になり、円売り需要もなくなり、円安も限度があるとみているよ
うだ。

TSMCの4-6月決算が出て、半導体株が大幅に下落したことで、21日は
下げている。

日本の現状の金融政策は、プラザ合意後の円高に対応した超低金利
の時代と同じような感じになっている。この低金利で、1989年まで
にバブル景気が起き、1990年に突如崩壊する。バブル崩壊で30年以
上も日本は苦しんだ。金融当局者たちもバブル崩壊の怖さを知って
いるはずである。

しかし、今回は低金利でありながら、円安と株高となり、日本の製
品価格は、アジア圏の製品と遜色がない競争力を持つことになって
いる。このため、石油などの価格上昇を抑えられると、貿易黒字で
もある。これだけ、条件が揃えば、バブル生成になる。

金融当局者たちは、バブル崩壊の怖さを忘れた感じである。このた
め、今必要なことは、バブル生成をどう止めるかである。

一番簡単なのが金利を世界と同様に上げることやYCCをやめることで
あるが、これを上げると国債の利払いが膨大になる。累積国債1200
兆円で、1%金利が上がると12兆円の利払いになる。もう1つが、国
債を大量に買っている銀行の損失が増えることになる。

このため、金利もYCCも止めることができないと、政府日銀は見てい
るのであろう。世界が利下げ時に、日本だけが利上げの事態になら
ないようにしないといけない。インフレが4%台になったら、国民か
ら不満が出ることになる。

このことで、バブル生成を止めることができるのは、145円の円安で
為替介入をすることであり、株高に対処するには、株高時にGPIFの
持つ株を売ることや、日銀が持つETFを売ることである。

インフレは、3%程度を許容することで、早く金融抑圧効果が出て、
税収が増加することになるが、インフレで消費者の消費が減ってい
る。しかし、インバウンド消費が増えていることで、それを相殺す
るのであろう。

米国も大統領選挙までは、日銀の金利を低くしてもらい、欧米企業
の資金需要をカバーしたいようであり、為替介入の容認を取り付け
ている可能性が高い。

世界の流動性確保に、日本の円が必要になっているからである。

このため、日本の製品の国際競争力が増すと、労働者不足が起きて
、賃金も上がることになるになり、サービス単価も上げる必要が出
てきた。

それと、人手不足で60歳以上の雇用も賃金低下なく継続の方向であ
るが、管理職以上では無理であろう。もう1つが、AIの発展により
、大卒より高卒の給与の伸びの方が大きくなる可能性が高い。

大工などの建設業の成り手がなく給与を上げているが、定型的な知
的作業はAIになり、知的労働者は必要としなくなることで、給与の
伸びは落ちる。大学を出ても高卒と同じ仕事に就くなら、高卒で仕
事に就く方が良いということになる。バブル崩壊後、大学卒業生し
か就職できないという事態が逆転する。

というように、バブル崩壊後の日本から逆回転が起きているようで
ある。植田日銀総裁も、当分今の状態を続けるということで、日本
の逆回転を継続して、この状態を定着させることになる。完全な統
制経済に日本はなったようである。

内閣府試算の試算では、2024年度でGDPは600兆円を超えることにな
り、250%のGDP比の国債発行量は200%に低下することになる。

というように、日本の勝ちパターンになってきた。この反面で、中
国の製品が売れなくなっていることで、中国経済潰しになっている
ことも考慮する必要がある。

世界に分断を米中で行った結果でもある。

これが分かっている海外投資家は、日本株を買越し続けている。

2.ウクライナ戦争の推移
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ウ軍は、バフムト、ザポリージャ州、ヘルソン州で前進しているが
、その速度が遅い。それとウ軍の情報統制が厳しいので、情報が入
ってこないようだ。特に具体性がなくなった。

ロ軍には、ロミルブロガーがいるので、多くの情報があるが、こち
らは真偽が不明である。そして、クピャンスクからクレミンナ一帯
のロ軍がカウンター反転攻勢に出てきたが、それをウ軍は、クラス
ター弾を砲撃して必死に止めているが、ロ軍は構わずに攻撃してく
るので、苦戦している。

