6294.ロ軍のカウンター反転攻勢



ウ軍は、バフムト、ザポリージャ、ヘルソンで前進している。しか
し、ロ軍は、ウ軍の手薄なクレミンナ方面で、カウンター反転攻勢
に出た。この現状と今後の検討をしよう。   津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、2022年10月10日は
29,202ドルで安値となり、2023年7月7日は33,734ドルで、10日は209
ドル高の33,944ドル、11日は317ドル高の34,261ドル、12日は86ドル
高の34,347ドル、13日は47ドル高の34,395ドル、14日は113ドル高の
34,509ドル。

先週、株価は上昇した。米国のCPIが3%となり、それでも7月の利上
げはあるが、それ以後の利上げは停止になると見ている。このため
、10年債金利が3%台に下落したことで、ドルは下落して、1ドル=
137円台に一時なった。それに伴い株価は上昇した。

利上げ停止期間に7月以降はなるので、過去の事例では株が上昇する
ので、今後、2024年11月までは株は上昇すると市場は見ている。

2024年11月に大統領選挙になり、それ以降は利下げになる可能性が
あり、株は急落すると市場は見ているので、そこまでに稼ごうとし
ている。

NASDAQの上げが話題になっているが、この上げは7社株価の上げが、
けん引している。

そして、株価が上昇しているのに、投資銀行のゴールドマン・サッ
クスは、第2四半期決算が悪いと言われている。投資銀行業務が低迷
しているようである。

また、イエレン財務長官が訪中したが、中国では晩餐会もなく、厳
しい対応に直面した。また、今までは訪中後、米国債を中国は買っ
ていたが、今回は買わなかった。このため、国債金利の下落の原因
にもなり、ドルインデックスも下落して、その結果、ドル安になっ
ている。

安全保障上などの政治が優先で、経済が安全保障の政治の下になっ
ているので、イエレン財務長官が訪中しても、米中の関係は良好に
ならない。

中国も経済より安全保障が上位であり、米国に屈服しないようであ
り、対抗意識が高まっている。冷戦構造が益々進行しているようで
ある。

このため、中国も6月輸出が12.4%減になり、特に米欧・ASEAN向けで
不振が続いている。米国の半導体が手に入らないことや、中国進出
企業の撤退などが大きい。

もう1つ、待遇改善や人工知能(AI)利用の規制などを求めて、
ハリウッド俳優組合がスト入り、63年ぶりの脚本家組合との同時ス
トになっている。現在のダッタイト運動が始まった。

1.日本の状況
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日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021
年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は
24,717円の底値になり、7月3日は33,753ドルとバブル崩壊後高値と
なり、7日は32,388円で、10日は198円安の32,189円、11日は13円高
の32,203円、12日は259円安の31,943円、13日は475円高の32,347円
、14日は28円安の32,391円。

先週、株価は横バイでした。ドル円が138円台まで円高になり、株安
になった。しかし、米国CPIが落ち着き、景気も良いので、対米輸出
の日本企業の業績もよくなると見るが、対中輸出企業の業績が悪く
なるので、明暗が強く出る可能性がある。

経済に政治の影が出ている。日本CPIは3.2%で、米国CPIは3.0%で、
物価上昇率は日本の方が高いのに、米国は利上げをして、日本はマ
イナス金利のままであり、理解不能だといわれている。

YCCの緩和や利上げが必要であるが、行う気配もない。少なくともマ
イナス金利は修正する必要があるとみる。百貨店で、高級腕時計が
売れているなど、バブル生成過程に入り、これを止めていく必要が
ある。

今、利上げしないと、世界が利下げの時に利上げをする必要になり
、株価急落などの非常な痛みになる可能性がある。

特に、東京は直下型地震の可能性があり、地震後の利下げ余地を作
る必要がある。金融政策のできることをしておくことである。

惰性で政治を行ってはいけない。常に将来を見て、その準備をする
ようにしないと、日本のような天災の多い国は、それが元で没落す
る可能性もある。

現在の日本は、自動車産業のEV化の遅れで、世界への輸出ができづ
らくなりつつある。次の輸出産業、優位産業を作ることである。こ
れを早く行わないと、日本は没落する。

もう1つが、人口減少への備えであり、AIをフル活用して、単純知
能労働の生産性向上を図り、工業生産分野での優位性を確保しつつ
、世界の富裕層に向けた芸術的な手仕事分野へ拡充させることであ
る。高付加価値産業をどう構築するかでしょうね。

