6294.ロ軍のカウンター反転攻勢



月曜日有料版2章ロシア情勢部分をお送りします。

ウ軍は、バフムト、ザポリージャ、ヘルソンで前進している。しか
し、ロ軍は、ウ軍の手薄なクレミンナ方面で、カウンター反転攻勢
に出た。この現状と今後の検討をしよう。   津田より

2.ウクライナ戦争の推移
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・ロシアの状況
ワグナー軍の反乱開始後、数時間で治安部隊はスロビキン大将など
軍幹部10人超を拘束し、現在13人を拘束、15人を解任したようであ
る。特に軍情報機関や参謀本部情報総局(GRU)などの高官である。

しかし、プリゴジンと35人の幹部が、プーチンと6月29日に極秘会談
を行い、今後、ワグナー軍は8月にもウクライナ戦線で戦うことで、
プーチンは罰をあたえないという。ワグナー反乱後3日目に会談をす
ることに唖然とする。

プーチンは、プリゴジン氏のワグナー軍への指揮権委譲を求めたが
、即座にプリゴジン氏は拒否した。今もプリゴジン氏がワグナー軍
を指揮している。それと、ロシア国内での移動と通信の自由を認め
た。

この対応で反発が起きることになる。軍内部の粛清はするが、反乱
したワグナー軍は、許すという、ハチャメチャな対応をプーチンは
行っているからだ。これには、軍内部から文句が出ると思った。

早速、第58諸兵科連合軍指揮官イワン・ポポフ少将は、「対砲兵戦
の不足、砲兵偵察所の欠如、、交代要員もいないことで長期にロ軍
兵は前線にいること、そして敵火砲により我が軍に大量の死傷者が
出ている状況に疑問がある」とゲラシモフ総司令官に提言した。

なぜ、ポポフ少将は、このような提言をしたのかというと、後方に
予備兵力がなく、前線部隊を突破されると、後方はスカスカでウ軍
にアゾフ海まで、ほとんど抵抗もできずに進軍される危険性を感じ
たからだと小泉悠さんはいう。

なぜ、後方の予備部隊がいないかというと、予備部隊をルハンシク
州クレミンナに移動させて、カウンター反転攻勢に使うためであり
、前線部隊の司令官が見ている戦争とゲラシモフなどの上位司令官
で見る戦争の違いが、その根本にあるようだ。

そして、即座に提言をしたポポフ氏は解任された。多くのロシア情
報筋はポポフ氏を「知的で有能な権威者」で、「軍隊から支持、尊
敬される優れた指揮官だ」だとしている。ロミルブロガーはポポフ
少将に高い評価を与えている。反対に、ゲラシモフとショイグへの
長年の軽蔑が情報空間で顕在化している。

しかし、ロ軍では、有能な司令官たちを喪失しつづけている。続い
て、バフムト正面の主力部隊の106空挺師団長セリヴェストロフ少将
も解任された。ポポフ少将と同じ不満を前線部隊の司令官は共有し
ているようだ。負け戦の前線司令官は大変である。専制主義国家の
部隊は上意下達であり、現場の問題点を上にあげることは御法度で
ある。上位司令官に反逆したことになるからだ。

これは、ウ軍にとっては良いことである。

以後は、有料版を見てください。

0.米国と世界の状況
1.日本の状況


コラム目次に戻る
トップページに戻る