陣地、対砲兵戦、ロ軍突撃部隊、ロ軍部隊集結地などへのクラスタ
ー弾での砲撃は、大きな効果が出ているが、損害を物ともせずに、
ロ軍は攻撃してくるようである。

・クピャンスク方面
ロ軍は、大量の戦力を投入して、ビルシャナの南、ヤヒドネの東側
のグレーゾーンを占領して、ウ軍陣地のそばまで進出した。ウ軍は
縦深陣地を構築しつつあり、最悪の場合はオスキル川の西側に撤退
する方向である。

ロ軍は、シンキフカの西とシンキフカにロ軍は攻撃し、ウ軍陣地を
5つ占領した模様である。

ウ軍は、クラスター弾を使用して、マシュティフカ南西に攻撃する
ロ軍を撃退した。クラスター弾の効果で、ロ軍の大規模攻撃を撃退
する手段を手に入れたようである。

・スバトバ方面
ロ軍は、クレミンナからスバトバ付近に10万以上の兵を終結させて
いる。大規模攻勢に出る可能性がある。

ロ軍はノボセリフカに攻撃したが、ウ軍が確保しているようだ。し
かし、ノボセリフスクの南側のウ軍陣地を攻撃して、露軍が優勢。
ノボボジャネの南にも侵攻している。

ロ軍は、カジマジニフカでセレバッツ川を渡河に成功している。

ロ軍の大攻勢が本格化してきた。どこまで、ウ軍は持ちこたえられ
るかでしょうね。

・クレミンナ方面
ロ軍は、セレブリャンスキーの森入口付近で、大規模攻撃を仕掛け
たが、ウ軍の逆襲と砲撃により、数百mを敗走して、大損害を出した。

ロ軍は、クレミンナの南で攻撃を続行しているが、撃退され続けて
いる。しかし、油断は禁物である。

もし、ロ軍が大攻勢に出た場合は、最終防衛線はゼレベッツ川の西
に置いている。そこまで撤退することを想定しているが、スバトバ
では既にセレブッツ川を渡河されている。

・リシチャンスク方面
ロ軍はビロホリフカに攻撃して、いつもように撃退された。もう1
つが、ベルヒノカミヤンスクとビロホリフカの間で、わずかに支配
地を西に増やした。

ウ軍は、ソルダーの北で南進を進めて、かつソルダーのロ軍基地に
JDAMで空爆をしている。ヤコブリフカへの攻撃も継続しているが、
ロ軍は予備兵力を投入して、防戦しているので、ウ軍も前進できな
いでいる。

・バフムト方面
市内北側では、ロ軍は、ボダニウカに攻撃したが、撃退されている
。ウ軍は、ベルキウカとヤヒドネに攻撃しているし、M03号線沿いに
南東に進撃している。

市内南側では、ウ軍は、クリシチウカの一帯の高台を制圧し、クリ
チシチウカの街の南西側を奪還した。

クデュミウカとアンドリウカまでの森でロ軍を掃討し、クリシチウ
カへの鉄道線路を越えて前進した。

ウ軍は、この地域でもクラスター弾を使用して、ロ軍は厳しい状況
になっている。しかし、アンドリウカ付近で、ロ軍は逆襲を実施し
、奪われたウ軍陣地を奪い返したようだ。

また、ウ軍砲兵隊は、パラスコビウカ付近のロ軍砲兵陣地を攻撃し
て破壊したし、コデマのロ軍砲兵陣地も破壊した。

ロ軍は、予備兵力を優先的にバフムトに投入して、防衛をしている
が、それでもウ軍に押され美味である。

この状況で、ウ軍陸軍総司令官シルスキー将軍は、「バフムト奪還
のための条件は整った。ロ軍は半ば包囲された状況にある。ウ軍は
ロ軍より10倍少ない損失で都市を奪還する」と述べた。