もう1つが、地震の備えである。

2.ウクライナ戦争の推移
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ウ軍は、本格的な攻勢のフェーズであるが、バフムト、ザポリージ
ャ州、ヘルソン州で前進しているが、その速度が遅い。それとウ軍
の情報統制が厳しいので、情報が入ってこないようだ。マリャル国
防次官は「戦時情報体制への移行」というが、ウ軍提供の情報がな
くなっている。

ロ軍には、ロミルブロガーがいるので、多くの情報があるが、こち
らは真偽が不明である。そして、ロ軍の配置は、クレミンナ方面に
、7万人から9万人のロ軍兵がいる。リシチャンスク方面は、1-2万人
のロ軍兵、クピャンスクとスバトバ方面には2-3万人のロ軍兵で、10
万-15万人が配置されている。

バフムト方面は5万人のロ軍がいる。そして、クピャンスクからクレ
ミンナ一帯のロ軍がカウンター反転攻勢に出てきた。

ロ軍はドネツク・ザポリージャ方面には、15-20万人である。
ヘルソン州にもロ軍は戻り始めていて、3万人の状態まで戻した。
ロ軍の全体規模は、30万ー35万と見込まれている。

・クピャンスク方面
ロ軍はリマンペルシーからシンキフカ方向に攻撃を開始している。
しかし、攻撃は続かなかった。

・スバトバ方面
ノボセリフカに攻撃して、ロミルブロガーによると、ノボセリフカ
をロ軍が占領したというが、ウ軍参謀本部は撃退したと発表してい
る。

また、ステルマヒフカにもロ軍の大規模部隊が攻撃をしたが、ウ軍
は撃退した。

・クレミンナ方面
ロ軍は、クレミンナ一帯で攻勢に出ている。特にクレミンナの西側
で、大規模な攻撃を行い、ウ軍陣地を突破して、要衝リマンに近い
トルスケの街まで大きく前進したが、このトルスケでウ軍部隊に、
前進を止められた。

このため、ウ軍はトルスケの隣のザリチネに予備兵力を送り込ん、
トルスケの防衛を強化した。クレミンナ方面が、一番ロ軍メイン部
隊がいるので、危ないし、リマンを取られると、交通の要所であり
、以後の戦局に影響するので、増強したようである。

ディブロバにも攻撃したが、ウ軍に撃退されている。

この方面に、ウ軍当局は、ロ軍空挺部隊、歩兵部隊、ロ軍予備役部
隊、領土防衛部隊、退役軍人民間軍事会社、ストームZ突撃部隊を集
中させているという。

このように、クピャンスクからクレミンナ方面一帯で、ロ軍はカウ
ンター反転攻勢に出たが、ウ軍に止められた。攻勢は数日しか続け
ることができなかった。

・リシチャンスク方面
ロ軍はスピルネを攻撃して、南側で前進している。そしてビロホリ
フカへの攻撃は、撃退された。

ウ軍は、ソルダールの北で南進を進めており、かなり食い込んでき
いる。ヤコブリフカにいるロ軍は、このウ軍を押し返そうとしてい
る。ロ軍がソルダーを取られると、バフムト北側のロ軍は包囲され
るからである。

・バフムト方面
ロ軍は、ドボボバシュリフカからオリホボバシュリフカとM03号線の
間の広い領域を占領したが、次の日にウ軍はこの領域の8割程度を奪
い返した。

ウ軍は、ベルキウカとヤヒドネに攻撃しているが、ロ軍はベルキウ
カのウ軍に逆襲をしてきたが、ウ軍は撃退した。

バフムト周辺の2ケ所の高台をウ軍が確保して、市内を火砲の射撃
管制下に置き、バフムトに入ろうとするロ軍兵、補給部隊などに砲
撃できるようになった。

そこに、チェチェンの「アフマト連隊」がバフムト増援部隊をして
、市内に入ろうとしたが、ウ軍の砲撃を受けて数十人が死傷した。

ロミルブロガーは、この高台をロ軍は奪い返したと述べるが、まだ
、砲撃が市内に入るロ軍に浴びせられているので、嘘でしょうね。

市内南側では、ウ軍は、ロ陣地を突破して、クリシチウカ、クデュ
ミウカとオザリャニフカで市街戦になると思われるが、ウ軍は死傷
者数が多くなる市街戦を避けて、街の包囲をする作戦であるという。