もう1つ、ワグナー軍のバフムトでの犠牲者は、78,000人が戦闘に
参加して、22,000人が死亡、40,000人が負傷したという。死傷者数
は6600人であり、死傷率85%であり、無事に生存した確率は15%しか
いないことになる。いかに壮絶であるかわかる。

・ドネツク市北側
ウ軍は、クラスノホリフカとベゼルとオプトネの一部を奪還したが
、ロ軍に奪い返され、特にベゼル近くはロ軍に再占領された。

ロ軍は、アウディーイウカ要塞とペルボマイスクを攻撃したが撃退
されている。

・ドネツク市南側
ロ軍は、マリンカとノボミハイリフカ、クラスノホリフカ南に攻撃
したが、ウ軍に撃退されている。クラスノホリフカ南では、大きな
損害がクラスター弾での砲撃で出した。

しかし、マリンカではロ軍が街の包囲に成功したようであるが、マ
リンカのウ軍は撤退しないで抵抗している。

・ザポリージャ州方面
1.ベルカノボシルカ軸
中央では、ウ軍はウロジョイナとストロマイオルスクを攻撃してい
るが前進できていない。ロ軍はストロマイオルスクで逆襲して、街
の北側からウ軍を追いやった。

西側では、ウ軍はプリュトネを攻撃しているが、ロ軍が逆襲してき
たが、これをウ軍は撃退した。逆に北側のロ軍陣地をクラスター弾
で叩いた。

2.オリヒウ軸
ウ軍は、ロボティネの付近で激戦になっているが、前進はできてい
ない。逆にロミルブロガーは、ロボティネ付近での逆襲に成功した
と述べている。

ウ軍は、ノボダニウカから撤退して、ロ軍が占領していることを確
認した。しかし、ノボダニウカからロボティネまでの線状のいくつ
かのロ軍陣地が落として、前進している。

3.カムヤンスク軸
ウ軍は、ジェネビヤンキー集落に威力偵察部隊が突入したを繰り返
しているが、前進できていない。

E105高速道路の南東側で、ウ軍はロ軍陣地を占領して、陣地を固め
て、次のE105高速道路奪還を目指すようだ。

ザポリージャ方面の戦闘を見て、ゼレンスキー大統領は、「前線の
力学は変化しようとしており、反攻は勢いを増している。すでにい
くつかの地雷跡を通過し、その地域の地雷除去を行っているからだ
」と述べている。やっと、第1関門を抜けたようである。

・ヘルソン州方面
ドニプロ川の東岸、アントノフ橋付近のダチに、ウ軍は橋頭保を確
保しているが、オレシキーにウ軍は砲撃しているが、地上軍の攻撃
はしていない。

・その他方面
ウ軍のチェチェン義勇兵部隊がロシア領セレダ付近で、ロ軍突撃部
隊を待ち伏せ攻撃して、成功した後、すぐにウクライナ領に撤退し
たようである。

クリミアのスタイ・クリムの軍事施設をストーム・シャドーで破壊
したが、武器庫・弾薬庫の爆発が繰り返されて、6時間ほど爆発が続
いた。このため、半径5キロ範囲の住民の避難と鉄道の運行停止を決
めたとロ占領軍のクリミア首長セルゲイ・アクショノフ氏はいう。

この爆発について、ブダノフ情報局長は、「占領下のクリミアで作
戦が成功した。クリミアでの弾薬倉庫の爆発は、GURと部隊の共同作
業の結果である。敵は被害の大きさと死傷者の数を隠している」と
述べた。

クリミア半島中央部にあるオクチャーブリスク村の鉄道駅が自爆型
無人機攻撃で爆発後、炎上した。

ロシア領のリャザンにあるディアギレボ空軍基地が無人機で攻撃さ
れたようである。

マリウポリでは、パルチザンがロ軍弾薬庫を破壊した。

逆に ロ軍は、連日港湾都市オデーサやミコライウに対してミサイ
ル攻撃を行い、オデーサの穀物ターミナルを破壊し、100トンのエン
ドウ豆と20トンの大麦が被害にあった。

このミサイル攻撃について、ウ空軍は、ロ軍が使用している巡航ミ
サイル「オニクス」について、同ミサイルは高速かつ低空で飛来す
るため、ウクライナの保有する防空システムでは撃墜が困難だとし
た。今後も被害が出るという。

その攻撃で中国総領事館の建物も損傷を受けたが、中国はロシアを
非難しなかった。

・ウクライナの状況
カービー報道官は「年末までにF-16がウクライナに到着すると思う
が、我々はF-16だけで現在の状況が変わると信じていない。現在の
ウクライナにとって何よりも重要なのは大砲で、だからこそ大統領
は『クラスター弾薬を提供する』という難しい決断を下したのだ。
」という。ということで、年末までにはF-16戦闘機がウ軍に提供さ
れて、より多くの空爆とロ軍戦闘機を撃ち落すことになる。

ドイツは、旧式の独製主力戦車「レオパルト1」を初めてウクライナ
に引き渡したが、第1弾として10両が供与され、今後100両の戦車が
供与される予定だ。

台湾で退役する地対空ミサイル・トマホークを米国が購入して、ウ
軍に供与することになったようだ。このトマホークは、ナサムスと
システムと統合運用が可能である。

米国から190両供与されているM2ブラッドレー歩兵戦闘車が、ロ軍
T72戦車を破壊したという。M2ブラッドレーは、戦車キラーとも言
われているが、ウ軍もM2の運用に長けてきている。

在庫数がないATACMSの供与はないが、通常爆弾のクラスター弾も有
効に使用している。

というように、徐々にウ軍攻勢に必要な兵器や弾薬が揃い、その運
用にも慣れてきた。そして、ウ軍の大攻勢も2023年を越えて、2024
年まで続くことになる。

そして、前回攻撃ではクリミア大橋の損傷が少ないことで、ゼレン
スキー大統領は、「クリミア大橋(ケルチ橋)はウクライナにとっ
て無力化しなければならない目標だ。私たちにとって、これは法律
、国際法、現在の規範の外に構築された敵対的な物体です。したが
って、これが我々の目標であり、平和ではなく戦争をもたらすいか
なる目標も無効化されなければならない」とした。

2024年までには、クリミア半島への攻撃が可能になる地点まで、ウ
軍は前進しているとみる。そして、徐々に停戦後の体制が議論にな
ってきた。

この中で、レズニコフ国防相は、NATO加盟までの移行期間が始まっ
たとして、ウクライナの加盟が簡単に実現しない場合でも、NATO加
盟国が軍事基地を設置して部隊を常駐させれば、ロシアに対する抑
止力になるとの計算があるとみられる。

・ロシアの状況
プーチンは黒海経由のウクライナ産穀物輸出合意の履行を停止して
、SWIFTとの再接続を要求しているが、オデーサへのミサイル攻撃や
ウクライナに向かう船を攻撃すると脅迫している。

もう1つ、プーチンは、穀物取引の延長と引き換えに、トリアッテ
ィとオデーサ間のアンモニアパイプラインの運転再開を要求した。

これに対して、ウクライナ国防省は、「クレムリン(ロシア大統領
府)は黒海を危険地域に変えた。主に危険にさらされるのはロシア
船と、黒海を航行してロシアの港湾やロシアの一時占領下にあるウ
クライナの港湾に向かう船だ」とロ軍と同様な処置をするという。

西側諸国は、ウクライナ産穀物を鉄道輸送で他国に輸送して、そこ
から輸出する方策を検討している。EUの担当者は、コストの問題と
ポーランドなどがウクライナ穀物輸入を禁止していることなどを調
整する必要があると述べている。

しかし、黒海穀物輸出合意が完全に終了すると、交渉材料がなくな
るので、どうにか理由をつけて復帰したいロシアと、もうロシアに
邪魔されたくないウクライナは、同合意を捨てて、より確実な代替
ルートを見つけたいようである。EUもウクライナの意向を尊重する
方向のようだ。