このため、ウ軍の激しい砲撃で、クリシチウカは街全体が白い煙で
おおわれている。もしかしたら、クラスター弾を使用した可能性も
ある。

ロ軍は、予備兵力を優先的にバフムトに投入して、防衛をしている
が、それでもウ軍に押され美味である。

ウ軍は6万人規模の兵力を投入しているし、ロ軍は5万人規模を投入
して、追加で予備兵力を投入し続けている。

・ドネツク市北側
ウ軍は、クラスノホリフカとベゼルとオプトネの一部を奪還したが
、ロ軍に奪い返された。

ロ軍は、アウディーイウカ要塞とケラミクを攻撃したが撃退されて
いる。

・ドネツク市南側
ロ軍は、マリンカとノボミハイリフカに攻撃したが、ウ軍に撃退さ
れている。

・ザポリージャ州方面
この地域では、ウ軍は突破できそうな地点に、周辺の部隊もまとめ
て攻撃突破をしているが、ロ軍は広く薄く分散した防衛を守ってい
る。分割されたロ軍は、相互の協力はなく、自部隊内での守備と攻
撃をするしかない。ウ軍は「ロープ・ア・ドープ」戦術を採用して
いる。しかも、ロ軍の予備兵力は東部に引き抜かれて、前進にしか
ロ軍兵はいない。

1.ベルカノボシルカ軸
東側、ウ軍は、ノボドネツクの市内北側に前進したが、まだ、ノボ
ドネツクは陥落していない。

中央では、ウ軍はウロジョイナを激しく砲撃後、総攻撃を開始した
。ロ軍もウロジョイナからダトネの方向に逆襲をしているが、ウ軍
に撃退されている。

ウ軍は、ウロジョイナ陥落後、隣町のストロマイオルスクを包囲す
る方向のようだ。直実に前進している。

西側では、ウ軍はプリュトネの北と西側で支配地を拡大しているが
、まだ、ロ軍は粘っている。

2.フリアポール軸
ロ軍は、マルフォビルからドロジニャンカ一帯で、逆襲を開始して
、ウ軍は防戦になっているが、逆襲は失敗したようである。

3.オリヒウ軸
ウ軍は、ロボティネの北東部の前哨陣地を突破した。北と北西の最
後の陣地は突破しているので、ロボティネ市内入口に到達したこと
になる。

この入口にロ軍陣地があり、この陣地の縦深は200m-300mであり、ウ
軍は、米国から供与されたクラスター弾を使う可能性がある。この
ため、この陣地周辺に住民がいないことを確認中のようである。

4.カムヤンスク軸
ウ軍は、ジェネビヤンキー集落に威力偵察部隊が突入したが、ロ軍
の砲撃が厳しいので撤退した。しかし、ロ軍砲撃地点が判明したこ
とで、砲撃戦にして、砲門を破壊した後、最後威力偵察部隊を送る
ことを繰り返して、ジェネビヤンキーを占領するようだ。

・ヘルソン州方面
ドニプロ川の東岸、アントノフ橋付近のダチに、ウ軍は橋頭保を確
保しているが、ロミルブロガーは、ドニプロ川東岸のウ軍部隊が補
給と増援ルートを断たれたというが、ウ軍はオレシキーを攻撃して
いるので、このロミルブロガーの意見も嘘でしょうね。

しかし、ロ軍の砲撃監視で、上流のクリヌキー付近のロ軍砲兵陣地
を砲撃し破壊したという。

そして、下流のキゾミスの南で、ウ軍はドニプロ川と島で作戦を開
始した。ウ軍はロ軍占領地に対して、全縦深で偵察活動を行い、ロ
軍の手薄な地点を探っている。ここも守るロ軍兵士の間でコレラが
発生しているので、手薄な場所があると、ウ軍は見ているようだ。

6月にウ軍は、ドニプロ川の西岸に数個旅団を配備しているので、本
格的攻勢を、ドニプロ川の東岸で行う可能性もある。

そのため、ドイツから戦車橋ビーバーが、既に10両をウ軍に提供し
ているので、渡河作戦は実行可能である。

しかし、まだ形成作戦段階であり、本格的な機械化部隊の渡河作戦
を行っていない。

・その他方面
トクマクでは、ザポリージャ方面のロ軍補給基地、整備修理拠点、
弾薬庫、補給倉庫などがあり、重要地点であるが、そこをウ軍は、
GMLRSで砲撃している。このため、指揮官を含む200名以上の戦死が
確認されている。

このような攻撃を受け、トクマクでは、FSB将校の家族や親族をトク
マクからロシア本土に引き上げさせ始めているという。

それと、ベルジャンスクの司令部がストームシャドーで攻撃されて
、第58諸兵科連合軍副司令官のオレグ・ツオコフ中将が戦死した。
これで、ロ軍将官は、この戦争で10名戦死したことになる。この攻
撃でロ軍将兵200名以上が死傷している。