しかし、この穀物輸出合意からのロシアの離脱で、穀物相場が上昇
している。アフリカ諸国での飢餓が心配な状況になっている。

そのアフリカの南ア政府がプーチン逮捕状を正式に申請したことで
、プーチンはBRICS首脳会談に出席できなくなった。代理としてラブ
ロフ外相が、出席することになった。

それと、「プーチンはウクライナとの戦争に勝つために十分なこと
をしていない。無能なプーチンは権力を能力のある者に委譲すべき
だ」と厳しく批判していたロシアの有力ミルブロガー「イゴール・
ガーキン」が逮捕された。彼は、プリゴジン免罪でも批判していた。

これにより、政権に批判的な戦争支持の主戦論者まで弾圧すること
になり、政権基盤が徐々に脆くなっているようである。

そのプリゴジンは、戦闘員を前に「我々はしばらくベラルーシに滞
在することを決めた」と宣言し、ロシアによるウクライナ侵略の現
状を「我々が参加する必要のない恥ずべきものだ」と批判した。
そして、ベラルーシで会社を設立した。当分いるようである。

ムーア英MI6長官は、6月24日のプリゴジンの反乱時に、プーチンは
プリゴジンとモスクワ進軍を中止する取引を行ったという。そして
、中止から数日後、クレムリンに招かれ、プーチンと会談をした。
プーチンはプリゴジンに反撃をしなかった。自らの身を守るために
ルカシェンコに仲介を依頼したという。

ワグナー軍が、滞在するベラルーシでは、ベラルーシ国防省がポー
ランド国境付近でのワグナーとの共同演習をすると発表した。ベラ
ルーシとロシア領カリーニングラードの間(スバウキ回廊)を繋ぐ
ためにポーランドに侵略する可能性があるという人がいるが、それ
をするとNATO対ロシア・ベラルーシの戦いになってしまう。

ワグナー軍を警戒して、ポーランドも東部の国境地域にポーランド
軍を移動させて、警戒している。これに対して、プーチンはポーラ
ンドがベラルーシに侵略すると、ロシアが反撃すると警告した。非
常に危ない状況にも見えるようだ。

逆に、ドイツは、ワグナー軍がポーランド侵入なら全面的に反撃を
支援すると述べた。NATO対ロシアの全面戦争になる。

プリゴジンの乱の反省で、ロシアの治安組織である国家親衛隊に戦
車などの重火器配備を定めた法案可決した。プリゴジンの乱の際、
首都を守る軍事力が弱かった反省からの法改正であり、徹底的にク
ーデター抑止体制を作り、プーチン政権を守りたいようである。

もう1つ、ロシアで、電子召集令状を無視して、徴兵事務所に出頭
しない事例が相次ぎ、来なかった場合、これまでの3千ルーブルの罰
金額を15倍の5万ルーブルに変更した。死ぬ確率が高い負け戦に行か
ない方が良いと兵役拒否しているようだ。

しかし、徴兵を強化する兵役義務に関する改正法案について、下限
を18歳に据え置き、上限が30歳に引き上げられるようで、法改正後
の対象年齢は18-30歳に広がる。兵員不足のロシアは大統領選挙後に
、総動員令を出す可能性があり、それに備える必要からの法律改正
のようである。2024年はウ軍がクリミアまで迫ることも考えられ、
ロ軍も総動員体制で臨むしかないようである。

それと、モスクワ市内でイスラム教徒が抗議集会を開いた。最近、
治安機関がイスラム教寺院の内部にまで無断で入り、礼拝中の信者
の身元調査を強行する事態が頻発しているための抗議運動であり、
イスラム系少数民族の反発が大きくなっているようだ。

経済面では、ロシアの経常収支が6月に赤字転落した。それと、テ
ィンコフ銀行(ロシアのオンライン銀行)は顧客に対して、中国銀
聯カードが米国の制裁によって7月21日以降ロシアとしての海外で使
えなくなるため現金を引き出すよう勧告した。ロシア人は、銀聯カ
ードも使えなくなり、国外に退避中のロシア人は、決済手段を無く
すことになる。

さあ、どうなりますか?


コラム目次に戻る
トップページに戻る