ドネツク市への砲撃をウ軍は再度始め、旧トパーズ工場に設置した
ロ軍司令部を砲撃した。

ウ軍はロシアのクルスク州クルチャット市とボロネジ市にUAV攻撃を
している。

これは、キーウへの連日のロ軍によるシャヘド無人機による攻撃へ
の報復であろう。しかし、13日も、ロ軍はクルスク州とアゾフ海か
らドローン20機を、黒海からは巡航ミサイル2発を、クリミア半島か
らはイスカンデルミサイルを発射した。

・ウクライナの状況
7月11日-12日のNATO首脳会議で、NATO加盟のプロセスを簡素化する
ことで合意したが、具体的なスケジュールは示せなかったが、NATO
とG7諸国は、ウ軍を戦争中、永続的に支援するとした。しかし、ロ
軍との戦いは、ウクライナ一国で戦い続けることになった。戦争終
結までは、ウクライナはNATO加盟はできないことも明確化した。

それと、ロシア凍結資産は、ロシアがウクライナへの賠償が済むま
で資産を封鎖することになった。

NATO首脳会議で、トルコは、加盟を反対していたスウェーデンのNATO
加盟を容認した。この前には、アゾフ連隊の指揮官など5名をウクラ
イナに帰国させるなど、ロシアの意向とは違う動きをし始めた。

それと、エルドアン大統領は、プーチンに穀物協定の延長に同意する
ように交渉して、プーチンは合意したようである。ロシアは、足元を
見られて弱くなっている。

岸田首相もNATO首脳会談に出席して、ウ軍にUAV探知システムを提供
するとした。

F-16の訓練が8月より始まることで、来年3月以降にしかF-16が供与
されないことになったようである。このため、今行っている攻勢は
、来年も続けるという。航空優勢を得ないと、進捗が進まないこと
による。

米軍のダグラス・シムズ中将も、ウクライナの戦場状況では現在、
F-16戦闘機の運用に「理想的ではない」と述べた。パイロットを訓
練で戦場を離れると、ウ軍は空爆ができなくなり、戦況が不利にな
るということである。

しかし、いつかはF-16の訓練をして、戦況を改善する必要もある。
どちらを取るかでしょうね。

現時点、ウ軍は前線での防空システムが不足している。このため、
米国は、台湾で退役した対空システム・ホークを買取り、ウ軍に供
与するという。徐々にウ軍の問題点をカバーすることで、ウ軍優位
を確立したいようだ。

もう1つ、長射程ミサイルATACMS供与もない。米国としても在庫数
が少なく、アジアで紛争が起きた時の備えしかなく、現時点で、ウ
クライナに供与できないようである。

この代わりに、クラスター弾を米国は供与して、ウクライナは非常
に有効だと述べ、既に届ているが、ウ軍はまだ使っていないという。

そして、ザルジュニーウ軍総司令官は、クリミア奪還について、「
手段が生じ次第、私はすぐに何か行う。誰も私を止められない」と
した。この手段として、大きいのが、ATACMSとF-16なのであろう。

・ロシアの状況
ワグナー軍の反乱開始後、数時間で治安部隊はスロビキン大将など
軍幹部10人超を拘束し、現在13人を拘束、15人を解任したようであ
る。特に軍情報機関や参謀本部情報総局(GRU)などの高官である。

しかし、プリゴジンと35人の幹部が、プーチンと6月29日に極秘会談
を行い、今後、ワグナー軍は8月にもウクライナ戦線で戦うことで、
プーチンは罰をあたえないという。ワグナー反乱後3日目に会談をす
ることに唖然とする。

プーチンは、プリゴジン氏のワグナー軍への指揮権委譲を求めたが
、即座にプリゴジン氏は拒否した。今もプリゴジン氏がワグナー軍
を指揮している。それと、ロシア国内での移動と通信の自由を認め
た。

この対応で反発が起きることになる。軍内部の粛清はするが、反乱
したワグナー軍は、許すという、ハチャメチャな対応をプーチンは
行っているからだ。これには、軍内部から文句が出ると思った。

早速、第58諸兵科連合軍指揮官イワン・ポポフ少将は、「対砲兵戦
の不足、砲兵偵察所の欠如、、交代要員もいないことで長期にロ軍
兵は前線にいること、そして敵火砲により我が軍に大量の死傷者が
出ている状況に疑問がある」とゲラシモフ総司令官に提言した。

なぜ、ポポフ少将は、このような提言をしたのかというと、後方に
予備兵力がなく、前線部隊を突破されると、後方はスカスカでウ軍
にアゾフ海まで、ほとんど抵抗もできずに進軍される危険性を感じ
たからだと小泉悠さんはいう。

なぜ、後方の予備部隊がいないかというと、予備部隊をルハンシク
州クレミンナに移動させて、カウンター反転攻勢に使うためであり
、前線部隊の司令官が見ている戦争とゲラシモフなどの上位司令官
で見る戦争の違いが、その根本にあるようだ。

そして、即座に提言をしたポポフ氏は解任された。多くのロシア情
報筋はポポフ氏を「知的で有能な権威者」で、「軍隊から支持、尊
敬される優れた指揮官だ」だとしている。ロミルブロガーはポポフ
少将に高い評価を与えている。反対に、ゲラシモフとショイグへの
長年の軽蔑が情報空間で顕在化している。

しかし、ロ軍では、有能な司令官たちを喪失しつづけている。続い
て、バフムト正面の主力部隊の106空挺師団長セリヴェストロフ少将
も解任された。ポポフ少将と同じ不満を前線部隊の司令官は共有し
ているようだ。負け戦の前線司令官は大変である。専制主義国家の
部隊は上意下達であり、現場の問題点を上にあげることは御法度で
ある。上位司令官に反逆したことになるからだ。

これは、ウ軍にとっては良いことである。

それと、プリゴジン氏が指揮権を持つワグナー軍は、ウクライナの
戦場には登場できない。このため、ワグナー軍のような自由で創意
に満ちた戦闘員が、ウ軍への攻撃をしないことになる。これもウ軍
によっては良いことである。

なぜ、プリゴジン氏を排除できないかというと、アフリカでの大き
な影響力と鉱物資源などのアクセスを持つことで、プーチンの隠れ
資産になっているからだという。

このため、ロシア国内で、戦争の継続に疑問視する意見が出ている
と、ギルキン氏は述べている。特にプーチン側近でもプーチン退陣
を画策する動きがあるという。

それに対して、プーチン支持派のジョイグ国防相、ボロベフ・モス
クワ州知事、ソビャニン・モスクワ市長などが、反対派を押さえよ
うとしているが、反対派の力も強く、終戦に向かうようであるとい
う。

このような状況で、プーチン大統領は、「民間軍事会社ワグナーは
存在しない。ロシアには民間軍事組織に関する法律はない」と述べ
、ワグナーが法律の枠組みを超えた存在だと認めた。今後、ワグナ
ーなど非正規部隊への規制を検討するとした。

ということで、ロ国防省は、ワグナー軍から戦車・ミサイルや大量
の弾薬等を引き渡されたとし、事実上の武装解除を行い、ワグナー
軍の多くの兵員をロ軍に組み入れたいようである。

しかし、ベラルーシ国防省は、ワグナー軍は、ベラルーシ軍の教官
となるだろうと述べた。ワーグナーのプリゴジンもベラルーシから
動画を出している。

また、ベラルーシ国内の複数の訓練場に約2000人のロ軍訓練要員が
駐留していたが、現在、ほぼ全てのロ軍兵がベラルーシ領から撤退
したという。

恐らく、ウクライナの東部前線に送られたのであろう。予備兵がほ
とんどいない状況は、今でも変わらないことになっている。

このため、ロシアは最近、兵員希望の受刑者の数が減っており、移
民を強制的に徴兵して前線に送ろうとしている。このため、ロ情報
筋によると、労働移民に対する大規模な家宅捜索が行われていると
いう。

ロシアは、外交問題も出て、8月のBRICS首脳会議にプーチンではな
くラブロフを出席させるという南アフリカのシリル・ラマフォサ大
統領の要請をロシアは拒否した。まさか、プーチンが出席すること
になると、南ア共和国は、逮捕するしかないことになる。

外交的に四面楚歌になってきて、トルコに対しても弱い対応になり
、南アにもどうするかですね。その上、経済的にも行き詰まり、ロ
シア経済は、経常黒字93%減の54億ドルになっている。

このため、ロシアのペスコフ大統領報道官は、プーチンが中国への
訪問を計画しているとした。ロシアの頼りは、中国しかないようだ
。しかし、その中国もロシア産原油からイラン産原油に乗り換えて
、ロシアの輸入を減らしている。

さあ、どうなりますか?


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